曼珠沙華


輪状の沃花 畦道に 開き


棚田滿目 鮮紅に 染まれり


彼岸外に咲けば 花よ 我は讚へむ


嗚呼 汝 燃ゆる情熱の花よと










曼珠沙華 まんじゆしやげ  彼岸花の別稱。
田のあぜ、土手、道端などに生える多年草。
花莖は高さ三十センチ~五十センチ。毎年、
彼岸の時期になると、頂に鮮紅色の花を輪
状につける。球根は毒を持つている。

 この花は、墓地周邊に多いため、死人花
(しびとばな)などと、不吉なイメージを持た
れ、縁起が惡いと忌み嫌う人も少なくない。

 しかし、この花は、はるか遠い昔、ご先祖
樣が、萬一の饑餓のときの救荒食(きゆうこ
うしょく)として植えられたという。たしかに、
球根は有毒だが、水にさらすと簡單に毒を
取り除くことができる。

 いざというときのために、墓地周邊など人
が寄りつきにくい場所に植えて、あれには毒
がある、死人花だから掘つてはいけないと言
い傳えてきたらしい。

 それが、いつしかその目的が忘れられ、不吉
なイメージだけが殘つてしまったのだろう。この
花が、もし、彼岸の時期以外に咲けば、そういう
不吉なイメージを持たれることもなく、妖艷な
花として、純粹に讚美されたのではないだろうか。

 本來は、燃えるような鮮紅の美しい花なのに、
氣の毒なイメージを植えつけられたものだ。

沃花 ゑうくわ  あやしい美しさを持つ花

畦道 あぜみち

滿目 まんもく  見渡す限り

嗚呼 ああ

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