2000/3/15

 「迷惑をかけてはいない」と、主張をしている人がいる。それも、「迷惑だよ!」って怒っている人を前にしてである。

 「あなたには迷惑かもしれないが、こういう話しも聞いて欲しい。こういう考え方もある..」というのなら、わかるが。迷惑というのは、そういう行為をした人自身が、迷惑かどうかを決定するのではないんですよ。

 「迷惑」は、かけられた被害者の方の感情、判断を示す用語である。「俺には、それ、迷惑だよ」というのが正しい用法である。これを否定できるはずがない。「いま、私は悲しい」といっている人の前で「お前はかなしくない!」といってるのとおんなじ。「うれしい」と喜んでいるやつの前で「お前は、うれしくなんかない」。変でしょ?

 この論理がわからん方は多い。日本列島、公害だらけだったころ、公害企業の経営者が、同じことをいっていた。「わが社は付近住民に迷惑をかけた覚えは無い」かかっているかどうかは、あなたが決定するんじゃないです。

 公道のどまんなかで、テープ張って交通遮断して、「芸術なのになぜ日本人はわからないのだ」といってる外国人がいる。心筋梗塞の患者を運ぶ救急車が、こいつのおかげで病院にいくのが遅れたらどうするのか、といったことにも考えが及ばないらしい。典型的な「迷惑だ」「迷惑かけてない」である。

 飛行機でアホみたいにデカイ音でMDきいてるやつ。「こんな飛行機の中で、あなたに私のMDの音がきこえるはずがない。迷惑なはずがない」だと。「聞こえてますよ」「聞こえてない!」人の耳まで決め付けてくださっている。

 公園で、はとに餌をやる。付近住民に迷惑をかけているだけでなく、最終的には鳩たちに、もっとも残酷な結末をもたらすことになる。このおじさんたちも、「迷惑をかえた覚えは無い」「はとが可愛そうだ」

 暴走族。「おれたちは気持ちよくはしってんだ。誰にも迷惑かけてない」本気で主張しているから恐い。

 迷惑をかける人間の分類:

  1.迷惑をかけていると知っていて、なんとかしたいと思っているが、どうにもならず、結局、また迷惑をかけてしまう

  2.迷惑をかえていると知っているが、だからどうした。俺は人の迷惑なんかなんとも思ってネエゾ。というタイプ。

  3.迷惑はよくないと思っている。しかし、かけていることに気が付かない。

  4.他人にとって迷惑かどうかは、その人(被害者)でなく、俺様(加害者)が決めるというタイプ。

 今回かいたのは、この4のタイプである。私個人は、1、2,3の3つのタイプの人はなんともない。理解できる。しかし4のタイプを見ると、恐ろしくなる。できるかぎり、遠くに離れていたいものだ。