北海道マラソン                       T.K

2004年マラソンシーズンのスタートは、北海道マラソンになった。
昨年は、富士北麓で抱えた故障が長引き、8月中旬までまともに走れず、また冷夏
だったにも関わらず、北海道は暑く、さらにろくに走りこんでいないのに変な気を起
こしてしまった為にオーバーペースとなり、ボロボロになってしまった北海道マラソン
だったが、今年は富士北麓のダメージも少なく、猛暑でありながら平均10km/日
程度の走りこみは行えた。とは言え連日30℃を越すほどの暑さだったので、一度に
走りこめる距離は22〜23km(時間にして2時間)が限度だったので、不安はあった。
不安はあったが、去年に比べれば…という点で、何とかなるかなぁ程度の自信は
持っていた。今年は、ここで記録を出す必要性がないので、あくまでも12月のメイン
レース(ホノルルマラソン)へ向けての脚作りだと言う事を心に刻み、リラックスして、
スタートラインに立った。

※前年は東京国際女子記念市民マラソンのフルマラソン出場資格である3時間15分以内を微妙に
意識してしまい、前半4分30秒/kmペースで突っ込み、20km過ぎで撃沈。結局3時間50分掛かり、
やっとの事で完走。ここ数年でもっとも辛いフルマラソンとなり、フルマラソンの厳しさを痛感。ちなみに
東京国際女子記念市民マラソンはハーフの持ちタイムで出場できた。


今回の遠征は1泊2日の最短スケジュールで、土曜日に札幌入り、日曜日レース
終了後、帰ると言うパターン。飛行機は、ノースウエスト航空のマイレージで日本
航空の便を予約したので無料。宿は1泊ツインルーム9000円程度のビジネスホテ
ルを抑えた。前日の行動は、7時30分発の便で新千歳入り。電車に乗り換えて、
札幌駅を経由して、エントリー会場となっている札幌パークホテルで受付を済ませ
むらっちさん、R555さん、いっちさんと合流。その後、福住駅まで地下鉄で移動して
バスに乗り羊ヶ丘展望台へ行ってジンギスカンと海鮮陶板焼きを食べた。
さらに、札幌ドームへ移動して、日ハムvsオリックスを観戦。再び札幌に戻ってホテル
にチェックインして18時30分から宴会という流れ。。。
マラソン前日の行動パターンとしてはちょっと疑問が残るような気もするが、貧乏性?
の私はどうしても、遠征するとじっとしていられず動き回ってしまう。レースよりもそっち
の方がメインだったりして???

大会当日は7時過ぎにホテルの朝食(バイキング)を食べ、ゆっくりと準備を済ませて
9時40分くらいにホテルを出発。地下鉄に乗って真駒内競技場へ移動。レース開始は
12時10分。トイレに入ったり、着替えたり、荷物を預けたりしていたら、緊張感が高まる
暇も無く、スタート時刻が迫っていた。
11時40分最終コールを済ませて競技場内に足を踏み入れ、ゼッケン番号順に整列。
この日はじっとしていると寒いくらいだった(気温17℃)。
そしてスタート。。。

この日のポイントは、イーブンペースで走りきる事。逆に言えばイーブンペースで走り
切れるようなペースで走ることだった。最悪5分30秒/kmでも、完走(4時間以内)は、
クリアできる。気温が高ければ、それでも良いと割りきっていたが、これだけの気象条件
(走るには絶好?)だったら5分/kmくらいでいけるかなぁということで、まずは無理しな
いという条件で目標ペースを5分/kmに設定した。

※走りこみ段階でのペースの設定・・・効果的な走りこみのペースとしては、30km以上の距離をイーブン
で走り切れるようなペースが良いとか、勝負レースでの目標ペースの85%くらいが効果的というのをどっか
で聞いたので実践してみることにした。 私の場合、12月のホノルルマラソンが目標レースで目標タイム
は3時間5分〜10分くらい。 3時間5分だと4分23秒/kmペースで3時間10分だと4分30秒/kmペース
なのでこれらの85%というと、5分9秒/km〜5分17秒/kmとなる。あとはこれにホノルルと北海道の気温
補正を加えて、25℃を上回るようなら+10秒程度、逆に20℃を下回るようなら−10秒程度と言う事にして
みた。今回の場合はスタート時の気温が17℃くらいだったので後者を選択。5分00秒/km〜5分10秒/km
が2004北海道マラソンのペース設定となった。


スタート直後は、かなり抜かされた。陸連の部でエントリーしていたので、スタート位置が
前だった為、一般の部の速いランナー達にガンガン抜かされた。邪魔にならないよう、
コースの端を走っていたのだが、強引な追い越しをかけていくランナーに何度か接触され
たくらいだから、かなり邪魔だったのかも… それでも気にせず、5分/kmを心掛けてそれ
以上速くなら無いよう気をつけて走った。 前年は、暑かったにも関わらず、調子に乗って
走っていたため、周りの景色がよくみえていなかったが、ペースを抑えて走っていると見え
てくる景色が結構ある。『こんなところに自衛隊の宿営所があるんだ』とか、『こんなところに
川が流れているんだ』などコース図を思い浮かべながら走る事が出来た。それに応援して
いる人の顔をじっくり眺めながら走るのも良いもので、みんな笑顔で(半笑い状態で)、
ニコヤカに声を掛けてくれており、それを観ているとこっちも楽しい気分になってくる。

最初の5kmは24分47秒で1346位。ゼッケンが591番だからかなり抜かれた事になる。スネ
のあたりに軽い張りを感じたが、まあ大丈夫。。。  5km-10kmは札幌市内の街中を走る。
大きな通りを占有して走るのは凄く気分が良い。ラップは24分37秒で1712位。ペースは、
若干上がっているのにまだまだ抜かれる。普段は車の通りが激しいススキノの大通りを横切
った時はちょっと優越感?  10km-15kmは、札幌の街中から郊外へ移動するが、それ
でも声援は多い。信号に表示されている地名が北xx条のxxの数字が大きくなるにつれて、
札幌駅から離れて行く事を実感した。ラップは24分20秒、1742位。自分の走行ペースは
変わらないが、抜かれるペースは鈍ってきた。ここまでは非常にラクちんでジョギング感覚で
走っていたのだが、15kmを過ぎたあたりから、道路の傾斜が微妙に気になったり、足に張り
を感じ始めたりして、何か違和感のようなものを感じ始めるようになった。あとで気づいたこと
だが、このコースはスタート地点から緩やかに下っており、15km-20kmで下りきっている。
高低差は70m程度。非常に緩やかなので走っていると下り傾斜に気づかないのだが、身体
の方は気づいていたのかもしれない。終わってみると、”20km地点で足が止まった”という
話しは良く聞くし、私も去年はそうだった。

今年はペースを抑えていたので、足が止まる程ひどくはなかったが、それでも楽ちんでは
無くなった。  15km-20kmは24分11秒で1683位。ペースが少し速くなってきたのも原
因か・・・ 23km付近でおり返すと今度は風が気になりだした。向かい風になったのだ。
かなり強い。人の壁を探そうと思うのだが、このあたりにくると自分のペースは変わっていな
いのに周りのペースが落ち始め、なかなか同じようなペースのランナーが見つけられない。
仕方ないので単独で走るがやはり風が気になる。そんな状態が続いていたら自然とあごを
引くような姿勢になっていた。あごを引いて、背筋を伸ばして走っていたら、足の運びがスム
ーズになってきた。何がどう変わったのか、詳しい事は分からないがあごを引いて、視線を
少し落とし気味にして、背中が丸まらないよう気をつけて走っていたら、凄く感じ良く走れる
ようになってきたのだ。  20km-25kmは24分47秒で1621位。ペースはさほど変わって
いないが、凄く順調。。。

『何か良い感じ?このまま行けちゃうのかな』なんて考えていたら、女性何人かのグループ
がニッコリ笑って『金子さん頑張って-』と声援を贈ってくれた。大会パンフレットを見てゼッ
ケンから名前を割だし、瞬時に名前で声援を贈るという素晴らしい連携プレーに感動。
いつもより大きな声で、『有難うー!』と手を振って応えた。マラソンでもしてなかったら、
見ず知らずの女性に応援してもらえることなんて無かったろうなぁ・・・なんて思ったりして。
25km-30kmは24分32秒、1448位。ペースのほうは身体がしっかりと記憶したようで、
5分/km弱のペースをがっちりキープ。30kmを過ぎると、札幌駅前のビル群が徐々に迫っ
てきた。北xx条のxxの数字もどんどん小さくなっていく。レース後のダメージを考え30kmを
過ぎた給水所でひと袋目のアミノプロを飲んだ。さらにその次の給水所でふた袋目のアミノ
プロを畳み込むように飲んでおいた。30kmを超えたら少々、きつくなるかな?と思っていた
のだが、そうでもない。淡々と距離を稼いでいけた。  30km-35kmは24分55秒、1290位。
前半は抜かれてばっかりだったのに、この辺に来ると抜いて行く事が多くなり、自分のペー
スが上がっているような錯覚さえ起きた。35km地点は目の前に時計台が見える場所で、
ゴールの中島公園はすぐそこなのに、一度逸れて往復してこなければならない。去年は
これが精神的に辛くて辛くて、堪らなかったが、35km地点を迎えても、まだ余裕があった。
『ペースアップしてみようかな?』と考えられるほど。。。

35km-40kmは24分24秒で、1083位。失速しているランナーを抜いて行くのが快感になり
始めた。(相当嫌な性格?) ラスト2kmは大きな通りに戻り、大声援を受けながら中島公園
に向う。ススキノを横切ると、中島公園の緑が迫ってくる。イーブンペースで最後まで・・・と
思っていたのだが、気分が良かったのでちょっとだけペースアップを試みた。
がっ、40km以上同じペースで走っていると、そのリズムが染みついてしまってペースを変化
させるとフォームが崩れたような感じになり、あまり気持良く無かったので元のリズムに戻した。
去年は歩きたくなるほど長く感じた公園内のコースも今年は短く感じ、あっという間にゴール
ゲートが迫ってきた。時計は3時間26分51,52,53… 27分が切れるかなと思ったがちょっと
足りず、ゴールタイムは3時間27分08秒で1003位だった。

当初の目標 ”最後までイーブンペースで走りきる” と言う事が出来たのは12月へ向けた脚
作りの一環として、とても良いトレーニングになったと思うし、この時期に5分/kmペースという
そこそこの水準で走り、尚且つそれなりの余裕を残せたというのは、自信にも繋がった。
8月の暑い時期、地道に距離を稼いでいた事が無駄じゃなくて良かった。ゴールタイムの3時間
27分は前年9月下旬に走った田沢湖マラソンと同程度だから、現段階で昨年の9月末くらいの
脚は、出来ているように思える。昨年は目標レースが11月中旬だったので、田沢湖マラソン
以降、急いでペースを上げて行ったが、今年は目標レースが12月中旬。さらに現段階で前年
9月末の脚の状態になっているとしたら、これから2ヶ月間は焦らずにじっくりと走りこめる。9月,
10月の2ヶ月間、じわじわと距離を伸ばして、涼しさとともに自然にペースが上がってくるように
なれば、12月に大きな収穫が見込めるかも???  何はともあれ、2004年のマラソンシーズン
は、とても幸先の良いスタートが切れた。


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