2000/5/2 ホイスグレーシー

 CSで、PRIDEという、なんでもありの格闘技の大会をみた。

 殴ろうが、蹴ろうが、投げようが、逆をとろうが、締めようが、自由という凄まじい格闘技である。こういった制限事項の少ない、喧嘩に近い格闘技は昔から行われていた。

 柔道のもとになった柔術であるが、これは逆をとる、受身をとれないように投げる、殴るなども含まれている。相撲も古来のものは、殴るなどもOKだった。ただ、これらは残忍だということで、排除されたりしてきた。しかし、UFC大会というなんでもあり大会がアメリカで開かれてから、なんでもあり格闘技は再び大ブームになったのである。この大会で有名になったのが、ブラジル柔術のグレイシー一族である。

 ホイス・グレーシーは一族を代表してこの大会に参加、連戦連勝で3大会で優勝をしている。体は、他の選手よりも小さい。彼は柔道着を着て参加した。他の選手はプロレスラー、空手家、ボクサーなど多彩であった。2メートル近い身長、120キロとかの体重、ヘラクレスのような筋肉の選手を、あの小さな体で(体重80Kg)、ぶちのめしてきたのである。柔よく剛を制す、を見せ付けてくれた。UFC試合は凄絶を極め、血みどろになり、顔はふくれあがり、失神して運ばれるといった恐ろしいものである。ホイスは連戦連勝し、まさに姿三四郎のようである。

 勝ちつづけたままUFCからは引退した。数年たって、PRIDEに参戦してきたのである。そして昨夜、桜庭という日本の天才レスラーと対戦し、注目された。通常、なんでもありだと、5分とか、10分とか戦えば疲れきってしまうか、ダメージを受けてしまう。喧嘩に近いからである。2人の試合は、なんと正味90分になった。結果としては、桜庭のローキックで、ホイスは脚を傷め、立てなくなり、とうとうタオル投入となった。ホイスグレーシーの伝説も終わった。しかし2人とも実に強かった。ホイスははじめての、敗北である。ホイスグレーシーは敗れたが、最強の格闘家の1人であることに代わりはない。あの相手を見据える殺気にみちた眼が大好きである。相手に上から、のしかかられたまま、パンチを避けながら、逆関節技を繰り出す瞬間はぞくぞくする。

 勝者の桜庭はこれで世界中の格闘家から注目されるし、ファンの人気も最高潮に達するだろう。でも、両選手には、あまり頻繁に試合にでてほしくない。PRIDEはあまりに喧嘩に近くので、頻繁に試合に出場することで、ダメージがたまることを危惧する。パンチドランカーになることなく、長く試合をしてほしいものである。1試合で、何10発、何100発と頭部にパンチ、けりが入るのであるから。

 試合会場には多くの女性ファンもきていた。エリッククラプトンもきていた。女性のみなさんぜひ、PRIDEをみて、格闘技の魅力にふれてほしいものである。