2003 北海道マラソン −地獄を味わう−            T.K

8月31日(日)北海道マラソンに出場した。
フルマラソンとしては、長野マラソン以来。その長野マラソンは、K枝のサポートだった
ので個人的目的で走る(?)フルマラソンとなると、3月の荒川市民マラソン以来5ヶ月
ぶりとなる。涼しい北海道で一足速くシーズンイン!!ソコソコの記録を出して、秋に
弾みをつけられれば!!と思ってエントリーしたのは、ずーっと前の5月。8月末になれ
ば、サロマの疲労からも立ち直り足もそれなりに仕上がって、気象条件次第では、スン
ナリ自己ベスト更新も…なんて考えていた。

しかしながら、実際は6月のサロマ湖100km,7月の富士北麓24hリレーで疲労が蓄積
し、膝の裏側から腰にかけて痛みが発生。7月の走行距離は僅か125km。8月に入っ
ても痛みの再発を恐れるあまり距離を伸ばすことができず。結局本番までに走った一度
での最高距離は、20kmどまり。走りこみ不足が影響してか体重もベストより2kgオーバー
ということで、とてもタイムを狙うなんて… という状態だったが、東京国際女子マラソン
(記念市民マラソン)の出場資格(3時間15分以内)は取っておきたいなぁーなんて欲も
微妙に有り(長谷川理恵さんに着いて行ってTVに映る?)、また体調的にもどこかが痛い
とか、だるいといったような症状は無くなっていたので、果たしてどうしたもんかなー? 
記録を意識しようか? トレーニングと割りきって距離を踏むことに重点を置くか? 
迷ったままスタートラインに着く事になってしまった。そしてこれが思わぬ結果を・・・

今回は、土曜日入りの日曜日帰りという最短スケジュールで遠征する事になった。飛行
機は、R555さんのバースデー割引に便乗。ホテルは旅の窓口で格安ホテル(札幌オリ
エンタルホテル:ツイン7500円)をキープ。9月に田沢湖遠征も控えているのでできるだ
け安く抑えることにした。 

大会前日は、新千歳空港到着後、電車で札幌入り。昼は富良野和牛のステーキ。夜は
魚介類。日中は大通り公園,時計台,テレビ搭など市内をちょっとだけ観光。涼しい北海
道という期待を持って現地入りしたのだが、予想に反して陽射しが強く、大会へ向けてちょ
っと不安がよぎったが、日陰に入れば涼しかったので、まあ大丈夫。何とかなると楽観して
いたのだが…

大会当日は、スタート時刻0:10に合わせて、9:30にホテルをチェックアウト。地下鉄南北
線に乗って、真駒内へ移動。駅から歩いて真駒内競技場へ移動した。会場に着いて、
まず気づいたのは、制限時間が4時間と厳しい事もあってか、みんなすごーく速そうに見え
る事だった。さらに競技者だけしか入れない場所が結構きびしく区分けされていたりして、
これまでに出場してきた大会とはちょっと違った緊張感を感じた。競技場の中へは、スター
トの20分くらい前に移動。ゼッケンごとに分かれたブロックに誘導され、スタートの瞬間を
待った。

さぁーどうしよう? キロ5分程度のペースでスタートして、出きるだけイーブンペースでレ
ースを進めるよう努めるか? それとも、3時間15分切りを目指して、キロ4分30秒〜40秒
程度のペースで行けるところまで行き、運が良ければ3時間15分以内で完走という夢を
見るか? そして結局明確な結論を出せずに、スタートを切る事になってしまった。
TV中継があるせいか、上空にはヘリコプターが舞い、花火が打ち上げられるという華やか
雰囲気の中、スタートは切られた。今回は陸連登録の部でエントリーしたこともあり、スタ
ート位置が前のほうだったので自分としては、少し速めの流れにのって走ることになった。

久し振りのフルマラソン。しかもペース走などを行っていなかったので、今のペースがどの
程度なのか全く分からない手探り状態での立ちあがりだった。公道に出て少し走ると長谷
川理恵さんが率いる?集団に遭遇。彼女は3時間15分を切る事を目指していると言う。
ならば、キロ4分30秒くらいで走っているんじゃないか?と勝手に予測、しばらくはこの集団
に引っ張ってもらおうと思っていたのだが、大集団で、後ろから前へ行こうとする人、下がっ
て来る人。右へ移動する人、左へ移動する人。様々で非常に走りづらかった。
そこで、集団の前にぽっかりと空いたスペースへ移動してのびのび?走ることにした。

沿道からの声援は『理恵ちゃーん!ガンバレ!!』とか『人が多くて見えなかった〜』なんて
感じ。ひょっとして僕らは邪魔者??? そんな気分になってきたので、ちょっとだけペース
を上げてさらに前方へ移動。足の方は多少重いような気もしていたが、それ程速い!という
気はしなかったので、今のリズムで行けるところまでいってみることにした。

5kmを過ぎ10km地点へ向い始めると、コースは札幌の中心部に差しかかる。コース両脇
には、人垣ができていて、大きな声援が飛びかっていた。このあたりでは、まだ暑さも気に
ならず体調も悪くなかったので、このまま行けちゃうのか?なんて思っていたのだが、フル
マラソンは、そんなに甘くは無かった。

10kmを過ぎると、第1折り返し地点に向って、札幌中心部から、どんどん遠ざかって行く。
それでも声援は絶え間無く続く。暑さを感じ始めたのは、15kmあたりからだったかな?
それまで守っていたペースが少しきつく感じ始めた。それからこのあたりでおやっ?と思っ
たのは、10km付近では、まるで自分に投げかけられていたかのような、『理恵ちゃん』
という声援が、次第に遅れ始め、15km付近では、いつのまにか聞こえなくなっていた。
自分のペースは、4分30秒〜40秒。後半多少ペースダウンする事を考えると、3時間15分
を切るにはギリギリくらいのペース。これより遅れているとなると目標達成は厳しいんじゃない?
と考えたりもしていたが、人の事を気にする余裕はこれ以降、無くなっていく。

20km地点を1時間31分で通過した直後、突然、身体が重くなってきた。何となーく、頭が
ボ−ッとし始め、身体全体が重苦しく、呼吸も息苦しくなった。歩きたい!止まりたい!とい
う衝動に何度も襲われた。軽い脱水症状(熱中症気味)になり、運動能力が一気に落ちて
きた気がした。『リタイヤ』という選択肢も頭の中に現れたが、収容車が登場するには、まだ
かなり時間が掛かりそう。自力でゴールへ帰るにもお金は無いし、何しろ場所的に、ゴール
地点から最も離れている。いけるところまで行って、いよいよ危なくなったらその時は拾って
もらおう。そう考えてゆっくりと走りつづける事にした。ここから先は、ランナーからジョガーへ
と変身。ウルトラマラソンを走っているようなペースに切り替え、完走を唯一の目標に切り替
えた。

第1折り返し地点を折り返し、暫らく走っていたら、中央分離帯付近に止まっているバイクを
発見した。その横には、グッタリとした長谷川理恵さんの姿が… 熱中症で止まってしまった
ようだ。彼女の泣くような声がかすかに聞こえた。このレースに賭けている彼女の思いは
雑誌やTVで目にしていただけに、ちょっとショッキングなシーンだった。また、目標を諦め
ざるを得ないこの状況が電波に乗って全国に知れ渡ってしまうという事が何か凄く可哀想に
思えた。(私なら、舌を出してハイッ次!次!で済ませる事が出きるのに・・・)
今回の熱中症による肉体的なダメージよりも、精神的なダメージのほうが心配。長谷川理恵
の隠れファンの私としては、ランナーとして早く復帰してくれることを祈ります。

がっ、いつまでも他人の事を心配していられるような余裕は残ってはいなかった。自分だって
いつ止まってしまうか分からない状況だった。制限時間と現在の時間、距離から最悪のペー
スを計算し、どこまでペースを落せるかだけを考えて走りつづけた。声援が多かったのは、
分かっていた。それは嬉しかったし、出来ればそれに応えながら走りたかった。でも、それに
応える余裕すらなく、他に何を考えて走っていたかも良く覚えていない。とにかくしんどかった。
ゴールが果てしなく遠くに感じた。フルマラソンで、こんなにシンドイ思いをしたのは、いつ以
来だろう?普段なら30km〜35kmを過ぎた辺りで訪れる疲労が中間地点で早くもやってきて
しまったのだ。ペースが遅いからエイドからエイドの間が長く感じ、給水がもたない。そう思って
水分を取りすぎると、お腹が重くなる。水を被っても、被っても暑さが抜けない。

やっとの思いでゴールに辿りついた時、時計は3時間50分を超えていた。前半の平均ペース
がキロ4分33秒。後半は一気に大崩して、キロ6分15秒まで落ちてしまった。何とか完走でき
たのが精神的な救い??? だが、胸を張って完走と言えるような内容では無かった。自己ベスト
更新なんて夢をみてしまった自分が非常に恥ずかしい…
(『サブスリー』という言葉は、しばらく封印かな。)

今回のフルマラソン、気象条件が厳しかったのは事実。ホノルルも暑い場所で行われるが、
スタート時刻が早朝5時なので、陽射しが強くなる前にゴールできる。それに比べて、北海
道マラソンはお昼スタートということで、最初から陽射しが強い。そして暑かった。言い訳をす
るならこの点だろうが、でもそれだけが原因でない事は自分が一番良く分かっている。

凡走の原因はやはり練習不足。これに尽きる。そのうえ下手に記録を気にしたもんだから余
計に拙かった。ハーフマラソンや10kmなら、多少の練習不足でも何とか、うまくまとめてゴー
ル出来そうだが、フルマラソンではごまかしが効かない。それを再認識できたことが唯一の収
穫といったところか? 次のレース(フルマラソン)は9月の田沢湖。それまでにはしっかりと
練習を積んで、もう1度自分の実力を見つめなおし、しっかりと走りきりたいと思う。

なーんか、今回のレース同様、尻すぼみのレポートになってしまいましたが、次回はもう少
しまともに走って、まともなレポートに仕上げたいと思いますのでお許しを…
それにしてもデビュー戦に弱いな!! (今回は、陸連登録デビュー)


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