「 株式会社フジコン本社 訪問記 2013/02 」

Jimmy


 
 平成25年2月22日、カブト・クワガタ飼育用品で有名な株式会社フジコン本社を訪問して参りましたので、その様子をご報告致します。

 株式会社フジコン本社様には、ホームページ掲載を快く承諾いただきました。ありがとうございます。

図1 能勢方面への玄関口 能勢電鉄 日生中央駅

 
 1999年以来、実に15年振りにやってきました。ここは、 能勢の玄関口、能勢電鉄日生中央駅です。平日の昼間だったので、人はまばらでしたが、この近くには、里山を切り開いて開発された新興住宅街が、それこそ山のように広がっており、オオクワガタに代わって今は人間がそれ以上に住んでいますので、朝の出勤時は大変なラッシュだそうです。

 道路も整備され、開発はさらに奥へ奥へと広がっています。つまり、オオクワガタの生息環境は、今も徐々に消滅して行っているわけです。悲しい現実ですね。

図2 駅前にある能勢方面の案内図


 駅前に能勢方面の観光案内図がありましたので、覗いてみました。そこには、オオクワガタの産地として余りにも有名な三草山、上阿古谷、下阿古谷、栃原、木間生、民田等の名前が書かれているではありませんか。「ああ、ここはオオクワガタの故郷なんだ」と、しみじみ感じ入りました。

 

図3 栗栖の交差点を右折する

 
 能勢街道を北上し、能勢町栗栖の交差点を右折すると、およそ100mほどで、進行方向右手に株式会社フジコン本社が見えます。見落とすことは、夜中でない限り100%ないと思います。何しろ、周囲に建物がありませんので。

図4 株式会社フジコン本社 兼 ワールドインセクツショップ


 今日は平日だったので、ほとんどお客さんはおりませんでしたが、隣には50台ぐらい止められる大きな駐車場があります。さすがに、ここまで来るには、車がないと厳しいと思います。車があったとしても、大阪市内からは40Km以上離れているので、近いとは言えないでしょう。

 気軽に来れるかどうかは、人それぞれの判断ではないでしょうか。私は車の運転が苦手で、自宅からの距離が55Kmほどあるので、多分もう行かないと思います。しんどがったです。
 

図5 フジコン 本社 兼ショップ入り口


  正面玄関です。自動ドアです。すっきりとして小綺麗な印象を持ちました。それでも、クワガタ用品が店外にも陳列されていたり、ガラスを通して見える店内には、飼育用品がズラリと並べてあるのが見えて、いかにもクワガタ飼育用品を取り扱っている大手の会社らしさが階間見えました。

図6 よく整理が行き届いていて、清潔な店内


  自動ドアから店内に入ったところの風景です。飼育用品(主にエサゼリーや産卵木、飼育マット等)がたくさん山積みされているのも関わらず、よく整理整頓されていて、清潔感があります。

 昔、よく通ったナラオオクワセンター直販部も、こんな感じでコバエがうようよと言う状態からはほど遠く、衛生面に気を遣っていることが良くわかりました。
 

図7 ゼリーや飼育マット、ケースや菌糸ボトル等

 
 最初に目が付いたのが、これらの定番飼育用品です。どちらかというと、ベテランや上級者ではなく、ビギナーや初心者向けの飼育セット商品を中心に並べられておりました。きっと、シーズンになると、小さな子供連れの家族がたくさんやってくるのでしょう。微笑ましい光景でした。
 

図8 フジコン・ワールドインセクツ・ショップ 店内

 
 店内から、さらに一歩奥の部屋に入ったところです。こちらは、如何にもマニア向けの商品がズラリと並んでおりました。正確には、フジコン・ワールドインセクツ・ショップと呼ばれているところです。その名の通り、珍しい外国産のカブトやクワガタが陳列されております。専門用語を知らないと、いったいこの商品は何なのか、まったく分からない人もいるのではないでしょうか。マニアの心をくすぐります。

 こちらも、先ほどと同様に成虫、幼虫、飼育用品事に分類されて、目的のものを探しやすくする工夫が凝らされておりました。

 当たり前かも知れませんが、企業努力がそこかしこに見え隠れする店内です。
 

図9 あこがれの上阿古谷産オオクワガタ幼虫

 
 見ての通りです。これを見て、何とも思わない人は、国産オオクワガタ飼育を極めている人なんだろうと思います。私は、阿古谷と聞いただけで、その風景が目に浮かんできました。プロや熟達者なら、今でも採集することができるのかも知れませんが、15年前に来た時でさえ、こんな場所にオオクワガタが生息していたとしても、絶対に見つけることなど不可能だと思わせるような場所のような記憶が今でもあります。

 とても、一見さんではオオクワガタどころか、コクワガタ、カブトムシさえ見つけられそうにありません。
 

図10  さらに、あこがれの下阿古谷産オオクワガタ幼虫

 
 クワガタに興味がない人には、単に上と下の違いだけで、それがどうしたと思われるかも知れません。しかし、実際に現地に足を運んだ人にとっては、大きな違いがあると思います。このこだわりこそが、趣味を持っている人とそうでない人とを分ける閾値ではないでしょうか。
 

図11 デブロ発酵マット 勢い?で購入 

 
 発酵マットには、昔もこだわっていました。今でも、人それぞれいろんな作成方法があるらしく、発酵マット作りは実に奥が深いと思います。 結局、当時の私は、自然発酵マットしか作ることができませんでした。それぐらい、作るまでもなく、未発酵マットを加水して、しばらく置いておけば、自然と発酵するとの声がどこからともなく聞こえて来そうです。

 今は、ネットを通じていろんな方面から、それぞれ独自の方法で作成した発酵マットが、お金さえ出せば容易に手に入る時代になったようですね。隔世の感を感じます。

 ちなみに、私が当時気に入っていた発酵マットは、昆虫飼料研究所(よく覚えていませんが、確か川口商店様取り扱いの商品だったと聞いております。)の発酵マットが非常に質が良くて、大型のヒラタクワガタを羽化させることができた記憶があります。

 

図12  デブロヒラタケ菌糸ボトル さらなる勢い?でまたまた購入

 
 大型のオオクワガタを短期間で羽化させる最適な飼育方法は、やはり菌糸ビン飼育であるように思います。もちろん、発酵マットでも、同じような結果を残せる場合があるかも知れません。しかし、初心者でもある程度の結果を残せるのは、菌糸ビン飼育ではないでしょうか。

 問題は、コストがかかることで、これについては昔も今も代わらないようです。それでも、15年前と較べれば、相当のコストダウンが図られて来たと思います。当時、菌糸ビンは800ml入りで一本800〜1000円ほどしたように記憶しています。

 それを、一頭の幼虫のために、2〜3本も使わなければならないのですから、財力に余裕がないと、数多くのオオクワガタを飼育することは困難な時代でした。
 

図13 目移りして仕方がない店内

 
 それにしても、本当によい時代になりました。珍しい外国産カブト、クワガタの幼虫並びに成虫が、生きたまま見られる上に、合法的に飼育することまで法的に許されるようになるとは、15年前には予想しておりませんでした。

 カブトムシやクワガタムシは、幼虫は朽ち木を食べ、成虫は樹液をエサにしているため、人間が育てた野菜や果物等の農産物に被害を及ぼす害虫ではないからだと思います。

 個人的に、外国産カブトムシやクワガタムシを野外に放すことには、以前は反対でしたが、今は別に良いのではないかと考えております。 何しろ、国産オオクワガタやヒラタクワガタと考えられている種でさえ、長い目で見れば、ユーラシア大陸から渡ってきた外来種なのです。この件につきましては、また別の機会に当方の考え方をお伝え する機会があると思います。
 

図14 専門書や専門誌、ビデオ等も在庫あり

 
 2001年4月に刊行された、森田紳平氏の「オオクワガタ飼育のすべて」や、2000年に9月に刊行された鈴木知之氏の「熱帯雨林のクワガタムシ」など、今では入手が困難になっている書籍も、在庫してありました。ただ、1996年11月に刊行された、小島啓史氏の 「クワガタムシ飼育のスーパーテクニック」は、見あたりませんでした。自宅に戻って見返してみると、3800円もしたのですね。これでは、小さいお子さんはとても買えない値段だと思いました。

 ただ、当時オオクワガタの値段が、数万円から数十万円もしたこともあったのですから、お子さんが飼育する昆虫ではなかったですよね。大人でも、相当余裕のある人でないと、飼育できなかったと思います。

 そう言う意味では、今でもまだ高価であることは確かですが、適正価格に近づきつつあることは好ましい傾向であると思います。

 国産カブトムシのように、オオクワガタが購入できる時代が来たとしたら、誰も飼育する人がいなくなるかも知れませんね。本当にクワガタムシを飼育するのが純粋に好きな人以外は。
 

図15 発酵マット作りの添加材も多数

 
 発酵マットを作るための添加材が、多数取りそろえてありました。15年前に一度、フジコン製のバイオ・クレストを使用したことがあるのを思い出しました。昔と容器やラベルが大きく変わっていないので、大変懐かしく思った次第です。
 
 
  フジコン本社および、ワールドインセクツショップのご紹介は、以上で終わりです。10年以上振りの能勢は、昔より宅地開発が進み道路も良くなりましたが、オオクワガタ生息にはさらに環境が厳しくなって来ていることは確かだと実感しました。

 果たして、そこまでしてこのような山の中にまで家を建て、住まなくてはならないのか、開発という名を借りた自然破壊は、誰も責任を取ることなく、これからも続いて行くのでしょう。 
 


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