SEXバトルロイヤルスクール

 

「勇人様、はい、お茶ですわ」

「・・・ありがとう」

 

クラスメイトの汲んでくれたお茶を飲みながら、

窓にもたれかかり超高速リニアモーターカーの外を見つめる、

ガラスの反射で見える車内では修学旅行を楽しむ女生徒の声で賑やかしい、

その分、唯一の男子生徒である僕がおとなしくしている、という訳でもないのだが・・・

3年0組のみんなとはどうしても打ち解ける事ができない。

1車両を占めるセーラー服の一行、その中で僕1人だけが学ラン・・・

この環境に慣れろという方が無理があるってものだろう。

 

「勇人様、どうなされました?御気分でもすぐれませんか?」

「ねえ勇人くん、ほら見てぇ、今年の2022年ワールドカップマスコットのストラップぅ」

「勇人さん、狭いようでしたら場所をお空けいたしましょうか?」

 

クラスメイトの女の子たちは僕にかまってもらおうといろいろ気を使ってくれる、

でもこれが逆に僕にはどうも・・・このクラスの存在自体が嫌なんだから仕方ない。

まさか「3年0組同級生40人全員が僕の花嫁候補」だったなんて、1ヶ月たった今でも信じられないよ。

しかも修学旅行までに相手を決めろなんて勝手すぎる、まったくうちのひいじいちゃんは・・・

菱大路家の血に相応しい相手を集めた、って僕の意志に関係なく集められても困る。

そもそも父が菱大路家から美麗家に婿養子に出て名字も変わったのに、

なんでその息子の僕にまで菱大路家がどうのってされなきゃいけないんだ?

自由になりたい、だからひいじいちゃんの「修学旅行が終わっても結婚相手が見つからなかったら自由にしていい」

という言葉を信じてこのクラスに入る事をしぶしぶ承認したんだけど・・・

 

「ねえ、勇人様ぁ」

「勇人くぅん、トランプしようよぉ」

「あれ見て勇人さん、綺麗な富士山・・・」

 

ふぅ、とため息をつく、

どうせこの女の子たちは菱大路グループの金と権力目当てなんだろうな・・・

全国から集められた有数の名家なお嬢様たち・・でもそういう腹黒い背景を想像すると、

とても友達になろうとは思わないや・・・自由になって、普通の男として普通の女の子と恋愛がしたいな。

 

「あ!トンネル!」

「本当・・あれ?明かりも消えちゃったよ?」

「暗い・・・勇人様、大丈夫ですか?」

 

本当に真っ暗だ、非常灯すらもついてない・・・

 

シュー・・シュー・・・シューーーー・・・

 

「な、なあに?この音」

「煙が!勇人くん、伏せてっ!」

「けほけほ・・勇人様・・力が抜け・・・」

 

これは・・・催眠ガス・・・か!?

 

「うぅ・・・眠く・・な・・るぅ・・・・・」

 

僕は抵抗する暇なく深い深い眠りに落ちた。

 

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