ニーマンピック病とは何か?



ニーマンピック ("Niemann-Pick")病は、特定の遺伝子変異によって物質の代謝に影響を及ぼす一群の病気の一つです。この病気において最も一般的に認識されている型は、A型、B型、および、C型の3つです。

ニーマンピック病A型およびB型は、酸性スフィンゴミエリナーゼ( ASM )と言う 特定の酵素の不足によってもたらされます。この酵素は、リソソームと呼ばれる細胞小器官に存在し、スフィンゴミエリンと呼ばれる特別な脂質を代謝させるのに必要です。ASMが欠乏している場合、適切な機能が失われ、この脂質は適切に代謝されることができず、細胞の中に蓄積されてしまいます。そして結果として、細胞死及び主要器官系の機能不良を引き起こします。

A型及びB型は同じ酵素の不足によって引き起こされます。そしてこの二つの型は「酵素活性の連続的なスケールにおいて不足側に位置する」ということで意見が一致しつつあります。A型患者は一般にASMをほとんど生産できません(健常者の1%未満)。一方B型患者のASMの活性レベルは、健常者に対して10%程度あります。

Scale of ASM activity

A型B型どちらの患者もASM活性が著しく低いのですが、二つの型の患者グループでは、臨床的予後が大きく異なります。ニーマンピック病A型は、一般に2 〜 4歳までに死につながる、重い神経系疾患です。

一方、B型患者には一般に神経症状がほとんどなく、そして、遅い幼年期または成年期まで生き残ることも多くあります。B型患者は通常、肝臓、脾臓の拡大があり、そして呼吸困難を経験します。 臓器の拡大および呼吸困難の問題は、心臓血管のストレスを引き起こすこし、また晩年の心臓病につながって行きます。

中間のASM活性を持つ患者は、B型患者よりも深刻な神経症状を持つ傾向がありますが、ASM活性と神経の関与具合の間には明確な相関が見られないことから、酵素テストによって病気の重さを正確に予測することは可能ではありません。

世界中にはA型、B型と診断された患者がおよそ1,200人いて、その多くはB型です。

ニーマン‐ピック病C型は、A型やB型と名前においては類似していますが、生化学および遺伝のレベルにおいてはまったく異なる疾患です。患者は、細胞の中でコレステロールや他の脂質を適切に代謝させることができません。これによって肝臓や脾臓の中にコレステロールが過度に蓄積され、そして脳において他の脂質の量が過度に増えます。
コレステロールが細胞においてどのように代謝されるかについては、こちらをご覧ください。]

C型の症状がいつ現れるか、またどのように進行するかには、かなりの個人差があります。 生後数ヶ月で発症することもあれば青年期まで発症しないこともあります。垂直凝視麻痺(眼を上下に動かせないこと)、 肝臓、脾臓の肥大、乳児期の黄疸はNPCの可能性を強く示します。 病気の初期においては、これら特徴のうち一つか二つだけが現れるのが普通です。

ほとんどの場合、 4 〜10 歳の年齢で神経症状が現れ始めます。一般的に言って、神経症状の発現が遅いほど、その後の病気の進行も遅くなります。

世界中では約500人がニーマンピック病C型と診断されています。この病気は正確な診断をすることが非常に難しいため、実際の患者数はそれよりずっと多いと考えられています。ニーマン‐ピック 病C 型は、初期には、学習障害、穏やかな発達障害、単なる「無器用」、運動能力の発達の遅れと診断されることが多く、家族がC型の確定診断を得るのに数年を費やすことは珍しくありません。
[ 医療専門家に書かれた臨床および診断の概要は こちらを参照ください。]

C型は致命的な病気です。子供の圧倒的大多数は 20 歳前に亡くなります。 (そして多数は、 10 歳前に亡くなります ) 。 遅い時期に発症した場合は、長い寿命につながることが期待できます。しかし、あらゆる患者にとって40歳 まで生きることは、非常にまれです。
過去においては、古い型を含む、他の型のニーマンピック病が認識されていました。


ニーマン‐ピック病は、北アメリカ、南米、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、及び、オーストラリアから症例が報告されており、よって世界中の全ての人種において存在する病気です。しかしながら、特定の地域において、通常より高い発生率が見られています。:


ピック病は、ニーマン‐ピック病としばしば混同されます。しかし、それはまったく異なる病気です。この病気についての情報はPick's Disease support group のウェブサイトを参照ください。


Copyright 1997 - 2005 National Niemann-Pick Disease Foundation
Translated by Minoru Mizusawa in April, 2006
このページは、National Niemann-Pick Disease Foundation, Inc.のコンテンツを水沢家にて翻訳したものです。医療情報については、専門家による確認を受けるように努力をいたしますが、必ずしも医学的データに基づいたものとは限りません。診断や治療にあたっては、必ず医師に相談して下さい。

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