☆食精花☆
「シクシク、シクシクシク・・・・・」
ん?泣き声が聞こえるぞ?
しかも女性の・・こんな危険な森の奥で、
女性の泣き声が?俺は耳を澄まし、泣き声の方向を探る・・・
「シクシクシクシクシク・・・」
「だ、誰だ!?どこだ!?」
神経を研ぎ澄ます、油断してはならない・・
この森に入ってから、いろんな幻獣にやられそうになった、
女性の泣き声を気にするあまり隙を作ってはならない。
「シクシクシク・・・た、たすけて・・ください・・・・・」
「ん?そっちか!今行く!」
ようやく声の方向を探り当てて進むと・・・
「あれ?うわっ!これは・・・」
森の中に広がる大きな白い花・・・
その花びらは1枚が2mぐらいの長さだろうか?
化け物のように大きな花だ、その花の真ん中が大きな穴になっていて・・声はその中から聞こえる!
「た、助けてください・・」
「どうしました?」
「足を・・くじいてしまって・・穴から出られないんです・・・」
遠巻きに花の中心を覗くと白い髪の女性が・・よ、よく見えない。
「今、助けますから!」
「お願いします・・腕を引っ張ってもらえるだけでいいんです・・い、いたい・・・」
巨大な花びらを踏んずけ、中心の穴へ行く・・
おおきめの1m半ぐらいの穴だろうか?そこに白い髪、
白い肌の美しい女性がうずくまっている!暗くて顔ぐらいしかよく見えないけど・・・
「足はどうですか?立てますか?」
「はい、なんとか・・ああ・・手、手を・・・」
スッと腕を伸ばす女性、白い・・
う、は、裸!?上半身裸だ、大きな胸、乳首まで白い・・
透き通るような、美しすぎる白さだ・・!!
ふらふらと吸い寄せられる俺・・花の中心の彼女に・・・
「いたい・・あぁ・・」
はっ!見とれてる場合じゃない!助けなきゃ!
「我慢してくださいね・・ん・・・」
俺も手を伸ばす、花の中心の穴へ・・
彼女の手がもう少しで届く・・指先、爪まで白く輝いている・・
まるで人間じゃないみたいに・・え?
ガシッ!
ぐいっ!!
「うわっ!!」
その手が俺の手首を掴むと信じられない力で引っ張る!
あまりの力にそのまま・・・!!
ドシン!
「い、いたた・・あ、大丈夫ですか!?」
女性の上に落ちてしまった、俺の下敷きに・・
そうだ、彼女の怪我は?と足を見ると・・・
「あれ?花に・・刺さってる?」
「・・・ふふふ・・・ふふふふふ・・・」
「ど、どうしたんですか?」
この女性、し、下も、下半身も裸だ、全裸・・!!
全て真っ白・・・・・と、突然ガバッ!と抱き着いてきた!!
「く、苦しいんですか!?」
「ふふふ・・・つかまえたぁ・・・」
「ええっ!?」
ぐらっ!と花が大きく揺れた、
直後、ばふっ!!と巨大な花の花びらがめくれあがり、
一気に穴の上で閉じた!花の中に、閉じ込められた!?
「一体、何が!?」
「ふふ・・まぁだ気づかないのぉ?」
閉じられた花びら・・
その薄く白い花を通る日光が映し出した女性・・
さっきの悲しみの表情から一転、目を釣り上がらせた恐い表情になっている・・・
口調も明らかに変わっている・・・何よりすごい腕の力だ、俺のからだがぎゅうぎゅうと痛い・・
「ま、まさか!?」
「おいしそうな餌ね・・ふふふ」
ようやく俺は気づいた!
この女・・人間じゃない!
と剣を振りかざそうとするも、手首を強くねじられて・・・!!
「い、いてててて・・・」
ぼとっ、と落ちる剣・・
しまった!こいつ、モンスターか?罠だったのか!?
「くそう!!」
何とか女を振り払おうと暴れてみるも白い腕の怪力で押さえつけられ、
足をばたばたさせても、ばふっ、ばふっと閉じた花びらを蹴るだけで、
その衝撃は吸収され逃げる事ができない!!
「うあっ!うああ!ぐあ!こ、こいつっっ!!」
「ふふっ、人間って馬鹿ねぇ・・ふふふ」
「お前はああ!!」
「さあ、あなたはどんな声で鳴いてくれるのかしら?ふふふ・・」
「離せ!離せえええ!!」
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