「 カブトムシ・コクワガタ放虫報告 in 京都 2013/07」

Jimmy


 
 平成25年7月10日、カブトムシ・コクワガタを採集してきた場所に返して来ましたので、その様子をご報告致します。
 

図1 今も残っていた樹液採集ポイント その1

 
 車道のすぐそばに、今も良さそうな樹液採集ポイントが残っておりました。 ここは、15年以上も昔、家内と良く採集に来た場所です。昼間は、スズメバチとカナブンの天国と化しておりま した。そう言えば、昔はここで夜中に、「まむし」が木に巻き付いておりました。 樹液に来ているクワガタムシに神経が集中し、もう少しで気がつかずに素手で触るところでした。
 

図2 樹液の匂いが漂うクヌギ・コナラの林


 どこからともなく、樹液の良い香りが漂って来ました。今年は、京都でも梅雨時に良く雨が降ったので、樹液の出方は良さそうです。夜だったら、さぞ楽しいだろうと思いましたが、さすがに夜間採集する元気はもうありません。卒業しました。

図3 今も残っていた樹液採集ポイント その2

 
 ここも、奇跡的に残っておりました。同じような雑木林がすぐ隣にもあったのですが、そちらは見事になくなっておりました。昔から不燃物などのゴミが不法投棄されていたので、所有者の方が業を煮やして伐採されたのだと思います。残念ですが仕方ないと思います。幸いこちらの方にはそのようなゴミは捨てられておりませんでしたので、今しばらくはこのままの状態を保ってほしいものです。

図4 昼間はカナブンやスズメバチの天国


 樹液の出ているところには、カナブンやスズメバチが集まっていました。こうした光景を見るのも15年振りぐらいな気がします。実に懐かしい風景でした。ただ、写真に写っておりませんが、オオスズメバチと思われる大型のスズメバチが別の樹液が出ているところを占領しておりました。写真を撮ろうとして近づくと、いきなり飛んできて威嚇され、一目散に逃げました。
 

図5 カブトムシ・コクワガタを採集した場所の入口風景


 この辺りも昔のままで、実に懐かしく思いました。稲が青々と育ちキュウリ畑では、立派なキュウリが実を付けていました。こうした里山の風景はいつまでも残っていて欲しいと思います。

図6 クワガタが潜んでいそうな洞のあるクヌギ


  このようなクワガタ好みのクヌギの木を見るのも、本当に久しぶりです。採集に来たわけでもないのに、つい洞の中を見てしまいます。きっとクワガタ好きの人は、このような木を見ると、自然に身体が動くのではないでしょうか。この期に及んで、夜に来てみたいと思ってしまいます。
 

図7  樹液がしみ出しているところに必ずいるカナブン

 
  樹液がしみ出しているところには、必ずと言って良いほどカナブンがいました。何とも言えない良い香りがして、気持ちが癒されます。夜はどのような感じになっているのでしょうか。想像するだけでもワクワクしてきます。やはり、夜に来るべきでした。
 

図8 クヌギ・コナラが立ち並ぶ典型的な雑木林

 
 スギやヒノキ等の針葉樹林の林とは違い、明るく開放的な広葉樹林の雑木林の方が、人を優しく迎入れてくれるような気がします。
 

図9 いつ来ても必ず何かが採れたご神木

 
 この木では、いつ来ても必ず何かが採れたのを思い出しました。昔はもっと樹液が白い泡を吹くように出ていたのですが、残念ながらそのような気配はありませんでした。ただ、昼間より夜になると樹液が出やすくなるので、夜は良い感じになっているのかも知れません。
 

図10  カブトムシ・コクワガタを採集したポイント

 
 ようやく、カブトムシ・コクワガタを採集したポイントに着きました。一見どこにでもある風景ですが、この道の両側に発生源となっている場所があります。樹液が出ている木も所々にあるので、鳥や人に狙われなければ、しばらくの間は生存できるものと思われます。
 

図11 採集地に返すカブトムシ 

 
 今回、採集地に返すカブトムシは全部で14頭、コクワガタは12頭です。たいした数ではないのですが、これ以上は自宅で飼育できそうもないので、返却することにしました。本来の計画では、福岡に向けて飛んで行く予定であったものの、緊急事態がおきたので、発射することができなくなりました。非常に残念ですが、今年は諦めることにしました。
 

図12  こんな感じで、クヌギの木に留まらせました

 
  今日は平日の昼間なので、ほとんど通りがかる人もいないため、目立つところでも良いと思い、このように道端のクヌギの木に留まらせました。記念写真を撮っておこうと考えたからですが、実にわざとらしいですね。
 

図13  樹液の出ている場所に自然と集まるカブトムシ

 
 しばらくの間、カブトムシがどのように動き回るのか観察していたところ、自然とこのように樹液の出ている木に集まり出しました。やはり分かるのですね。これでひとまずは安心です。
 

図14 採集地に返したコクワガタ

 
 コクワガタは、樹液の出ている木の根元付近にまとめて返しました。まだ、羽化して間もない個体もいましたが、どうか元気に生き延びて欲しいと思います。
 

図15 京都で初めて見たオオムラサキ

 
 何と、オオムラサキがいました。この京都の採集ポイントでは初めて出会いました。昔は夏の夜間採集と冬の材割り採集が中心で、夏場の昼間に来たことがほとんどありませんでした。もしかしたら、昔から生息していて、出会う機会がなかっただけなのかも知れません。それにしても、まさかここにオオムラサキがいるとは夢にも思いませんでした。

 もう10年以上前に、山梨でオオムラサキのメスを見たことはありましたが、オスを見るのは生まれて初めてです。ドキドキするとともに、感動しました。
 

図16 クワガタらしき姿が奥に見えます

 
 クワガタらしき姿が、樹皮の隙間に潜んでいるのを発見しました。きっとコクワガタだろうと思いますが、もしヒラタだったらと考えると、ピンセットぐらい持って来れば良かったと後悔しました。う〜ん、いつもながら気が利きません。間抜けです。
 

図17 ここにもクワガタの姿が...

 
 この木にもすき間にクワガタらしき姿が見え隠れしています。コクワガタだと自分に言い聞かせて、確かめたい気持ちを抑えるのに苦労しました。残念です。
 

図18 帰り道の風景

 
 放虫した後の帰り道の風景です。このような景色をいつまでも見ていたいと思いました。以前は至る所で、このような風景を見ることができましたが、宅地開発と言う環境破壊によって、いまでは限られたところでしか見ることができなくなってしまいました。

 人間は自分勝手な生き物ですから、いかなる場合も自分たちの行動を正当化します。しかし、こんな不便なところに住宅を建ててどうする気なのかと思います。若い頃は車の運転もできるから心配ないのでしょうが、年を取った時のことを前もって考えているのか、疑問に思います。
 

図19 カブトムシの蛹を見つけました

 
 帰る途中、朽ちたシイタケ栽培用のホダ木が捨ててあるところに立ち寄って、ホダ木をどけてみたところ、カブトムシの蛹を見つけました。やはり、ここは私の住んでいる大阪と違って、京都の小高いところにある雑木林なので、平均気温が低くて羽化する時期が遅いようです。なかなか立派なオスの蛹でした。
 

図20 カブトムシ(オス)の蛹

 
 昨年から自宅でカブトムシの幼虫を飼育し始めてから、今日までよく考えてみると、蛹の状態を見ることはありませんでした。限られたスペースにたくさん飼育していると、蛹になる時期はだいたい分かっていても、掘り返さなければ蛹の状態を見ることはできません。しかし、掘り返すことによって、蛹室を壊してしまう恐れがありますので、残念ながら掘り返すことは、危険を伴うのでできませんでした。

 以前は、一匹だけビン飼育して、蛹の状態を見たことがありましたが、それ以来ですので、やはり15年ぐらい前になると思います。こうしてじっくり見ると、カブトムシもなかなか立派なものだと再認識しました。成虫になると二ヶ月ほどで死んでしまうのが残念な気がします。、
 

図21 オオムラサキの求愛行動

 
 帰り道で、再びオオムラサキと出会いました。しかもペアです。こんな瞬間は二度と巡り会わないのではないかと思います。またまた感動ものです。
 

図22 仲の良い国蝶オオムラサキのペア

 
 メスはオスより一回り大きいことが良くわかります。こんな間近で見たのは、生まれて初めてです。
 

図23 木の葉に留まるオオムラサキ

 
 今回のカブトムシ・コクワガタの放虫では、カブトムシの蛹や国蝶オオムラサキのペアに出会うなど、サプライズもあって思った以上に価値がありました。きっと返したカブトムシやコクワガタからのお礼だったのかも知れません。

 生息環境が年毎に狭くなる今日において、身近にある日本の里山と呼ばれる雑木林こそ、貴重な自然遺産だと思います。人間が必要以上に欲を出さなければ、いつの日までも、カブトムシやクワガタムシ、それにオオムラサキと共存して行くことは難しくありません。

 カブトムシやクワガタムシを返すところがなくならないことを祈るばかりです。
 

 


b-home3.gif (768 バイト) トップページへ