2000/3/30

 日本企業(非外資系企業)から、外資系企業に転職する際に、文化の相違から注意すべき事項をあげてみたい。

1.呼称

 非外資では、上司は部下を、呼びつけ、または君づけ。部下を上司を役職で呼ぶのが普通。しかし、外資では、どちらも「さん」づけだ。社長が新人に対しても「さん」づけする。

 逆に、役職で呼ぶと、本人は必ずいやがる。転職してきて、部下を呼びつけにしたりすると、大変である。

2.休暇

 誰でも、スケジュールさえあえば自由にとることができる。同じ課で忙しい人間がいても同じである。日本企業では、手伝おうとする意思がないとまずい。外資では明確に仕事の割り当てが決まっている。日本企業で課がいそがしい状態で休暇など取ろうものなら、やる気がないとみなされる。
 それ以前に、レジャーで休暇を取ること自体が、後ろめたい行動に属する。外資では休暇を取る場合、日本企業のように、すいません、とあやまらなくてもよい。

3.旅行・宴会

 社内旅行、宴会などに出席しないと、日本企業では規律を乱す不届き者となる。社内旅行参加を拒否した部下の上司が更に上司に怒られていたのを見たことがある。「なぜ、A君はいかないのだ。君の指導がわるい」社内旅行でも、全て宴会・団体行動中心である。外資でこんな社内旅行やったら、社員の顰蹙をかう。

4.仕事の割り当て

 外資では厳密に定められ(ミッション)、それを他部署と協調しながらどう達成していくかが求められる。日本企業では、まず「和」である。ともかく団体で一つの目的を達成する。役割はかなり柔軟に定められる。

5.上司との関係

 上司は、管理をする職務を達成する同僚のイメージ。日本企業では「親」のイメージである。上司は、部下をかばって、「悪いのは私です」的ななにわ節も必要である。「どうした?俺になんでも相談しろよ」ては感じ。
 外資では、部長を前に、課長が部下を指差し「彼の責任です」というのも問題なく行われる。というより、必要であればそれは当然行わなければならない。

6.頑張り

 日本企業では努力が大きな評価軸になるが、外資ではミッション達成が評価軸である。「出荷はおくれたが、社員は正月返上で頑張った」というと日本企業では許される。外資では「出荷おくれた」以外はノイズに近い情報である。

7.給料

 日本企業では、給料の比較はタブーである。なぜなら、同期という概念が存在し、「なぜおれがあいつより安いんだ」ということになる。外資ではミッションの困難度と重要度に比例して、個々人で異なる。

 営業など直接企業収益に影響する場合の歩合はきわめて大きく、優秀な社員はへたすると社長の数倍をもらっている。

8.愛社精神

 この社と運命をともにする、この会社に育ててもらった恩がある、おれはこの会社を愛している、という概念が外資では少ない、またはない。

 日本企業では社員にこれをまず求める。だから、辞めるという選択肢はまずない。外資では、条件にあった会社というイメージが強く、条件が満たされない状態になれば、条件のあう会社に移動する。

 どちらの場合でも、会社は社員を愛しているとは思えないが...

9.社内いじめ

 外資では、外部からきた人間、とかいう概念はない。だから、誰でも対等につきあうことができる。すぐに溶け込める。

 日本企業では、「主流」「本流」とか「純血」とか、よそ者と本筋という人間の区別がつけられる。これはいつまでもその人間についてまわる。一流企業では、中途入社社員はいつまでも、本流とみなされず評価も低い。いぢめられる。

 この点、外資は日本企業よりはるかにスマートである。

10.いらない社員

 社員がいらなくなった場合には、外資では解雇である。そのときにはそれなりの金銭を払う。日本企業ではいらない社員の置き場ともいえる子会社、部門が存在する。そこで一生閑職をまっとうする。本人が気付いて自然に辞めるのをまつわけである。

11.営業成果

 米国では、決算を4半期(3ケ月)ごとに行う企業が多い。だから、営業部門にも3ケ月ごとに成果を求められる。「1年先の俺をみてくれ!」は通用しない。ともかく、3ケ月ごとに成果をきっちり出さないと自然淘汰される。トップ成績をとっても、次の3ケ月でやばくなることもある。だから、商談を「とっておく」営業もいる。

 日本企業では、もっと評価は長期で、成績がわるければ怒鳴られる時間、いびられる時間がより長くなる。外資では怒鳴ったりしない。もっとこわい。

12.主張

 日本企業では、「割り当てられた資源で、最大限の任務をまっとうする」であるが、外資では「任務をまっとうせよ。資源が足りなければどんどん言え」である。日本企業で、あれない、これない、というと嫌われる。外資では主張すべき点はきちんと言う。
 だからといって、必ず新規資源が与えられるわけではないが。

こんなところですかねえ。