観劇感想 '99 第2期






観劇感想リンクくわしくはこちら





|| '99年の観劇感想 |  第1期(1〜3月) |  第2期(4〜6月) |  第3期(7月〜) ||

|| '98年の観劇感想 ||

|| 観劇トップページへ ||  今後の観劇予定 ||  ホームへ戻る ||

評価について
☆☆☆☆☆ −−− 大満足です。その日の気分とも見事にマッチしたときに出ます。
☆☆☆☆ −−−かなり気に入ったときに出ます。胸張って友達にすすめられるレベル。
☆☆☆☆☆ −−−まぁ、及第点。それなりに満足したときに出ます。
☆☆☆☆☆ −−−普通という評価を選ぶのは嫌いなんで、不満があったらすぐ出します。
☆☆☆☆ −−−かなり不満なときに出ます。フィーリングが合わなかったら致し方ないですよね。

芝居屋坂道ストア #10 『あくびと風の威力』
期間 1999年6月11日(金)〜6月13日(日) 会場 扇町ミュージアムスクエア
作・演出 角ひろみ
出演 岡知美 日名子知佐 森井陽子 角ひろみ 石川清恵 大木なつ美
山田かつろう(売込隊ビーム) 関戸ゲル(劇団鉛乃文檎)
観劇日 6月13日(日)M 座席 1列目中央 客席 満席 チケット 当日精算2000円
 2度目の坂道ストアでした。
 この作品はすでに本を読んでいたので、どういう筋かわかっていたので 演出がどうなるのかを楽しみに観ることができました。

 主人公は震災経験者。その家に幼なじみが遊びにきているところから始まる。
 そのふたりの夢の中ともおぼしきシーンで、死んだはずの同級生たちとの 再会を果たす。死んでいったものの悲しみ、生き残ったものの苦しみ。
 そういったものを茶化さず、ずばり表現していた。

 主人公が小学校6年生だったシーン、明日はいやな合唱コンクール。みんなと歌いたいのに、 ピアノを弾ける彼女はいつもひとり伴奏役。
 明日が来なければと思っていたそのとき、震災に見回れる。
 震災がすべてを粉々にしてしまう。思い出も友情も。

 明日が来なければなどと願った彼女はもうピアノを弾くことをやめてしまう。
 そのことを夢の中で同級生に糾弾される主人公。どうして夢をあきらめてしまったの?
 生きていられるそれだけでもうらやましいのに。

 生きているそれだって、辛いことの連続だったと弁解する主人公。いつまでも同級生との思い出を断ち切れずにいる。
 これは夢なんかではなく、そんな主人公へむけて同級生からのエールだったのかもしれない。はやく、過去から未来へ目を向けてほしいという。

 最後のシーン、全員が子供たちだけの秘密のアジトから出てきて、四つん這いになって輪をえがく。
 これはまさに子宮から子供が出てくる様だった。
 これも、過去に縛られることなく、はやく明日を見据えてほしいという願いがこもっていたのだろう。

 とても暗くなってしまいそうなテーマを嫌みなく、笑いも適度にまじえて表現していました。
 印象深い作品に仕上がっていたと思います。
評者:はるお 評価:☆☆☆☆☆
観劇感想リンク 和田 / 一歩 / 支部長 / ゆしん / iwamomo / BASIL / はるお

/ 観劇のトップページへ /

スクエア #5 『祝福してみる』
期間 1999年6月12日(土)、13日(日) 会場 AI・HALL
森澤匡晴
演出 上田一軒
出演 上田一軒 森澤匡晴 池田幸巨 北村守 奈須崇 宮川サキ
観劇日 6月12日(土)S 座席 1列目中央 客席 満席 チケット 当日精算1800円
 舞台上は洋風の一間、結婚式場のスタッフルームだ。
 6月の結婚シーズン忙しいさかり、もともとここで働いていたという男が 寺山(上田)に結婚式をあげたいと話を持ち掛けてきたというところから物語は始まる。

 寺山ももともとこの結婚会場のスタッフとして働いていたが、 今は地下の衣装の管理などをまかされているという設定らしい。
 すでに過去の人であるのに、式場のスタッフへ無理矢理頼みこみにくる。
 いやがる式場スタッフになんとか打ち合わせをするというところまで話を こぎつけたらしいが、当の結婚をする本人がいつまでも現われない。

 やがてその男から寺山に電話が入るが、たまたま代わりにとった島田(北村)が 結婚式をオーストラリアでやるということを聞いてしまい、寺山の早合点だったことに気付く。
 みんなへも伝えるが、寺山のショックを考えるとどうしても言えない。

 ひとり盛り上がっていく寺山。反対に冷めていくみんな。
 結婚式は果たして執り行われてしまうのか?さぁ、最後の落ちは・・・。


 ある人が幸せになると思い込み、それを夢想するがために爆走する主人公は 反面教師という印象でした。
 悪気はまったくないのに、ある一つのことへ向けて突っ走ってしまい、 それが他人の迷惑になる、そんな経験って程度の差こそあれあるものだと思いました。

 と、難しい話はさておき、スクエアは笑えればそれでいい劇団とも思います。 嫌味なく笑わせてもらえて、それだけでも観た意味がありました。

 ただ難を言わせてもらうと、終わり方が軽すぎて印象に残らなかったことです。 もう一シーンあるのかと思ったら、すっと終わってしまいました。
 食べ過ぎるよりは腹八分目の方が好ましいですが、少し物足りなかったように思います。
評者:はるお 評価:☆☆☆☆ 
観劇感想リンク 和田 / iwamomo / ゆしん / 支部長 / はるお

/ 観劇のトップページへ /

NODA・MAP #6 『半神』
期間 1999年4月2日(金)〜5月2日(日)
1999年5月7日(金)〜5月16日(日)
会場 Bunkamuraシアターコクーン
近鉄劇場
原作・脚本 萩尾望都
脚本・演出 野田秀樹
出演 深津絵里 加藤貴子 野田秀樹 鷲尾真知子 山崎一 勝村政信
山下裕子 右近健一 水谷誠伺 佐々木蔵之介 明星真由美 佐藤拓之
観劇日 5月16日(日)S 座席 中列目下手 客席 満席立見有 チケット 前売7500円
 始まりは稽古場での一幕のように始まる。舞台の上は柔軟で体をほぐす出演者達。
 はじめに主役を誰にしようかトランプで決めようという野田秀樹。エースをひいたのは深津絵里。そして、続いて加藤貴子。二人の主役が決まってしまう。

 深津絵里演じるシュラと加藤貴子のマリアは体の繋がっている双子。あほといえるほど能天気なマリアはみんなから愛される存在。聡明なのに、醜いシュラはみんなから疎まれる。

 そんなふたごもいつかわかれるときが来る。ひとつの心臓を共有する彼女らがずっと生き続けるのは無理で、片方のみが生き残れるというのだ。
 その話をシュラはつい聞いてしまう。どうやらシュラが生き残る確率が高いらしい。
 口には出さなくとも、みんなマリアが生き延びることを望んでいる。ひとりほくそえむシュラ・・・。
 はたして結末はどうなるのか?

 半神というタイトルからしていろんな言葉に引っかかっていると感じた。
 双子とはいえ、体を共有している二人すなわち半身。
 また、そのけったいな姿ゆえ、怪物たちに仲間にひきこまれようとする。これは半分人間、半分神のような存在ゆえに半神。特に、登場人物が人間はみんな黒いくつを、怪物たちは白いくつを履いていたのに、シュラとマリアは白と黒を片一方ずつ履いていた。
 それにタンゴがBGMとして使われていたが、このリズムは1/2拍子である。

 それからキーワードとなっていたものに、うずがある。うずとはDNAにも象徴されるように生物の源となるものである。灯台のシーンの螺旋階段や、風呂太郎(ユニコーン)が風呂の栓がぬけ、お湯とともに消えていくシーンにもうずが関係していた。
 ステージ中心の回り舞台にもうずが描かれていたと思う。

 さて、これだとただ言葉遊びをしただけでステージが終わってしまったかのように思えてしまうが、実際のところ、もっといろいろな仕掛けがあった。リリアンであんだクモの巣に先生がひっかかってしまうシーンも見せ場のひとつであったと思う。

 残念だったのは、もっと各役者の色が出てもよかったのではないかと思ったことだ。
 怪物を演じるキャラは個性の強い役者ばかりだったのに、もっと目立ってもよかったんではないかと思う。これ以上詰め込むのも難しかったかもしれないが、お遊びの要素は少々足らなかったように思う。
評者:はるお 評価:☆☆☆☆ 
観劇感想リンク 一歩 / iwamomo / 由信 / はるお

/ 観劇のトップページへ /

AI・HALL ハイスクール・プロデュース 『空と私のあいだ』
期間 1999年5月8日(土)、9日(日) 会場 AI・HALL
作・演出 土田英生
出演 川畑牧子 越希美江 志茂奈津子 武田朋子 津久間泉 友田早紀
中川祐美 中村和代 船ヶ山智子 皆木愛子 山口晶子
観劇日 5月9日(日)S 座席 舞台左手1列目下手 客席 9分入り チケット 当日券 無料
 1時間という短いステージ。6つのパートに別れており、オムニバス形式に進む。

 舞台は女子高生の集うファーストフードショップの客席。4組の客と店員が登場人物。 時間軸が過ぎては戻り、戻ってはまた次のグループへと4回同じ時間が繰り返される。
 また、これとは別に閉店後のシーンがあり、そこは店員と新人店員とのやりとりが成されていた。

 場面展開の順番は1組目、2組目、閉店後、3組目、4組目、全員のシーンと (3組目と閉店後のシーンが逆だったかもしれない)続き、 時間が過ぎては戻るだけというマンネリを防いでいた。
 それぞれの女子高生の話している内容も好きな人の話、妊娠、言葉の成り立ちなど、多岐にわたっており、 なかなか飽きさせない。

 また今回うまかったのは演出の仕方。
 舞台は点対称につくられており、卓の位置を変えずに、 真ん中の植木と公衆電話を回転させれば、舞台全体が回転したように思える仕組みだった。
 つまり、暗転の際にそれぞれの女子高生の座る位置が変わっていくことで、 焦点のあたるグループを切り替えていた。
 このあたり何気ないようであるが、きちんと計算されていたように思う。

 全体的には演技力という点では高校生であることは否めなかったが、 観劇後のさっぱりとした感じはこれまで味わったことないほどで、 とても自然に観ることができた。
 1時間と短い劇ではあったが、これほど疲れずに観れたものも珍しいと思う。
評者:はるお 評価:☆☆☆☆ 
観劇感想リンク はるお

/ 観劇のトップページへ /

reset-N 『COVER』
期間 1999年4月24日(土)〜4月26日(月) 会場 渋谷 スペースエッジ
作・演出 夏井孝裕
出演 山本尚明 町田カナ 川原京 小林健太(青島レコード) 矢下瞳子
観劇日 4月24日(土)S
4月25日(日)M
座席 2列目奥
2列目手前(入り口前)
客席 満員
満席(立ち見あり)
チケット 両日共前売2300円
 まず、行ってみてびっくりしたのが、舞台の作り。 ステージに対してくの字型に客席があり、どこに座っていいか迷ってしまいました。
 また会場もふだんはバンドの練習スタジオに使うようなこぢんまりとした小屋といった感じで これにも少々面食らいました。

 舞台上には赤い椅子がひとつ。壁にはクローゼットをみたてたように服がかかっており、 ティーセットがのったワゴンのようなものが壁際にあった。
 あとはコンポと電話がまた別の壁ぎわにあり、殺風景な感じ。

 登場人物も少なく、5人のみ。
 主人公の女を中心に以前一緒に住んでいた女とその女の彼。
 隣にすむ女。盗聴機をたよりにおしかけてくる男。

 それぞれの感情がからみあい、事態は複雑に進展していく。
 盗聴が重要なキーワードになっていた。

 主人公の女は弱いところも見せるが基本的に芯のしっかりしたタイプ。
 他の登場人物は他人への依存度が高い。
 このあたり、都会の孤独にひたりながら、どうしようもない寂寥感に堪えられる人間と そうでない人間の2タイプがあることを描かれていたように思います。

 全体的に、ただようクールな感じが心地よい芝居でした。
 現代の都会人がかかえている病的な感情が表現されていたように思うのですが、 とても奇麗に感じたのが不思議でした。
 まるで虚無のような雰囲気がつねに感じられ、登場人物はすごく近い距離にいるのに どこか現実離れしている存在のように思えるのです。
 舞台の簡素なレイアウトもそういう効果をより大きくしていたのでしょう。 3次元の人が2次元のように感じられ、まるで映画を見たような錯覚にとらわれました。

 シナリオにも無理がなく、次の展開がすっと自然につながっていったと思います。
 2度観たのですが、観れば観るほど面白く感じました。
評者:はるお 評価:☆☆☆☆☆
観劇感想リンク はるお

/ 観劇のトップページへ /

アフロ13 #2 『宇宙船コズミックデラシネ号』
       〜最後は、ボンババージュ星人と
期間 1998年4月9日(金)〜4月11日(日) 会場 京都大学西部講堂
作・演出 佐々木智広
出演 中谷さとみ 山本あさみ タイソン大屋 安川一浪汰 木村知幸
ユリヒデキ 梶谷千衣子 金本健吾 大和真秀
観劇日 4月11日(日)M 座席 2列目中央 客席 超満員 チケット 招待券
 ひとことで言うと、まだ立ち上がったばかりの劇団という感じだった。

 内容についてはKKL諸氏の感想を参照してもらうとして、疑問に思ったことを少々。

 この作品ではふたごが主人公であったが、ふたごとは不思議な存在で、 もう片割れの自分がいるということをうっとうしくも頼もしくも感じるのであろう。
 今までもいろいろな作品に取り上げられており、人間の両面性とでもいうようなものの象徴としてとらえやすい。 この舞台でも最後に姉が死に、妹との再会?シーンで終わる。
 しかし、本当に姉を死なせることが必要だったのだろうか? 妹にとって姉は目の上のたんこぶ的にも描かれていたように思うが、 姉がいなくなることで妹が大きくなるということを描きたかったとも感じられなかったからだ。
 テーマがあやふやに感じたせいか、全体的にもどうにもバタバタしてまとまりの無い印象が残ってしまったように思う。

 酷評になってしまったが、いいところも多々あった。
 まず、全体的に動きが多く、みていて元気になるような舞台だった。
 寒いギャグも多いのだが、いろんなことに果敢に挑戦していく姿はみていて好感が持てた。

 次回に期待したいと思う。
評者:はるお 評価:☆☆   
観劇感想リンク iwamomo / 由信 / 支部長 / BASIL / はるお

/ 観劇のトップページへ /

劇団ジャブジャブサーキット #31 『バクスター氏の実験』
期間 1999年2月27日(土)〜3月1日(月)
1999年3月18日(木)19日(金)
1999年4月10日(土)11日(日)
会場 東京グローブ座
長久手町文化の家[森のホール]
AI・HALL
作・演出 はせひろいち
出演 亀頭卓見 栗木己義 珠水(少年王者館) 高庄久美子 松本真一
水谷ノブ(少年王者館) 猫田直(tsumazuki no ishi)
観劇日 4月10日(土)S 座席 舞台左手1列目中央 客席 5割入り チケット 当日精算2500円
 舞台は真ん中に広くとってあり、ショウケース型の冷蔵庫、砂場、50センチ四方くらいの箱、 机、椅子、脚立などが点在している。客席はまわりを取り囲んでいた。

 舞台が広いためとても動きがあるのかと思いきや各シーンごとに局所的に舞台を用いていた。 ただ、人物がそれぞれ舞台の四隅から登場するので、舞台の中で方角が定まり、 自分も舞台上のその部屋の中あるいは、部屋の近くで覗いているかのような感覚を持った。
 このあたりの演出はとても巧妙で、感情移入がしやすかったと思う。

 内容についは、少年と少女が少しだけ大人になっていく課程を描いているところが爽快に感じた。

 少年は父親の死、少女は両親の離婚を経験しており、 大人にたいしてどこか偏見をもっているのだが、 それを解きほぐすきっかけとなる事件が起きるのだ。
 教授が新種のウィルスが発見し、それに少年、少女ともに感染してしまう。 しかも少女はそうとは知らず、深い森の中へ入っていってしまって戻らない。

 そのとき偏屈で自分勝手の象徴と見えた教授が、大人の振る舞いをする。 それに感じ入ったのか、少年も少女もただ意固地になっていたということに気づく。

 ふと思いを巡らしてみると、登場人物のひとりが少女の父親からの脱走を 脱皮と間違うセリフがあるのだが、これは脱皮の方が正しい気がしてくる。
 最後に少女は今の自分から脱皮するという答えを見出すことができたのだから。


 全体としては、わけのわからない設定、冗長な部分が少なくはなかったと思うのですが、 それを気にさせないくらいの爽快感がありました。ジャブジャブもさることながら、 はせひろいちさんの作品はまた観ていきたいと感じます。
評者:はるお 評価:☆☆☆☆ 
観劇感想リンク 和田/一歩/いわもも/はるお

/ 観劇のトップページへ /

MOTHER #15 『HOSPITAL』
期間 1999年3月18日(木)〜22日(月)
1999年3月26日(金)〜30日(火)
1999年4月3(土)、4日(日)
会場 扇町ミュージアムスクエア
俳優座劇場
愛知県芸術劇場小ホール
作・演出 G2
出演 升毅 牧野エミ 宮吉康夫 西村健 名村多美子 木村陽子 垂水徹 松葉知子 福山亜弥 寺内史恵 伊東妙子 奥田義人 阿川領一 ますもとたくや 宮村陽子 高倉良文 河居綾子 萬谷真之 清水順二 鈴木隆 住田佳子 平松一範
観劇日 4月3日(土)S 座席 17列目上手側 客席 満席 チケット 前売4000円
 前回公演『Deep Blue』に続いて2回目のMOTHERでした。
 最後列でしたが、前回は近鉄劇場で後ろの方だったので、 それに比べたら俳優の顔はなんとか見ることができました。

 最初のシーンは売れっ子脚本家がパーティーの挨拶のときに いきなり倒れるところから始まる。正気に戻った彼は記憶喪失に陥っていた。

 そもそもそのパーティーというのが書き上げたドラマの放送が幸先がよかったのを祝うものだったから、さぁ大変。 プロデューサーたちはなんとか続きを書かそうと病院の中にまで入り込んで奮闘する。
 そのやり方が非常識のレベルまで行ってるのだが、プロデューサー以外にも麻薬づけの役者とか、 三重四重の不倫関係があったりと脚本家の方も一筋縄ではいかない人物だった設定のようである。
 いったん無垢な心を取り戻した彼はだんだん鬱気味の様相を呈していってしまう。

 ところで、今回の見所はタイトル通り病院である。主人公が入院している病棟は精神科で、 まわりの患者もとてもくせの強いものばかりなのだ。
 あらゆる精神病にかかっている者、極度の緊張で体が固まってしまう者、 絶対にホントのことが言えない者。このあたりのシナリオの妙はさすがだった。

 さて、脚本の締切が迫ってきて、ついに追いつめられる主人公。 しかしまったくできない脚本。
 脚本家の妻への愛情というようなほかのシーンとはアンバランスとも思える演出もあり、 物語の最終局面が近づいてくる。

 最後に一気に解明される謎。主人公はなぜパーティーで倒れるほどの心労を負っていたのか。 女優から人殺し呼ばわりされて強請られなければならなかったのか?


 MOTHERだけに踊りが入っているのがご愛敬。でも場面展開などに効果的に使われており ただ踊りたいというだけではないところはさすがです。
 また、ますもとさん扮するホントのことが言えない男が常にワンポイントになっており 飽きさせませんでした。

 劇中の芸能界の側の人間を悪ととらえるなら、 精神病患者は善といったところで、脚本家はその間をさ迷う存在。 最初は毛嫌い気味だった患者たちと最後は心をかわしていました。
 捻じ曲がった現代の中で、 人間でいられる空間は病院の中だったという皮肉を孕んでいたのだと思います。

 最後のどんでん返しは予想はしていたものの、適度に想像をうわまっていて、 観劇後はとてもすがすがしい感じがしました。
 MOTHERはつい観たくなる劇団のように思います。
評者:はるお 評価:☆☆☆☆ 
観劇感想リンク 支部長 / iwamomo / はるお

/ 観劇のトップページへ /


このページに関するご意見はこちらへ
hello@sam.hi-ho.ne.jp