杜鵑           杜鵑


杜鵑の初音 夏の森に 轟き


裂帛の叫聲 吐血かと 疑ふ


古來 人心惑はす 鳥に問ふ


盡日 哀哭切なるは 何故かと












杜鵑 とけん  ほととぎすの漢名。古來、
初音が親しまれてきた夏鳥の代表。北海
道南部〜九州の山林に飛來する。托卵す
る習性があり、自分では子育てをしない。
 
 「特許許可局」「テッペンカケタカ」
等と聞きなされている。繁殖期には、森
の中で、「キョツキョツ、キョツ」と、
鋭く、甲高い大きな聲で鳴く。晝も夜も、
飛びながらも鳴いている。
 
 古より、日本人の心情を搖るがすこと
多く、日本の文學、特に和歌にそれが、
現れている。「萬葉集」には、一五六首
の詠歌があり、中でも、大伴家持は、こ
の鳥をこよなく愛し、六五首もの歌を殘
している。次に、その一首を示す。

 卯の花の 過ぎば惜しみか ほととぎす

      雨間(あまま)も置かず こゆ鳴き渡る

       『萬葉集 八ー一四九一』 大伴家持 


初音 はつね  杜鵑などのその年の始めて
            の鳴き聲

轟く とどろく  響き渡る

裂帛 れつぱく  きぬを引き裂く音

叫聲 けうせい  さけび聲

吐血 とけつ  口から血を吐くこと

盡日 じんじつ  ひるもよるも

哀哭 あいこく  悲しみ大聲でなくこと

何故 なんのゆゑ

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