ハプニカ様、どこだろう・・・もう夕食の時間なのに・・・ ん?あそこかな?ドアが開いている、多分ここだ・・・   「ハプニカ様?・・・ああっ!」 「はっ!?そ、そなたか、あ、その、これは・・・」   そこには純白のウエディングドレスを身に纏ったハプニカ様が! 綺麗だ・・・ハプニカ様のその姿は、息を呑むほどの美しさ・・・!!   「・・・・・」 「い、いや、洋服を整理していたら、お、奥の方にあったのでな、す、少し、着てみたのだが・・」   顔を赤らめてどぎまぎしている、その姿がとても可愛らしく感じる、 完全に大人の女性、その完璧な美しさの中に見せる可愛らしいしぐさ・・これが僕の胸をドキンと貫く。 喩えるならば、完成された最高の料理にさらに美味しくさせるスパイスをかけたような・・・   「す、すまない、少し、夢を見ていただけだ・・その、そ、その・・・」 「・・・・・ハプニカ様・・」   純白のドレスがきらきら輝いて見える、 ああ、くらくらするような美貌・・・すごい・・・ ずっと見ていたい・・と思った頃、バサッ、とドレスが下に落ち、 中からラフな姿のハプニカ様が現れた、脱いだドレスを畳みはじめる・・・ あああ、もったいない、もっと見ていたかったのに・・・夢のようなひとときだったのに・・・   「・・・すまない、もう夢から覚めた、これは奥へ戻すとしよう」 「その、ハプニカ様・・・綺麗でした・・・」 「見た目はどうにでもできる、心が伴ってなくては意味がない」   ・・・クールなハプニカ様に戻っちゃった。   「ん?どうした?そなたの新しい服も探しておるのだが・・・」 「あっ!その、しょ、食事です、夕食の時間が・・・」 「もうそんな時間か・・・では一旦切り上げるとしよう」   ・・・・・まだドキドキしてる、 すごかった、ハプニカ様のウエディングドレス姿・・・ 元々お姫様、そして女王様だったんだから似合って当たり前なんだけど・・・ うーん、もし俺がハプニカ様の恋人だったら、もっと気のきいた事が言えるはずなんだけど、 でも俺はそうじゃないから・・・でも、そうだったら、何て言えばいいんだろうか・・・ 俺は不器用だから、きゅっと抱きしめて愛をささやくしかできないかな・・・ 逆の立場だったらハプニカ様がそうしそうだ・・・うーん、ハプニカ様・・ハプニカ様と結婚・・・   「どうした?ぼーっとして・・行くぞ」 「あ、はい・・私も、夢を見ていたようです・・・」 「そうか・・・夢を見るのは自由だからな・・・それが叶わぬ夢でもな」   叶わぬ夢・・・   「でもハプニカ様、夢は叶える物でもあります」 「・・・そうだな、私もあきらめてはいない、一生あきらめないつもりだ」 「そうですね、いつか叶うといいですね、いえ、きっと叶えられますよ」   ふふふっ、と微笑むハプニカ様・・・ 夢・・・俺の今の夢は何だろう?夢か・・・うーん・・・       こうしてさらに2ヶ月の時が流れた。     「じゃあ行ってきまーす」 「1人で大丈夫か?」 「はい、そんなに多くは取ってきませんから」   館を出る俺、 これからスバランの木が落とす木の実を拾いに行くんだ、 いつもはみんなで沢山拾うんだけど、今日は散歩ついでに・・・   「これは甘くて美味しいんだよな・・・」   スバランの木の実は種類が本当に豊富だ、 300種類以上はある・・味も全て微妙に違う。   「この紫のは、食べちゃ駄目って言ってたよな・・でも毒な実はないって聞いたような・・・」   そういえば、こうして1人で行動するのは久しぶりかもしれない、 いつもいつも俺の側にはみんなのうち誰かが寄り添っていたから・・・ つい独り言を言ってしまう、俺だけでいるのに・・ん?急に影が・・真上?う、うわっ!!   バサバサバサバサバサッッ!!!

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