「 ミヤマクワガタが環境変化で急減? 」

Jimmy


 
 毎日新聞(2014年08月04日付け)に興味ある記事が掲載されていましたので、ご参考にお知らせ致します。(以下、毎日新聞より引用) 

 日本の代表的なクワガタムシである「ノコギリクワガタ」と「ミヤマクワガタ」に、明暗が生じている。ミヤマが近年、全国的に急減しているのだ。地球温暖化など環境変化の影響とみられるが、立命館大の本郷儀人(よしひと)・非常勤講師(37)=動物行動学=は、雄同士の戦いでノコギリがミヤマを圧倒し、森の餌場争いを制していると唱えている。

 本郷講師はノコギリとミヤマの雄を実験用の餌台に置き、戦いをビデオ撮影した。結果は、119戦で79対40。ノコギリがダブルスコアで圧勝した。ノコギリは、大あごで相手を背中側から挟む「上手投げ」と、腹側から挟む「下手投げ」の2種類の技を使い分けるが、ミヤマは上手投げしか使えない。ミヤマは自分の体の上からかぶさってきた相手を、大あごで挟むことができないらしい。

 本郷講師は2002年以降、京都市の2地点の雑木林で、夜に樹液をなめに集まるクワガタの個体数を調べてきた。餌場でノコギリとミヤマが争う様子を頻繁に観察したという。「餌場は雄と雌の出会いの場だ。宅地開発などで餌場が減少する中、ノコギリにミヤマの雄が追い出され、雌に出会う機会が減っているのではないか」と話す。

 本郷講師によると、2地点のクワガタの数は毎年50匹程度で横ばいだが、06年までノコギリの約1.5倍いたミヤマは次第に減少。09年には逆転してノコギリの7割程度になり、11年以降はほぼ見かけなくなったという。

 国立環境研究所の五箇(ごか)公一・主席研究員(保全生態学)によると、ミヤマの減少傾向は全国の愛好家から報告されている。ミヤマは北方系のクワガタで高山帯を好み、幼虫は気温が25度を超えると死亡率が高まる。一方、ノコギリは南方系で比較的高温に強く、「温暖化の影響でクワガタの分布が変わり、ノコギリがミヤマの生息地に進出しているのでは」と指摘する。

 クワガタの生態に詳しい荒谷(あらや)邦雄・九州大教授も、温暖化の影響で西日本の平野部などでミヤマが減少していると指摘する。その上で「ノコギリが勢力を増す中、雄同士の餌場での戦いの結果が、ミヤマへのとどめになる可能性がある」と話している。【斎藤広子】

 
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(毎日新聞より引用終わり)

 私は夏の樹液採集が苦手(スズメバチと蛾が怖い)なので、昔から採集にはあまり出かけたことがありません。それでもノコギリクワガタ、ミヤマクワガタを採集した経験は数少ないのですがありました。ミヤマクワガタは深山の名の由来通りに、どちらかと言うと標高が少し高い場所の雑木林などで採集し、ノコギリクワガタは標高の低い場所にある雑木林で採集したような記憶があります。なので、例えば同じ雑木林で両方のクワガタを採集した経験は残念ながらありません。

 採集の仕方は、どちらのクワガタも夜間の樹液採集が中心でしたが、ミヤマクワガタについては比較的昼間も行動していることが多く、樹液の出ていないような細いクヌギやコナラ、サクラの木を足で蹴ると、「バサッ」と言う音とともに地面に落下して来て死んだふりをします。その間に見つけて採集するわけですが、地面が雑草等で覆われていると、見つけ出すのは非常に困難だったのを覚えています。

 以下は個人的見解なので、興味のない方は無視していただきたいのですが、元々ミヤマクワガタとノコギリクワガタは生息環境が異なる種であるため、空間的棲み分け、または時間的棲み分けをしてそれぞれ生息していたものと思われます。

 空間的棲み分けでは、まさに生息する雑木林の標高差が異なっている(重なっているところもあると思います)ことを意味しています。また、時間的棲み分けでは、同じ地域内に生息していた場合であっても、エサを求めて樹液等に集まる時刻(時間)がずれているため、双方が出くわすことはそれほど多くないことを意味しています。

 よって、上記の記事のようにミヤマクワガタがノコギリクワガタによって絶滅に追い込まれるようなことは、自然界では決して起こらない現象であると考えています。たとえ、地球温暖化(これも疑わしいですが)の影響を受けて、生息地域に変化が見られたとしても、ミヤマクワガタは自分たちが生息するのに適する地域に移動してでも生存し続けて行くものと考えております。

 クワガタムシも生物である限り、何の抵抗もせずに絶滅への道を選ぶほどバカではありません。どのような種でも良いから、一度クワガタを10年間程度累代飼育してみれば、クワガタムシの生態が僅かであっても理解できるのではないでしょうか。クワガタムシが10頭いれば、10通りの異なる性質を持っているように経験上感じられます。クワガタムシは決して大量生産できる無機物ではありません。擬人化して言えば、それぞれ個性を持っていて、おとなしい者や気性の荒い者、その中間の者など千差万別です。

 動物を絶滅に追い込むのは、地球的規模で起きる突発的自然現象(隕石の衝突など)か、人間による人為的生息環境破壊(特に、大規模な宅地開発、道路開発などの公共事業など)ぐらいなもので、頻度からすれば後者が圧倒的に多いと思います。地球温暖化すら、人間による環境破壊が原因のようなものと考えられますので、結局元を正せばすべての原因は我々ホモサピエンスが作る出していると言っても過言ではないでしょうか。

 補足: クワガタムシの採集に詳しい人、達人、鉄人と称されるような人なら、きっとよくご存じかと思いますが、夏場の森の餌場争いを制しているのはミヤマクワガタでもノコギリクワガタでもなく、間違いなくカブトムシです。カブトムシが羽化して出て来る頃は、ノコギリクワガタの数も一時的に減少し、寿命の短いカブトムシがいなくなる頃、再びノコギリクワガタやミヤマクワガタが出現してくるように、これまでの拙い採集経験では感じております。
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