流氷



冠雪の前島 靜寂に覆はるれど


近海の流氷 軋み音を發せり


極北より南下すること 幾萬里


氷の妙音傳へり 春來遠からじと










流氷 りうひやう  海上を漂つている氷。
流氷は、サハリン(樺太)東沖を南下し、
一月中旬頃、北海道のオホーツク海沿岸
に接岸する。

前島 ぜんたう  向いの島。ここでは、
千島列島の最西端にある國後島を指す。

靜寂 せいじやく  物音もせず、しんと
                していること。

覆はる おほはる

軋み音 きしみおん  物と物とがこすれ
あう音。ここでは、オホーツク海沿岸地
域で聞くことができる流氷のせめぎあう
音を指す。イルカの鳴き聲のように聞こ
える。これは、日一日、春が近づいてい
るからこそ發する音でもある。この音は、
環境省選定の「殘したい日本の音風景百
選」のひとつになっている。

妙音 めうおん  美しい音。ここでは、氷
の軋む音を指す。

極北 きよくほく  遙か北の方。ここでは、
流氷の發生地シベリヤ大陸のアムール川近
邊を指す。

幾萬里 いくばんり  極めて遠い距離

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