飼育材料(幼虫編)

菌床ブロック詰め替え方法


 クワガタ幼虫飼育方法は大きく分けて3つあり、最もオーソドックスな材飼育、手軽なマット飼育、それに短期間で効率よく育てることができる菌糸ビン飼育に区別されますが、ご存じのように最もコストがかかるのが菌糸ビン飼育です。特に飼育数が増えてくると、金銭的にバカになりません。

 そこで、最近は如何に飼育コストを下げながら、菌糸ビン飼育を続けるかが一つの課題となりつつあります。その一つの回答として、菌床ブロックを購入し、これをほぐしてからビンに詰め替えると言う方法が、菌糸ビン飼育愛好者の中で主流になりつつあります。

 そこで、今回はこの菌床ブロックから菌糸ビンに詰め替える方法をご説明させていただこうと思います。 

 

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菌床ブロック詰め替え道具一式

 
 最初に菌床ブロックを購入しなければなりませんが、今ではキノコ栽培業者がインターネットなどを通じて直販していることもあって、入手は容易になりました。ただし、1ダース単位で購入しないと、割安にならないところも多いみたいですし送料もかかります。それでも、菌糸ビンを購入することを考えれば、一本当たりの単価は1/3程度になりますので割安であることに違いはありません。ショップでも取り扱っているところがありますので、近くにお店がある方は、送料などがかからない分、そちらを利用されるのも一つの手かと思います。
 
 用意するものは菌床ブロックと、それをほぐす際に必要となる容器、それに詰め替えるビンです。作業に入る前に、容器やビン、それに手をきれいに洗っておいてください。ただし、エタノール(アルコール)などで消毒するほど神経質になる必要はありません。手は、石鹸とお湯で洗うだけで十分です。

 まず、菌床ブロックが入っているプラスチックの袋を取り除きます。カッターやはさみを使うと簡単ですが、袋はホッチキス等で止めてあるだけなので、手でも開けることが出来ますが、このときにホッチキスの針が菌床に紛れ込まないように注意してください。

 袋から出した菌床をほぐす容器に入れ、丁寧に手で砕いて行きますが、菌床に子実体(キノコ)が発生していたり、菌壁が厚そうであれば、事前に丁寧に取り除いておきます。この方が後で細かくし易い上、きれいに菌糸が廻るので、できるだけ手間を惜しまないようにしてください。
 
 

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粉砕前菌床ブロック ほぐしやすいよう適当に砕く


 ほぐしやすいように適当に砕かれた菌床を、今度は更に細かく粉砕してゆきます。このときにも菌壁の残りなどが残っていたら、できるだけこまめに取り除いておきます。

 菌床が十分にほぐされたらいよいよビンに詰めてゆきます。特にコツと言うほどのものはありませんが、すりこぎ棒のようなもので丁寧に上から押さえつけ、ビンの周囲に隙間が出来ないようにすると、子実体の発生が防げます。しかし、あまり堅く詰めすぎると菌糸が廻り難くなりますので注意が必要です。何度も詰めていくうちに、どのぐらいの堅さが良いかわかってくると思いますので、ひたすら詰めるのが上達の近道です!

 

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十分にほぐされた菌床 ビンに詰めてできあがり!

 ビンの上部まで詰まれば、後はふたとの間にフィルターをはさんで完成です。フィルターは、キッチンペーパーのようなもので十分かと思います。詰めるビンの容量や断面積が大きいものについては、ふたを閉める前に、ビンの中央にすりこぎ棒で穴を開けたほうが、菌糸が良く廻ります。これは、菌糸が成長するときに酸素を必要とするため、通気口としての役目を果たします。

 詰め終わった菌糸ビンは、数日すると表面がうっすらと白っぽくなり、菌糸が廻ってきているのを確認することができます。菌糸が廻るときは、酸素を必要とするとともに熱を発生させますので、幼虫を入れる場合は、ある程度菌糸が廻り終わってからのほうが安全ですが、冬場なら熱の発生は余り気にしなくても大丈夫かと思われます。

 実際に、詰め終わった菌糸ビンに、翌日から幼虫を入れたりしていますが、これまで発熱が原因で死亡した個体は、今のところありません。ただし、これはガラスビンに限って言えることであって、ポリビンのような樹脂製の容器の場合は、熱の放散がガラスより悪いため、幼虫の早期投入には支障があるかも知れませんので、くれぐれもご注意ください。 

 また、これは人から聞いた話ですが、詰め終えたビンを逆さまにして置いておくと、良く菌糸が廻るそうです。  

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きれいに菌糸が廻りました!


 最後になりましたが、菌床ブロック詰め替え方法は手間さえ惜しまなければ、既製品を購入するよりすいぶん割安です。終令を入れ替えた途端、いきなり蛹室を作られて、菌糸ビンがもったいない思いをされた方もおられるかも知れませんが、この方法だとそれほど苦になりません。

 マット飼育をされておられる方ならコストは上がりますが、詰める手間は同じようなものなので、効率よく大型個体を羽化させたい場合には最適かと思われます。 

 私はもともとマット飼育専門だったのですが、オオクワガタの幼虫採集に連れていってもらってから、菌糸ビン飼育に変更するようになりました。自然のなかで、オオクワガタやヒラタクワガタの幼虫が生息している環境を目の当たりにすると、菌糸ビン飼育は材飼育についで、より自然に近い飼育方法だと思うようになりました。菌糸がまわった天然の朽ち木、それは見事なものです。今後も、菌糸ビンで幼虫飼育を楽しみたいと思います。
 
 

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