2000/6/20 おいしい思い出

 社会人になって最初に勤務した会社の、最初の先輩。その先輩には大変よくしていただいた。技術のこと、仕事のことなど、教えてもらった。

 その先輩の脅威の仕事ぶりはまた、別の機会に書きます。

 先輩は、給料の安い我々をよく、おいしいお店に連れて行ってくれた。いつも、彼のおごりである。開発部門なので、遅くなる。頻繁に連れて行ってくれる。今、思うとなんという部下思いであろうか。私はほとんど部下におごっていない。とんでもない奴である。

 彼は、単純に近くの食い物やにつれていってくれるわけではなく、いつもテーマを設定してつれていってくれたのだ。教育の一貫だったのであろうか。

 まず、同じグループの女の子とつれていってもらったのが、「うかい亭」である。知っている方は多いですよね。「伊藤くん、女の子を近くの居酒屋につれていってはだめだよ。こういうところにつれていくんだ」

 まず、駐車場に車が止まる。と、お店の方がさっと寄って来て、ドアをあけてくれ、ようこそ、いらっしゃいました。しばらく待つが、中庭にうっとり、そして、圧巻がオルゴールだ。ディスク方式のもので、見ていると、お店の人間がやってきて、いろいろ説明してくれて、「では、演奏させます」と動かしてくれる。待合室に素晴らしい音色が響き渡る...同僚の女の子も、うっとりして、見て、聞きほれている。また、店員のみなさんの態度が本当に、礼儀正しいのだ。バカ丁寧でもない。

 やがて、順番が。一つの部屋に通される。鉄板があり、やがて、1人のコックが現れる。うやうやしく礼をして、「今回、皆様のお世話をさせていただきます。XXXと申します...」と自己紹介する。

 今日の肉が現れる。そしてこの肉が我々の前を巡回する。この肉のよさ、味についての説明もしてくれる。調理がはじまる。われわれだけのために、1人のコックがあざやかな手つきで、焼いて調理してくれる。

 たべてみる。うまいなんてもんじゃない。こんなに肉とはうまいものなのか?舌があまりのうまさに痙攣する。コックは単に調理人ではない。絶えず我々に話かけ、楽しませてくれる。

 詳しく書かないが、ここのお手洗いに行った、人間はゴージャスさに、みな興奮する。

 この「うかい亭」は、どんなに大切な人を連れていっても、絶対に失敗はないと思われる。社会人なりたての私には、衝撃であった。ただ、食い物を食べさせるだけでない店をはじめてみたわけだ。(この前、ナイティナインがごちになります(だっけ?)かなんかの撮影で、このうかい亭を使っていた。岡村氏がこの店のおいしさにホントおどろいていた)

 次につれていってくれたのが、「ドルフィン」であった。やはり、女の子とともにつれていってもらった。最上階は、部屋の半分は全面ガラス。反対は全て鏡である。ディナーとなれば、この世のものとは思えない夜景が360度広がる。

 周りのテーブルはみなカップル。テーブルの上にはムード100%のキャンドル。これ以上の演出はあるまい。一緒にいった女の子は、とろんとした目になっていた。「伊藤くん、こういうところに女の子をつれてくるんだ。いいね」先輩にかえってから言われた。

 次に、自由が丘の「アンナミラ」であった。今回は若手の男3人。私をふくめて3人とも仕事上のことで、カリカリしてきたところであった。「伊藤くん。君はまじめすぎるんだよ。こういうところにもきなさい」といわれた。まあ、自由が丘らしい。男3人は、鼻血がでそうであった。(今、思うとかわいい)

 また、仕事で頑張ると、「フォルクス」に連れて行ってもらいステーキを御馳走してもらった。うれしかったし、おいしかった。何度つれていってもらったろう。

 グループ全員で、「にんにくラーメン」をたべにいって奢ってもらった。ドンブルにはいっている擂ったにんにくがあって、それをスプーンでラーメンにいれて食べる。楽しい思い出だ。女性も男性も、大笑いしてにんにくを大盛りにして食べた。

 デニーズにいたっては、何回いったかわからない。払ったことは一度もないことは明らかだ。

 先輩はいろんなことを教えてもらったが、女性に関しての学習はあまり効果はなかったようである。

 考えても、信じられないいい先輩である。

 ノベルに入ると、毎晩、夕飯をさそう上司がいた。しかも、しゃぶしゃぶ食い放題とかばかりである。ものすごいカロリー高のものばかりである。嫌がると、怒られる。ほとんど拷問だ。最後には、結石ができて地獄の苦しみをあじわった。医者から、「お前、最近、急に大食いするようになったろう」と正確に指摘された。

 この上司のおかげで、大好物だった、しゃぶしゃぶを見るのもイヤになった。寿司も嫌いになった。実に悔しい。