布袋葵


淡紫の清花 水中に 咲きて


池水に 群生するは 幾萬株か


花に問ふ 汚水に 氣品漂はせども


惡魔の麗花と 呼ばるるは 何故かと










布袋葵 ほていあふひ  ミズアオイ科の多
年草歸化植物。高さ三十センチメートル。
夏、淡紫色六弁の花をつける。

 英名は、「ウオーター・ヒヤシンス」。その
名の通り、ヒヤシンスに似た美しい花。しかし、
一方では「ビューティフル・デビル」(美しき惡
魔)とも呼ばれている。

 一株の布袋葵は、一シーズンで、約三百五十
萬株にまで増えるすさまじい繁殖力の植物。池
や水路を覆い盡くすので、水の中に光が屆かな
くなり、他の生物が住めない死の池にしてしまう
からである。

 蔓延した布袋葵が、船の往來を妨げたり、水
の流れを堰止めるという被害をもたらしている。

 しかし、この布袋葵は、水の奇麗な池に入れ
ても一向に大きくならない。逆に、汚れた水こ
そがこの花の増殖の榮養源になるという。

 生活排水や工業排水の流れ込んだ水は、窒
素やリンなどの榮養分が豐富なので、それを吸
收して増殖するのだという。その能力を活かして、
水質淨化への利用も試みられている。

 普通の植物なら、直ぐ枯れてしまう汚水に
逆に適應し、桁外れに繁殖する麗花。ここでも、
逞しい雜草の生命力に驚くばかりである。

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