2002127

寒い寒い大雨の第一回新宿シティマラソンを走る

−有森さんの生き生きとした行動力、掛け声がとても印象的だった−

26日西方から低気圧が急速に近づいているらしい。朝の新聞お天気欄を見ると、土曜日に何とか晴れマーク、日曜日は雲と傘のマーク、危ない危ない。けれど天気は予想であって、結果は何とか何時もしのいでいる。(第三回の埼玉マラソンや数年前の青梅マラソンなど風雪の大会もあってけれども)夜遅く、雪が霙に変わりそして雨になった。朝も降り続いている。都心のマラソンでしかも第一回の大会というので何となく心待ちにしていて早くから起き出した。「寒いし、雨も強いから独りで行っていらっしゃい。」という妻の言葉にも納得して新しい大江戸線の駅を出ると国立競技場だった。ランナー達が大勢9時の受付終了間際、1階2階の通路や観覧席の至る所を使い放題、ごった返している。私は、正面の記者席の上段に場所取りした。ここならどんなに雨が強くても濡れる心配がない。特別に約束した者も今日はいないので一人のんびりスタートまでレースの準備をする。胸にゼッケンをつける。ナンバー5080雨は上がっていた。周囲の人達も天気が気になるらしくウエアをどうしようかしらとしきりに意見を出し合っていて、つい口を挟んでしまった。「草々に天気は回復するらしいですよ、もうこのまま上がるんじゃあないですかねえ。私は結構晴れ男なんですよ」スタート15分程前、競技上脇のスタート地点に行く。そのうちに雨は再び降り始めた。プラカードがあって、1時間10分の選手達が集まっている場所に時分の居場所を決めた。雨はいよいよ強い。しばらく樹木の下に避難する。ボランティアの人達が声を嗄らして早くスタート地点に集まってください、スタートラインに着いてくださいと叫んでいる。雨はますます強く、私もしぶしぶスタートラインにつく。走り始める。ほとんどが1時間10分位の早いランナー達ばかりなのだろうか、飛び出しが早かった。これから徐々に遅れてゆくことになるだろうと自己確認する。しかし、気分は爽快、5kmのタイムが楽しみで少々無理をする。絵画館の方へ回り込み広い銀杏並木の美しい道路に出る。ここは何処だろうな?と思って振り返ると絵画館がどっしり構えていた。この並木道(おおよそ400m位?)は明治通りにぶつかっていて、その交差点の前で折り返す。早い競技者達がやってくる。始めはほんのまばらに、そのうちに集団となってやってくる。雨が強いのに構わずみんな力強く走っている。私は、少しづつ目立たないほどに遅れている。時々後方からやってきて追い抜いてゆくランナー達。競技場に入る。(とは予想もしなかったけれど)トラックを半周して再び外へ、今度は急に左折して急な坂を登る。良く分からないなと呟きつつ登ると競技場の2階の外周通路だった。時計廻りに一周する。雨がかからなくてうれしい、少し暗いのだけれど。時々小声で「ファイト、ファイト」と息を吐きつつ声に出す。一周して外へ出て、しばらくすると5km(給水所の手前だった)結果は2040秒、非情なタイム。「なんてこった!」少し失望し、落胆する。でもこのままイーブンペースで行けば良いのだからと、気持を取り直す。給水は黄色のエネルゲンだった。私はこのエネルゲンの少し酸っぱい所が気に入っている。しかし、今日は乱暴に手にしたので白いウエアーにかかってしまった。失敗。今日はライトブルーのパンツに白い長袖、黒い手袋、白い帽子といういでたちなのだった。絵画館前の直線道路を折り返して、ランナー達と向かい合う。雨は止む気配もない。晴れ男の栄誉はとっくに放棄した。スタンドで会話したランナー達にお詫びの気持で「ファイト、ファイト」と小声を出す。少しづつ足が重くなっているが、仕方ない。久し振りのレースだったし、昨日は15km少々走ったのだった。(少し走りすぎたと反省)再び競技場に戻る。正面スタンドから見て左手に大きなスクリーンがあって、場内を走るランナーの姿を映し出していた。何処を走っている時に映るのかわからなかった。映し出されたランナー達は皆一生懸命に走っていた。第三コーナーを曲がったところにBと表示してある。あと三回廻るのだった。早いランナー達に相変わらず少しづつ抜かれているのだったけれど、自分はまだ気持ち良く走っているので気力が損なわれることはない。競技場を出て、2階へ上るところで先行のランナー達とすれ違う。そこで、あまりに突然に出会ってしまった。一瞬のことだったのが、思い出しても悔しい。「みんな頑張って!ファイト!ファイト!頑張って!」と明瞭に響き渡る女性の声、黒いウエアーでまとめた華のある女性が下ってくる。有森さんだった。顔を上げた時にはもう通り過ぎていた。2階通路を周回して私も坂を下る。後方にはまだまだ沢山の人達が走っている。今私は400番くらいだろうか。絵画館前の道路を折り返してくると10km、時間については期待していない。4330秒位だった。ここまで来ると大きなドーナツが完成したようだった。早い人も遅い人も一つの環になって走っている。この中で私はすっかり安住してしまった。小声で「ファイト」と声を出して見てみたものの、時々後ろから追い抜かれている。再び競技場、Aの札を見て、周回する。雨は降り続いている。手袋も濡れてしまっている。手の甲が冷たくしびれているようだ。残念なことに給水所手前で先頭のランナー達に抜かれてしまった。給水を取りやがて15km1時間650秒位だったろうか。十分すぎるほどの時間が過ぎていた。ランナー達の大きな輪の中で、自分が何処にいるのか分からず、走っている。早いランナー達はその中を縫うようにして走っている。競技場に戻って@の札を見る。ゴールするもの、あと一周廻るもの、あと二周廻るもの、それぞれが入り混じって走っている。懸命な姿の人もいれば、連れでのんびり走っているカップルも、結構な高齢者と見受けられるランナーもいて私も「もう少しだ頑張ろう」と元気付けられる。さっきから白髪のランナーの後を走っていて、抜かれまいと頑張っていた。ピッチが恐ろしく早い人で、私もそれに合せると、なるほど速くなった。しかし、苦しい。結局着いてゆくことが出来ずに、見失ってしまった。最後の周回と思って頑張る。冷たい手を長袖のシャツの中に入れる。大都会の真ん中のレース、降る雨のお陰で、なんとなく空気もおいしく感じる・・・様な気がして、ハッハッ、スースー、ハッハッ(吐いている)スースー(吸っている)そして、時々小声で自分に「ファイト」と声を出している。20kmを過ぎる、何処かで有森さんの声を聞いたような気がしたけれど。あと1kmの表示がある。時間は1時間27分丁度くらいだった。「あー、30分を過ぎてしまう!」ちょっと辛かったけれど、この雨の中のレース、体は冷えているし、少し大きめの靴が濡れてしまってグチャグチャと音を立てる位、良く走りました。競技場に戻ってきた。ゴールのことを考える。後400m、きれいに走ろうとストライドを伸ばし、足を高く上げ、腕を大きく振る。最後に少しジャンプして「やったあー」と叫んでゴールした。ボランティアの人々の拍手、数台のカメラのフラッシュ(素敵な写真が撮れただろうか)時間は1時間3132秒だった。スタンドに戻って、暖かいウエアーに身を包んでぬくぬくとしている内に、雨が小ぶりに、そして空が明るくなり、帰り支度が整う頃には放が陽光が差し込むようになってきて、とうとう西の空は青々と輝いていたのでした。とんだ「晴れ男」の効用を発揮した一日でした。

130日記

・・・・・・・・来週は、何と二周連続のハーフマラソン、どうなりますやら。