「産卵木を使用する時のちょっとした工夫(2014_7)」

Jimmy


 オオクワガタやヒラタクワガタを産卵させるためには、一般的に産卵木と呼ばれるシイタケ栽培に使用した榾木(ほだぎ)、朽木を利用するのが一般的です。市販の書籍やインターネット上のホームページで公開されている産卵木の埋め込み方法を読んでみると、埋め込む前の前処理として、水やお湯に半日ほど浸け込んで一日ほど自然乾燥させる方法や、電子レンジで加熱する方法が紹介されておりますが、これらは一様に産卵木の中に棲息しているクワガタムシの幼虫に取って、害虫となる虫を殺すためと見られています。

 皆さんも良くご存知だと思いますが、あの悪名高いコメツキムシやキマワリ、ゴミムシダマシ等の幼虫は、クワガタムシの幼虫に取って天敵とも言える虫であり、被害に遭われた方も大勢おられるのではないでしょうか。私もその中の一人なのですが、これまでマニュアル通りに産卵木を水に浸け込んで使用していたにも関わらず、被害に何度も遭いました。そのような事情もあって、最近は産卵木を水に浸け込むことは実行しておりません。

 かと言って、電子レンジで加熱することも試していないのが現状です。この方法は確かに効果がありそうに思うのですが、何しろ一般的なご家庭では、電子レンジは調理用に一台しかないはずであるとともに、その所有者は奥様であることがほとんどだと思います。そのような状況で、産卵木を電子レンジで加熱したことが知れると、後でどのような事態が起こるかは、容易に想像されると思います。
 そこで、今一度原点に立ち返って産卵木を埋め込む前の前処理について考えてみたところ、以下のような結論に達しました。

 
 結論: 害虫を駆除するために水に浸け込む必要(意味)はない。

 どうしても心配だと言う方には、無理を承知で電子レンジ使用許可を奥方様に懇願するのも良いでしょう。場所と資金に余裕のある方は、専用の電子レンジを購入するのも良いかも知れません。どちらも実現不可能であると言う方(私も含む)は、気の長い話になりますが、産卵木を出来る限り長期間乾燥させると言う方法があると思います。具体的にどのぐらいの期間が良いかは、まだ実験段階なので断定できませんが、3年ほど置いておけば良いのではないかと思います。

 前述したように、クワガタムシ幼虫の天敵は、水に半日ほど浸け込んだぐらいでは、おそらく死なないと考えておりますし、それはこれまで実際に何度も経験している事実です。それならば、いっそのこと天敵が羽化して産卵木の中から出て来るまで待つと言うのも、ひとつの手ではないかと思うのです。天敵の正確な生態を知っている訳ではありませんので、断定することは出来ませんが、3年待てば、ほぼすべての天敵の幼虫も羽化して外に出て行くと考えております。実際にそのような産卵木には、天敵が出て行った穴が空いているので、目で見て確認することが可能です。

 気の長い話で恐縮ですが、3年と言わず1年待つだけでもかなり効果があると見ております。実際に私は飼育を再開してから2年しか経っておりませんので、3年待った訳ではありません。それでも、1年前に購入した産卵木から天敵が出て来ているのを確認しました。今年使用している産卵木は、ほとんど昨年購入したものばかりで、昨年は被害に遭いましたが、幸い今年はまだ無事です。

 最近は、シイタケの原木栽培が減少し、特に野外での伏せ込み栽培よりも室内での栽培が圧倒的になり、害虫の混入も昔よりは少なくなったと思います。その分、購入してからすぐに使用しても大丈夫な産卵木が増えていると思いますが、やはり質の良い産卵木は高価であることも事実です。趣味とは言え、なるべく安く済むのであればそれに越したことはないと思いますので、継続して累代飼育を考えておられる方は、ぜひ一度ご検討ください。

 補足: 産卵木を水に浸け込む方法は、単に害虫を駆除するだけでなく、産卵木自体に水分を含ませて、湿らせると言う別の意味があるのも事実です。しかし、あまり湿らせすぎると、ヒラタクワガタはもちろん、オオクワガタなどはほとんど産卵してくれません。私自身、最近になって知ったのですが、湿らせる程度であれば、産卵木の木口(切断面)に水をかけてやれば、木材の組織の性質から自然に浸み込んで行きます。時には、浸み込ませた反対方向から水が滴り出て来ることもよくありますので、そのぐらいで十分だと考えておりますし、実際にこの方法で産卵木をセットした方が、良く産卵してくれることも、実績として確認しました。何かのご参考になれば幸いです。
 

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