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ルリーとネルオフの魔女っ子コラム

 

★ルリーとネルオフの魔女っ子コラム・第三回★

〜kの「おジャ魔女どれみ」について〜

 

私は、生活感のあるアニメが好きです。(アニメに限りませんが)

しかし、元々がファンタジーである魔法少女アニメに、そんな物を求めるのは、変な話しですよね。

ですから、私も魔法少女物にそんな物を求めるつもりはあまり無いです。

しかし、最近何故か、生活感描写が丁寧な魔法少女アニメが出てきているみたいです。

 

一つは、もう、男のアニメファンなら、ファンじゃない奴がいないのではないかと思われる、『カードキャプターさくら』。

バトルコスチュームや、派手な魔法のエフェクト、さくら等のヒロインの可愛らしさが魅力のこの作品。

でも、私はこの作品のドラマとしての真の魅力は、生活描写にあると思っています。

 

原作にも食事のシーンは出てきますが、アニメは更に多く、やたらと飯を食っております。

しかも、シーン単位の時間が長い。

それが高じてか、最後のエンディングでは、終始料理を作る描写で占められていたりしますし…

監督の浅香守生は、存在感ある作品にする為に、食事のシーンを多くしているとインタビューで答えています。

 

また、家族の描かれ方が丁寧です。

当番制の描写は、原作にも出てきてはいるのですが、アニメではもっと細かく描写されています。

特に、当番の交代をお願いするシーンが、非常にリアルで効果的な演出だと感じています。

(さくらが、厳しい取引を余儀なくされるも、また良い)

 

理想的すぎる、と揶揄する事も出来る父子家庭像ではあります。

事実、キャラクターデザインの高橋久美子は、綺麗な人と裕福な人しか出てこないという理由から、

初めはこの世界観が好きではなかった事を、語っております。

 

しかし、魔法少女アニメというカテゴリーを越えても、これ程生活描写に魅力があるアニメは、そうは無いでしょう。

丁寧な生活描写は、そこで生きるキャラクター達に実在感を与えます。

この実在感が、『カードキャプターさくら』の魅力の、芯の部分なのではないでしょうか?

思い入れ出来ないキャラクターが、いくら喜んだり悲しんだりしても、観ている者の心に共感する物は、何も無いでしょう。

 

そして、もう一つが『おジャ魔女どれみ』です。

 

この作品の監督は、『魔法使いTai』等でも知られる佐藤順一なのですが、

彼はスタジオジブリで活躍している、高畑勲のファンだと思われます。

アニメージュのインタビューで、『火垂るの墓』に対してかなりの高評価を下していますし、

『じゃりん子チエ』などは絶賛しています。

どれみの決め台詞『あたしって世界一不幸な美少女だぁ!』は、

チエの『うちは日本一不幸な少女や…』から取ったのでしょう。

 

高畑勲と言えば、アニメーションに於ける生活描写の元祖と言っても過言ではない人ですし、

生活描写の一環として家族の描写を多く行う監督です。

佐藤順一の家族設定の細かさや生活描写の丁寧さから、

彼が演出家として高畑勲から大きな影響を受けた事は、

まず間違いないだろうと思っています。

 

余談ではありますが、某アニメ演出家の方と一緒に飲んだ時聞かされた話しでは、

演出家の間では、高畑勲は非常に高い人気があるみたいです。

ドラマの筋立てではなく、演出の力で作品の魅力を成立させてしまう彼の演出に、

憧れる人が多いのも非常によく判る話だと思いました。

押井守も演出的に一番影響を受けた作品として、『赤毛のアン』を挙げていました。

 

話しを戻しますが、佐藤順一の『おジャ魔女どれみ』の家族指向は、何とOPの時点で顕われています。

いきなり、主人公3人組の親が出てきますからね。

親と子供の関係を丁寧に描こうとする佐藤順一の意志が、この時点で示されています。

 

本編での家族描写にも意欲的で、3人のうち2人の魔女見習いになった動機も、

『離婚した両親の仲直り』と『母親に自分の意見を主張したい』ですから、家族描写に対しての力の入れようが伺いしれます。

特に、両親が離婚しているという設定を持つあいこは、家族のエピソードが非常に多く、かつ細かい物になっています。

 

私は、この作品のキャラクタでは、あいこが一番好きなのですが、

こういったエピソードの積み重ねによって厚みが付いたキャラクターに、大きく魅力を感じているのだと思います。

おジャ魔女達の中では、間違いなく一番苦労しているでしょう。

それなのに、一番明るく振る舞うのも彼女です。

それだから、彼女の笑顔は特別な物に見えるのではないでしょうか?

 

クラスメートのエピソードが多いこのアニメですが、クラスメートの設定の多さ、細かさにも感心させられますが、

彼等の肉親も多く画面に登場して来るのには、更に驚かされます。

しかも、設定がまた細かい。

また、その内容そのものにしても、非常にリアルな物になっており、

この番組のメインの視聴者である、小さな女の子が理解できるかどうか、疑問になるくらいです。

 

ただ、ちょっとやりすぎで、ぬかみそ臭くなりすぎな気もします。

ちょっと、ファンタジーとしての魅力の足を引っ張っている感も無い訳でもありませんね。

大体、『はなちゃん育てるのに、魔法使うの止めよう』と魔法少女アニメの主人公が、魔法を否定していますからね〜(笑)

 

『おジャ魔女どれみ』から『おジャ魔女どれみ♯』に移行し、

監督も佐藤順一から五十嵐卓哉にバトンタッチされましたが、

基本路線の変化は当座はなかったようです。

佐藤順一も、一演出家としていくつか担当している話しもありますし。

しかし、最近の話し(第22話)から、『魔女界』に対抗する勢力として、

『魔法使い界』というのが出てきて、話しがダイナミックになっていきそうですね。

 

確かに面白くはなってますし、敵役のオヤジーデが良い味だしてますので悪くはありません。

でも、私個人としては、今まで通りの路線でやって欲しいと思います。

ただ、新製品を売りたいオモチャ会社の意向に答えなければいけない事を考えますと、無理な話だとは思いますが…

 

純粋に『おジャ魔女どれみ』を語ったとは言えないですね。(笑)

どうかお許し下さいね。

 

文責・k

 

次回はルリーが「こんな魔女っ子アニメがあればなぁ」について語りますぅ♪