さまよいの記 2000.3
2000.3.1
今日は会社の創立記念日。でも仕事。昼に会社の金でお寿司(またかいな)。朝も食べちゃったので少ししか食べなかった。寿司を握る人が「おいおいまたこいつらかい」みたいな顔をしているのには笑ったなあ。
仕事中、上司のIさんが親戚に中古のワープロを欲しがっている人がいるけど誰か使わなくなったワープロを売ってくれという。僕はパソコンを使う前にがしがし使い倒していたワープロがあったのでそれを売る事にした。本来なら値もつかなくなったやつだけど、多少でもお金が入るならと手放す事に決めた。もう使ってないし。明日持ってくることを約束する。
少しづつ暖かくなってきている。そして僕の中には少しづつ疲れがたまってきて、優しい気持ちが減ってきている。
2000.3.2
七時まで残業したあと、帰宅し、ワープロを箱詰め。それを持って会社に行く。Iさんに渡したあと残業中の人たちを冷やかしていたら、T女史が女性で唯一残業していた。遅いの? と聞くと多分十二時になりそうな予感というので他の人には内緒でサービスで手伝ってあげる。とかくウチの女子社員は嫉妬深く、手伝ったりするとやいのやいのウルサイのである。ま、他には後輩一人ぐらいしかいなかったから良かったけど。十一時近くまで手伝い、遅いし、車で走りたいという気分もあったので送っていくことにした。
2000.3.3
世間様はひな祭り。女性には優しくな。
朝起きたら十時半。もちろん遅刻。昨日帰りにドライブしちゃったのが敗因だな(苦笑)。会社に行くとT女史より昨日のお礼という事で煙草とコーヒーをいただいた。ありがたし。三時までSさんの仕事を手伝ったあと、T女史の仕事を手伝う。
つくづく僕は毒のない、良い人なんだな。これってなんだかつまらない男だよなあ。利用されるだけされてポイされちゃいそうで、カナチイ感じだよ。
十時頃帰ろうとしたらT女史、駄々をこねはじめ、仕方なく最後まで手伝うことになった。
帰宅後食欲もなく、夕飯を少ししか食べれなかった。
2000.3.4
いつもどおり昼まで寝る。そのあと母とコ○マに行く。夕刻戻ってきてからヒロキくんと連絡を取り合い、おいきむちくんとMと四人で久しぶりに会う。イタリア料理を食し、ゲームセンターで久しぶりに遊ぶ。あのマラカスを振るゲームやったけど、あれ恥ずかしい。やってる自分を想像したら笑ってしまった。そのあとはファミレスで雑談したけど、いやあ長男は大変ですな。僕は次男坊だから少しは気楽なんだけどね。深夜に帰宅。寝れそうにないのでプロレスを見て就寝。
2000.3.5
少し早めに起床。用事があって横浜まで車で行く。久しぶりの関内方面は懐かしかった。所用を済ませ、帰宅後テレビを見る。ふいにドライブに行きたくなり、出掛ける。色々考え事をしたかったのだけど、なんだかんだと携帯に電話がかかってきて台なし。
どうも僕は集団行動が出来ない人間らしい。大勢でいるとなんだか一人浮いてしまうし、誰と話していいのかわからなくなるのである。それで(周囲はどう思うかしらねえけど)変な神経をつかってしまい、時間が経つほどに疲れてしまって無口になるわ、冷めてしまうわで評判が悪くなることこのうえない。話をするのは好きだけど、僕は話し始めると暴走して長くなる。これでいつも一人になると自己嫌悪に落ちる。それではいかんと思い、話を聞くことに最近は徹している。別に話す事なんてない、とか自分のことを話したがらないというわけではない。ま、ここでこんな言い訳しなくてもいいか。
2000.3.6
一週間の始まり。久しぶりの一人でのお仕事を頂戴する。でもなんかすぐに終わりそうな予感。
最近煙草を喫煙所(給湯室)でふかしていると色んな愚痴を聞かされる。僕が言いたい方なのに、何故か僕には話してくるのである。不思議。こんな頼りねえ人に言ってもなあ。何の励ましの言葉も出やしないのに。なんでやろ。
会社から帰り、夕飯を食べたあと用事をすませに出掛ける。帰りはSさんと歩きながら細々とした話をする。毎日僕はくたびれていて、中々自分を好きになれない。ハスに構えようとするだらしない気持ちが広がって、自己嫌悪の日々。
2000.3.8
とにかく苛々が続く。ほんの少しのことでもカッとなってしまう。怒鳴ったり、八つ当たりはしないけれど、はけ口がなく悶々とする日々である。
色んなモノが積層し、溜まって行く。それを小出しに発散しているが、にっちもさっちも行かない問題が澱のように残っていて、それが溜まりすぎているのかなあ。
それとも考えることが多すぎて、普段使わない頭がビックリしちゃっているのか。
ああ、自己嫌悪に落ちるほどの苛々が募ってくる。
2000.3.9
とにかくオレは伏していたい。死んだように眠って、ただずっと伏していたいだけ。
2000.3.10
考えをすっきりさせたいし、気分も軽くしたくて、静岡へ一人で車に乗って出掛けた。
道中考えることはただ一つだけだった。
静岡に着いて僕は「大きな心」と「優しい愛情」に出会い、涙が止まらなかった。ずっとこらえていたものが目から出てくるように、後から後から涙が出てきて、僕は一人で泣き続けた。
帰り道微かに軽くなった心を胸に秘めて、これからのことを考える。
ただ僕は、勝ちたい。それだけである。
2000.3.14
それでも何か変わったわけではない。更に悩みは積送し続け、暗い沼に引きずり込まれるような絶望感と焦燥感を味わう。
2000.3.16
この日記をつけてからもう一年。あっちゅーまである。振り返って見ると、僕は全然進歩してない感じがする。
前にも書いたけれど、僕は時々ひどく他人を嫌う時がある。優しい言葉も、励ましの言葉もうるさく聞こえ、その人を偽善者と思ってしまい、疎んじてしまう。どんな言葉もきれい事に聞こえ、唾を吐きたくなってしまうのだ。
僕は上っ面なものが嫌いである。けど、自分自身が一番、上っ面で生きているのかもしれない。
2000.3.18
世は三連休。僕は出勤。仕事は続くよどこまでも。取引先は大手でこっちは下請け。どんな時でも自分の時間を削って奉仕します。罵倒されても愛想笑い。稼いだお金は右から左。自分の手元に残りゃしない。時間を割いても褒められず。約束出来ない悲しさよ。どいつもこいつも自分の都合を押しつけて、神経すり減らして戦う日々。
昼飯は近所の居酒屋の定食を上司にご馳走になる。ありがたい。
今の僕には生きる気力も、誰かに反応する勇気も持ち合わせていない。
2000.3.19
今日で僕は29歳になった。とりたてて感慨もなし。祝う気にもなれない。
十年前に約束したことを僕は未だ果たせていない。十年もかけてほんの少しも進んでいない。自分の努力の至らなさだけが原因なのだと頭ではわかっていても、体は拒絶をしている。
随分と女々しい、読むに値しないことばかりをここ数日書いているな。
夜Kさんより電話でN君が転勤で引っ越すということを知る。慌てて連絡を取り、深夜にお邪魔する。急な転勤だそうで本人も苦笑い。引っ越してきて一年。僕はまたなんにもしてやれなかったなあと反省をするばかり。
2000.3.20
ものすごい風が吹く中、会社へ行く。仕事は捗らず、苛々が募る。
まったくもってオレは小心者で、甘えん坊だ。一体今まで何をしてきたんだ?
ここ数週間にわたる苛々の原因はそんな自分への怒りなのかもしれない。えいやって、踏み出せよ。甘えるばっかりで、何をやってるんだよ。みっともないくらいの格好でもいいからそこに踏んばれよな。
2000.3.23
仕事はなんとか自分の分は終わり、同僚のIの分担を手伝うことにする。しっかし、シンドイ。
今日は村田喜代子の『鍋の中』を読もうと思って布団に入って、ページを開くも、最初の一ページを何度も読み返す(しかもうわの空で)だけ。
つくづく日本語って難しいなあと考えていたら寝れなくなってしまった。
2000.3.25
今日会社で朝から実に不愉快なことがあり、不機嫌この上ナシ。
会社も早々に引き上げ、部屋でゴロゴロとする。Kさんに連絡を取るも不通。夜出掛けるとKさんとTさんに会い、N君の引っ越し先に預かった荷物を届けに行くことになった。三人で同じ県内のFまで。Nくんと落ち合い、引っ越したアパートへ。そこで少し話をしてから深夜に帰宅。
僕は自分が認められると、自戒しているつもりでも、いつしか有頂天になって、主体者ぶってみせてしまうところがある。自分はもうわかってるのだと勘違いして説教をたれたりする。そんな日は決まって寝る前にその出来事や、自分の言葉を思い出し、ああなんとみっともないことをしてしまったのだと恥ずかしくなって、眠れなくなるのだ。
たいした人間でもないのに、ご大層なこと、わかったふうな口をきくなよ。
人生は勝負で、勝たなくてはいけない。これはほんと、そう思う。けど、この言葉を十人なら十人に同じに言ってはいけない。頑張れと人にいうのは簡単だ。勝てというのも簡単だ。けど、その間に含まれるものを言わなくてはいけないこともある。それが出来なくて、ただガンバレ、負けるなという人の気が知れない。誰だって休みたいときはあるのだ。誰だってしんどいときがあって、その言葉が重荷になることだってある。それを軽減させられることが出来なければ、その人を本当に励ましたことにはならない。
人はやさしくならなければならない。けれど、その道のなんと険しきことか。
2000.3.27
久方振りの休みを満喫したあとの今日は、手伝っていた仕事が一段落しているので女性陣の仕事の手伝いをする。仕事が早いと言われるが、そんなことはないのである。自分では普通にこなしているだけである。「さあ、いい加減にやってるからかなあ」と濁しておく。要領が悪いんじゃないのとは口が裂けても言わない。
会社の人に四月に温泉に行こうと思うのだけど、行かないかと誘われる。普段僕なんて誘われないのに(付き合いが悪いため)、今回に限って誘われた。おかしいなあと思いつつ、どうしようか迷っていると、逆指名を受けたそうである。これまた珍しい。ただ行く日を聞いたら、どうも何か予定が入っていたような記憶があり、即答を避けた。温泉かあ、いいねえ。長湯は出来ない体だけど、温泉に行くのはいい。ただ気になるのは同僚のIが誘われていない事。いつもならIが先に誘われるのに、おかしいよなあ。僕がIは行かないの? と聞いたら、誘うよ、とは言ってたけどなんか言葉を濁していた。僕の預かり知らないところで何かあるのかなあ。
2000.3.29
仕事がはけたら数人で飲みに行こうかと誘われ、OKを出していたが、残業になるということで土壇場でキャンセル。仕方ないので雑用を済ませる。
区切りもいいし、これといって予定も入っていないので有給休暇を上司と一悶着起こしながら獲得。今日が誕生日だというI部長、T女史にお祝いの言葉(のみ)を送り、帰宅。
ブラックジャックの八巻(文庫判)を見ながら就寝。
2000.3.31
仕事がない。ヒマなのでブラブラしていたら社内マニュアルを作成しなおすので手伝ってくれと言われてワープロ打ちを(会社では)久しぶりに行う。今日からプロ野球のペナントが始まる。会社の人が数人フレックスで早々に退社。会社の中は実に静かであった。
帰りに春物の服が少ないので、買い物に寄る。Tシャツを2枚と羽織るものを2枚。実に愛想のない店員が対応してくれた。客商売なんだから、愛想良くしろよな。ここでは2度と買わない。
今月はどうかしてたなあ、というほど神経が尖っていて、何に対しても怒っていた。この季節になるとそうなる、ということが今まで一度もなかったのに。ひどく頭が重く、一日中伏せていたかった日がずっと続いている(現在進行形)。いつになったら邂逅するのだろうか。とにかく疲れている。
明日から三連休。取り敢えずぐったりと休んでいたい。
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