さまよいの記 2000.2
2000.2.1
なにはともあれ二月である。寒さが一番厳しくなる二月である。
仕事の進行は予想以上に進みが良く、残業もさほどしなくても大丈夫なんではないかと思う。思えば二年前、同じ仕事でさんざん苦労して毎日十二時近くまで残業し、挙句夜勤までしていたのがウソのようである。これはスキルの向上の由縁か、それとも簡単になったのか。
軽く残業をして帰宅。夕飯を食べると猛烈に眠くなる。
そのまま寝ればいいのに、結局テレビを眺めていて起きていた。
執筆進まず。
2000.2.4
体がだるい。会社出その半数以上の人が風邪を引いているからうつされたかもしれない。帰宅後風邪薬を飲んだあとまた外に出掛ける。
夜中にようやく筆を動かす。
2000.2.6
昼過ぎにのそのそと起きるとYクンより電話。カー用品店にいるというのでひやかしに行く。そこでAさんもいたので三人で車談義。そのあとY君の家に行き、CDをCD−Rに落として貰う。前から気になっていたCDをまとめて借りて、落とした。他にも沢山借りたいCDがあったのだけれど、どうにも探す気にもなれずひとまずこれでいいか。
帰宅後夕飯を食べてテレビの映画を見る。
2000.2.7
年末年始にかけてとても小説をかける精神状態ではなかった。自分の書きたいことってなんだろうとらしくもない考えに浸ったり、プロの作品を読んだり、つまらないオンライン小説を読んだりしたおかげで入らぬ迷路に迷いこんでいた。
他にも精神衛生上よろしくない環境にいたものだから尚更で、執筆は進まずに、書くことに恐怖すら感じていた。
連載の小説も進展することを拒否してるかのように書けなかった。
もうどうとでもなりやがれ。オレはオレじゃないか。
そう尻をまくってイライラしながらも書き始める。徐々に雑音は遠ざかりつつある。
執筆枚数6枚
2000.2.8
今日で女子社員N(さまよいの記Vol.10に出てきた子ね)が退職する。どんな理由であれ、一緒に仕事をしてきた人がいなくなるというのは寂しく思う。ましてや送別会には僕はどうしてもはずせない用件があり、参加出来ない。申し訳ないなあと思う。その子も残念がっていたけど、ホントすまん。
で、僕が欠席することを聞きつけて他の女子社員が「どうして出席しないのか」と聞いてくる。
これが不思議でならないのである。普段飲み会をしても僕はあまり騒がない(と思う)。同僚や上司と話す方が多いので僕は女子社員とはほとんど話さないのである。しかし今回に限ってなんで僕がいないことをやいのやいの言うのであろうか。
そのNにはメールアドレスを教えてるし、同僚のカノジョだから遊ぶ機会もあるだろうから、そのときに埋め合わせをしよう。
帰宅後、執筆に専念。ここで以前やってしまったミスをまたやっていることに気がつく。僕はいつもワープロで20×20の原稿用紙換算の縦書きという書式で執筆しているのだけど、またもや行数設定を間違えていた。しかも最初からである。130枚ほどだと思っていたのが設定を直したら160枚にもなっていた。あまりのバカさ加減に呆れる。
掲載分を推敲してHPにアップ。ようやく最後の難関を超えた気分。今月もう一回連載を載せたら文芸賞の応募作品に腰を据えて取り組む予定。
2000.2.9
昨日とは別の女子社員に「送別会来ないんですか」とまた聞かれる。なんなんだ? 不思議。
今週末は仕事の方の資格試験(一応国家資格)があり、一日中過去問題集や試験対策資料とにらめっこ。この年で『年取ったなあ』なんていいたかないけど、記憶力は確実に鈍ってきてるなあ。
夕飯はおでん。あつあつのおでんは良い。僕は好き。とくに大根とたまご、はんぺんはいい!
太るなあと思いつつもつい箸が出てしまう。
今日は執筆なし。
2000.2.11
掲示板に書いたのでここで同じコトを書く気はさらさらない。
「さまよい」に何度も書いてきたし、HP上にもアップしてる。
その行為を許さないわけではない。別段そのような不愉快な行為を故意にするわけではないのだから。ただし、一つ人間関係を築くうえでもっとも大事な信頼というものを失ったという事だけは肝に銘じてもらいたいよなあ。
2000.2.12
世は三連休。けど僕は出勤。
昨日ニュースを見たら「今日から三連休ですが」なんて言ってたけど、あれよく考えたらサービス業の人を無視してないかなあ。休みじゃない人、ケッコウいると思うのだけど。などと小言を言う。
週末には資格試験なので一日中参考資料や過去問題集に首っ引き。でも物覚えのひどさが目立つばかり。帰宅後も勉強しようとして爆睡。
2000.2.13
朝7時30分起床。今日は藤沢のちょっと先の辻堂まで資格試験を受けに行く。普段でもこんなに早く起きることないのに眠い事このうえなし。テレビでは石原都知事が外形課税の論陣を張っていたけれど、僕にはどうもわからない。なんだかパフォーマンスだけが目を引くなあ。
家を出て横浜まで出て、そこから東海道線に。そこで一緒に試験を受けるOさんと会う。二人で辻堂へ。改札を出て、時間に余裕があるので歩いて行こうかと話しているとHさんに会い、三人でタクシーに乗る。
試験の結果はどうかは内緒。ただもう笑うしかないとだけ書いておく。
そのまま真っ直ぐ帰宅し、所用をすべて済ませて夜、Kさんに会いに行く。そこで何人か集まったので雑談。
帰宅してから某番組でブルース・リーをやっていたので見る。しかしこの番組どうも最近は作りが粗すぎるのではないだろうか。同じような番組でもう少し早い時間にやっている別の局の番組の方がはるかに丁寧な作り。でもどちらも取り上げる人物がイマイチなんだよな。もっと他に歴史や偏見、差別に埋もれている偉大な人物が多くいると思うのだけれど。
つまらない試験の勉強もひとまず終わり。明日からまた仕事の日々。ながされることなく、一日一日を地道に積み重ねて行こう。
執筆枚数5枚
2000.2.14
世はバレンタインデー。ウチの会社の女子社員は義理人情がないので義理チョコもなし。
二週間ぶりの仕事なので上手くはかどらない。久しぶりに残業をする。もうそろそろ帰ろうかとしたら変更の連絡が入る。阿呆らしくなったのでそこで切り上げ帰る事にした。
帰宅後夕飯を食べたあと母と雑談。
世は平穏の如し。善きかな善きかな。
執筆枚数二枚
2000.2.15
会社に行くと前日の変更が更に拡大していて、昨日の分の仕事がおじゃんになりそうになった。あまりに腹が立ったのでなんとしても変更を最小限度に留めようとリーダーを説得し、担当者に交渉してもらう。結局変更はしなくても問題ないとのことで最小限に食い止めることが出来た。
しかし、技術者だから仕方ないとはいえ、どうしてこうも交渉ベタな人ばかりなのかと呆れてしまう。仕事の基本だぜ。
昼食はラーメンを食しつつ、職場談義。しかし話すたびに呆れるのは皆の幼稚な姿勢。自分もだらしない社会人だけど、職場は中学校じゃない。
今日は残業を少しやって帰宅。
ここ二年ほど風邪を引いてない。元気な証拠、と言いたい所だがそれ以外の日々まとわりつく疲労感と目の痛みは苦しい。しばらく休んでおきたいところなんだけど、なんやかや日程は埋まってしまうのだ。なんとかしのいで行きたいけれど、苦しいなあ。
執筆枚数一枚のみ。
2000.2.16
腰に痛みがある。おかしいなあ、珍しい痛みだと思いつつ仕事をしていると痛みが激しくなってきた。腰の左側が、左足を動かしたりするとズキンっといいようのない痛みが走る。痛くてイライラする。帰りにバイクに乗るとなんと左足をステップに乗せる度に激痛が走る。泣きながら家に帰る。
座って左足を動かすと痛いので車を運転することが出来ない。歩く事もちょっと辛い状態。
仕方がないので早めに寝てしまうことにする。
2000.2.17
幾分痛みが取れたがまだ痛い。腰をひねったとか、無理な態勢を強いられたという記憶もない。しかも痛みはきのうより左にずれている。神経痛かもしれないと言われつつも会社に行く。母に医者に行ったほうがいいと口を酸っぱくしていわれたが、健康保険証を会社に置き忘れていたので明日行くことにする。
帰宅後ソファに座って体をひねったら腰砕けになるほど痛みが走った。ヘルニアでなければいいのだけどなあ。
『月山』を読む。溜息。
2000.2.18
朝九時からやっているから会社に行く前に行けといわれて渋々整形外科に行く。十年以上も前に行ったことのある医者で祖父や祖母のかかりつけであった。愛想のない看護婦に言われるまま診察室に行き、病状を説明。今は大して痛くないと説明すると腰を診断。あれこれ動かされるとズキンと痛みが走り、「あいててて」と唸ってしまう。レントゲンを撮り、それを見ながら診察。
背骨は一応真っ直ぐだけど、骨の角が尖っているらしく、これで炎症を起こしているのだと説明される。
「君幾つ?」
「28ですけど」
「うーん、若い人には珍しく骨が太いけど、老化が早いねえ」
ショック! 平均よりも骨の老化が早いらしく、とても28の骨じゃないといわれてしまった。落ち込んでいると医者は二、三日様子を見ようと言い、デスクワークの人だから職業病みたいなものだと教えてくれた。そしてストレッチと腹筋背筋の強化をしたほうがいい、でないとヘルニアになるぞと脅される。明日長距離車を運転したいのだが、してもいいかと聞くと即答で『だめ』といわれてしまう。痛みが引いてからならいいけど、明日はダメと言われる。やむなし。
湿布と炎症止めの薬を貰い、会社に行く。ホントは会社にも行くなと脅されたけど、そうもいかないのが哀しきサラリーマンである。
会社に行くと元陸上部でヘルニアを患ったというI君よりいろいろ腰痛予防をレクチュアしてもらう。
帰宅後家族に病状を説明。
2000.2.19
僕は祈る。ただひたすらに祈る。
けしてすがっているわけではない。祈りとはそんなやわなものだと勘違いしてはいけない。
祈りとはすなわち誓いであり、決意であることを忘れてはいけない。
昼は自分でスパゲティを茹でて食べる。
午後は久しぶりに縁側で煙草を吸いながらあれこれ考え事。曇り空で、寒かったけれど、気分はすっきりとした。
夕刻より執筆。六枚書く。しかし恥ずかしいほどヘタな文章なんだな、コレが。いつになったら上手く、そして面白いものが書けるのだろう。全然見えない先行きに焦燥しか感じれない。
2000.2.20
朝早く起きると雨が降っていた。予報では雪と聞いていたのでひとまず安心。昼より町内会の集まりへ参加。皆さん元気でなにより。しばし歓談し、帰宅。夜Kさんと会う。
「蔵の財より身の財・身の財より心の財すぐれたり」とは日蓮が弟子である四条金吾という武士にしたためた言葉である。どんなにお金や名誉、健康であろうとも、思いやりや優しさ、正義の心という財産が一番大切であるということを言われている。心が貧乏であれば、その富も名声も、健康も無意味と化してしまう。
僕は名誉もお金も欲しいし、健康な身体も欲しい。それは人間生きてく上で当然欲しいはずだ。そして僕は豊かな心も欲しいのだ。優しい心を持って金、名誉、健康があった時、これほど素晴らしい人生はないと僕は思う。まさしくビューティフルライフ。
そんな僕をがめついと思うかと思う。思いたきゃ思え。笑いたきゃ笑え。
そして気がつけ。そういう自分が一番心が貧困であることを。
2000.2.21
これ以上はないという程の眠気に襲われる。帰宅後爆睡。
2000.2.22
先日、家の電話に無言電話が2回、かかってきた。取ったらスグにがちゃんと切りやがった。どんな人なのかわからにけれど、不愉快極まりない。もしまかり間違って、かけ間違えたのなら『すいません、間違えました』の一言があってもよさそうではないか。
そう思っていたら今日は今日で携帯電話に無言電話。番号表示がなかったので相手が誰かもわからなかった。これまた不愉快。
更に今日は実に手前勝手なメールが来る。不愉快。
どうしてこうも不愉快なことばかり起こるのか。どいつもこいつも勝手しくさりやがって。確かに僕はワガママで自分勝手な男だと認識しているけれど、それに輪をかけて相手を思いやらない奴が多いのはいい加減ウンザリしてしまう。
たまには自分の都合だけで、思い切り、のびのびと生活してみたい。
神経がささくれてばっかりだな、最近は。
2000.2.23
仕事がはかどらないでイライラしっぱなし。今日なんとか終わらせようとしていた部分を終わらせる事が出来ず。残業してもこれかと落ち込む。
夜十時に帰宅。飯を食べてしばらく母と雑談。
2000.2.24
朝から頭フル回転。それでももどかしいほどの進展。残業の時に音楽を聞きながら仕事をするとはかどって気分良し。十時まで残業し、帰宅前に一服してる時に女子社員と雑談。
「浅井さんて体ボロボロですね」と言われる。
まったくその通りだよなあ。腰は爆弾抱え、腎臓、肺は健康診断で引っかかり、目は破裂しそうに痛い。借金だらけだし。いいとこないよなあ。誰か援助交際してくれないかなあ(嘘)。
もう止そう。
ちいさな利欲とちいさな不平と
ちいさなぐちとちいさな怒りと
そういううるさいけちなものは
ああ、きれいにもう止そう
わたくし事のいざこざに
見にくい皺を縦々よせて
この世の地獄に住むのは止そう
こそこそと裏から裏へ
うす汚い企みをやるのは止そう
この世の抜け駆けは止そう
そういう事はともかく忘れて
みんな一緒に大きく生きよう。
見えもかけ値もない裸の心で
らくらくと、のびのびと
あの空を仰いでわれらは生きよう。
泣くも笑うもみんなと一緒に
最低にして最高の道をゆこう。
この詩を読むたびに僕は心癒され、そしてうんうんと唸って立ち上がろうと思うのだ。理想といえば理想だけど、少しでもその理想に近づきたい。
僕は勇気が欲しいし、優しくなりたい。
2000.2.25
仕事は順調に進む。今日は少し早く帰ろうかと思い、気張って仕事をこなす。
帰宅の途中で本屋に寄り、漫画を2冊買う。そのうちの一冊は『ネオデビルマン』という本で、かの永井豪の最高傑作である『デビルマン』を他の漫画家が色んな角度で描いたもの。これがかなりお気に入りで、今回はちと興味をそそられた漫画家がいたので買った。で、どうだったかというと期待した漫画家の作品はつまらなかったけど、他の知らない漫画家の作品の方が実に素晴らしかった。うーんと唸りつつ、三回も読み直した。
帰宅後夕食を食べてから深夜のドライブ。ちょっと頭を整理したくてのドライブなので距離は非常に短い。一時間ほどフラフラしてから戻ってきた。
明日あさっては休み。もうそろそろ文芸賞応募作品に着手するつもり。
2000.2.26
朝目覚ましが鳴る前までヒッジョーに素敵な夢を見ていたのだ。で、目覚ましが鳴って目が覚めてしまった。なんだか勿体ないなあと思い、目覚まし止めて、惰眠を貪った。同じ夢の続きが見れたのは幸運でしたな(^^)
昼飯を食べてから天気もあまり良くなかったので家で本を読む。夕刻母と兄と三人で買い物に行く。帰り道、車で細道を通ったとき、パカーンとデカイ音がするので何事かと思ったら電柱にドアミラーをぶつけ、ミラーがぶらさがってるではないか! 帰宅してからはめなおしたけど、ミラーの裏に小さなハチの巣が出来ていたのにはビックリした。蜂ってあんな場所にも巣を作るのだなあとひたすら感心。
夜出掛けたあと、Kさんという非常にお世話になっている方の家に行く。そこで二時間ほど懇談。
深夜帰宅。
今まで一人で悩んでいたことは、そんなにも単純でかつ明快な答えで解決出来るのだという、今さらながら思う。随分と遠まわりをしてしまったなと恥ずかしく思う。結局は自発能動という恐ろしいほど単純で、しかし恐ろしいほど難しい行動でしか解決出来ない。
この世の真理は全て明快かつ単純であると思っていたくせに、やっぱり理解していなかったのだなと反省する。わかってるけどわかってない。というのは体で理解していないからだろうな。
全ては行動しなければ無意味と化す。理論も結構。思索も結構。けどそれらは行動して初めて意味のあるものになるのだ。
「真の雄弁家とは行動する人」という言葉は至言だな。
2000.2.27
昼過ぎより大型家電販売店のコ○マに行く。店内放送がガンガン響いていて、店員の声も良く聞こえない。ああいうのは神経に障るので、僕はついイライラしてしまう。そのあと近所のスーパーで買い物。帰宅後部屋で一人で考え事。どうして最近イライラするのだろう。多分僕の神経が過敏になっていて、つまらないことでもその神経が反応してしまうのだろう。そして何よりも他人との接触をする事に疲れているのかもしれない。
夜誘われた町内会の集会に出席。さして興味のあるものもなし。退屈。そのあとSさんとKさんとで一杯やる。戦国時代の話、本の話などなど。
帰宅後なにげなしに自分の書いた古い小説を読む。顔から火が出るかと思うほどヘタ。今でもへただけど。
2000.2.29
俺はいつでも素直でいたい。悩みを打ち明けられる人でいたい。働く人でありたい。
せこいプライドや、つまらない自意識に凝り固まっていたくはない。
人がいて、自分がいると思える人でいたい。情熱家になりたい。
つまり、優しい人になりたいのだ。
今日で2月も終わり。明日から三月。いつまでも、冬の清潔さを持っていられる人になりたい。
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