横浜駅伝観戦記

4月30日(月)、第13回横浜駅伝が鶴見川ランニングコースにて開催された。天候は、あいにくの
雨模様。天気予報では午後にかけて回復傾向とのことだったが、雨雲は切れ間無く流れつづけて
いた。この横浜駅伝にわれらがサムズ・アップは、2チームを編成し出場する事になった。そしてその
うちの1チームは、サムズ・アップの快速ランナー4名に3名のエリートランナーを加え、現段階で
編成できうる最強チームで男女混合の部、優勝を目指す!(と今大会の総監督?うさぎさんは
語っていた。が私自身は半信半疑だったのだが...)もう一方のチームは、日常の練習は少ないが
走ることを楽しみ自己ベストの更新を目指す、マイペースランナーチーム。チーム名は、最強チーム
のほうが『サムズアップうさぎ』、そしてマイペースチームが『サムズアップかめ』と名づけられた。
ちなみに、私はサムズアップかめチームにエントリしていたが、荒川市民マラソン以降、体調がイマイチ
で練習不足だった為、4月からチームに入会していただいたサルさんに替わってもらい、応援に専念
することにした。

 午前10時雨の中、横浜駅伝のスタートが切られた。うさぎチーム
の第1区(10km)はO澤さん。今回のエリートランナー3人組の一人
私は初対面だったのでどれほどの速さかは知らなかったが、
聞くところによると金メダリスト、ロバにフルマラソンで勝ったことが
あるとか..かめチームの第1区はサルさん。この横浜駅伝の強化
練習会に2度参加して、調子は上向き?練習不足の私が走るより
はずっと良い成績が予想される。うさぎチームは、スタート直後から
先頭集団に食いつき、1キロの折り返し(2km地点)では3番目で
通過。もう一方の亀チームも声援に応える余裕を見せる。
2チームとも良い立ち上がりをみせた。

(写真右は緊張のスタート前)

  特にうさぎチームは先頭ランナーと差のない3番手。前を走って
 いる2チームは一般の部なので、混合の部ではトップとなる。
 『本当に優勝!!』応援隊は早くも喜び、この後走る予定になって
 いる、うさぎチームのランナーは、喜び半分とプレッシャーによる
 緊張半分の複雑な表情を見せる。9キロ地点、うさぎチームは
 全体で10番前後。混合の部では3番手で通過。残りの1キロも
 この順位をキープ。トップとそれほど差のない3番目で襷を
 第2走者のR555さんへ渡す。
 (写真左はトップ集団で折り返すO澤さん)


 R555さんはサムズ・アップ創設時からのメンバーでキャプテンを
務めている。そう言った意味も含めて応援にはさらに力が入る。
しかし、このあたりの順位を走っているランナーは皆、速い。
R555さんもチーム内ではかなり速いが、このあたりのレベルに
果たしてどれくらい通用するのか大きな期待と小さな不安を
持ちながら見送った。しばらくすると、サルさんが応援隊の前を
通過。歯を食いしばり、何か叫びながら力強い足取りで走りぬけ、
自己ベスト更新で2区のO方さんへ襷を渡す。
 2区は3km。2km地点で一度、スタートラインに戻ってくる。襷を
受けてから約8分後、R555さんが戻ってきた。混合の部の先頭
ランナーは既に通過していたが、2番目で戻ってきた。ひとつ
順位を上げたのだ。 
(写真右は襷を受け、走り始めるR555さん)
 
 応援隊のボルテージも上がる。R555さんは、顔を紅潮させながらも、足取りは快調のようで、勢いは
衰えていない。ここ2週間の強化練習の成果が現れたようだ。そして2位をキープして3区(5km)の
うさぎさんへ襷を渡す。襷を渡されたうさぎさんは、R555さんの勢いが乗り移ったかのように猛ダッシュ
1位のチームを猛然と追いかける。スタートして僅かな距離ではあったが、勢いの差は歴然。4km地点
では逆転しているのでは...という期待が大きく膨らむ。しばらくすると、かめチームO方さん通過。
応援隊の声援を受け、チラッと視線を向けるがすぐに前を向き走りぬける。かめチームのほうも真剣だ!!

 数分後、うさぎさんが来た。混合の部のランナーはまだ誰も戻って
きていない。逆転だ!遂にサムズ・アップうさぎチームが先頭に立った
うさぎさんの目は鋭く、必至な表情で後続の引き離しにかかる。遅れて
やってきたチームとの差は1分くらいあっただろうか? 優・勝の2文字
が現実味を帯びてきた。4区のランナーは、あいこさん。東京国際
女子マラソンにも参加経験を持つという経歴の持ち主。颯爽と走り
ぬけて行く。やはり後続チームとの差は1分以上空いているようだ。
しかし後続チームの勢いが凄い。何が何でも、前のチームをとらえる。
そんな意気込みが伝わってきた。

(写真右は襷をかけて、走り始めるあいこさん)

 一方、かめチームの方はO方さんから、3区のコーンさんへ襷が
渡っていた。コーンさんはここ数か月引越しなどもあり非常に忙しく
練習がほとんどできなかったと聞くが、にこやかに応援隊前を通過。
この余裕が戻ってきた時にどうなっているか?
4区は8kmの長い区間で7km地点で応援隊前を通過する。
あいこさんが先頭で戻ってくるのか、それとも別のチームに替わって
いるのか、戻ってくるランナーを待ちつづけた。そして混合の部で
先に戻ってきたのは、ミズノチーム。このチームが出場したらちょっと
優勝は厳しい。監督がそう語っていたチームだったが、どうやら出場
していたようだ。あいこさんのスピードも相当なものだが、このミズノ
チームの女性ランナーは速かった。続いてしばらく間が空いて2番目
にサムズ・アップうさぎチームのあい子さん通過。差が無く3番目の
チームが行く。さすがに女子のエース区間に出てくる選手だけあってどこのチームも強者を揃えてきて
いるようだ。5区への中継地点では3位に順位を下げた。5区はネクタイマンさん。サムズ・アップの最年少
?ランナーの登場だ。1週間前の強化練習でこの区間と同じ距離(3km)を走り、それなりの自信を持って
いる雰囲気。襷を渡されると、勢い良く飛び出して行った。 
(写真左上はにこやかにスタート切るコーンさん)

一方、かめチームの方は、あいこさんが通過する前に、コーンさんが
戻ってきていた。応援隊が声援を送るものの、スタート直後とは異なり、
真剣そのもの。ちょっと苦しそうではあったが、必至に走っているのが
伝わってきた。そして襷は、コーンさんからヨー娘。さんへと渡る。
それまでのランナーと同じくにこやかに手を振って、応援隊前を通過し
ていった。8kmと少し長い区間ではあるがきっと戻ってくる時も同じよう
な笑顔を見せてくれる事に期待!!

混合の部首位争いはミズノチームが独走態勢を築き始める。5区(5km)
の4km地点では2位に2分以上の差がついていた。2位は我らがサムズ
うさぎチーム。ネクタイマンさんは1人抜き、2位に踊り出ていた。
うさぎチームとトップとの差は若干詰まっているものの、以前として2分30
秒くらいの差があった。こうなれば、何としても表彰台を…  できれば2位を…  ネクタイマンさんが
リレーゾーンへ戻ってきた。非常に良い走りをしていたように見える。本人に聞いてみると後半はかなり、
スパートを掛けたとか… 
(写真右上は赤い帽子がトレードマーク?のヨー娘。さん)
   
6区は女性が登場する最後の区間。サムズ・アップの秘密兵器? 
走るトミさんの登場だ。本人曰く、短い距離よりも長い距離の方が 
得意とはいうものの、今回は5kmという距離でベストを尽くす。
襷を受け取ると軽快なリズムで走り出して行った。トップとはかなり 
離れているが、3位のチームはすぐ後ろに迫っている。レースは 
いよいよ後半。さあ銀か?銅か?応援する手にも熱がこもる。
 
一方のかめチーム、ヨー娘。さんはトミさんがスタートして行って
しばらくすると、応援隊の前に現れた。ガンバレー! あと1キロー
の声が掛かるが、真剣モードに入ってしまったようで、笑顔は見られ
なかった。かめチームも最初は楽しんで走ろうとか言っていたが、
襷をもらうとそんな事言っていられなくなってしまうようだ。
(写真右は快走する走るトミさん 速さが伝わってくる? んっカメラがブレてる?)






(写真上はおかさん、下はすーちゃん)
かめチームのピンク色の襷は5区のおかさんに渡る。おかさんも他の
かめチームランナーと同様、声援に応えてスタートしていくが戻って
きた時には、真剣モードに突入している。かめチームは皆、スタート
して行く時は余裕の笑顔で走り出すが、走っていると段々と自分の
世界に入り込み、再び応援隊前に姿を現す時は真剣な顔つきに
化けている。そして、かめチームの襷はおかさんからすーちゃんへ
と手渡された。すーちゃんもにこやかにスタートしていったが、きっと
戻ってくる時は真剣な顔つきに?
 さて優勝争い。こちらはミズノチーム
が依然として首位独走。2位争いは熾烈。うさぎチームは、ひとつ順位
をさげたものの差のない3位。まだまだ2位は狙えるところにいる。
トミさんは軽快な走りで応援隊前を通過。速い人は距離が長くても短く
ても速い。2位のチームを必死に追いかける。こんなに一生懸命走っ
ている女性から襷を受けたら、頑張れない筈は無い。というわけで
アンカーのぬかやさんは、何かに弾かれたかのように勢い良く飛び出し
先行する2チームを猛追する。私なりの解説を少しいれると、トップの
ミズノチームのアンカーは体型からしても、走りからしてもぬかやさん
には劣る。ように素人目に映った。このレベルで8キロ強で2分以上の
タイム差があると絶望的にも思えるが、この走りの印象からはひょっと
すると逆転?という感じがしないでもなかった。むしろ2位で通過して
いるチームのほうが速そう?そんな印象を受けていた。ぬかやさんは
3月に800キロを走破したそうでまた昨年の横浜駅伝では3区の区間
2位を記録している、まさにうさぎチームのエース。期待せずにはいられ
ない。残り1kmで応援隊前を通過する時にはどうなっているのか、
期待が高まる。

そして数十分後… 500番台のゼッケン(混合の部を意味する)が
戻ってきた。先頭のランナーは残念ながらミズノチーム。やはり優勝
は高望みし過ぎか?と諦めかけていたところへ30秒程度の遅れで
サムズ・アップが戻ってきた。驚異の追い上げだ!! 
襷中継点では2分以上の大差があったのに僅か30秒程度にまで
追い詰めた。残り1キロ。果たして大逆転は起るのか? 期待は
益々高まる。そして数分後… 先頭に立っているのは?
依然としてミズノチームが先頭。しかしそのすぐ後ろにサムズ・アップ
の姿が見える。差は確実に詰まっている。しかし残りの距離が無い。
アンカーのぬかやさんは、鬼のような形相でミズノチームを追い
詰めた。わずか十数秒差の2位。残りの1kmでも20秒近く差を
詰めていた。あと500mあったら逆転していたかも…そう思わせる
ほど素晴らしい追い上げだった。私は、ゴール前へ移動して最後

の瞬間をカメラにおさめようと思っていたのに興奮のあまり、カメラのシャッターを切るのを忘れてしまった。
それくらい見ている者を引きつけるすばらしい走りだった。
(写真上はドキドキしながら選手の帰りを待つ女神?たち)

しかし、まだ駅伝は終わっていない。うさぎチームがゴールしてからしばらくして、すーちゃんが戻ってきた。
襷は最終ランナーの晴れ男さんへ手渡される。不思議な事に晴れ男さんがスタートしたら、それまで降り
続いていた雨がぱったりと止んだ。さすが晴れ男。天気まで味方につけてしまうとは。晴れ男さんは、自分
のポリシー通りの熱い走りを披露する。キロ4分を切るペースでゴールラインを駈けぬけた。

こうして、サムズ・アップの横浜駅伝は終了した。うさぎチームは、
強豪ミズノチームを追い詰め、僅差の2位で銀メダルを獲得。
来年こそは!の期待を膨らませた。かつてオリンピックで2年連続
銀メダルを獲得した田村亮子は、こう語った。銀と言う漢字は、
金よりも良い(金へんに良)と書く。しかし、本当に良くする為には
もうひと頑張りが必要だから、良という字の上の点が1画分足り
ないのだと… そう、あとひと頑張りして来年、金メダルを獲得すれ
ば、今年獲得した銀メダルは金メダルよりも素晴らしいものになる。
そういう事なんだな、きっと…

兎にも角にも、本当に今回の駅伝はすばらしかった。うさぎ、かめ
両チームのアンカーがゴールした時は、ジーンと来るものがあった。
(写真左はサムズ・アップ栄光の銀メダルチーム)

−完−


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