2000/4/20 Napster 

 MP3についてご存知だろうか。MP3という形式で好きな音楽をデータ化できる。このデータは1曲3MB程度と小さいので、インターネットでも交換できる。また、ハードディスクに数百曲いれておき、パソコンで元の音楽に戻して演奏しジュークボックス、有線放送のように使うことができる。専用の携帯プレイヤーを使えば、音とびせずに野外で聞くことができる。

 これらのMP3データは、自分で購入したCDなどから作って、自分で聞くのであれば問題ない。しかし、他人からもらったり、借りたCDなどから取り込んで聞いたりしすれば、著作権法違反である。当初、インタネットのサイトでダウンロードできる場合が多かった。これらをダウンロードすれば、CDなど買わずに好きなアーティストの音楽を入手できてしまう。

 最近はこれらのサイトに著作権協会などから警告文などを送付して消させていた。結構、効果があり、すくなくとも、表立ってMP3ファイルをくばる奴はいなくなった。

 Napsterというプログラムがあり、Napter.comからダウンロード可能である。これを起動してサイトに接続する。

 すると、その時に同じように接続されている全ユーザのパソコンのディスク内に格納されているMP3ファイルが、それぞれのユーザから見える。ダウンロードすることができる。つまり、MP3ファイル収集家が、このソフトを使ってお互いが持っているMP3ファイルを交換できるのだ。

 今まで、MP3ファイルの不正配布は、インターネット上のサーバから行われていた。だから、退治する側も簡単で、サーバを検索しそれらのファイルを探し、警告を発し、削除させるか、訴訟にすればいいわけだ。

 しかし、Napsterを使った場合には、これらのファイル交換を発見し、やめさせることが極めて困難になる。ファイルはサーバ上にあるわけではない。インターネットに接続しているユーザのディスク内にあるだけだからだ。

 接続を切られれば、ただの机の上のコンピュータである。つかまえることができるわけがない。

 いろんなことを考えるものである。

 これが一般化してしまえば、不正交換の取り締まりはもう不可能だ。したがって、どうやって取り締まるかを喧喧諤諤で議論しているらしい。今のところ、そのNapsterプログラム自身を攻撃しているようである。Napster側はもちろん、不正にコピーを入手しないように呼びかけているが。

 だが、実は問題はこれだけでは収まらないのだ。理由は、この手法で交換するデータは別にMP3に限られないからである。

 この交換の手法が確立されてしまえば、今まで、取り締まられてきたあらゆる不正データが交換可能になる。考えられるものだけでも、アングラ情報、音楽データ(MP3ファイルなど)、H画像、ゲーム・業務ソフトの不正コピー、漏洩データなどの交換が考えられる。隠れて不正にやりとりされてきたデータが、自由にやりとりされてしまう。

 警察が取り締まってきた分野のデータまで、やりとりされ、検挙がむずかしくなってしまう。

 インターネットが不正コピーのハイウェイになってしまう危険をはらんでいるのである。

 以前から、ダイヤルアップして、突如、時間限定で立ち上がるアングラサーバはあった。違法コピーなどの掲示板などに、たちあげたぞー、と宣言する。この臨時サーバには、たっぷり不正コピーのプログラムやデータがはいっている。でも、いかんせん、限られた世界であり、アクセスしてくるやつらもそれなり危ないやつである。一般的ではない。

 しかし今度の話はそうではない。誰もがアングラ、不正情報の発信元になりえるわけである。

 でも、このNapsterのデータ交換の手法は、非常に便利なインターネット活用の手段にもなりえる。

 一体、技術世界はどのようにして、この不正交換を防いでいくのであろうか。そちらのほうが私には興味深いのである。

 でも、やばい話から、一気に新しい技術が普及するというのも事実である。CDRを購入する人たちはみな何をコピーし、どう使っているのだろうか。