★★★★★★★★とうとうやった!!★★★★★★★★

「九州オオクワ タコ取れ採集報告」

ヒラタの鉄人(九州オオクワ探検隊所属)


 去る平成11年4月4日(日)、九州のとある場所に、九州隊にて朽ち木採集を行いました。
当初は「幼虫が一頭でも採れたらいいなー」ぐらいの気持でしたが、まさか、成虫幼虫タコ採れするとは・・・・
早速、当時の模様を報告します。尚、今回採集地保護の為、できるだけ周囲の風景が写った写真は使用しておりませんので、多少つまらないかもしれませんが、ご了承いただきたいと思います。
 
 そもそも、今回の採集は緊急だった為、隊員であるタイメン氏、沖縄に転勤してしまった沖縄支部長、結婚間近の大統領氏が参加できなかった事は非常に残念な事であった。

 今回、緊急出動となった背景として、九州隊にて昨年末に、とある場所にて朽ち木採集を行った時、採集された幼虫(2頭はわりと大きな♀、1頭は初令幼虫の計3頭)の2♀が蛹となったのが3月初旬。♀はいづれもかなり大きかったので、オオクワの可能性もある・・・と思っていた訳だが、もう1頭がえらく小さかった上に、コクワ♀の死骸も出てきたので、隊員も小生も「コクワだろうな〜」といいつつ、小生が全て持ち帰って飼育していた訳である。

 ♀もひょっとしたら・・・でもヒラタかも!等と思いながらも、採集された場所が、クヌギ大木の地上2m程の高さの朽ちた部分からだったので、「ひょっとしたら・・・」と期待しつつ、Jimmyさんに採集された場所条件等を伝えてみたら、「オオクワの可能性が高いのでは?」との返事だったので、ワクワクしながら羽化を待っていた。3月27日朝、1♀が羽化した!

 まだ白いので、そっとしておいた。翌日・・・羽化した♀が背中を見せた!
ガラスビンごしに羽をみた瞬間!目の前が真っ白に・・・
羽に筋がくっきり・・・


 「うぉぉぉ!オオクワだぁ!」、慌てて隊員達にメールを流し、携帯電話に緊急連絡を入れた!皆「やったぁ・・・」と喜んでいたが、隊長はまだ信じられないみたいで、「コクワと見間違っとっちゃないとぉ?」とやたら聞いてくる・・
「間違いないよ!」と伝え、さらに小さかった一頭も久しぶりに見たら、馬鹿デカクなっている。(コクワ幼虫では無い!)この事実を伝え、こうなったら行くしか無い!という事で今回の緊急採集が無理矢理決まった次第である。
私は、週末は花見の予定だったが、1日キャンセルして、参加することにした。

 4月4日・・・目を覚まして時計を見たら、朝の7時・・・昨晩4時(ついさっきまで)に夜桜バーベQから帰ってきた疲れが少々残っていたので、布団の中でボーっとしていると、電話が・・・・ドツキ棒さんからだったが・・・

 「まだ来んと〜?」あれ、8時にドツキ棒氏の家に行く約束をしていた私は変だなあと思っていたら、「もう8時過ぎとうとバイ」・・・他の時計を見たら何と8時30分・・・げっ!目覚し時計が狂っていた!!大慌てで着替えて車に乗り、ドツキ棒氏の家に向かう!そこで車を彼のワゴンに乗り換えて、隊長を迎えに行き、一路ポイントへ向かった!

 すぐに、ハーレーさんから電話があり、待ち合わせ場所を確認して、昼前に待ち合わせ場所に到着、ハーレーさんと合流。前日彼から「菌糸ビンが足りなくなった!」との連絡を受けていたので、数本自作菌糸ビンを持参してあげた訳だが、どさくさまぎれに(湧き出て困っている)スマトラ幼虫を渡そうとすると・・・「もう勘弁してくださいよ〜!」と泣きそうになっている!!(^^);

 まあせっかく持ってきたんだから、といぶかるハーレー氏をなだめて無理矢理手渡してしまった(^^)。彼には飛ばしは効かないので、直接手渡し攻撃が有効手段のようである。

 何はともあれ、前回の採集地点に向かう。するとその手前数百メートルの所に良さそうなクヌギ林(林というより、道路下の畑に10数本太いクヌギ)が立っている。

 「ちょっと散策してみよう・・・」と言うことで車を停めて、散策開始!木は立派で、日当たり良好!あちこち樹液を出してる痕、ウロも開いている。「こりゃー何かおるバイ!」と皆で言いながら、チェックをしていると、隊長がいきなり木に登り、「穴が開いとうバイ、懐中電灯は?・・・おおっ!もう樹液出とうバイ!あっ、穴の中にクワがいる・・・逃げられた!!」

 まあ、恐らくヒラタかコクワかなあと皆で言いながら、結局夏の樹液採集が楽しみな所だな・・・という事で落ち着きそうになったが、道路に一番近い立ち枯れクヌギが気になったので、(固そうだったが)鉈を入れてみた。

 すると意外に柔らかい!新しい斧を購入したドツキ棒氏に任せて、彼の仕事ぶりを皆で眺めていた所、何か死骸が出てきた。皆で覗くと、後ろ羽の部分のみのクワ♀の死骸!
でも背中にくっきり筋が・・・・
「オオクワやが〜」と皆で叫んでしまった。「この木、オオクワおるばい!」

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<出てきたオオクワ♀の死骸>

 
 がぜん元気が出た我々は、それぞれが鉈を手に持ち、少しずつ削っていった。すると、クヌギの皮をめくった下からは食痕がたくさん出てきた。ここから危険なので、鉈よりもノミを使用することになる。隊長がノミを使用して慎重に削っていく・・・・程なく、「いた!結構大きい」との声に覗くと幼虫が・・・小枝を噛ませて、釣り上げて私の手に乗せた。いつも私が幼虫の持ち帰り役をやらされている訳でして(^^)

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<結構削った立ち枯れクヌギ、画面からではわからないが、中に幼虫がいる>


 新規隊員のたいめんさんが参加していたら、全て彼に任せたかもしれないが、普段コクワばかり持ち帰らされているいるたいめんさんにとっては、釣りに行ってしまった事が後々で重大な過ちであったという事になるのであるが、その頃彼は知る由もなかったであろう!!
とりあえず、出てきた幼虫は、小生が用意したケースに入れておいた。
 
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<出てきた幼虫・・・2令後半くらいか・・・まあまあ>


 ドツキ棒氏の斧が一番強烈なので、彼に「この皮をはずして欲しい」と皆で依頼して、彼に2、3発斧を入れてもらった。
ドカッ!バキバキ!と皮をはぐと・・・・ドツキ棒氏が「しまったー!」と大声でわめいたので、見ると何かの成虫を真っ二つにしてしまっている・・・
隊長がすぐに取り出すと、まだ足をばたつかせて、動いている!!
「ぎょえーっ、オオクワやがーっ!なんて事だぁ・・・」
見たら、上半身のみとなったちびオオクワの♂が足をばたばたさせてもがいていた!!

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<無残にも真っ二つになったオオクワ♂・・・30mm程度か?>


 真っ二つにしたドツキ棒氏は、とんでも無い事をしてしまった・・とショックを隠し切れない様子。探検隊初の成虫ゲットを逃した責任を感じているのか無言になった彼をはげますかのごとく、全員であちこちから鉈を入れてみた所、隊長が地上から30cmくらいの高さの所を気にして、しきりにノミを入れている・・・「よう朽ちとうね〜・・・バリバリの天然菌糸ビン状態バイ」・・・掻き出す木屑は白く菌糸が廻っており、匂うとまさにヒラタケ菌糸ビン(自分で作成しているので匂い慣れている)そのものの匂いであった。

 すると次の瞬間、隊長が「出たっ!出たぞ〜」とわめき散らした!

 小生も覗くと、オオクワのつのが・・・・・慎重に引っ張り出すと・・・・
「ぎょえ〜でっけぇ!」

ノミとトンカチをその場放り投げ、小生に向かって、「やったぁ!」とわめきながら近づいてきたので、握手でもするのかと思ったら、いきなり抱き着いて来た!

気が付くと全員4人共、抱き合って喜んでしまった。

 

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<朽ち木の中から取り出したばかりのオオクワ♂、新成虫>


 道路を歩いている人からは、間違いなく変な宗教団体か、モーホーの集団が木の前で抱き合っているとしか写らなかったであろう。皆それぞれ手に取って、九州ワイルドオオクワの感触を味わっている。

 それにしてもでかい!隊員達は、これは70mmくらいだの68mmだのいろいろ推測していた。小生は、63〜65mmかなと推測し、後に隊長が計って皆に教えるという事になった。
ツノをもつと、やたら力が強い!「強ぇ〜」と皆びっくりしている。足をたたんでものすごく強い!まさにヒラタかそれ以上である。 隊員達も、オオクワをブリードしている訳だが、こんなに強いオオクワはいないよ・・第一向かってくるぞ!・・・ともう感無量であった。

 小生が、出てきたウロ付近にオオクワを置いて、デジカメで撮影している間に隊員達は、それぞれの携帯電話で、奥さん、沖縄支部長、大統領、友人等に天然オオクワゲットの一報を入れている
  

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<同じオオクワ・・・結局は64mmだった>


 小生も、今頃海の上にいると思われるタイメン氏に電話したが、残念ながら届かなかった。
しばらく余韻に浸っていたが、出てきた蛹室の10cm程下辺りを再度隊長がノミを入れて行くと「うわっ!また出た〜」の大声!

 皆一斉に集合して、覗き込む!するとまたまたツノが出ている!どうやって出そうか・・・・考えていると、ハーレーさんが「この♂・・・死んでますよ!目が白いですよ」ガーン、引っ張り出したら、60mmくらいの中歯型の♂であったが、羽化した後、出てこれなかったのか、はたまた羽化不全だったのか・・・・残念である。

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<オオクワ60mm♂の死骸 ・・・・無念>


 残念ながら☆であったが、これでこの木はオオクワだらけだ!と確信が持てた我々は、さらにあちこちから鉈を入れる。64mm♂が出てきた10cm程上を削っていたハーレーさんとドツキ棒氏が、「いたっ!今度は幼虫」「こっちもだ!」
慌てて、幼虫入れ(小型のルアーケース)を持って右往左往する私・・・・・
「またいた」「こっちも」・・・ぼろぼろ1令〜2令程の幼虫が蛹室周辺から出てくる。その都度、小生がケースを差し出して、掘り出した菌糸おがくずもいっしょに詰め込み、6頭入りのケースは満杯!それでも、隊員たちの幼虫掘り出し攻撃はまだまだ続く!! 
  

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<プロ並みのフィンガーテクニックで幼虫を取り出すハーレーさん・・・>
( これで女性も落としているらしい(^^;; )


 皆、幼虫を取り出すと、私に持ってくる・・・「もうケースが無い!」と私も真っ青!っとコンビニの袋があった・・・じゃあ、コンビニの袋の中に根元に落ちた菌床おがくずをせっせと私が詰め込み、幼虫の寝床の準備をすると早速隊員達が手に持っていた幼虫を中に入れている・・・

 小生も、日当たり側に鉈を入れてみたが、出てくるのは、タマムシとカナブンの幼虫ばかりであった。恐らくJimmyさんの怨念にとりつかれているせいかも知れない(^^)この幼虫、全部寝屋川に飛ばそうか・・・等と考えていると、また「いたぞ!でかい」の声!覗くと、♂のつのが見えて、穴の中でふんばっている。慎重にノミで削って、取り出すと、立派な中歯型のオオクワ♂であった。しかも、めちゃ強い!
 

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<また出てきたオオクワ♂ これは私が持ち帰った。サイズが56mm>


 なんじゃぁ、まるでコクワみたいにオオクワが湧き出て来る。今までのコクワタコ採れ採集のうっぷんを晴らすかのようなオオクワタコ採れである。

 小生は、この感動を他に伝えるべくデジカメを持って、右往左往していた。でも、隊員達の幼虫取り出し攻撃はまだ続く!

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<幼虫を取り出す隊員達。左からオオクワを手に持つ隊長、ドツキ棒氏、ハーレー氏>


 もう隊員達の顔がにやけっぱなしである。幼虫も、小生が持ってきたフィルムケースが2個あったので、あと2匹だけという事で・・・・あっという間に採集して、とりあえず、終了!時計をみたら4時近くになっていた。
 

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<成虫が出てきた蛹室、上から順に56mm、64mm、60mmが出てきた。>
<その周囲は幼虫だらけである>


 これ以上やったら、更に成虫、幼虫が出てくるのは明白であったが、我々は業者ではないので必要以上な採集はやりたくないし・・・せっかくの環境を破壊してしまうので、できるだけ埋め戻して(ウロをふさいで)やった。実は、腹が減ったのでお開きにした・・という説もある!

 それから、写真からわかるかもしれないが、正に菌床のクヌギといった感じで色、匂い、朽ち加減、まさにそのものズバリでした。やはりこういう朽ち木にオオクワは生息するんだなあ!と実感できた今回の採集であった。

 結果、この木一本から、出てきたオオクワ成虫5匹、幼虫十数頭であった。
 

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<久しぶりに登場します・・・左から私、ハーレーさん、隊長>


 隊長は、奥さんに電話したら、「これで、目標がなくなっちゃったね!」と言われたそうであるが、「じょうだんじゃねぇ!これでオオクワ採集に自信がついた!本番はこれからたい!」と何とも頼もしい言葉である。

 その後、恒例の焼き肉屋へ行って、食べ放題、飲み放題にて吐きそうになるまで飲み食いしてしまった!祝賀焼き肉会での隊員の感想では、オオクワは採れてもせいぜい一夏に1、2匹程度だと思っていた訳だが、それが始めての成虫採集がいきなりのタコ採れだったので感覚が麻痺(採れて当たり前的な感覚)してしまうのでないか・・・オオクワをコクワ並みに考えてしまうのではないだろうか・・・といった感想も出たくらいであった。採集した木については、不思議な事に、Jimmy氏定番のコクワはもとより、ヒラタ等他のクワガタにはお目にかかれなかった!オオクワのみであった。

 今回のポイントは、オオクワが現在も生息しているポイントとして大事にしていきたいと同時に、九州各地からオオクワ採集の情報が次々と飛び込んで来ているので、これに満足せずに更なる新規ポイント開拓に励みたいと思う。

 それから、ヒラタについてもハーレー氏の持つ、76mmの記録を塗り替えるようなデカヒラタを追っかけて行きたいと思う。 また、天然採集した際に初令〜1令程の幼虫は、かなり採れるわけだが、それらをすべてコクワ幼虫とあなどっているととんでもない事になる・・・という事を改めて認識させられた。
実は、1月に佐賀県にて採集した幼虫(皆、コクワと思って相手にしなかった)を小生が持ち帰って、飼育していたのがあるが、今では馬鹿デカくなっている。断じてコクワではない!また、これも後々報告したいと思っている。

 最後に一言・・・・警護隊、あなどるなかれ(^^);

以上、九州オオクワタコ採れ報告でした。

編集者注)
 ヒラタの鉄人さんをはじめ、九州オオクワ探検隊のみなさん、とうとうやってしまわれましたね!
冷静に編集しようと言い聞かせながらも、つい興奮している自分に気が付きました。
無理もありませんよね。 従来、採集が報告されていなかった未開拓と思われるポイントでのオオクワ採集は、より価値があると思います。
今後も、さらなるポイント開拓に挑まれることを期待いたします!!


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