「お兄ちゃん、どうだった?今日のルリーの活躍」

 

校門を出たところで、ルリーが話しかけてきた。

 

「うずまき星人もいよいよ本腰を入れてきたわ、気を引き締めなくっちゃ」

 

だが、ルリーは笑顔だ。

何気なく後ろを見ると、

離れたところで真雪がうつむき加減でついてきている。 

僕らの会話は聞こえない距離だ。 

 

「?あ、真雪先輩だ♪・・・真雪せんぱーーーい!!」

 

ルリーも真雪に気づき、手招きで呼ぶ。 

しかし真雪は一定の距離を保ったまま、

一緒になろうとはしない。 

 

「うーん、真雪のやつ、どうしたんだろう?」

「さあ?きっとV6を育てるゲームがうまくいかなくって考え事でもしてるんじゃないかしら?」

「ルリー、本当はわかってるんじゃない?」

「・・・お兄ちゃんこそ、なのだ☆ところでお兄ちゃん、今日ね・・・」

 

僕はルリーと楽しくおしゃべりをしながら家へ帰る。

ときたまちらりと見る真雪の顔は、

なんだか特に悲しそうに見えた。 

そんな真雪に追い討ちをかけるかのように、

ルリーが僕の右腕にしがみついた。

 

「おにーちゃん♪これから毎日一緒に登下校だね☆」

 

ルリーは真雪に聞こえるようになのか、

大きな声で本当に嬉しそうに言うと頭を僕の方へ枝垂れ掛けた。

今度はとても真雪の顔なんてうかがえない。

 

「ルリー、真雪が・・・」

 

言いかけた言葉を遮るように、

今度は小声で伝えるルリー。

 

「お兄ちゃん、ルリーは絶対にお兄ちゃんを裏切ったりしないからね♪ 

だってルリー、お兄ちゃんのこと、あ・い・し・て・る♪きゃっ☆言っちゃった♪」

 

互いに顔が赤くなる。

外ではあくまで、僕はルリーのお兄ちゃんのようだ、

でも、僕とルリーは両思いであることをはっきりと確認できた。

 

「お兄ちゃん、今日のお昼ご飯は何がいい?」

「そうだな・・・パスタ系がいいかな」

「じゃあ、シーフードスパゲッティーにするのだ♪」

「コーンポタージュスープも飲みたいなぁ」

「ふむふむ・・・じゃあ小さいパンもつけるわ」

「あと、アジスアベバの名物料理も食べたい!お昼にぴったりなやつ」

「ばっちりおっけいよ♪アジスアベバ産まんじゅうをデザートにつけるです」

「今日は結構運動したから、いっぱい食べるぞ」

「はい、食後にマッサージしてあげるからね、お兄ちゃん☆」

 

ルリーは僕にとても従事してくれる。

逆に僕がルリーになにかしてあげたいという気持ちが強くなる。

 

「たまには僕が料理を作るからね」

「わーいありがとう!お兄ちゃんの手料理、とっても楽しみなのだ♪」

 

べたべたくっつくルリー。

理想の妹、 

そして理想の恋人。 

 

「お家についたのだー」

 

話し込んでいると時間の流れは速い。 

一瞬、もう少しルリーと歩きたいと思ったが、

一緒に暮らしていることを瞬時に思い出し、 

安堵した。 

 

「たっだいまー☆」 

 

ルリーが家に飛び込む。 

 

「ただいま」 

 

僕も続く。 

その一部始終を離れた電柱の影から見つめる少女が一人、

真雪だ。 

 

「猫ちゃん・・・」 

 

ポツリとつぶやく。 

 

「猫ちゃん・・・兄妹にしては、仲が良すぎるわよ・・・」

 

真雪は力なく、 

僕の隣の自分の家に入った。 

「ただいま」も言わずに・・・ 

 

「猫ちゃん・・・・・私、あきらめないからね」

 

そんな真雪の心の決意を知る由もなく、

僕の家ではルリーがテーブルクロス引き抜きを披露していた。 

 

「ルリー、すごいすごいー!」

「どうですご主人様?これは魔法抜きですよー」 

「いったい、どうやってやるの?」

「右手左手均等の力で勢いをつけすぎずに、

置かれた食器と平行にテーブルクロスを素早く引っ張るのですぅ☆」 

「鮮やかだなー、さすが魔法少女界の首領!」 

「さ、昼食の用意をしますわ♪」

「何か手伝うよ」

「今日は大丈夫です、ご主人様は疲れてるんですから、

ゆっくりしていてくださいなのだ☆」 

 

久々に感じる暖かい家庭、

幸せに包まれる僕。

僕にとってルリーは、天使以外の何者でもない。 

まあ、魔法少女なんだけど・・・ 

 

でも、真雪の目にはルリーはどう写ったのだろうか? 

真雪は実際、僕のことを今はどう思っているのだろうか? 

窓から見える青空は、どこまでも広い。 

台所からはおいしそうな匂いがしはじめた。 

 

「真雪・・・そろそろ許してあげなきゃな」 

 

僕は初めて、

心の底からそう思えたのであった。

 

つづく。

 

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