第2話・いもうと♪ルリーちゃん☆

 

「ご主人様ぁ、起きてくださぁい・・・朝ですぅ、ご主人さまぁー」

 

甘い声が布団にくるまった僕の体ををゆする。

僕はうなされているかのように、けだるく答える。

 

「うーん・・・もうちょっと眠らせて・・・あと5分だけ・・・」

「朝ごはん冷めちゃいますよぉ・・・ご主人様ぁ・・・」

 

甘い声はさらに僕をゆらす。

 

「そんなに揺らすなよぅ、もう・・誰?」

 

眠い目をこすり布団から顔を出すと、

エプロン姿の可愛らしい少女が僕を覗き込む。

昨日僕が拾った少女、魔法少女☆ルリーだ。

 

「おはようございます☆ご主人様♪」

 

屈託のない笑顔を僕に見せると、シャッとカーテンを開ける。

眩しい・・・抜けるような青空だ。

 

ちゅっ♪

 

ルリーはふいに僕の頬にキスをした。

僕の顔が赤く火照る。

 

「おはようのキスなのだ♪さぁご主人様、

起きないと『嫌な起こしかたする仮面Z』を魔法で呼んで、

いやーな起こしかたしちゃいますよー☆」

 

僕は有無を言わず跳び起きた。

 

「さ、おいしい朝ご飯を食べるのだ☆」

 

ルリーはとても楽しそうに僕の手を引っ張り、そのまま階段を降りて台所へ連れて行く。

夕べと同じおいしそうな匂い、今朝は焼き鮭のようだ。

 

「いただきまーす♪」

「いただきまーす」

 

夕べに続いて2人での食事、まだ僕は少し戸惑っているようだ。

しかしおいしい食事を口に運ぶと、すぐにそんなことは気にならなくなった。

 

「もぐもぐ・・・ご主人様、おいしい?」

「うん、おいしいよ、味付けもばっちり!」

 

僕はようやく、昨日の出来事、そしてルリーがどうやら夢ではないらしいことをかみ締めた。 

するとルリーは思いもよらないことを話し出した。

 

「ご主人様、今日は1、2限がホームルームで、3、4限目が体育ですぅ、

もう用意しておきましたわ、体操服だってご主人様のもルリーのも、ばっちりなのです♪」

「あ、ありがとう・・・え、ルリーも?」

「はいそうなのです、ルリーも偶然3、4限目は体育なのです☆」

 

僕は思わず手が止まり、箸をこぼす。

ルリーは素早くその箸を拾い、新しい箸を渡しながら話を続ける。

 

「ルリー、今日からご主人様の妹としてご主人様の学校に通うのです♪」

 

とても嬉しそうなルリーに僕はびっくりしながら質問をする。

 

「が、学校て、本当に?」

「はい、ルリーの魔法でもう手続きは済ませてあるのです、

付属中学の3年ですから、ご主人様の隣の校舎になりますわ♪

 

隣といってもうちの学校は中学と高校が一緒になってるため、

事実上、同じ学校に通うことになる。

 

「これで心置きなくご主人様をうずまき星人から守れますぅ♪」

「そ、それはそうでも・・・妹として?]

「そうなのです、ルリーはご主人様の元へアメリカからやってきた、

実の妹としてご主人様と暮らしていることにするのです☆」

 

あんぐり。

僕に突然、妹ができたことになった。

 

「あ、でも安心してください、あくまで学校にはそういうことにしてるだけで、

戸籍上はいとこってことに魔法でしてあるので、

卒業すればいつでもルリーと結婚できますわ♪きゃっ☆」

 

ルリーは少し照れながら答えている。

僕はルリーの決めた設定に従うしかなさそうだ。

僕自身、昨日の出来事ですでにもうルリーに心を奪われていた。

ルリーとこれからずっと一緒に暮らすためには、そうした方がいいだろう。

 

みんなの前では兄と妹、戸籍上はいとこ同士、

でも本当は魔法少女とご主人様・・・

 

「お先にごちそう様なのだ♪ご主人様もはやく食べてね☆」

 

ルリーは鼻歌まじりに2階へ上がっていく、

きっと部屋の掃除をしてくれるのだろう。

テレビをつけると昨日の野球のハイライトをやっている。

画面の角に「7:21」の数字。

いつもは適当にパン1個で済ます朝食、

いつもならまだ布団でもがいている時間。

しかし、こんなさわやかな朝は何年ぶりなのだろうか・・・

そんなことを思い巡らせているうちに僕は食事を終えた。

 

 

「さ、ご主人様、学校へいきましょう♪」

 

いつのまにかぼーっとしているうちに、

着替えを済ませたころには時計は8:01を表示していた。

はじめて見るセーラー服のルリー、

お世辞抜きにかわいい、間違いなく学校で1番かわいいだろう。

 

「お家を出たらご主人様は『お兄ちゃん』になるのだ☆

よろしくね、お兄ちゃん♪」

 

僕はなんだかくすぐったくなったが、

仲の良い兄妹としてルリーと一緒に家を出た。

 

「あ・・・猫ちゃん、おはよう」

 

玄関先に少女が立っている。

眼鏡にそばかす、三つ編みという地味を絵にかいたような少女。

僕に「猫ちゃん」というあだ名を最初につけ、それを広めてしまった原因。

隣りに住む僕の幼なじみ、真雪だ。

 

「おはようございますです」

 

ルリーは真雪にぺこりとおじぎをして挨拶した。

 

「はじめまして、私、妹の瑠璃と申します!お兄ちゃんとは昔、よく遊んでくれたそうで・・・」

 

真雪は突然のことにびっくりしているようで、

助けを求めるかのように僕に問い掛ける。

 

もどるめくる