こんなのに捕まったら骨の髄までしゃぶられそう・・・やばい、足の痛みがぶり返してきた!
入ると四つんばいになった、セーラー服の下半身だけ、というか、
おしりだけが見える・・・長いスカートだからパンツは見えな・・・あ、ちょっと見えた!
どんどんついていく、って本当に大丈夫か?いまここで撃たれて犯されたら一発で終わりだ、信じていいのか・・・
その下が空間になって人が入れる・・・銃を握りながらそこへ入ると・・・
「ええ、け・さ・ぎ・り・ゆりですことよ、悠さんありがとう、ご苦労様」
家狭霧 百合さん、しかし着ているのはきらびやかさのまったくない、赤ジャージ・・・
そして僕を連れて来たのは、悠さんって・・ゆう・・・確か、佐原悠ちゃんだっけ。
「はい百合さま、猪頭克奈・早瀬秋の両名に追われている所を連れてまいりました」
「一緒にいた鈴さんに囮になっていただいて・・・いらしたようですわ」
体育館で先生にバッグを空けられ、勝手に手裏剣を使われた萌葱原 鈴ちゃんだ。
「・・・撒いた・・・倒せないから・・・手裏剣きかないから・・・撒いてきた・・・」
「1対2ですものね、仕方ありませんことよ、さあ勇人さん、まずは銃を下ろしてくださいまし」
連れ出してこっそりみんなでおいしくいただく、なんてありそうだけど・・・
「どっちみちもう外はかなり暗いですわ、逃げ場はございませんから、撃ち合うのは得策ではございませんし」
「よろしいでしょう、それでお気が済むのでしたら・・・しかしもし撃たれた場合はわたくしどもは容赦いたしませんことよ」
悠ちゃんと鈴ちゃんがまるでお姫様の召使いのごとく、百合さんの両側に立った。
「わたしくからまず言っておきますのは、勇人さんには申し訳ございませんですが、わたくし、男に興味は無いのですの」
「そもそもこのクラスへ転入させられたのも、お父様が『負けず嫌いのお前なら40人で男1人を奪い合う争いに入れれば戦うだろう』などと・・・」
「もうそのようなご情報を?確かに菱大路家へ多大な借金がございますが、それは私が卒業し、女学院の運営をはじめれば、すぐにでも・・・」
外が気になるのか懐中電灯のあかりを少し弱くした、外はもうほぼ夜だ。
「しかしながらわたくしの力を発揮するには多少なりとも元手がかかりますわね」
「わたくしに『分け』はございませんの、ここにいる3名、勇人さんを入れれば4名ですわね、4名で勝つのですわ」
「じゃ、じゃあ、それでいいよ・・・でも、さっきの、灯台にいたみんなも引き分けとか言ってて・・・」
「襲われたのでございますか?鈴さんの偵察ですと、あそこは村御巳さんご一行が篭城なさっていたようですが・・・」
みんな勝手に撃ち合って最後は自滅した、なんて言っても信じてくれないかなぁ・・・
「正直申しまして、わたくしも怖いですわ、勇人さんに撃たれるのが・・・」
「ち、違うよ!灯台じゃ僕、誰も撃ってないよ、ほんとに!でも、仲間割れして、みんな・・・」
「全員運ばれたのですね?それではメモを取らせていただきますので、一緒にご確認を・・・」
・・・百合さん所に書いてあったレズっぽい、は男に興味ない、に書き換えておこう。
あと相打ちしたはずなのに生きてた2人は、ゾンビ女とでも記入して・・・よし、こんな所かな。
「では勇人さん、私たちと行動を共にして、4名で勝つ方法を取っていただけますこと?」
「完全に信じられないのであればそれでもかまいませんことよ、灯台での出来事を私たちは知る由もございませんから」
さすがくの一、いつのまにか僕の真後ろに立って気配も無く耳元でささやいてきた。
佐原悠ちゃんは外に顔を出してキョロキョロ・・・百合さんも立ち上がってジャージのお尻についた砂埃を払う。
「すぐそこですわ、少し出た丘へ上がり、すぐこちらへ戻れば問題ありませんことよ」
「地図、地図・・・僕はその境界線を跨いできたばっかりだから、一緒に行かなくても・・・」
「しかしタイムリミットが私たちとずれていますと何かと問題がありますわ、ご一緒しませんと」
・・・確かに1人居残るのは怖いな、すぐそこみたいだし、ついて行こう。
「百合さま、勇人さま、私が先頭で様子を伺いながら進みますから、ついてきてください」
前を佐原ちゃん、後ろを萌葱原さんが守って誘導してくれるらしい。
「・・・そうですわ、暗いとはいえ念のため、これに着替えてくださいませ」
そう言って百合さんが取り出したのは・・・せ、せ、せーらー服!!
「ええ、勇人さまがこちらにいらしてる事がばれますと、一気に標的にされてしまいますし」
「だから、遠目から見ても女4人のグループだと思わせる、ために!?」
てきぱきと素早くセーラー服を着込む・・・スカートってこうやって履くのか。
って百合さんだけ僕の着替えを一部始終ずーっと見てる、男に興味ないから平気で見られるのか監視してるのか・・・
「リボンは適当でいいですから・・・終わりましたわね?では出発しましょう、悠さん進んでくださいまし」
女性は撃たれたら即死もあるのに・・・ここまでしてくれるって事は、信頼してもいいのかな?
風が気持ちいい・・・深呼吸するとスカートの中に風がスースー入って少し寒い。
「さあ戻りますわよ、ここですと下から長距離砲で一発ですので」
「戻って夕食にいたしましょう、水はすでに汲んできてありますからご心配なく」
何か作ってもらえたら嬉しいけど公園で調理できる環境はなさそうだし・・・
「ちゃんと道を覚えてくださいまし、4時間以内にまた来ますので」