第5回(2017/9/1)



      藤井聡太棋士に学び
 ●「万事成功の法則」を起案する

 ■ はじめに

  
・誰でも、どの世界でも、こうすれば成功するという法則がある。それを、将棋の藤井聡太棋士の将棋歴から学び、起案した。視点を変えて、目に見える現象から、目に見えない本質へ切り込み、個々の事柄を、成功要素に凝縮した。題して、藤井聡太棋士に学び起案した私流「万事成功の法則」である。


 驚異の強さは天分だけか

 ・将棋の藤井聡太4段が、最多29連勝の新記録を達成した(2017/6/26)。この時、14歳の中学生だが、前人未踏の偉業を成し遂げた。驚異の強さをどう見ればよいのだろうか。年齢、経験、学問、遺伝等の諸要素以外にありそうだ。決定的な要素は(才能)、つまり天分にあるのだろう。天才と呼ばれる所以(ゆえん)だ。    注:(才能)括弧内は、強さ形成の要素。以下同じ。

  ・しかし、如何に天才・神童と(いえど)も、偉業は、才能だけで、突然輝くものではない。「玉磨かざれば光なし」である。藤井少年は、棋歴10年近くの間、切磋琢磨してきたのだろう(
鍛錬期間)。エピソードがある。


 強さ形成の要素

 ・藤井少年は、5歳の夏、将棋を始めた。彼は、負けると、大泣きし、将棋盤にしがみついたまゝ離れなかったそうだ。(負けず嫌い)の少年だったのだ。6歳の誕生日、幼稚園の誕生カードに「おおきくなったらしょうぎのめいじんになりたいです」と書いた。早くも、彼のモットー(大志)を抱いていたのだ(大願力)。小学生の頃は、恥ずかし屋だったが、自分がこうと思ったら貫き通す頑固な一面もあったという(執着心)。

 ・幼いころから、詰め将棋が好きで、没頭するあまり道路脇のどぶに落ちたこともある。(
集中力)が高かったのだ。この伝統的な詰め将棋で読みを磨き、更に、後年、先端の将棋ソフトにも挑戦、戦う度に力をつけ、目覚ましい進化を遂げてきた(
進化力)。

 ■ 普遍的な成功の法則を探る

 ・ここで、「藤井聡太」という特定の人物、「将棋」という特定の世界に限定せず、個々の表層を捨てることにする。そして、その本質の洞察を通して、成功の原理・原則を抽出してみよう。そうすれば、「誰でも」「どんな世界」(将棋・囲碁・学問・武道・芸道・語学・試験等諸事万端)にも応用できる、普遍的な「成功の法則」を導き出すことができるに違いない。つまり、誰でも、どの世界でも、通用する成功の原理・原則である。

 ■ 万事成功の法則を起案する

 ・彼の偉業と、前述の「強さ形成の要素」から、私が学び、考え、帰納し、起案した、「万事成功の法則」を、下記に記す。但し、この法則は、人物が幼少(5歳ごろ)から研鑽を積むという前提で導き出したものだ。藤井少年の偉業は、彼が、純真で柔軟性に富み、感性豊かな若年期に鍛えたればこそであろう。「鉄は熱いうちに打て」である。

 ・しかし、もし、若年者が、何かに挑むとして、下記(1)の才能に自信がなくても、(おく)することはない。(2)~(6)の努力要素を総動員し、人の数倍、努力を積み重ねれば、才能が磨かれ、生得の幾倍にも開発される。その結果、天賦(てんぷ)の才に恵まれた人を凌駕(りょうが)し、成功を収めることも可能である。現に、この超努力で、成功している人は、世間には数多(あまた)いるのだ。その事例を事項で紹介する。

  (参照:次項 「ロンドン=超難関・タクシー運転手試験に挑む人々」


 ■ 藤井聡太棋士に学び、起案した「万事成功の法則」


      成功=才能×大願力×集中力×精神力×進化力×鍛錬時間数
             (1)         (2)           (3)           (4)           (5)            (6)          注:(2)~(6)努力要素


             (1)   資質・能力等神様の贈りもので、基幹的要素(凡才・秀才・天才等)を言う。

             (2)   大きな志、高い目標、強い動機。

        
 (3)   対象の一事に的を絞り、寝ても覚めても、その攻略に全エネルギーを集中する。

       
  (4)  
 意欲、負けん気、執着心等「精神一到何事か成らざらん」。

         
(5)   反省、改善、日々更新により、成長する。

        
(6) 宮本武蔵曰く「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす」と。日を時間に変える。


 ■ むすび
・・・上述の、藤井聡太棋士に学び、起案した「万事成功の法則」が、将棋以外の、他の世界にも通じるかどうかを、次の「超難関・タクシー運転手試験に挑む人々」において検証する。




 ● 超難関運転手試験に挑む人々


               典拠:NHK Eテレ 『地球ドラマチック』「超難関!タクシー運転手試験~ロンドン・ブラックキャブ (2017/7/29)


        
             ブラックキャブ

   世界一難しいロンドンの運転手試験

    ・カーナビ全盛の現代でも、ロンドンの名物タクシー「ブラックキャブ」の運転手は、ロンドンの街を知り尽くしたプロ中のプロ、今も高い人気を集めている。運転手になるには、日本では、普通自動車二種免許があればよいが、ロンドンでは、特別の試験があり、それが、医師や弁護士と並ぶ超難関なのだ。2万5千の通りと10万のランドマーク(その地の象徴となる建物等)を正確に記憶することが求められる。

    ・毎年、7,000人以上志願し、合格するまでの期間は平均4年。大学在学期間と同じだ。最後迄残る割合は3割。つまり、7割が脱落している。試験で最も難しいのは、ノリッジ(Knowledge)という4段階の口頭試験だ。試験は、複雑なロンドン市内の地理・道路・施設などを(ことごと)く記憶し、出発点から目的地などの最短距離を即座に答えなければ合格しない。脳の中に、カーナビを完全装備した人だけが合格するのだ。 

    なぜ超難関試験に挑むのか

   ・ブラックキャブの運転手は、みな個人営業の業態で、経営者の身分。生活や仕事のスタイルが独立しており、自由に決められる。先ず、それが魅力だ。それに、年収は、500万円以上が期待できるという。そして、何よりも、超難関を突破したという誇りがある。社会的地位もあがり、ロンドン市民の尊敬と羨望の的にもなる。ロンドンでは、ブラックキャブの運転手は、憧れの職業なのだ。

   どんな試験勉強をしているのか

  ・ロンドン市は、最大3,000kmに及ぶという。このため、覚える時の最善の方法は、バイク等でひたすら走る実地学習だ。メモを取りながら、名称と位置を体に叩き込まなければならない。そのため、繰り返し走る必要があり、何と地球2周分を走行すると言われる。合格するまで走り込んだので、バイクが煙をはいて故障してしまったという人もいる。学習時間は、仕事の合間に、週35時間以上は普通で、最終試験までに、平均8,000時間の準備に費やしているという。合格レベルに至るまでには、多くの犠牲と次元を超えた努力が必要なのだ。番組は、試験の質問と応答の様子、そして、受験者へのインタビューで構成されている。




 ■
最終合格者の事例

   
 事例1:   ポール・トルフリー氏                    43歳         こども2人           失業中

    ・5年前に失業。家族を養い、住居を確保するため、4年半前に、自分に(かつ)を入れ、受驗を決意。ロンドンをバイクで走り回り、地理をたたき込んだ。これ以上できない程の努力をしてきた。大切な家族のためにという、強い動機を持っていたから、やり遂げられた。長い旅で、4年間の結晶だ。この間、得点が低く、ひどく、落ち込んだ時もあるが、都度、自分を奮い立たせてきた。合格して、よかった。心中、蝶が舞っているようだ。大声で叫びたい気分だ


            事例2:  ダン・オコネル氏         39歳    こども2人    ブラックキャブ整備士

   ・4年前整備士から運転手への転身を決意。子供の頃、ひどい環境の下で育ち、学校では、授業についていけず、読み書きも苦手だった。学校の教師からは「お前はろくな人間にならない」と言われたこともある。これまでは人から見下された人生だった。この試験でも、最初は無理かと思ったけれど、かじりついている内に、変化が起きた。文字が頭に入るようになったのだ。本気で臨み、身も心も打ちこむと変わるのかと。試験に挑戦することで、私は成長したと思っている。必死だった。全身全霊で臨んだ。子供の顔を見る度に決意を新たにした。

    ・こうも思った
自分の運命は、自分で決められるようになりたい。できると思えばできる。無理だと思えば、終わりだ。後は自分を信じるのみ。やればできる。遂に達成した。合格して苦労が報われた。涙、涙、感激。ウワー。身体の内からほかほかする。こんなに嬉しいのは、子供が生まれた時以来だ。ブラックキャブの運転手は、只の運転手ではない。誰からも信頼される街の紳士になるのだ。

     


 ■
藤井聡太棋士に学んだ「万事成功の法則」の検証・・・合格者は、以下の成功要素を踏まえているか。


        成功=才能×大願力×集中力×精神力×進化力×鍛錬時間数

             (1)         (2)           (3)           (4)           (5)            (6)      注:(2)~(6)努力要素


             (1)   資質・能力等神様の贈りもので、基幹的要素(凡才・秀才・天才等)を言う。

                                        
     才能は普通。が、超努力を惜しまない資質の持ち主。


             (2)   大きな志、高い目標、強い動機。

                  
家族のために、犠牲を惜しまず、目標必達で挑み、自分を奮い立たせている。


        
      (3)   対象の一事に的を絞り、寝ても覚めても、その攻略に集中する。

                  
厳寒をものともせず、バイクで、市内を走り回り、地理を完全体得している。



       
       (4)  
 意欲、負けん気、執着心等「精神一到何事か成らざらん」。

                  
「やればできる」と信じ、ひたすら、ゴールを目指し、かじりついてきた。


             
(5)   反省、改善、日々更新により成長する。

                  
艱難(かんなん) 汝を玉にす」の通り、試験を乗り越える度に、成長を実感している。



             (6) 宮本武蔵曰く「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす」と。日を時間に変える。


                                                4年間、学習準備8,000時間、千日、万日の鍛錬が報われたのだ。



  ■ まとめ・・・試験の合格は、「万事成功の法則」に則っている。その原点は、「大志を抱け!」である。

 
 ・世界一難しいタクシー運転手の合格者は、ごく普通の才能を持った人達だ。が、並外れた努力で栄冠を勝ち取っている。「栄冠、涙あり」である。その事例を見ると、藤井聡太棋士に学んだ「万事成功の法則」に、則っていることが分かった。この法則を構成している、夫々の要素は、ばらばらに、独立して存在しているのではない。列車のように、相互に繋がり、一体になっていることだ。ある重要な要素が発動すれば、他の要素に連動し、大きな影響を与えるのだ。

  ・そこで、この事例を、連結の法則と照応させると、ある事に気づいた。合格者に共通しているのは、何よりも、(2)大願力の内、「志」が大きいことである。この出発点(原点)の大志が、強力な起動エンジン=機関車になって、後続の要素(3)~(6)の成功要素に連結し、強力に牽引・加速しているのである。これが、試験合格というゴールに大きく導いているのだろう。

  ・逆に、不合格者の事例を見ると、もちろん、それなりに努力はしているが、空回りして成果に結実していない。その原因は、「万事成功の法則」の、前方の過程に問題があることが分かる。何よりも、(2)に、志らしいものが無いか、あっても小さいことである。
A氏は、マイホームを得るためとか、B氏は新しい職を目指すとか、ちまちましているのだ。だから、必然的に、それに連動する目標も低く、動機も弱い。自分を目標に駆り立てる、この起動エンジン=機関車の出力が弱いため、後続要素の(3)~(6)の成功要素に力強く連結せず、全体が失速、目的地に着かないのだ。

   ・5年、6年と挑戦している不合格者よ、諦めない努力は立派だ。が、猪突猛進では目的地に到着できない。先ず、何よりも、原点に帰れ。原点とは、難関試験に挑む大きな志である。難易度の低い、低山(
例:SKIDDAW 931 英)に登るのなら、志など無用、ないし小さくてよい。が、超難関の高山(例:エベレスト 8,848)に挑むのなら、何を置いても、力強い大志が、必須ではないか。全エネルギー発現の源になるからだ。ちまちました志で挑めば、障害に阻まれ、忽ち、挫折・撤退である。壮年受験者よ,世界一難しい試験に挑むのだ。いわば、世界一高い山=エベレストに挑むのと同じではないか。されば、エベレストに挑む気構えで臨め。そして、登頂(合格)の原点は、「大志を抱け!」である。


 ■ むすび

 
 ・藤井聡太棋士に学び起案した「万事成功の法則」が、「超難関・タクシー運転手に挑む人々」の事例検証で、誰でも、どの世界でも、応用できることが分かった。挑戦する課題が難しい程、成功への道のりは長く、険しい。が、この法則が、その成功への羅針盤になれば幸いである。


                                                    以上   


                            

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