「 山中教授がやる気をなくせば、日本の再生医療は崩壊する 」

Jimmy


 
  まず初めに、2014年4月28日午後7時のNHKニュースからの引用です。

 京都大学のiPS細胞研究所は、山中伸弥教授が14年前に発表した論文に不自然な画像があるとインターネット上で指摘されていたことについて、論文の内容が正しいことに疑いの余地はないとする調査結果を発表しました。

 一方、画像の元となる実験データは示すことができず、山中教授は、会見で共同研究者のノートが保存されていなかったとして「心より反省し、おわび申し上げます」と謝罪しました。

 28日に会見した京都大学iPS細胞研究所によりますと、山中教授が14年前の平成12年に発表した万能細胞の1つ、ES細胞に関する論文で、画像の一部が切り貼りされたのではないかなどの指摘をインターネットで受けていたということです。

 研究所は、山中教授の申し出を受け調査したところ、指摘された画像については切り貼りは確認されず、一連の実験が行われていたことも山中教授の過去のノートで確認できたなどとして、論文内容が正しいことに疑いの余地はないとしています。

 一方で、画像の元となる実験データについては、当時の共同研究者の実験ノートが保存されていないことなどから示すことができず、遺憾だとしました。
これについて、会見に同席した山中教授は、「ノートをしっかり取って、いつでも示せるよう私の研究所でも非常に強く指導している。そうしたなかで、今回、私自身の論文に関するデータを出せないというのは、研究所の人たちに対しても本当に申し訳ない。心より反省し、おわび申し上げます」と謝罪しました。

 

 (引用終わり)

 

 インターネットの中には、卑怯にも自分の身元も明かさず、一方的に他人の業績をあら捜しする無責任極まりないクズ(噂によると11jigenとかふざけたハンドルネームの輩)どもが蔓延していることは、賢明な皆さんもご承知のことと存じますが、こともあろうに、かのiPS細胞を発見した山中教授の論文、しかも14年も前のiPS細胞とは直接関係のない万能細胞の1つ、ES細胞に関する論文について、不正があったなどと言いがかりをつける輩がいることを知り、怒りに震えております。
 
 それにしても、何と山中教授は聡明な研究者でいらっしゃるのでしょう。14年も前の実験研究ノートを、段ボール箱5箱分も今もお持ちであるところが驚嘆に値すると言っても過言ではないでしょうか。研究者ならずとも、皆さんお仕事で大切な資料をお持ちだと思いますが、10年以上も前の資料を残らず持っておられる方は、数少ないのではないでしょうか。経理関連の帳簿資料でさえも、保存期間は7年間と法律で決められており、それ以上前のものについては破棄しても罪に問われることはありません。だいたい、それだけ膨大な資料を置かせておく場所を確保することも、今日では困難になりつつあり、一部では電子データ化されつつあるのが現状です。

 山中教授が保存しておられなかったのは、14年前にES細胞の研究をしている際の、学生や外国人留学生等の共同研究者のノートを保存していなかったことに、責任を痛感して謝罪しておられるのですが、共同研究者と言えども、他人の研究ノートを取り上げるなど、信頼関係で成り立っている仲間同士で、容易に言い出せるものでしょうか。当時はそのような決まりもなかったでしょうし、下手をすると、それまで築き上げてきた人間関係が崩れ去ることも考えられます。それに、当時の山中教授には、そこまでの権限もなかったのかも知れません。

 この一件には、例の独立行政法人理化学研究所(以下理研)と、その所員である小保方さん(以下小保方)のSTAP細胞論文ねつ造疑惑が絡んでいることは、誰の目にも明らかだと思います。しかしながら、皆さん冷静になって考えてください。14年も前の研究論文作成の実験ノートを段ボール箱5箱保存されておられる山中教授と、約3年前から現在も続けている研究の実験ノートがたった2冊しかない者を、同じ研究者としての土台に乗せて、論じられるでしょうか。

 それは、あまりにも山中教授に対して失礼千万としか言いようがありません。たとえるとすれば、保育園児のお絵かきと、大学の理科系学部一般教養で学ぶシュレーディンガー方程式の解を求めるような程度の開きがあると、率直に感じました。

 私が心配するのは、この件で山中教授が研究に嫌気がさして、iPS細胞研究が停滞、あるいは最悪の場合停止することです。ようやく、臨床試験段階までこぎ着けた、
iPS細胞による再生医学。難病に苦しみ、これに一縷の望みを繋いでられれる方が、国内、いや世界中にどのぐらいおられるのでしょうか。各言う当方も、左目が突発性の滲出型加齢黄斑変性疾患によって、物体がまともに見ることが出来ません。既存の治療方法では、進行を遅らせるぐらいしか手段がないのが現状です。

 そのような絶望的な環境の中、初めて夢と希望を持たせる治療方法が見つかりました。それこそ、山中教授が発見、開発されたiPS細胞によるなのです。もちろん、安全性が確立され一般の人が安心して治療を受けられるまでには、まだ長い年月がかかるでしょう。それまで、生きているかどうかわかりません。しかし、少なくとも望みを持たせてくれる治療法が見つかりそうになっている現在、下衆で卑しい者や、それを擁護する組織や某大学のために順調に進みつつある研究が、停滞あるいは消滅してしまうことは、慙愧の念に堪えない、悲しい思いです。

 山中教授を始め、 京都大学iPS細胞研究所の研究者、及び職員の皆々様には、どうかこれからもくだらない誹謗や中傷、妬みややっかみに屈することなく、難病に苦しんでいる数多くの患者さんのためにも、研究に邁進されることを心より願う次第です。どうかよろしくお願い致します。
  


b-home3.gif (768 バイト) トップページへ