「 新しい証拠が開示されないのが不思議 」

Jimmy


 昨日の理化学研究所(以下理研と略)の笹井副センター長(以下笹井さんと略)の記者会見を視聴していて、やはりSTAP細胞(正確にはSTAP現象)について、新しい証拠や事実は開示されませんでした。

 笹井さんの記者会見についての説明は、疑問点が明らかになる云々は置いておいて、質問に対する回答にしても、さすがに科学者らしい口調で論理的に答えておられたとの印象を受けました。年齢の違いもあると思いますが、先日の小保方さんの時の記者会見とは、大人と子供以上の差を感じられたのではないでしょうか。

 皆さんもよくご存じの2ちゃんねる掲示板では、STAP疑惑について様々なスレッドが乱立し、その内容についても読むに値する価値ある意見は100件に一つぐらいなような気がしますが、明らかに同意する意見としては、ネイチャー誌に投稿した論文の撤回に尽きると思います。

 STAP現象が実在し、その細胞を作製することが本当にできるのであれば、大変な発見であることは、素人(いちよう、京都の某国立大学工学部は出ておりますが)の私でも納得ができます。ならば、そのようなノーベル賞級の大発見にふさわしい、非の打ちどころのない論文にもう一度書き直して発表して欲しいと感じるのが、普通ではないでしょうか。

 誰も、もう二度と論文を発表するなとは言ってないのですから、そのぐらいのことは、理化学研究所のリーダーの地位にある科学者としては当たり前であり、税金と言う国からの補助金で研究している以上、業務上の責任でもあると思います。
 
 以上を鑑み、これまでの経緯を見る限り、小保方さんが論文の撤回に反対する真の理由は、以下の理由によると容易に類推されます。

 1) 論文を書く技術が未熟で、ネイチャー誌に発表するだけの執筆能力がない。
 2) 論文の内容がねつ造データに基づいているため、書き直すことが不可能。

 本人は、何の証拠も見せずにSTAP細胞はあるとお題目のように言い放っていますが、200回以上成功しているのならば、相当確度の高い証拠となるデータはそろっているとみなすのが、自然科学界の常識だと思います。

 また、STAP細胞の作成には、コツやレシピなるものが必要だが、教えられないと言うのが、聞いていて非常に胡散臭く感じます。本人は、次の論文を書くときに必要な情報だと弁明しておりますが、果たして今の状況で次の論文を書く機会が巡って来ると本気で考えているのでしょうか。

 記者会見の時も、涙を見せながら「理解してもらえるなら、今後も研究を続けて行きたい」と懇願したぐらいなのに、一方では既に次の研究の場で発表したいと、如何にも自分の疑惑が晴れるのを見越したかのような主張を展開し、その意志を明確に示すのは、非常に矛盾があると思います。

 企業であれば、コカ・コーラ(株)のように、原液の製造方法を特許にして公開せず、企業秘密にすることも選択肢としてはあると思います。しかし、国の研究所である理研としては、最終的に特許として出願し、その後に論文を発表するのが本筋だと考えます。

 賢明な皆さんは既にご存知だと思いますが、特許も出願すれば自動的に取得できるものではなく、まず特許出願として公開されるとともに、その技術を独占するための特許権を取得するためには、審査請求を特許庁に申請しなければなりません。そして、該当する特許出願に新規性や進歩性があるか否か、審査してもらう必要があるのです。その際に、コツやレシピなるものを、特許出願の範囲(いわゆるクレーム)に記載しておかないと、特許権を取得できない可能性はないも同然と考えられます。

  つまり、いくら特許出願をしたとしても、その出願の範囲を実施するための方法を詳細に記載しなければ、特許庁の審査官は審査請求を却下すると思います。

  STAP細胞についての国際特許出願は、すでに公開されていますので、ネット上から誰でも参照することができますが、特許については別の機会があれば、書かせていただこうと考えております。ちなみに、特許は誰が書いたのでしょうか?

  私も技術者の端くれとして、私見を述べさせていただくとすれば、小保方さんは自分にしかわからない、あるいは出来ないコツやレシピを持っていれば、理研を解雇されることはないと言う意識が働いているとしか思えません。理研もなめられたものだと思います。しかし、論文のねつ造と言う、決して踏み越えてはならない罪を犯した人を雇い続けた状況では、独立行政法人から特定国立研究開発法人に昇格できないことは、十分理解しているものと思われます。

  いずれにせよ、もう来週には再調査するか否かの回答も出ることですし、再調査せずに懲戒委員会で解雇処分が下った場合、民事訴訟に訴えることも想定済みでしょう。また、最後の手段として理研の組織運営体質暴露や、個人的なスキャンダルを暴こうと画策するかも知れませんが、それは理研が想定済みで、名誉棄損等で反訴する対策も考えていると思います。笹井さんも何かと被害を被るかも知れませんが、覚悟はしていると思いますし、理研が手放すはずありません。人間的にはどうであれ、大変優秀な科学者であることは、自他ともに認めるところなのですから、これからもしっかりと国のために働いてもらわなくてはならない人材です。
 
 小保方さんの去就が注目されるところです。

 以上です。
 


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