前回は原作ファンタジー、実は○○は××だった系話について妙に熱いトークをかましました。今回はまた別の原作ファンタジーに触れましょう。だって今頭の中、原作ファンタジー強化期間だし!(笑)
 あ、原作ファンタジーとは別にきまった呼び方ではなく、私が便宜上つけた呼び方で、原作にのっとっているのに、ファンタジーが入り込んでしまう系の話の事です。
 
 今回やるのは、異世界ものでも時代劇ものでも、その他ありとあらゆるへぼんをそのまま原作にとりこんでしまうタイプの話です。
 こういう風に書くとわかりづらいでしょうが、あれですよ、あれ。「前世ネタ」。
 すれ違った瞬間に惹かれ合う二人。初めてあったはずなのに、なぜか懐かしい………。
 とかいうあれ。
 この手のヘボン世界と原作が別というタイプのバリエーションとしては、狭い意味でのパラレルなんかもありますね。


 山の中で穴に落ち、別の世界にまぎれこんでしまった半屋。
 そこでは半屋は超受け受けで、つつかれただけでも「ひゃん」と言ってしまうようなかわいこちゃんで、そのかわいさで四天王になっているような(←いくらへぼんだといえ、わけわからない設定ですね(笑))世界だった。
 そんな世界に迷い込んでしまった半屋。
 次元の狭間である穴の中で「ひゃん半屋」とすれ違い、にちょっと親切にされてしまった半屋(現実)は、ひゃん世界でのひゃん半屋の生活を壊すことができなくなってしまい、ひゃん半屋のフリをすることになる。果たして半屋(現実)に「ひゃん」はできるのか。
 一方、現実世界にまぎれてしまったひゃん半屋は、ひゃんと言わずに闘うことができるのか。
 そして現実半屋とひゃん半屋、二人は無事に元の世界に戻れるのか?!

 とかいう感じのが、狭い意味でのパラレルものです。私たちが現実だと思っている世界の他にも、同じ時間に無数の世界がパラレルに走っているとかいう謎の説明文付きで書かれることが多いですよね。
 パラレル(狭)は、結局現実に戻ってきて、「現実ってすばらしい」というオチになるのが普通です。やっぱさすがに、「ひゃん」に目覚めて、ひゃん世界で生きていくというラストはありえないでしょう(笑)
 それに半屋とひゃん半屋は別人です。ひゃん世界にいくら梧桐さんや八樹が出てきても、それはひゃん世界の梧桐さんや八樹なわけで、あの梧桐さんや八樹ではない、ということになります。
 この場合、一応、現実半屋が生きている世界が、あの明稜世界だということになりますから、ひゃん世界の梧桐さんたちはニセモノということになってしまうのですね。まぁひゃん半屋でオッケーだ、かわいいから四天王だと思っているあたり、本当にニセモノですが(笑)
 というわけで、もし現実半屋がひゃんの世界に残って、ひゃん世界の梧桐や八樹とラブラブになってしまうと、その半屋は「ニセモノを選んだ」ということになり、読者さまから反感を買いそうです。
 まぁこのような多々の制約があるので、狭義のパラレルものというのはいまいち流行ってないような気がします。
 マンガなら面白いんだけどねー。でも逆にこの制約の中でのおもしろさや、流行っていないのにあえてチャレンジ!という面白さを狙えるおいしい場所とも言えるかもしれません。

 さてさて。語りたかったことはひゃんではなかったのに、ついうっかりひゃんで語ってしまいました(笑)
 というわけで本題の前世ネタにいきましょう。
 前世ネタはパラレル(狭義)とは違って、出てくる二人の半屋はどっちも本物の半屋なんですよ。梧桐さんが出てきても、八樹が出てきても、全部本物です。ここがポイント。
 梧半の半屋さんが前世で将軍の梧桐さんに恋をしたってかまわないわけです。
 梧半の半屋さんが前世で八樹に惚れていたら問題だけど(笑)いや、これもありだろうけどかなりモニョるなぁ。例えば、前世で八樹とつきあっていた半屋が、今回は梧桐さんとつきあいだしたら。例えば前世で梧桐さんとつきあっていた半屋が、今回は八樹を選んだら。
 それぞれそれなりに面白そうですが、色々敵を作りそうだ(笑)
 まぁ生まれ変わるたびに八樹か梧桐を交互に選ぶ、という設定(これもへぼい)ならかまわないでしょうが(笑)

 前世ネタのほぼ唯一のしばりといえば、前世は悲恋のほうがベターということぐらいでしょう。前世は結ばれなかった二人が、現世で結ばれる方が盛り上がりますからね!
 あ、あと前世ネタである以上、現世も一度はでてこなくてはいけません。それがなかったら単なる時代劇ネタとか異世界ネタですからね。
 そのかわり、たとえパラレル嫌いでパラレルは絶対書きませんという人でも、現世が一回でも出てきたら、壮大へぼん書き放題♪なのです。
 だってその壮大梧桐さんはあの明稜梧桐さんと同一人物なわけですから。
 とゆうわけで、原作オンリーの方にも前世ネタをおすすめしつつ、壮大へぼん前世ネタを進めましょう。
 
 さて。普通、前世といえば『海のオーロラ』系の時系列に沿った話です。あそこまで繰り返し生まれ変わらなくてもいいでしょうが、まぁ少なくとも歴史上のどこかの時点であった話というのが普通でしょう。
 幼なじみだった半屋と八樹。しかし半屋はユダヤ人。一方典型的ドイツ人の八樹はその美しさが愛でられSSに………という感じの話ですね。半屋が死に、八樹の青春を捧げた第三帝国が崩壊し、そして八樹自身も敵の手にかかって殺されるとき、八樹は思うわけですよ。「ああ俺の人生はあの幼い日々で終わっていたようなものだった。今度生まれ変わったら、絶対半屋君にあんなひどいこと(←どんな?)はしないのに………」と。
 しかし、生まれ変わった八樹は前世の記憶をとりもどさないのですね。
このあたりは原作上縛りがありますから、ラブラブな気持ちのまま生まれ変わってはいけません(笑)
 しかし半屋はなんとなく覚えてるんですよ。八樹と仲良かったことも、そのあとひどいことされたことも。で、相手が覚えていないことにも気づいているわけです。だから無視しているわけですね。まぁ原作上縛りがあるので、思い出したのは塔城戦後じゃないといけません。

 ―――とかなんとかどんどん話は生まれてきます。ほら私パラレル書いているわけじゃないし(ほとんどパラレルですが)、適度に縛りがあるから、話もどんどこ進んでいくし。
 密かにユダヤ転生ものは読みたいのですが、誰か書いてくれないかなぁ。あと、エジプト転生ネタとか。これはやっぱ幼い頃に読んだ海のオーロラがこびりついているのでしょうね(笑) 別に海のオーロラのように未来(次の生まれ変わり)でようやくくっつくとかじゃなくて、今くっついてくれてかまわないからさー。


  しかし前世というのは時間軸に沿っていたり、地球上だったりしなくてもいいわけです。
 「死んだら時間なんてなくなるのよ! だから現世の生まれ変わりが年上だっていいわけよ!」というへぼん思いこみで、昔一本書いたことがありますよ(笑) 確かなんかでその話(死後の世界に時間がない)を目にして書いた話ですから、まさに前に書いた「エピソード系へぼん」ですね(笑)

 受けが留学。寂しい攻めの前にやたら心惹かれる年上の人が現れる。「おかしい。俺はあの人だけに人生を捧げると誓ったはずなのに…」悩む攻め。ある日年上の人は攻めに言う。「俺は実は受けの生まれ変わりなんだ」と。素直になれないけど受けは攻めを愛している。大事にしてやれよ、と。俺はまだお前の生まれ変わりを見つけてないけれど、と少し悲しげに攻めを見つめ、年上の人は去っていった………
 これで原稿用紙5枚くらいの話でした(大笑)
 みごとにへぼいですね! つーか、今ならこの年上の人は単に攻めに色目を使われるのが迷惑だったんだろう、って思うね!
 さてさて。話が脱線しましたが、もとに戻しましょう。
 
 というわけで生まれ変わりは時間の流れさえ越えるわけです。だから世界が替わろうと、思いっきり未来だろうとオッケーなのです。
 なんの話だかわかりますか? そう、半屋の刺青の話です。(話がつながってませんね(笑))
 半屋の刺青というのも原作上の大きな穴の一つです。だって、あれって何のために入れたんでしょう? その辺の不良に「オレは半屋だぜ!」と見せつけるためでしょうか? それとも半屋は自分の体を傷つける趣味のある人(遠回しな表現にしてみた(笑))なのでしょうか? それとも単に刺青ってかっこいいぜ!入れるぜ!って感じなんでしょうか? 
 どの説をとってもかなりイヤな感じです(笑) まぁ半屋受け的にはピアスも含めて「気がつくと自らの体を傷つけている半屋」と考えれば萌えじゃないわけではないのですが、それもまた色々設定がへぼくなります(笑)
 一番良い解決策は、「あれは元々あったものだ」と考えることでしょう。というかかずはじめ的にはあれは元々あったもんで、いつ入れたかとかなぜ入れたかとか考えなくてもいいものなんでしょう。それはかずファンなら知っていることです。だって、別にあれは単なる刺青なわけではないですから。
 
 前置きはこれくらいにして話を始めましょう。

 中学二年生の梧桐勢十郎は毎日同じ夢に悩まされていた。希望の少ない荒涼とした未来。そこでは自分は外道と呼ばれ、奪い、殺し、盗み、犯す、日々を送っていた。
 その夢には梧桐にとって家族同然の幼なじみである伊織と、クリフォードという見知らぬ男が必ず出てくる。
 もしかしたらこれは夢ではなく、どこか別の世界を見ているのではないかと思うときもあるほど現実感のある夢だった。
 ある日。
「クリフ………か?」
 たまたますれ違った男に梧桐は思わず声をかけた。
「え? 君、なんでボクの名前を知ってるの?」
 そこにいたのはいつも夢に出てくるクリフォード・ローヤーだった。あれは、あの世界は夢ではなかったのか。梧桐は混乱に陥った。

  さて。どこが半屋の刺青なのか謎ですが(笑) 原作の穴をばんばか埋めていってるせいで、一瞬「もしかしてこれが正解なのかも?!」って錯覚しちゃうね!自分でも!(笑) 
 実は主要キャラで梧桐との出会い方がまったくわからないのってクリフだけなんですよね。しかも多分、青木以外の主要キャラのうち、梧桐さんと出会ったのが一番遅いのってクリフなんですよ(嘉神のことも「あとから聞いた」ように話していますよね)。

 さて。ここまで作り込んだら半屋の刺青ごとき、どうってことありません。

 クリフを下僕にすることに成功した梧桐。しかしまだあれが夢なのか現実なのかの区別が付かない。
 そんなとき、梧桐は旧友の半屋が乱闘に巻き込まれているのを見かける。大勢を相手に一人で戦い、かろうじて勝ったらしい半屋。ところどころから血が流れ、服もかなり裂けていた。
 そして、裂けた服の隙間からあの夢に出てくる『外道』の焼印がのぞいていた。
「半屋、これはなんだ」
 問いつめる梧桐。
「てめェには関係ねーだろ。近寄ると殺すぞ」
 その場はそれで別れたが、その後、夢が進むにつれ、あの半屋の焼印がどうしても気になってきた。あれは自分の夢と、この世界を繋ぐ唯一の接点なのかもしれない。
 そして半屋に会いに行く梧桐。
 しかし、半屋の肌からは焼印が消え、代わりに刺青が彫られていた。
「これはなんだ」
 訊ねる梧桐。
「てめェになんか関係あんのか」
「ここに焼印があっただろう。あれはなんだ」
「んなもん知らねぇ」
 そうして去っていく半屋。梧桐は取り残された。

 さて。ネタなんだかなんなんだかよくわからなくなりましたが(笑)

 ここでのポイントは個人的には楽しいけれど、読者様には楽しくない事でしょうか(笑)
 書いてる方はね〜、ずーっと気に掛かっていた刺青ネタが消化できるしね、大がかりなネタだしね、とても楽しいんですよ。だって、設定考えたりするのってうきうきしません? でもね、このままじゃ、読者さまになんの萌えもないんですよ! だってラブじゃないし!  

 原作ファンタジー最大の落とし穴はコレでしょう。設定に凝れば凝るほど(しかもそれが原作の穴を埋める設定であればあるほど)「ふむ、なるほど」な話になっちゃって萌えじゃなくなるんですよ〜!
 梧桐さんは外道梧桐の生まれ変わり♪ だからクリフとも出会ってすぐに仲良くなったの♪ 半屋の刺青は梧桐さんと外道梧桐をつなぐ鍵なの♪ 
 と書けば楽しいのですが(笑)

 あともう一つ、前回の時にちらっと書いた「原作ファンタジー共通の問題点」なのですが、あれですよ、あれ。
 設定を書くのが楽しいせいで書き始めたのはいいけれど、オチがない。
 ―――(笑) 前回書いた「八樹霊感体質・半屋が聖なる血」ものも、今回の「外道と明稜はリンクしていた!」ネタも、書いてるとそれだけで楽しいけれど、続きを書くと原作から離れちゃうんですよ〜。すると今までの「原作を再構築する喜び」から遠ざかってしまうのです。
 だから、だいたいこういうのって上巻だけ出て下巻は出ないとか(笑) そういうことになりがちです。

 今回の半屋刺青ネタのオチを簡単につけると、前世の外道世界で、半屋と梧桐は恋人同士だったわけですよ。で、半屋は自ら外道の印を胸に刻むのです。
 それがなんと現世半屋の胸に浮かび上がってしまったわけです。
 誰だかわからないけれど、自分に男の恋人がいて、そのために胸に焼き印を刻む夢を見てしまった半屋。
 そのイヤな夢のあと、自分の胸に浮かび上がった焼き印。
 半屋はどうにかしてこれを消そうと考え、その焼き印の上から刺青を入れます。

 その後すったもんだあって、高2か高3で現世梧桐と半屋はくっつくわけですよ。すると、半屋はまた夢を見るのです。
 その夢に出てきた恋人の顔はなんと(というか当然)、梧桐さんなんですね。
 ああヤな夢見たな、と思って目を覚ますと、なんと梧桐さんの胸に、昨日までなかったはずのあの焼き印が浮かび上がっているのです。
 なんでこれがてめェにもあるんだ、などと驚く半屋。そこで目覚める梧桐さん。梧桐さんはその時、夢の中で自分の恋人と初めて出会っていたのです。

 半屋が同じ夢を見ていたこと、そして自分の胸にも焼き印が浮かび上がったことで、ようやくあれが前世だったと気づく梧桐さん。今度こそ恋人を失わないように、半屋をきつく抱きしめるのでした。


 やっぱ後半は原作ネタから離れてしまいましたね〜(笑)
 しかも焼き印を刺青で消せるかどうかなんて調べてないし(笑)

 ちなみに私のもともとの解釈は半屋の刺青は、不良さんに負けたときに入れられた焼き印をごまかすためなのだというものでした。大勢の不良さんに囲まれて焼き印をいれられる半屋。 これもへぼい(笑) 
  
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