すばらしき11人の戦士達へ
     − 2004富士北麓24時間リレーマラソン −

                   
−サムズ・アップリベンジチーム 晴れ男−

帰りの車内で、今野君から「鶴見さん」という呼び方を聞いて、そういや彼はもう25歳
の青年ではなかったなぁと、失礼な話しだが、時の流れを再認識させられました。
レース途中、自分の走りにも、チーム状況にもさぞかし不安が募ったことでしょう。それ
でも、最後まで明るさを失わない、最高のリーダーを演じてくれましたね。
鶴見君の呼びかけに始まり、鶴見君で締めくくった大会でしたね。

いつもながら、これだけの個性派集団を取りまとめるという偉業を涼しい顔してこなして
しまう金子さんには本当に頭が上がりません。
チームメイトとなるのは初出場の時以来でしたね。走る前に「今回は同じチームですね」
と話し掛けた時の金子さんの表情に「リベンジはしたいけど、あんたとだけは同じチーム
になりたく無かったよ。」という台詞が張り付いていたことが印象的です。
また、いつも冷静な金子さんが、あんなに弱気になったり、また、圧倒されるような熱い
走りを見せたりする姿は、長い付合いですが、はじめて見ました。
もちろん、悪い気はしませんでしたよ。

いわゆる「今どき」の若者が失ってしまったものをしっかりと身にまとっている大場君。
華麗でスマートさが漂うランニングフォームとは対照的な、高いプライドと意地と負けん
気で覆われた男くさい表情に個人的な好感を覚えています。
若いうちは、どんどん尖がってほしいです。男が男らしくて何が悪い。でしょう?
そんな、いつもスマートで強気な大場君が、フォームを崩して、顔も思いっきりゆがめて
走った最後の一週。例によって、手荒な声援をぶつけながら、独り言を囁いていました。
「やるじゃねぇか...。」

元々おとなしい性格なのか、レース前もレース中も決して自分を主張しようと前へ出てく
ることがなかった守屋君。正直なところ、こんなに線が細くて、リベンジチームで最後ま
で走りきれるのかと、レース前は心配でした。
なぁ〜んだ、なんだ、結果を見れば心配が余計なお世話だったわけです。平均ラップはし
っかり6分半を切っていやがる。そう言えば、レース中の夜のシフトに入る前のラスト1
本という時に「おい、休憩前なんだから、力を残さず次の1本で力出してこいよ」とけし
かけても「いや、良い感じなので、イーブンペースを崩しません」とはっきり言ってたっ
けね。ここにも一人戦士がいたかって、再認識させられました。

酒が入ると大きなことを言うけど、普段はいつも泣きそうな瞳が印象的なバイク
ヤローの堀江君。走る前は、まさか、僕が一番疲れがたまってきて、弱音を吐きそうに
なっている時に、この男に励まされるとは夢にも思いませんでした。
腹の調子が悪いと、どうもがいても切れのある走りができないといことは、これまでの経
験で僕もいやというほど知っているつもりです。今回は、堀江君がその被害者になってい
たようでしたが、確かにレース途中、弱気な言葉も耳にしました。
しかし、そんなことをチャラにして、たっぷりおつりが来るような走りをレース終盤見せ
てくれましたね。

一番苦しい時間帯、しかも、容赦無い強い日差しの中、坂を下ってきて、応援席の前を通
過した時の堀江君は、お世辞にも速くは無かったです。
しかし、その光景を見ていた人なら誰でも、全てのランナーの中で一番真っ赤な顔をして、
一呼吸毎に喘ぎ声を上げながら走っている姿を目にしたはずです。
僕が目にした、24時間の全ランナーの中で、一番苦しい思いをしたのは、この男なんじ
ゃないかと、その時ふと思い熱くなりました。

一体、いつからこいつはこんなにいい男になったんだい、と言いたくなるくらい、前回一
緒に走ったときとは別人になっていた一見君。走る前に楽しみにしていた「野次」は、結
局一度も使わずじまい。思わずでた独り言は、やはり「やるじゃねぇか...。」
今回は、声援を投げかける回数よりも、声援を投げてもらった回数のほうが明らかに上回
ってました。今じゃ、すっかり、頼りにしてます。
頼もしい戦士の一人です。

紅一点。筋力を要するあのコースで、女性というハンディを笑顔と根性で乗りきる不思議
なランナーのキャップ。
う〜ん...そうねぇ、色々逸話は尽きないけど、とりあえずこの言葉を贈ります。
おめでとう。よかったね。

長い付合いの方はご存知のように、僕は一年の中で、24時間駅伝に精神的なピークを調
整する数少ないランナーですが、もし、同じようにこの大会にピークを持って来ようとす
るランナーがサムズ・アップにいるかと聞かれれば、僕は迷うことなく半沢さんの名前を
挙げます。ここ数年、ずっと同じチームで走らせて頂き、ずうずうしくも、僕にとっての精神的
支柱とさせて頂いています。安定感があり、粘り強く、最後まで決して弱音を吐かずに明るく
振舞う。見習う点だらけです。今回も、その持ち味を遺憾無く発揮してくれてました。来年も、
同じ時期に同じ場所で一緒に走りたいですね。

確かに走力はあるんだろうけど、いかんせん線が細過ぎるのでは...。というのが、今大会
までの樋口君の印象でした。が、相変わらず人を見る目が養われていない、と情けなささえ
感じさせてくれる力強い走りを最後まで見せてくれましたね。最後に見せた、5分台の連発
には強い意思と言うより、意地すら感じさせられました。なぁ〜んだ、こいつもやっぱり戦士
だったのか。大場君のような派手さは無くとも、必ず期待どおりのタイムを出してくれた、
速くて、しかも安定感と責任感の溢れる走りは、きっとチームのみんなが認めているはずです。

実は人一倍負けん気が強くて、決して弱音など吐かない花岡君。
そんな持ち味が最後の最後にすばらしい形で現れましたね。
残り一時間を切った11時過ぎ。スクランブルも最終局面を迎え、現時点で比較的タイム
が落ちていない5人を選抜して勝負にでるというチームの決定が下された時。
この時間帯は、誰でも気持ちは最後の走りに気合が入ってきても、本音は、できれば走り
たくはないと言うほど、身体がボロボロなのです。それでも、花岡君は「中島さん頑張っ
てください。僕ですか、そりゃぁ、走らせてくれると言うのなら走りたいですが...。」深
底悔しそうに言っていたのを今でも鮮明に覚えています。
「絶対に、こいつが納得するような走りをしてやる。」9時過ぎから6分を切れなくなり、
足が言う事を聞いてくれない状況の中、最後の一本で意地の走りができたのは、この花岡
君の熱い一言のおかげだったと思っています。

本当なら他のメンバー同様にもっと周回数を重ねたかったんだろうね。しかし、そんな中
朝方の一番疲れが出る時間帯から、ずっと記録係を買って出てくれた曙君。
本当に助かりました。紛れもなく、チームに貢献していましたよ。
それに、個人的には、襷渡しを終えて戻った時に、「中島さん、5分○○秒です!」と嬉し
そうに曙君が叫んでくれる顔を見たいこともあって、最後まで頑張れた気がしています。
来年もリベンジチームの一員として戻って来たいんだろう?
それには、心身共に、一段と鍛え上げないとな。若いうちは可能性が無限です。
まさか、平均ラップ7分台でリベンジチームには入れるとは思っていないでしょうし。
期待してます。

僕は確かに地声は大きいかもしれませんが、誰に対しても、同じような声援を送れるというわけ
ではありません。僕が疲れている中も、思わず声を張り上げてしまうのは、そういう11人の戦士達
と戦うことができたからなのだと思っています。


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