2001湘南ビーチマラソン
                                 
金子尊博

2001年6月3日(日)晴れ

昨年に続き2年連続、さらに先週の山中湖に続き2週連続での出場となった湘南
ビーチマラソン。この大会は比較的家から近い事もあり、個人的には気に入って
いる。場所が海ということで開放感があるし、走っている時の潮風も気持ち良い。
大会の雰囲気も他の大会とはちょっと異なり、お祭り雰囲気が漂う。
しかし、コースは砂浜。ロードに比べたら、走りづらいのは間違いない。昨年は
比較的走りやすいコース状況だったようだが、今年はどうだろうか?

この大会にはサムズ・アップから10kmの部に男性4名,女性4名、5kmの部に男性
1名の計9名で参加した。私は10kmの部に出場。天候は晴れ。日陰に入ると涼しくて
心地良いが日向は少し暑く感じる。コースは昨年同様、二宮の五ツ浦漁場を
スタートして小田原方面へ1キロ行き折り返し。再びスタート前を通過して4キロ大磯
方面へ行き、大磯ロングビーチビーチを越えたあたりで2度目の折り返しとなる。
コース取り(波打ち際を行くか、陸地を行くか)は選手各自が選択する。

午前10時、10kmの部のスタートが切られた。スタートしてしばらくは砂利の上を走る。
割りと大き目の石がゴロゴロしていて、バランスを崩しやすい。その後コースは波打ち
際へと移動する。ここで去年との違いに気づいた。昨年は波打ち際の平らな部分が
広く選手の殆どがそこを走っていたが、今年は波が斜面近くまできており、波の打ち
寄せ方も割りと強い為、波によって足元が水浸しになってしまう。波を避け様とすれば
その分体力は消耗するわけで、コースの取り方が非常に難しく感じた。は波打ち際を
濡れるのを覚悟して走る人もいれば、陸側の乾いた部分を走りつづける人もいる。
私は波打ち際を行った。

スタートして2km。再びスタート地点に戻ってきたあたりでは、まだまだ余裕があった。
ペースアップするわけでもなく、ペースダウンするわけでもなく、まわりの選手にあわ
せて波打ち際を無心で走る。波が打ち寄せてきた時はできるだけ避けて走っていた。
距離をロスしてしまうのは分かっていたが、靴が濡れてしまうのは何となく嫌だった
からだ。しかし、波の打ち寄せ方が段々激しくなってきた。(後で調べて分かった事
だが、この日の干潮は9時。その後、潮は徐々に満ち始めていた。潮は干潮から
満潮へと向かうときは、打ち寄せ方が強くなり、満潮から干潮へ向う時は打ち寄せ方
が弱くなるらしい。)そして、ついに波に足が浸ってしまった。それもくるぶしの辺りまで
どっぷりと浸かった。避けきれなかった。その後も注意して走ったが、何度か足元を
ぬらしてしまう。靴はずぶぬれで、靴の中には砂が入ってしまった。大磯プリンスホテル
手前では、足の裏に痛みが...靴ズレが出来てしまったようだ。片斜面のコースを
靴の中に砂が入った状態で走っていた事が原因か?

波、斜面、砂利、砂、暑さ、前のランナーの足跡など数えたらキリが無いくらい走り
づらい要因はあったが、それでもこれを覚悟して、この状況を楽しもうとして出場して
いる以上、仕方ない。この状況でも最後まで走りつづける事に意味がある。足元の力
を抜いて、出きるだけ楽に走ろうと心掛けるが、なかなかイメージ通りにはいかない。
何とか気持ち良く走れる方法は無いか?、気持ち良く走れるコースは無いか? 
色々試してみるが答えは見つからない。そうこうしているうちに第2折りかえし地点を
迎える。給水所で頭から水を被り気分転換をはかって後半戦に備える。

ここから先はゴールへ向って走るのみ。残り4キロ。距離はまだまだあるが、一歩、
一歩ゴールへと近づいている。陸側で足を取られるのが気になったのでまた、
波打ち際へ移動して走り始めるが、今度は折りかえしていないランナーとのすれ違い
になるので、走れる部分はさらに狭くなり、波が打ち寄せても避けられない。靴はもう
ぐしゃぐしゃ。これ以上、濡れるのを恐れていても仕方ない。どうせ濡れてしまったの
だから...開き直って波がきても避けずにそのまま走りぬけることにした。考え様に
よっては、打ち寄せる波の中を、水飛沫をあげて走るのも気持ち良いもんだ。
ここから先は波と戯れながら走った。もう水に濡れているのは足だけじゃない、
身体中水浸しだ。足は段々疲労して動かなく成って行くが、水飛沫を浴びてるせいか
気持ちは良い。走るのを止めて何度か海に飛び込みたくなった。あまりの疲労で、
頭の中もだいぶオーバーヒート気味?だったようだ。

残り1.5km、最後の給水所。もう残り少ないが、少量の水を飲み、残りは頭から
かぶった。頭から水をかぶると、しばらくはスッキリして気持ち良い。しかしこの辺りに
来るともう足があがらない。どうしちゃったんだというくらい思うように動かない。呼吸は
それほど苦しくないのだが、面白いくらいに足が動かない。本当に笑っちゃいそうな位...
去年はこのあたりで、R555さんとデッドヒートを繰り広げた。今年は一人だったので気持ち
的には楽だが、緊張感がない分、身体の反応が正直だった。気持ちに張りがあれば、
多少の疲労は忘れさせてくれるが、この日は駄目だ。でもこの状況がおかしかった。

砂浜をさまようように、必死な顔で走っている自分の姿を冷静に想像すると何か笑えた。
たかがマラソン、それも砂浜を走るなんて言う変わったレースに、優勝争いをするわけ
でもないのに必至になって走っている。歩いたって、休んだって誰にも何にも言われ
ない。走ったからって誰かに誉められるわけではないのに苦しい思いをして走っている。
冷静に考えると、そんな自分の姿が妙におかしかった。それでも走りつづける。
走った者にしか理解できない満足感を得る為に走る。歩きたい、休みたいという誘惑に
勝つために走る。ゴールしたらきっと何かある。そう信じて走っている。

ゴールが見えた。最後の浅瀬を渡ると、K枝がカメラを構えてこちらへ呼び掛けている。
しかし、それに応える余裕はなかった。疲れ切った身体でゴールラインへなだれ込む。
今年も何とか完走した。完走タイムは58分22秒。昨年よりは1分遅いが、このコンディション
なら上出来だろう。ゴールしたら何があったか? そこには1本のバナナとスポーツドリンク
それに海鮮鍋と缶ビール。それと大きな満足感。走っていない人には大したこと無いかも
しれないが、走りきった人にとっては、これ以上は無いごちそうだ。疲労の度合いが大き
かった分、満足感も大きいし、ビールも旨い。

これで3週連続マラソン週間の2週目が終わった。この2週間は結果にこだわらず、調子
を上げるためのステップとして考えていた。次のヘルシーマラソン(美瑛)は、自己記録
更新を目指す。誰の為でも無い、自己満足の為だけに... 自己記録を更新して、夜、
寝る時に布団の端を噛み締め、クックックッと一人笑いするのが楽しみだ。

それから、最後に付け加えておくと、サムズ・アップのうさぎさんは、このレース5kmの部
で3位入賞。Q太郎さんは、抽選で大磯プリンスホテル宿泊券獲得。レース初参加の
チャンプさんも見事完走! とチームにとっても良い大会となった。


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