《 菌床飼育法のバイブルか? 》

書評:『菌床シイタケのつくり方』

北研食用菌類研究所 著       農文協

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『菌床シイタケのつくり方』 


 「菌床」とは、きのこ栽培を目的として調整された培地に種菌を接種したもの又はその菌糸が蔓延したものをいう。一般的には、培地基材に、水と培地添加物を加え、容器に詰めて殺菌を行ったものに、きのこ種菌を接種し、一定期間培養したものである。

 これは、林野庁が定めた「きのこの菌床製造管理基準」のうち、「菌床」を説明した定義の部分を抜粋したものですが、クワガタ飼育に用いられている菌床も、一言で言えばこのようになります。

 菌床栽培の歴史は古く、昭和3年にエノキタケの菌床栽培法が発表されたのを皮切りに、昭和35年にナメコの菌床栽培が開発され、その後も各種きのこの菌床栽培が順次開発されてきた経緯があるようですが、当初から菌床栽培と言う名前があったわけではなく、いつしか、「原木栽培」に対する用語として呼ぶようになったとのことです。
よって、菌床栽培とは、原木に種菌を接種してきのこを生産する栽培法以外のきのこ栽培法全体を総称する呼び名であって、一般的には培地基材(オガコ、チップ、バガスなど)に、水と培地添加物(コメヌカ、フスマなど)を加え、容器に詰めて殺菌したものにきのこ種菌を接種し、一定期間培養してきのこを発生させる栽培を指すようです。

 本書、「菌床シイタケのつくり方」は、文字通り菌床シイタケ栽培法の歴史から具体的な栽培手順、それに経営方法までを一通り解説した内容の書物ですが、一般向けに書かれているので、読み物としても十分楽しむことができるとともに、菌床によるクワガタ飼育をされている方には、非常に役立つことは間違いないと思われるので、ぜひとも読んでいただきたい一冊だと思います。

 一般的に、クワガタ飼育に利用されているのはシイタケではなく、もっぱらヒラタケやオオヒラタケなどが主流ですが、読み替えるだけで十分参考になるはずです。
特に、温度管理の重要性や、培地添加物には何を使えばきのこの生育がよくなるか等、菌床飼育に止まらず、マット飼育や材飼育をされている方にも有益になるヒントが各所に述べられており、最近流行のフスママット飼育の理解にも参考になるのではないでしょうか!

 コメヌカよりフスマのほうがよい理由、はたまたコメヌカでも十分使えるのではないかと言った、素朴な疑問の解決にも役立つと思いますし、それ以外の添加物もいろいろあるようですが、そのような情報も初めて知りました。
 この本を読んでみて、ようやく各種クワガタ飼育法の利点と欠点がわかったような気がします。皆さんもぜひご一読され、クワガタ飼育技術向上に役立ててください。 

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