「 理化学研究所とSTAP論文作成者の巧妙な手口 」

Jimmy


 まず初めに、素朴な疑問を持ちました。なぜ、理化学研究所の調査委員会は、4月1日に結果報告の記者会見を開いたのでしょうか。今日と言う日は、消費税が8%に引き上げられる重要な日でもあり、マスコミもそちらに力を割かなければならないとわかっていたと思います。頭の良い人たちの集団ですので、うがった見方をすれば、この問題をできるだけ矮小化して、国民の記憶から早く忘れ去られたいという意図が感じられます。本来なら、一日ずらして翌日の4月2日でも良かったと考えている次第です。
 以下、本題です。まずは、4月1日付けNHKオンラインからの引用です。

 理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーらが発表したSTAP細胞の論文を巡ってはこれまでの調査で、細胞の万能性を示す研究の核心部分の写真が、小保方さんの博士論文の別の実験の写真と極めてよく似ていたことなどが分かっていて、調査委員会が不正の有無について調べていました。

 これについて1日会見した調査委員会の石井俊輔委員長は、万能性を示す写真が別の実験のものと極めてよく似ていた点について
間違えて使ったという小保方さんの説明は納得できず、データの信頼性を根本から損なう危険性を認識しながら行っていたといわざるを得ないと指摘し、ねつ造に当たる不正と認定しました。

 またSTAP細胞が、体の細胞からできたことを示したという
実験結果の写真が一部、切り貼りされていた点についてもきれいに見せたいという目的があったとして改ざんに当たる不正と認定しました。

 また調査委員会は、論文の共同著者で理化学研究所の笹井芳樹副センター長と山梨大学の
若山照彦教授の2人ついても、研究での不正行為はなかったがデータの正当性と正確性などについてみずから確認することなく論文を投稿していてその責任は重大だと指摘しました。(4月1日付けNHKオンラインから引用)


 注)文部科学省は8年前、研究の不正行為についてのガイドラインをまとめています。このガイドラインは
「ねつ造」について、存在しないデータ、研究結果などを作成すること、と定義しています。

 また、
「改ざん」については、研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果などを加工すること、としています。

 理化学研究所は、この文部科学省のガイドラインを踏まえて、不正行為の防止のための規程を設けていて、この中でも「ねつ造」、「改ざん」は同様に定義されています。(4月1日付けNHKオンラインから引用)

 今回、調査委員会は、以下の2つの点についてそれぞれ改ざんとねつ造に当たる不正があったと判断しました。
 このうち改ざんと判断されたのは、研究の核心部分の一つでSTAP細胞が体の細胞からできたことを示すための実験結果の画像が一部切り貼りされたうえ、縦の長さを変えるなどの操作が行われていたものです。
これについて
「科学的な考察と手順を踏まないものであることは明白だ」として、改ざんに当たる不正と判断しました。

 またねつ造と判断されたのは、STAP細胞の万能性を示したとする写真が、小保方さんの博士論文の写真と極めてよく似ていた点で
「実験条件の違いを小保方氏が認識していなかったとは考えがたい」としています。(4月1日付けNHKオンラインから引用)

 以上の理化学研究所調査委員会調査報告に対する小保方氏の反論

 STAP細胞を巡る問題で、不正があったと認定されたことについて、理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーは、「調査委員会の調査報告書を受け取りました。驚きと憤りの気持ちでいっぱいです。特に、研究不正と認定された2点については、理化学研究所の規程で、『研究不正』の対象外となる『悪意のない間違い』であるにもかかわらず、改ざん、ねつ造と決めつけられたことはとても承服できません。近日中に、理化学研究所に不服申立をします。このままでは、あたかもSTAP細胞の発見自体がねつ造であると誤解されかねず、到底容認できません」とするコメントを発表しました。

 また小保方研究ユニットリーダーは、レーンの挿入については、「Figure1iから得られる結果は、元データをそのまま掲載した場合に得られる結果と何も変わりません。
そもそも、改ざんするメリットは何もなく、改ざんの意図をもってFigure1iを作成する必要は全くありませんでした。
見やすい写真を示したいという考えからFigure1iを示したにすぎません」とコメントしています。 

 さらに、万能性を示す写真が博士論文の別の実験のものと極めてよく似ていた点については、「私は、論文1に掲載した画像が酸処理による実験で得られた真正な画像であると認識して掲載したもので、単純なミスであり、不正の目的も悪意もありませんでした。 

 真正な画像データが存在していることは中間報告書でも認められています。
したがって、画像データをねつ造する必要はありません。
そもそも、
この画像取り違えについては、外部から一切指摘のない時点で、私がみずから点検するなかでミスを発見し、ネイチャーと調査委員会に報告したものです」としています。
そのうえで、「論文中の不適切な記載と画像については、すでにすべて訂正を行い、平成26年3月9日、
執筆者全員から、ネイチャーに対して訂正論文を提出しています」としています。(4月1日付けNHKオンラインから引用)

 
皆さん、上記の記事をご覧になられていかが思われたでしょうか。すでに周知のこととは思いますが、報告書の発表から一日経過して、少しは冷静かつ客観的に見られるようになられたのではありませんでしょうか。

 
それは、小保方氏(以下小保方と略)当人についても言えることであると思うのですが、理化学研究所(以下理研と略)から3月31日に調査報告書を受け取り、翌日にその場で不服申し立てをするということは、すでに結果が想定内であったとも思われますし、報告書の内容を聞いて顔色が変わったとの様子を聞く限り、想定外であったとも受け取れます。
 前者であった場合、昔、「自己中心的」(通称ジコチュウ)と言う言葉がはやりましたが、まさにそのタイプに当てはまる性格(正しくは自我)を持ち合わせているのではないでしょうか。きっと、ねつ造、改ざんがあったと指摘されるとは、全く想像していなかったのでしょう。ただ、そのためにわざわざ弁護士を3人も雇うのは理解の範疇を超えております。
 
後者であった場合は、追いつめられて相当うろたえていることが読み取れます。この態度から類推すると、小保方は物事を理路整然と受け止め、落ち着いて考える思考能力が不足した人物としか思えません。 
 もちろん、人間であれば、誰でも自我(自己同一性)を持ち合わせているのが当たり前です。そして、その自我を守り防衛するために、人は攻撃的になると言うのも、心理学の分野では常識であって、それは怒りや憎しみとなって表現されます。
 「盗人猛々しい」とか、逆ギレと言う言葉がありますが、盗人には盗人の自我を持ち合わせていますので、追いつめられて自我を守るために逆ギレすると言うのは、自然な行動であるのです。
 詳細につきましては、精神分析で著名な心理学者の岸田秀先生の著作である、『保育器の中の大人』(朝日出版社)をお読みになられれば、非常によく理解できると思います。
 
私がもっとも小保方と言う人物の常識を疑うのは、研究の核心部分の重要写真を、「単純なミス」で取り違えたと言い切るところです。
 研究者でなくとも、自分が成し得た、最も重要な成果を表現する箇所を間違うでしょうか。普通なら、穴があくほど見直して、間違いがないか確認すると思うのですが、違うでしょうか。理研が納得いかないという結論を出したのももっともだと思います。
 
常識ある科学者、いや科学者でなくとも責任ある仕事を任せられた社会人ならば、非常に恥ずかしい、お粗末な回答です。

 
次は、理研の回答についてですが、やはり想定通りの内容だったと思いました。これも至極当たり前の事実ですが、組織の幹部は自分の所属する組織を守ることを最大の使命として行動することです。例えば、自分の所属する会社の社長や幹部が、一社員の不正行為を正すために、会社をつぶすようなことを、たとえ正義の御旗のためにと言いながら実行するでしょうか。ほかの社員はたまったものではありません。
 理研に取って、最も傷口の浅い手当の方法は、小保方にすべての責任を負わせることだったのでしょう。
 そして、本当に優秀かつ有能(立ち回り術も含めて)な人間とみなされた若山教授、笹井副センター長は、共同執筆者であるにもかかわらず、いわゆる免職にはならずに懲戒処分と降格、あるいは訓戒処分や減俸程度で済まされるのではないかと思います。 
 上記の二人は、今回のねつ造事件で明らかに戦犯なのですが、謝罪文にもあるように、重箱の隅々までつつくように論文を見なかったのだと思います。これは、明らかに職務怠慢です。
 下世話な話になって恐縮ですが、もし小保方が男性研究者なら、二人は徹底的に査読していたかもしれません。きっと、その心根には女性の共同研究者から嫌われたくないという深層心理も働いたような気が致します。たとえ、研究所と言えども職場の人間関係を悪くしたいと思っている人は、ほとんどいないからです。

 いずれにせよ、近日中の不服申し立て時の前後には、小保方本人が会見すると代理人の弁護士が話しているようなので、ぜひ本人の口から現在の心境を聞いてみたいところです。ただ、事前に弁護士からレクチャーを受けて、余計なことは話さないように念を押されるでしょうから、内容の伴わない形だけの会見になることは明らかだと思います。本人の口から、真実が明かされるなどと言う幻想を持ってはいけません。
 また、本人の体調不良で会見中止と言うドタキャンも十分あり得ると思います。

 それにしても、小保方と言う人は不思議な人ですね。自分に対して向けられた疑惑なのですから、自らさっさと記者会見を開いて、事実関係を説明すれば良いものを、わざわざ上層部に時間とお金をかけて調査させておきながら、その結果に不服を申し立てるとは、現在自分の置かれている立場を全く認識していないとしか想像できません。
 
以上です。
 


b-home3.gif (768 バイト) トップページへ