体力と 気力と好奇心の結晶

書評:『熱帯雨林のクワガタムシ』

鈴木 知之著  むし社 


『熱帯雨林のクワガタムシ』


 
  2013年2月20日以来、外国産クワガタをネットオークションで購入し、念願!?のクワガタ飼育生活に突入しました。
しかし、外国産クワガタ(特に、ヒラタクワガタ、オオクワガタ等のドルクス種)の飼育知識はゼロに近いので、どのように飼育すれば良いのか、皆目わかりません。そこで、インターネット上で検索し、多くの知識を得ることができました。

 ただ、一点だけ気になったのは、外国産クワガタ、特に私が購入したのは熱帯雨林気候帯に生息するクワガタなのですが、その生態というか、本来はどのような環境に棲んでいるのかを、詳しく書かれた情報は、ほとんど見つかりませんでした。

 何か良い方法はないものかといろいろ考えてみたところ、昔そのようなタイトルの本を買ったことを思い出し、早速本棚を調べると、運良くすぐに発見することができました。その名も「熱帯雨林のクワガタムシ」鈴木知之著 むし社 2000年9月10日発行。

 本を見て、購入した記憶がよみがえってきたものの、当時は熱帯雨林のクワガタムシを飼育していなかったと思うので、本棚に仕舞い込まれたままの状態になっていたようです。なので、新品の状態です。

 読んでみて、何が驚いたかというと、著者である鈴木氏の並外れた体と忍耐力に尽きます。何しろ、パプア・ニューギニアには、2年半も住まれた事があるうえ、一度の採集旅行では、1週間から1か月程度現地に滞在し、しかも現地の採集人の人の住居に寝泊まりしながら、日々採集に明け暮れるという、離れ業をいとも簡単にやってのけられております。
(実際は、そうとう厳しい生活を強いられたのかもしれませんが。)

 当然のことながら、現地の人と同じ食事を取り、高床式の住居ではあるといえ、ベッドらしきもので眠り、水洗でないトイレで用を足すわけですから、一般的日本の生活に慣れ親しんでいる者にとっては、それだけでもそうとうストレスのかかる過酷な生活状況が容易に想像されます。

 しかしながら、そのようなことは一切苦にせず、ひたすら毎日クワガタ観察、採集に明け暮れるバイタリティーには圧倒されてしまいます。

 いくら、日本で事前に予防注射を打って出かけると言っても、現地はどこもマラリアに感染する恐れもあることに加え、未知の生物に遭遇し、場合によっては死に至る病にかかることもあり得ると思います。ですから、体力もないうえ、虚弱体質である私から見れば、鈴木氏の身体は鋼でできているのではと思うぐらいです。いくら、お金を積まれても、絶対に行きたくない土地あることは確かです。

 それでも、そこに生息するクワガタは地域によって個体に変異が見られ、亜種も多いので、魅力的なところであることは間違いありません。

 そのような、体力と精神力が並外れた鈴木氏だからこそ書けた、大変貴重な著書であることは間違いありません。私のようにドルクス類だけでなく、キクロマトスやオドントラビス類にも大変深い知識を持っておられます。また、クワガタムシの生態を研究しておられる専門家との交流も多そうで、顔も大変広そうです。

 本著の大半が、観察と採集旅行記風に書かれておりますので、読むうちに、自分が採集に行っているような気持にもなれ、大変楽しく、興味深く読むことができました。
中でも、私が特にありがたく感じた箇所をご紹介させていただいて、書評に変えたいと思います。熱帯雨林気候帯のクワガタムシを飼育するには、一度は読んでおきたい貴重な一冊です。

アルキデスヒラタについて
本種の性格について言えることがあるとすれば、かなり湿度の高い環境を好む種でありそうだと言うことであろう。(中略)
本種は環境の変化に敏感で、木の周囲が切りかれて畑になるなどすると、他所へ移ってしまうと言う。これは、木の周囲が切り開かれて生息環境が乾燥してしまったためえはなかろうか。
本種は他のオオクワガタ属の種同様、ウロ占有性のクワガタムシである。

スマトラオオヒラタについて
本種は標高800m以下の低地に生息し、標高の高いところに生息するアルキデスヒラタとは棲み分けでおり、混生地がないことも興味深い。

熱帯のクワガタムシの生息環境と生態:
物理的な環境:
生物的な環境:
周期性とは:
分布(水平分布、垂直分布):

幼虫の生息環境と食性:ドルクス属について
パリーオオクワガタ、ライヒヒラタクワガタ、トラアキクスヒラタクワガタ、タウルスヒラタクワガタ、アルキデスヒラタクワガタ、ラマヒラタクワガタ等
 


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