「ナラオオ(旧奈良オオクワセンター)の終焉 」

Jimmy


 一昨日、10数年来のクワ友である生駒山氏からメールをいただき、ナラオオドットコム(旧奈良オオクワセンター)が廃業になったことを知りました。数年前より噂では聞いておりましたが、とうとう来るべき時が来たという感じです。

ナラオオドットコム(以下奈良オオ)が、ここまで来るに至った原因は、いったい何だったのでしょうか。自分なりに考えてみました。

1.業容を上回る設備投資の失敗

 クワガタブーム最盛期には、誰しもこのブームは何時か終わると感じておられたと思います。しかしながら、奈良オオはそれに反して、菌糸ビンや飼育ゼリー、マットを始めとするオリジナルの飼育材料を自社生産しようと、過剰な設備投資を行い過ぎたのではないでしょうか。
 私は個人的に川並さんに対する印象は悪くありませんが、経営者としてはその能力に欠けるものがあったと考えざるを得ません。ブームは必ず終わりが来るぐらい簡単な事実を、なぜ気が付かなかったのか。本人の性格もあると思いますが、当時、その周囲にいた取り巻きの連中にも、都合のよいことばかりを聞かされ、ついその気になって突っ走ったのだろうと想像しております。

2.東京進出の挫折

 1.と関連していますが、川並さんがそうしたかったのか、それとも胡散臭い連中にまんまと引っかかったのか、おそらく両方なのでしょう。東京を中心とする関東にも、昔からクワガタ飼育販売を生業としている業者が数多く存在していることは、十分に解っていたと思います。そのテリトリーに割って入ろうとする訳ですから、自ずと風当たりもきつくなるものです。いわば、ケンカを売りに行ったようなものでしょう。川並さんは、事前に根回しをしていたのでしょうか。当時は飛ぶ鳥も落とすような勢いだったので、それも怠ったのか、もしくは不十分だったと考えられます。やはり、仁義を切らなくてはなりません。そして、今で言うところのマーケティングも疎かにしたであろうために、結果として東京進出は果たせたものの、長く続かなかったのだと思っています。

3.違法昆虫の密輸による逮捕

 詳細は全く知りません。特に興味がないからですが、一般的に言って、株式会社の最高責任者である経営者が逮捕されるような会社には、銀行をはじめとする金融機関が取引をしてくれなくなるのは、当たり前のことです。そのリスクを背負ってまで、危ない橋を渡る必要が果たしてあったのでしょうか。少なくとも経営者である限り、社員やその家族の生活を保障しているのだと言う、社会的、道義的責任を果たさなくてはなりません。会社は自分一人のものではないのです。それがいやなら、元から会社組織にしなければよかったまでのことでしょう。その点からしても、経営者としての自覚が足りなかったと言わざるを得ません。


 私が考える原因は、大きく分けて以上の3点に集約されますが、皆さんはいかがお考えでしょうか。せっかく、一代でここま築き上げた立派な会社組織を、たった10年足らずで消滅させてしまうのは、本当に惜しいことです。ブームが下火になったとは言え、今でもカブト・クワガタ虫飼育を趣味にしている人はまだまだいます。ブームも景気と同じように波があると思うので、またそのうちに再燃するとも限りません。それを見越してこそ、真の経営者ではないでしょうか。業容を順調に拡大させて行ける会社は、やはり経営者一人だけの判断ではなく、その周りのブレーンがどれだけ優秀であり、かつその意見に耳を傾ける分析力、判断力、実行力にかかっているような気が致します。

 最後に、私は今も手元にコピーで作られた奈良オオのプライスリスト(奈良オオクワニュースと呼んでいたもの)から、製本された立派な最近の総合カタログまで、すべて捨てずに残しております。もう、使い道はなくなってしまいましたが、かつての良き時代を時々思い出すためにも、死ぬまで記念に取って置こうと考える今日この頃です。

 
一世を風靡した奈良オオクワセンター ありがとうございました。 さようなら。


奈良地裁より債権者に引き渡された物件である旨の告知書

 

 

『強者どもが夢のあと』になった、かつての奈良オオの敷地
 



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