安達太良山         安達太良山


近傍の紅花 絢爛と 咲けども


遠望の麗山 白雪を 帶ぶ


彼の山 荒涼たる火山と 雖も


想ふは 光太郎の 優美なる詩












安達太良山 あだたらやま  福島県北部、
吾妻山南東にある円錐状の火山。標高一七
〇九メートル。

近傍 きんばう  近辺

紅花 こうくわ   紅色の花。ここでは、
櫻花を指す。

絢爛 けんらん  きらびやかに輝いて美し
いこと

麗山 れいざん  うるはしい山。ここでは、
安達太良山を指す。

雖も いへども  ・・・けれども

光太郎 くわうたらう 詩人の高村光太郎を
指す。

優美なる詩 ゆうびなるし  ここでは、一
九四一年に出版された光太郎の詩集「智惠
子抄」にある「樹下の二人」を指す。次に
その冒頭部分を示す。

    樹下の二人

あれが阿多多羅山、
あの光るのが阿武隈川。

かうやつて言葉すくなに坐つてゐると、
うつとりねむるやうな頭の中に、
ただ遠い世の松風ばかりが薄みどりに吹き渡ります。
この大きな冬のはじめの野山の中に、
あなたと二人靜かに燃えて手を組んでゐるよろこびを、
下を見てゐるあの白い雲にかくすのは止しませう。

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