悪徳商法手口

 私は悪徳商法に興味があり(自分がやろうとしているんじゃないよ!)いろいろ話しを集めている。人は引っかかった話しを、恥と感じて、他人に話したがらない。「だから」いつまでも悪徳商法はなくならない。

 悪徳商法の話しを2人きりで1,2時間話す。すると、「実は私も被害にあったことがある....」と話してくれことが多いのである。思ったよりも多くの人がかかっている。

 たいした内容にはならないと思う。ぼつぼつ書いていくので、期待しないでください。まあ、こういう話しは読んでおいて損はないですよ。

 また、「私はこういう手口でやられた」というのがあったら、教えてね。絶対に秘密は守ります。

1.電話セールス:
 
 ある日、会社に電話がかかってくる。はじめての相手だ。えらい早口で話してくる。なんでも、いい話し、儲かる話しらしい。(どなたでもかかってきたことあるでしょ?)切ってしまいたいが、相手はそれを防ぐように言葉の洪水をあびせてくる。

 内容には多くの種類がある。どんな種類でもやりかたは同じ。

 ・ゴム、大豆、金などの先物の説得勧誘。
   「相場には、XX様はご存知ないでしょうが、一定の季節変動パターンがあり、必ず、これから、上がります。」とくる。これには2種類のやり方があるようで、相手の上位に立って丸め込むやり方。もう一つが、「あなたのように、経験・知識豊富で、判断力の優れた方にはおわかりと思いますが」というほめごろしパターンもある。優位にたつか、おだてるかである。

 ・(いいにくいが)、資格取得。今なら特別に簡単にとれますよー。とくる。
  「今、法律改正に伴う暫定措置で、講習だけで特別にとれます。まもなく締め切りです」とかのたまう。

 ・自己啓発セミナー。これは、最近は「人脈作りに素晴らしいのです。伊藤様の前には、日商岩井の部長様がお入りになりました。ぜひ、選ばれた伊藤様のような方には入っていただきたいのです」「何か勘違いをされておられませんか?私どもは、変な業者ではございません」

 ・アンケートを御願いします、ときて、何問か答えさせ、「おめでとうございます。あなたは、私どもの基準をクリアいたしまいした。」似たやつに、いきなり「おめでとうございます。あなたは当選しました」「え?応募してないよ」「あなたの友人が推薦応募されたのです」というのもある。
 このやり方を「ラッキー・幸運商法」という。

 ・アポイントメント商法。「ぜひ、詳しくお話ししたいのです。XX日に喫茶XXで」とくるやつ。いうまでもなく、クーリングオフなどをさせない手段である。

 上記の、「暫定的に、今だけ」「特別に」「選ばれた」「必ず」「おめでとう」という用語が重要である。

その対策:

 ・これはどんな悪徳商法にも当てはまるが、「人間は、ただでは動かない。電話や訪問は、相手に利益があるからやっている」「本当にもうかるのなら、自分でやるはず」「自分が当選した、といったら、徹底的に慎重確認しろ。お前がそんなにラッキーな人間か?」というごくあたりまえのことを、頭に叩き込むことだ。というのは、今は理性的でも、自分の身になると、必ず判断力がうしなわれ、この3項目をわすれてしまうのだ。

 ・特定の言葉を覚えておく。「暫定的に、今だけ」「特別に」「選ばれた」「必ず」「おめでとう」といった用語を相手が使ったら、はっと気づくこと。これは怪しい、と。ああきたな、と思えれば大丈夫である。

 ・電話セールスによる、先物などの強引勧誘は、ターゲットを新人社員に絞ってくる。まだ、情報の少ない、相談できる人間の少ない、社会人をねらう。
 もっとも、40台の営業部長クラスでもかかることもあるが。
 人事などは新入社員教育ででもぜひとも、警告をだしておいてほしいものだ。

 ・民法でも電話での承諾があれば、契約は正式に成立する。契約書などなくてもいいのである。むこうは、録音をしているのであるから、慎重に発言すること。「結構です」はつい使ってしまうが、絶対に使ってはならない。「いりません」を使う。この単語はいいにくいので、何度も口にだして、なれておくことだ。「いりません。いりません。いりません」と。

 ・電話の切り方。相手が何を話していようが、ロボットのごとく、低姿勢で「申し訳ないですが、関心がございません。説明ありがとうございます。失礼させていただきます。すいません」といって電話を切る。相手が何を話していようが、こう一方的に話して切る、というところが重要なのだ。
 また、ただガチャンときると、相手がきれて、何をするかわからない。また、礼儀ただしく接しようとしすぎると、電話はまず切れない。だから、上記の対応をすすめるのだ。

 ・手遅れで、ひっかかってしまったら、すぐに友人・家族に相談する。といっても、相手は絶対に相談させまいとする。「岡目八目」で、他人は冷静に判断できてしまうからだ。「...XX様はご自身では判断できないのですか?」「儲けてから、だんな様を驚かせましょう」「秘密のお小遣いになりますよ」とかいう。
 相談できた段階で、問題はほとんど解決している。相談しないから、被害をうけるのである。

 今度から職場、自宅に電話セールスがきたら、私のこの文章を思い出してほしい。あなたは、ひっかかることはないでしょう。よかったね。最後までよんで。

2.訪問してくる場合

 次は、家までわざわざやってくる場合。1で述べたのと同様、「わざわざいい話しをボランティアで赤の他人の家にもってくる人はいない」をしっかりと頭にいれておく。

 さて、あなたが逆に悪い販売員だったとしよう。どうやって、だまして売りつけるか。かんがえてみよう。

 「あのー、私、販売しにきましたー」と言うはずが無い。玄関すらあけてくれない。
 で、それを隠してまず玄関をあけさせるはずだ。

 実際にもその通り。販売と関係ない理由・言葉ではいってくるので、よーく注意してほしい。

 「市(県、消防)のほうから来ました」
 「現在、XXXXの無料点検をさせていただいております」
 「はーい、チェックにきました」
 「今日は無料の試供品をおもちしました」

 ま、いくらでもいいかたはある。ともかく、きちんと玄関で「XXXのセールスです」と言わない業者はすでにやばいに決まっている。
 レアケースでは「すいません。おトイレかしてください」「あのー通りがかりできづいたんですが、屋根がこわれそうですよー」

 こうして、ドアをあけさせれば、こっちのものである。次にどうするか。
 「恐怖をうえつける」である。

 化粧品「お肌はなにもしないと、ひたすら、老化していきます。...」
 「この布団はXX年前ですか?あー、こりゃダニの防止加工してないやつだな」
 「1年くらいで、このままでは火事になります」
 「あー、浄水器つけてないんですか!おどろいたね。ここの水にはレジオネラが..
.」

 さらに「いま、特別料金サービス期間中です。お得です。」などのセールストークをいれて、だめを押す。

 まよっていると、すぐに割り算をもってくる。高価におもうんですが、1日に割ると、200円ですよ。これで、健康がかえるんですよ」「高価ではありますが、これはいいものだからです。(??)月賦にすれば、月たったの2000円です。」

 主人に相談する、とかいうと、彼らももう必死である。「あー、今日までなんだよなー」「いいものはなかなか、わかっていただけないんですよ。奥様のような聡明な方はすぐにわかっていただけるんですが。まず、ご自身で使って、効果をご主人にみていただいたら?」相談されてはもうダメだからである。会話のない家庭ほどだましやすい。

 といったのが、代表的パターンである。

 ぜひ、このパターンを頭にいれてほしい。そうすれば、冷静になれる可能性がある。

 一度ひっかかると、業者の「ひっかかりやすい家のリスト」にのってしまう。すると、他の業者がまたやってくる。

対策:

 ・まず家にいれない。顔をあわせると、もうドアをしめづらい雰囲気がでる。だから、声だけ聞いて、「あ、すいません。失礼します。」と終わらせる。

 ・この人はXXXからきた人、とか決め付けない。制服、表情、発言をうのみにして、信じない。いい人みたい、とか、きっちりした人とか信じない。販売員はまずこのへんに最大の注意をはらっているから。会社名もわざと勘違いしやすい名前を使ってくる。

 ・いれてしまった。もう、帰らない。大切なのは、自宅の家のことについて、絶対に話さない。水道、屋根、ふとん、子供のこと...全部、「うーん」で答える。つっこませては向こうの術中にはまってしまう。情報をださないこと。

 ・「はんこ」を押すな。買うな。その前に絶対に友人、家族に相談しろ。

 ・訪問販売のかなしさ、クーリングオフがある商品が多いので、すぐであればクーリングオフできる可能性が高い。このあたりの詳細は、国の「国民生活センター相談窓口」地方公共団体の「消費者センター」に電話でもいいから問い合わせる。

 ちなみに訪問販売は、正しい商売の方法である。善良な業者にまじって、悪質な業者がはいっている。善良な業者は、玄関で自分の身分を身分証をしめして、挨拶するはずである。

 いい勉強になりますでしょ?

3.街頭にて(キャッチセールス)

 道を歩いている。それも、人通りの多い、駅前とかである。突然、日めくりカレンダーのようなメモをもった見知らぬ人間に声をかけられる。いや、道をさえぎられる。
 「すいません。あのーちょっと、アンケートを御願いしたいんですが」
 あなたは、少し時間がある。で、男(または女性)も結構いい感じの人。アンケートくらいなら答えてあげようか...ま、こんな人通りの多いところで、変な人はいないだろうから。
 いろんな項目にこたえると、やにわに切り出す。「今回、お礼の意味をこめて、いろんなものを差し上げられますが...旅行も安くいけるし....」

 これが典型的なキャッチセールスである。もちろん、アンケートというのは真っ赤なうそで、後半のセールスがメインである。(このセールスのおかげで、本当のアンケートの人が大変だとのことである)

 前回でも述べたとおり、「あのー私セールスですが...」といったら、道端で止まってくれるはずがない。んで、いろんなうそをついてくる。
 まず、「アンケートです」次に「安くいけます。」結局、権利とかを買わされるのであり、セールスだが、なんか、割引券のようにきこえるのである。

 最近は次のようなバリエーションがうまれている。
 「説明するから、ちょっとそこまで来て」と事務所につれていく。こうしてつれていったら、もうクーリングオフがきかないようだ。(訪問販売でなくなるから)

対策:

 ・まずは、立ち止まらないことである。こうしたキャッチは、効率性を高めるため、できるだけ人ごみの多いところを狙う。まず、アンケート用紙らしきものをもった人間が声をかけてきても、気が付かないよ、という感じで通り過ぎる。それでもついて来たら、手をあげて、手のひらで相手を制止するポーズを作って、早足で目的地に向かうことだ。残念だが、都会でちんたら、歩いているといろんなワナがまっている。

 ・彼らが声をかけやすい雰囲気を作らない。「のほほんとした顔をして、人が良さそうで、ひまそうに、周りを見回しゆっくり歩いている人間」を狙う。だから「ぎすぎすした顔で、人が悪そうで忙しそうに、はや歩きの人間」は狙われない。やれやれだが、仕方がない。

 ・アンケート終了後、別の話しを切り出してきたら(「..あげます。」「割引き」「説明会」)、あ、きたな、と思うことだ。きちんとしたアンケートでそんなことはありえない。

 ・ともかく、その場所以外の場所には絶対にいってはいけない。いったら、もうあなたは最期である。先輩格のやたら「怒鳴る」人間がまっていて、クーリングオフできない契約書にサインさせられる。

 ・こうしたセールスのあることを、若者のみなさんは、友人にはなしていくことだ。情報を得れば、ひっかかりはしない。
 新生活はじまったばかりで、まだ、友人もすくない、といった孤独気味の人がよくひっかかる。情報少ないし、人に相談できないからである。
 新生活で、こうした悪い都会にひっこしてきた人にはいってあげるべき。

 ・かかったら、すぐに人に相談する。公的機関にすぐに相談する。

 ・被害者続出していて、自殺などが出ると、その道に「キャッチセールス注意」と出ている。(そのころには、被害者が多数でた後で、やつらも、もう、近くの別の場所にひっこしているが)

 年配の方は、自分の娘、息子に詳細に話してあげましょう。「変なのに、道端でひっかかるなよ」とかの曖昧な言い方では効果がないですよー。

4.人脈商法

 なんだい、人脈商法って?実は私が勝手に作った用語です。

 誰でも、ある程度持っているもの、それが人脈で、それを食いつぶして儲けるのが人脈商法。つまり、誰かを誘い込んで、その人の持つ人間関係をくいつぶしていく。

 何でもいいのですが、ある商品を決めます。そして、それを何個売ると、いくらかのマージンが手にはいる。それを専門販売員でなく、時間に余裕のある、主婦、また学生などにアルバイト、副業意識でやらせます。
 うまい話しでつるけれども、実はハナから、会社側は彼らに売ることができるとは思っていない。んで、どうするか。

 まず、本人に一定量、買わせます。金なきゃ、とりあえずローンくませます。初期投資というわけですね。この量がハンパじゃないんだ。家がこの商品でうまってしまう。

 次にどうするかというと、本人は買ってしまった商品の投資を取り返すために、なんとかしなければならない。(ローンを組まされる)そこで、自分以外に一番いうことを訊いてくれそうな人に売りつけることになる。
 それは、自分の両親、姉妹、親戚、夫、ひどい場合は子供である。さらに、会社の友人、大学の友人、恋人などだ。やがては近所、幼馴染、同窓会にまで手をつけていくようになる。
 この人たちに、泣きついて、買ってもらうのだ。人には、何人か、こういうことを頼める人間がいるものなのだ。こうして、この人たちにうりつける。

 会社はこれで、相当売上が伸びる。本人は、買ってくれそうな人、全員にかわせると、もう売れやしない。会社から見るともう用済みということになる。

 本人は、人数が限られているので、わずかな金しか手にできず、これでは初期投資はまったく回収できない。しかも、親戚、友人にすべて、売りつけてしまった。だいたい、こういった商品に優れたものは少ない。ほとんどが、粗悪品。交わされた人間は、無理やり(に近い)売りつけた人間をうらむ。
 本人は、善人なら、かわいそうに、売りつけた人間に顔をあわせづらくなる。自分の欲のために迷惑をかけたという意識があるからだ。人間関係を、金にかえてしまったというわけだ。

 これで済めばいいほうだ。会社は、この雑巾のような被害者を更においつめる。それは、自分のように、販売員になってみない?と、友人などを誘わせるのである。誘われた友人が販売員になれば、彼らの初期購入分の何割かが収入となる。なんのことはない。欲のために大切な友人を、自分と同じ被害者にするわけである。

 例によって、販売優秀者は、おおげさな会合で、表彰され、もちあげられ、成功者とみなされる。この会合では、商品のよさを催眠術のように頭にたたきこまれる。本人もそれを望む。なぜなら、友人に粗悪品を売る、ということに罪悪感をもっているからだ。

 この人脈商法のやり方は、金融業の保証人を使った場合と何もかわらない。はじめから、返せるはずがない人に貸す。それは保証人をねらっているからである。実は保証人すら要らないかもしれない。破産しそうになると、助ける人は必ず出てくるものなのだ。それを見込んでいるわけだ。人間関係を狙っているのだ。

 扱う商品はなんだっていいのだ。

対策:

 これは難しい。仕組みを訊いて、上記のパターンに近いと思ったら、察知して会員にはならないことだ。できれば友人にも、その無理な点を早めに説明して理解してもらうべきである。(興奮してしまっており、無理かもしれないが)
 また、自分が赤の他人にものを売りつける能力をもっており、販売員にむいているかを考えるべきだ。
 そして、お金を儲けるために、販売員になろうとしているのに、まず金をはらわなければならない、というのは何か変だな?と感じて欲しい。
 そんなにいい商品なら、主婦とか素人に販売を頼るはずがない。変だと思いません?

 私が書いていることは、全て実際に私の身の回りで起きたことである。たとえば、母の友人が、この商法で、磁気ふとん、10万円。また別の友人が、バブルスター30万円を売りつけようとした。(これは未遂)この友人は、会員への勧誘まで行った。

 いずれの友人も、この機を境に、我が家には2度と訪れなかった。

5.ワナ

 今回は、「わな」のような商法?を紹介する。

 映画館に入る。はいったとたんに、「どうぞ、くじを引いてください!」と、にこやかな若い男女が箱をつきだしてくる。
 なんだろう。と、そのスピードくじを引く。
 男があけてくれる。すると、「おめでとうございます!あなたに指輪があたりました」どうぞこちらへと導かれ、近くのつくえへ。なんかうれしい。
 いろんな話しをしてくる。そして最後に、「指輪をあなたの指に合わせる手数料で、1万円を頂戴します。」 

 ふざけた話しだが、この当選しました、という商法は意外に今でも通用している。映画館もまぬけで、こういうのを平気で認めて場所をかしている。こういう場所でも注意しなければならない。もちろん、全部あたりくじである。

 結構、このパターンは知られているようだが、知らないで友人などがくじを引こうとしたら、とめてあげることだ。

 (これも商法か?)
 駅を歩いていると、なにやら、人が集まっている。1人が説明して。それを何人かの客がとりかこんで聞いている。五目並べだ(将棋、ダイスもある)。あなたは、少しこのゲームには、自信がある。見ていると、すぐに男が声をかけてくる。「どうですか?研究ですから、一手うってみてください。研究ですから」そこで、盤の前にすすみでて、打ち出す。数手うって負ける。(必ず負けるようになっている)

 おもむろに、「あー、残念でしたね。で、XXXで負けますと、10000円いただきます。更に、XXXでもありますから、20000円...合計50000円いただきます(額は相手によって変える)」といって、盤の横の紙(最初は隠している)をしめす。そこに料金表がある。あなたは逃げようとするが他の客が取り囲む。もちろん、あなた以外は全員、さくらの客である。 
 デンスケ賭博は、とりしまられているが、「ひっこしが容易」なため、警察が来ると逃げる。そして、また始める。ギャンブル関係の場所(競馬場など)の近くでよくやっている。ともかく関心をもたないことだ。

 このほかにも、いわゆるぼったくり系の店は多い。数万から十数万を取られ、かつ社員証、免許証、クレジットカードなどをとられることもある。警察にいっても民事不介入である。殺された場合には介入してくれるが。
 いかなる種類の店でも、ボッタクリは、必ず客引きを使っている。待っているだけではまず客がこないからだ。客引きには絶対についていってはならない。また、新規開拓するかーなどと酔っ払った勢いで考えないこと。

 歩いていると、さっと、すごい小さい花束(なんでもいい)が眼のまえに差し出される。反射で受け取ってしまうと、「ありがとうございます。」といって、手を出してくる。「1000円以上で御願いします」強制的寄付の代表的手口だ。アルバイトの人には申し訳ないが、ティッシュ以外は受け取らないほうがいい。

 都会はわなが多い。ニューヨークのボトルマンなどかわいいほうだ。

6.ネットワーク上の商法

 インターネットの普及とともに、その中をサーフィンする人間をターゲットとする悪徳商法も出始めた。

 実はほとんど、犯人検挙はできていないのが実情なのだ。犯罪は国際的な広がりをもってしまうからで、技術的にみつけても、検挙はむずかしい。中には、自分でつかまえている人もいる。警察も、この手の技術にたけた人間はすくなく、逮捕はむずかしい。だから、ひっかからないように自衛をする必要があるのだ。いくつかの例をここで示していこう。

 MP3の良さにきづいたあなたは、インターネットからいろんなMP3データを集めてみようとする。サーフィンしていると、「無料で人気アーティストのMP3データを!いますぐ専用ソフトをダウンロード」とあるサイトをみつける。あなたは、すぐにダウンロードをして実行する。なにか、ダイヤルしているようだ。結構長い番号だな..
 やがて、画面にMP3が沢山のっているサイトが現れる。喜んでお気に入りのアーティストのMP3データをダウンロードする..

 かくして、地球のうらがわへの電話料金が発生する。ダウンロードした専用プログラムというのは、国際電話でその業者のサイトに接続するようになっている。それも馬鹿高い料金の国へ、である。業者はその国際電話の会社と契約しており、その料金からのリベートをうけとる。

 そして、とんでもなく国際通話料金の請求書が届く。うったえてやろうにも、そのサイトは外国になる。そんな国の警察にどうやって訴状をだすの?こうして、泣き寝入りである。この手口は広くもちいられている。主に、MP3データ入手、エッチページのアクセスなどである。いずれも、違法性が高く、おおごとにするのも、自分自身がはずかしい。

 これに関しては、信頼できるサイトでないサイトから、ダウンロードしたプログラムは絶対に実行しないことだ。そして、ダイヤルしはじめたら、すぐに切る!実行形式ファイルを安易に実行しないことは、メールでも同様だ。

 もうひとつ。あなたは、英語のサイトをみているうちに、面白い商品をみつける。これはいいなと思って、よく読むと、クレジットカードを使えば、インターネットから注文できる。さっそく、申し込む。
 ここまで読んであなたは、どういった結末を予想するか?もちろん、商品こないで、お金だけ取られる場合がある。しかし、商品はやってきた。

 しかし、そのうち、知らない会社から、買ってもいない商品の代金がクレジットカードでがんがん引かれ始めるのである。これは、あなたの番号が黒い世界に販売されたということである。悪いやつがその番号で買い物をしているわけだ。さあ、あなたはどうする?

 結論から言えば、すぐにカード会社に電話して相談することだ。一刻も早く相談することで、被害を最小限におさえられる。

 この2つがネットでの悪徳商法の双璧だ。また、ネットオークションでも問題はおきているらしい。お金を振り込ませて、商品をおくらないやつがいる。とんづらである。更に、アンケート画面で入力させた情報を、業者に販売して儲けているやつは多い!うかつにアンケートに真実の情報をかくな

 ネットで悪いことをしようとするやつは多い。つかまりにくいことを知っているからである。「クレジット番号を入力する時には最大限の警戒を要する」「知らないサイトからダウンロードしたEXEファイル、BATファイルは実行しない」

 みんな、注意してくださいませ。

7.モニター商法&内職商法

 ある(新)製品の消費者に与えるイメージを調査したい、で無料で使っていただいて、ご意見を頂戴したい。
 で、商品をいただけるのだが、ここで「しかし、無料でさしあげたことが公になると、不公平だといわれるので、一応、形式的に買っていただくことにしてほしい。いや、心配はいりません。ちゃんとそのお金はお支払いします」と、ローンを組ませられる。お金はこちらから、毎月はらいます、うんぬん。

 しかし、当然、お金は払われず、ローンだけが残る。商品をしかたなく、現金化しようとすると、超安物であるとわかる。ダブルパンチである。「ただほど、恐いものはない」ということわざが光を放つ一瞬である。最近は着物でおおごとになったが、手口は昔からある。TVでタレントがスタジオ見学者になにかというと「ちょーだい!ちょーだい!」と手をだされているのを見ると、この商法はこれからも使われると思われる。

 似たものにSF商法があり、ただでいろんなモニター商品をさせあげますので、集まってください、と主婦層・お年より層を中心に召集をかける。集まった客に、数百円、数千円くらいのものを次々とさしあげる。んで、盛り上がってきたところで、特別サービス!今日だけ、羽根布団50万円を30万円!とメイン商品を出して、売りつける。これは主婦層を中心に口づてで召集をかけるのが特徴である。

 確かに消費者に対する商品モニター調査というのはあるにはある。しかし、その件数は少ないはずである。そんなに件数がおおいはずがないではないか。自分がモニターに選ばれた、としても、慎重に慎重をきするべきだし、ましてや、少しでも金をはらう、という話しになってきたら、すぐに話しを打ち切れ!
 ほしい、ほしい、ただでほしい、ちょうだいちょうだい、という考えは悪い人間にはきわめておいしいカモにみえるのだろう。

 もう一つの内職商法は、いまの不況にぴったりの悪徳商法、いまが旬である。

 手ごろな内職をさがしている主婦も多い。夫の収入減をささえるとか、御小遣いがほしい、など理由はいろいろだ。で、雑誌、広告をみたら、なかなかいい自宅でできるバイトがある。宛名かき、ワープロうち、工芸品作成、などなど。

 で電話してもうしこむ。ここからの対応はいつくかにわかれる。

 ・では、詳細資料を送りますので、3000円分の切手を送ってください。
  −> 多くの人間に送らせて、トンヅラ。

 ・この仕事は、決められた機械(ワープロ、製作機械など)が必要ですので、これを初期投資で購入していただきます。
  −> 仕事を待てど暮らせど、仕事はいただけない。単なるワープロの通信販売。

 まあ、この2種類だろう。バリエーションはあるのだろうが。
 この商法でも、バイトでお金をいただこうという件なのに、逆にお金をはらうということになったら、1年であっても徹底的にうたがうべきである。それに、いま、家の中できれいな仕事で、お金を儲けられる仕事などないといっていい。ワープロうちでバイトしている方もいるが、仕事内容・報酬とも厳しい。

8.霊感商法

 日本では信仰の自由が保証されている。したがって自由に信じる宗教を選択できる。だから、落ちている石ころをひろって、これは霊力がこめられた、石である、といって私が人に売っても、相手がそれを信じているのであればしょうがない。

 ただ、最近、幸せになるために大金が必要になる宗教が多い、多すぎる
 当然、人を幸せにするための活動をしていても、経費はかかるのだから、お金は必要であろう。それにしても、たびたび100、1000万円と必要になるのは変だと私は思う。

 幸せになるツボをいただく、その代金が500万円。つぼを作る経費が500万円もかかるわけないので、その余ったお金って、どこにいくのか?セミナー代金が80万円。経費ひいたお金だれが手にするのか?人を幸せにするために活動している組織がどうしてそんなに大金がいるのか?

 信仰の自由を隠れ蓑にして、マルチ商法やってた人間が宗教家にはや代わりするケースもあった。宗教という形式は悪徳商法の業者にとっても、金儲けに大変都合がいいものなのかも知れない。いくら金をとっても、法律まもっていれば問題ないわけだ。

 石を「霊力があるので、信じれば幸せになる」といって、2000万円で売る。本人が信じていれば、なんにも法律的には問題がない。

 悩みのある人間だけでなく、XXの霊がうかばれていないのだ、とか、前世の悪業の報いでこれから不幸になる、家の方角が悪く、将来全員のたれ死にする、とか脅す人間も多い。まあ、これも、信仰の自由だといえなくないが、更に大金収集につなげていくのはいかがなものか。

 対策、というより、忠告しかいえない。悪質な脅迫行為などがなければ法律的に問題ないのだから。社会的な非難はあびるだろうけど。

 ・まず、払ったお金から経費を引いた金額がどこに消えていくのかを知ろう。儲けをとろうとするのは宗教団体でなく営利団体である。いちいち、数十万、数百万かかるのは変ではないか。

 ・人を幸せにしようとした過去の思想家、たとえば、釈迦、キリスト...彼らが、「救って欲しいのなら、大金だせ」といったかどうか。財産を蓄え、豪邸に住んだか考えてほしい。

ー さて次回は「お年寄りを狙った悪徳商法」ー

9.お年よりを狙った悪徳商法

 「社会的弱者を狙え」は悪徳商法の鉄則である。

 まともに考えると、お年よりには、いまある財産・年金程度しか収入はないわけで、他の人間よりもお金には慎重なはずである。一発山当ててやるか!といった山っ気はでようがない。
 では、なぜお年よりを狙うのか。理由はいくつか考えられる。

 ・他に収入はないので今の財産を大事にしたい。だから、少しでも安全に増やしたいという強力な欲望がある。信頼できるだれかに任せて増えるのなら、本音はぜひおまかせしたい。
 ・孤独であるお年よりが多い。「相談させるな」という鉄則にぴったりである。相談する人間がいないので、ひっかかりやすいし、対策がおくれる。また、あきらめてしまう。
 ・上記とも関連するが、人恋しい方が多い。やさしく接すると入り込むのが容易である。
 ・やはり生涯の蓄えをもっているわけで、ターゲットになるに足る金額を持っている。

 まったくとんでもないやつらだが、被害例をみているとこの通りなのでどうしようもない。
 上記の特性を見ると、だます奴等がどういって、はいってくるかはもう明らかである。
 「将来のために、いまお持ちの財産を増やしてみませんか。安全で高利回りです。」といって、増やしてあげますから、おまかせください、と来るわけだ。財産をあずかったら、自社のいかがわしい商品に全額投資すればいい。 0になったあと、文句をいっても、もうその社員は辞めている。その社員は高い歩合をうけとって、次の悪徳商法へ転職だ。

 でも、相談する相手がいないので、その男を信用する以外に道が無い。で、少しでも信頼できそうだと、はんこや通帳などをあずけてしまう。
 たとえ、家族がいても、仲がよくなければ、お年よりは相談しないし、「あたしのお金を増やして、息子や嫁をみかえしてやる」という豚でもない考えをしている方もいる。

 更におおきいのが、だますほうが、年寄りに大変やさしくすることだ。「おじいちゃん。お元気ですか?いま、ついでなので寄りました。この前、旅行いったんです。あ、これは、おみやげです。」「体にきをつけてくださいね。あ、腰でももんであげましょう。どうですか。いいきもちですか」と、年寄りが涙をながすようなことをしてくれる。財産を多めにもっていれば、車を出して温泉旅行にもいく。添い寝すらする。

 すると、家族がいない、またはいつも冷たくされているお年よりは、彼に自分の理想の息子像を見出してしまう。こうなればもう、全財産とるのは簡単である。豊田商事のセールスマンたちが得意とした手口である。「息子は信用できん!」なんていってた方が赤の他人に全財産をうかがわずに渡してしまうのであるから不思議である。

 豊田商事事件では、だまされたお年よりに、「おじいちゃん。だまされたんですよ」といくらいっても、「おまえたちにはあの人の良さがわからんのだ。そんなことをする人でない」と信じない方も多いし、なかには、「だまされていると知っていたが、やさしくされたのでそれでもいいと思った」という方もいたそうである。

 まさに社会的弱者をねらえ、である。

 対策といっても、お年よりは忠告はなかなか聞いてくれないので、安定運用先を紹介してあげても、お金をにぎりしめてはなさないし、善人を逆に信用しないし、ひとに相談しない傾向の人も多い。解約してあげて、かえって一生うらまれた、なんてこともある。非常に難しいし、だからこそ、狙われるのだが。
 だから、むしろ、自分がお年よりになったときに、だまされない対策をいまのうちに立てておいたほうがいい。やはり金融商品をいまのうちから研究しておくことだ。年取ってから、どう財産を運用していいかわからず、虎の子の財産を、証券会社をうのみにして、大天井の株に投資してしまうのだ。0.1%金利の時代に、金利5%保証などという、いかがわしい預金に投資してしまうのだ。「投資だ、なんだかんだって、おれは金にはあまり興味ないんだよ。」という人が多い。年取ったら、否応なしに金に興味が生まれるのだから、よく研究しておくことである。

 いまの超低金利は、お年寄りをこうした悪徳商法や、あぶない金融商品に導く危険を持っている。0.1%では、生活が苦しいからである。安定金融商品(銀行の定期預金)を引き出して、悪徳商法の甘い口車にのってしまうのではないだろうか。

10.投資話

 銀行金利以上の率で寝ててお金を増やせる、ということ自体、すでに悪徳商法くさいぞ、という人間もいる。でも、危険がある分、率も高いというのは合理的な話しであると思う。

 危険度0  : 銀行金利
 危険度10 : 年10%の投資効率
 危険度40 : 年100%

 といった風に、危険(お金が減る。なんなる)率と、その見返りとしての利息が明確になっていれば何も問題はおきないと思う。

 問題なのは、上記のように明確に売り手が危険度をいわない場合だ。私はこういった投資の持ち掛け方は、悪徳であると考える。

 たとえば、変額保険などは危険度が高いのに、いかにも危険度0に思わせて販売した事例が紹介されていた。そういった場合は、保険会社だから危険度0と受け取ったようだ。

 銀行の「投資信託窓口」なども、きわめて危険度の高い投資なのだが、銀行窓口の近くにあるので、安心(危険度0)のようにとってしまう人間もいるかもしれない。

 バブル時の証券会社などは、営業マンが「絶対に儲かります。信じてください」といって投資させていた事例もある。つまり、危険度0(絶対に)と思わせて危険度50のものを買わせたわけだ。

 だから、これからの時代、「投資」ときたら、その利息をまず考えるのではなく、危険度がどの程度かを理解するのが重要なのだ。まず、利息ありきではないのである。この危険度をうまく売り手が説明してくれない場合、ごまかそうとしている場合には、注意をしなければならない。

 「確かに危険度はあります。でも、まあ、大丈夫ですよ」こういう言い方の商品は買わないほうがいいです絶対。「これこれ、こういったことが起きたときには、ほとんど0になってしまいます。」とはっきり教えてくれればいい。野村の証券マンが「あんた、絶対大丈夫なんて株おまへんで。明日、ミサイルが日本にいっぱつ落ちてみなはれ。それで全部株はおしまいや。」といっていた。言いえて妙である。

 原則的に、危険0であれば、銀行金利以上の利息を実現できない、できるはずがない。なぜなら、本当に危険0で、銀行金利以上の商品あれば、世の金持ちみんな、銀行預金解約して、それを買っているはずだ。そうなっていないのなら、それは隠れた危険がある投資なのだ。(年金者向け預金を除く)

 「これは素晴らしい投資話です。元本保証で、年10%にはなります」このセールスマンは確実に悪徳商法である。ほんとなら、お前が銀行から借りて、投資せんかい。

 危険と利率は表裏一体なのだ、と頭に叩き込んでおいてほしい。株などは、危険度めいっぱい、と分かっている人間がやっているから、利率が高いのである。それでも問題がないのだ。この理屈に矛盾する投資話しは絶対に信用してはならない。

 「これからの季節、絶対に大豆が急騰します。一本でいいから注文いれてください」「うちのXXXは他社より5%も利息が高いです。お得です」この「」の中の話しがおかしいと思えるように早くなっていただきたい。

 「金利が1%もあがれば、30%程度は下がる可能性があります。しかし、金利が維持されれば、50%くらいあがるでしょう。ただし、原油情勢も要注意です....」などと説明してくれる営業マンなら安心できるんだが....

11.恋愛商法

 恋愛、愛情、結婚、などに関する悪徳商法である。

 結婚にしても、男女が社会的に一体になることだから、財布もいっしょになるわけである。これは都合がいい。結婚直前、または、それに確実に向かっているということになると、すでに結婚しているような状態になり、財布も一体化してしまうことが多い。で、ここでお金を頂戴して、とんずらである。

 これが結婚詐欺である。

 手口としては、まず、集団見合い?などを利用して、相手に近づく。情報を仕入れて、相手の財産を把握する。見込みがあれば、つきあいはじめ、結婚をちらつかせる。

 そして、突如「親が病気になった」「兄が交通事故を起こした」「実は借金があるんだ」という緊急事態を告げる。で、金が必要だ、という。
 被害者は動揺する。将来の結婚相手が困っているのだ。なんとかしなければ。
 結婚サギは、貸してくれとは直接はいわない。ただ、困っている、悩んでいるという様をみせつける。このままでは君(あなた)と結婚はできない....

 そもそも結婚相手は、恋愛の相手なわけで、人生で相手をもっとも理想化してしまう瞬間なわけだ。うたがうのは、きわめて困難である。かくして、結婚をめざして貯蓄してきた大半をあずけてしまう。

 だまされた人間は、結婚まで思った恋愛相手を失い、裏切られだまされたのだと知り、周りの人間に対しての対面をうしない、全財産をうしなう。とてつもない衝撃で立ち直るのは時間がかかる。

 でも、人間同士、ほんとに、何か問題がおきたのかも知れない。うそなのかどうかをどうやって見わかればいいのだ。それに人間として信じた人間をうたがいたくないではないか。よくやってしまうらしいのが、なんと相手に確認してしまう愚だ。「それほんとなのね」はい、うそです、というわけない。「うたがっているの?!」と逆にせめられる。

 方法としては、相手からできるだけ、詳しく自然に状況を聞きだす。心配しているし、将来のパートナーなのだから当然ではないか。なにか相手が話したがらないのであれば、(いろんな理由をつけて、病院名を教えない、事故を起こした場所を教えない、など)すでにあやしい。

 また、貸す前に、友人、家族にともかく事情を話しておく。例の第三者の冷静な目を通してもらう。そして、引き出した情報を元に、「相手以外のルート」で、事実(交通事故など)を確認することだ。交通事故なら、警察にいけばいいし、病気なら、その病院に問い合わせればいい。

 それは変なことではない。心配なら知りたがるのは当然だ。そしてなによりも、「まだ結婚していない」のだ。それをわすれないことだ。
 ....といっても、実際は、恋愛関係にある状態では、他人が忠告してもおそらく聞く耳はもたないだろう。事例を読んでも、相手をうたがいすらしない。忠告に耳をかさない場合ばかりだ。

 むしろ、周りの友人や、家族が積極的に、本人に代わって、事実を確認するべきであると思う。寸前で助かっている事例はみな、周りの人間が疑い、確認し、対応している。

12.怪しい健康食品

 健康食品はもちろん、まともな商品であり、効果があるものがほとんどだ。しかし、中にはいかがわしく、サギに近いものもある。

 健康にきくとすれば、それは、人体に恒久的に効果があるもののはずである。しかし、ファッションのように「ブーム、流行」がある。不思議な現象である。「1年前まで効果があったが、今年から効果はない」などあるはずがない。今では誰も使っておらず、終結して、消えうせてしまっているものすらある。

 もし、ブームで終わった健康食品があり、いまではほとんど誰も食べていないようなものがあれば、それは評価されなかったのである。もっというと「効いたよ」という実感が得られなかったのだ。今まで、現れては消えていった、健康食品、健康法をみなさん、思い出してほしいものだ。私はこの手の健康食品はいかがわしいと断言する。

 それらの健康食品は、安いものはではない。かなり高額であり、購入した人間はそれで健康になれると思い、効能を信じて買ったのである。

 現れた当初は、TVや新聞、怪しい医学博士、「XXXでガンが治った!」などのベストセラー本、食品メーカがブームをあおる。大ブームになり、感化されやすい人種が先をあらそって、買い求める。思わず友人に「私も飲んだけど、あれ効くよ」などと憑かれたように言ってしまう。

 なぜ、健康という普遍性のあるはずのものが「流行」になってしまうのか?

 それは、仕掛け人がおり、マスコミ、メーカを動かし、ブームを人工的に作り上げているからに他ならない。別に健康にいいかどうかなど、どうでもいい。ブームを盛り上げて、その間に、さーっと稼げばいいのである。

 いろんな手法がある。まず、「医学博士」と名乗る人物(中国医学の医学博士や、医者でない医学博士が多い)が、本をかく。タイトルは「え!XXでYYYが直った?脅威のXX健康法」とか「XXでガンが治った」とかである。それを出版して、出版側が大量に組織的に買い込む。すると、書店のベストセラーに入る。本好き人間の目にとまる。

 書店では平積みになる。更に、派手な車内広告をうつ。ベストセラー好きが感化されて買ってしまう。ますます売れる。

 同時に雑誌などに、広告半分記事半分を書く。この中で効果の絶大さがおおげさにかかれ、夢の食品のように思わせる。ここまで行くと、マスコミがいよいよ記事、番組を組みだす。時期をみはからって、メーカがその商品を売り出す。商品の売り込み文句を教育された営業マンが全国に散る。

 広告費がかかる。永くはブームを続けられない。かつ、そんなに効く商品ではないので、やがてはバレる。だから、ワーっとブームを作って、短期に売り上げる。だから、利益率が高くなければならない。安い原料のものを探して、効くという理屈をつくって、ブームを作って、バカ高く売るのである。

 何度、こういったことが繰り返されただろう。そろそろ、消費者も気付くのかな?と思うけど、懲りずにひっかかっている。あまり、いかがわしい健康法に関しては、消費者は学習効果はないようだ。

 ブームがさって、数年。まだ、その商品がコンスタントにうれているのなら、それは固定客がついており、本当に効いているのだ。でも、そんな商品はかぞえるしかない。単なるブームでの儲け時の打ち上げ花火だったのだ。

  そんなものを気にしたり一喜一憂するよりも、バランスよくいろんな食品を食べ、暴飲暴食をつつしめばいいだけの話なのではないか?あとは適度な運動だ。健康法はこれにつきる。

 しかも、まだ、「効果がない」だけならいい。安い原材料にするため、逆に「害になる」ものすらある。また、食べ過ぎたため病気になった人も多い。

 以下の話は別に悪徳商法に関するものではないが...

 親戚の人は医者から塩分を控えるように強くいわれていたようだが、「これは、健康食品業者から買った、減塩しょうゆだ。だから安心だ。」といって、胸を張って、ドクドク醤油をつかっていた。あのー、減塩醤油って、ただの醤油の何パーセント塩分控えめか知ってます?10分の1じゃないんですよ。安心して、そんなダクダクに使ったら、前より多く取って、やばいでしょうが。健康食品の弊害の一つがここにある。
 体内に残らないあぶらだから、といって前よりも沢山、遠慮せず、大量に油をとっている肥満の人も多いだろう。

 最後に、もっとも危険なのが、有効成分すらはいっていない食品を薬品のようにいうものがある。これはもう犯罪だ。

13.努力する人々

 悪徳商法にひっかからないようにするためには、手口だけでなく、だまそうとする人間とはどういう人間なのかを考える必要があるだろう。敵を知り、己を知れば百戦危なからずである。よく、悪徳商法の幹部が逮捕されると、その人間の経歴がしめされるが、それを見ると、ほんとに面白い。

 もう「私の人生、人をだますことに捧げます」って奴である。人生の過程で、延々、サギやマルチまがいを何度も繰り返しているのである。んで、だいたい、そのルーツは、天下一家の会(ねずみ講)、豊田商事(金ペーパー商法)になるようで、それらの幹部だった人間が、また、ネタを変えて、新たなサギ商法をビジネス化しているのである。

 「サギしかできない」人間が多いようである。悪徳商法に手を染めた人間、特に幹部は他の商売はなかなかできないようである。警察につかまって、「ああ、私はなんという悪いことをしてしまったのでしょう。被害者のみなさんに心からお詫びしたい。」といって、汗を流す商売をはじめるか?しないようである。(してほしいのであるが)また、新たなサギを考えるようである。つまり、今、サギ商法に従事している幹部層は、これからも、あたらなサギを次々と考えていくのであり、なくならないと思ってよい。

 今、日本で悪徳商法幹部が10000人いて、全部逮捕すれば、世の中から悪徳商法がなくなると思ったら大間違いで、10000人が新たな悪徳商法を考えるわけである。であるから、悪徳商法検挙、業者の関係は、抗生物質と病原菌のようなもので、いたちごっこなのである。永遠に繰り返される戦いなわけだ。であるから、サギのやり方を知っているだけではだめで、常に、ひっかからないように注意しなければならないわけである。パターンはいつも変化してやってくるのだ。

 そして、そのパターンも、単純なものではない。彼らは、一生もので悪徳商法に取り組んでいるのであるから、知恵を絞り、考えに考え抜かれた、思いも寄らぬ、法律の網の目をくぐった芸術的な手口になっているのである。

 彼らは人をだますことに努力しつづけているのである。こういう人たちが世の中に沢山いることを肝にめいじておこうではないか。

 では病原菌の発想の傾向を考えてみると:

 1.人間の欲望をまずとらえる。魚を捕らえるときには、エサを出す。魚の食べたいという欲望を捉えるわけだ。人間をひっかけるときも同じである。人間は、食べたいだけでなく、いろんな欲望があるので考えがいがある。まず、どの欲望を狙うかをきめる。なお、人間の場合は「欲望」だけでなく、「不安の解消」もエサとして使える。

 2.警戒心を解く手段を組み込んでおく。人間は警戒心を持っている。でも、信じたいという欲求もあるのである。で、信じられるきっかけを用意する。(信用させる。安心させる)

 3.一気にけりをつけられるようにする。だましの最終段階はさっとスピードあげて吊り上げる。ぼさぼさすると、魚に逃げられてしまうわけである。にがさない方策を考えておく。(相談させない、深く考えさせない、クーリングオフさせない)

 4.できるだけ、楽して、巨額の利益をえられるようにする。疲れる詐欺はしない。(システムを作る)

 という4つの傾向がある。

 みなさんに、ぜひ、これら4つの悪徳商法手口作成の傾向にそって、だます手口を考えてみてはどうか。(自分が幹部になったつもりで)これが、彼らの発想をしることにつながり、最終的にだまされる可能性が少しは減るかもね。

 今後は、より、お年寄りを狙う手口が流行すると思う。お年寄りに注目しているのは介護ビジネスだけではないのである。

14.公園商法

 また、新しい悪徳商法が現れた。いろいろ考えるものですね。今度は団地に住む主婦をターゲットとしたマルチ商法の変形である。

 子供ができて、団地にすむ。で、その団地の公園で他の主婦と付き合い、子供を遊ばせる。公園の人間関係になじんでいかなければならない。公園に出てコミュニケーションをはじめるのを公園デビューというわけだ。団地で仲間はずれにされてはたまらない。みな、慎重に嫌われないようにしなければならない。

 ここに弱みがあり、ターゲットにされたわけだ。

 この公園に、まず専門のマルチ女(主婦)が現れる。この女性は大変、おしゃれで、きれい。話題も豊富で、周りの主婦のあこがれになり、すぐにリーダ格となる。そして、「きれいねえ」などと言われたところで、「あたしの化粧品使ってみる?」と自宅に呼ぶ。そうして、自分の化粧品を使わせてみて、褒めちぎる。「いいと思うんだったら、販売員紹介してあげようか」という。

 この女性が直接うらないところが、従来のマルチと違ってみえる。でも、実は販売会社から紹介料としての高額のバックマージンがこの女性に入る。直接売らないから、なんか、上品に見える。売りつけられたイメージがないわけだ。

 こうして、公園の主婦をどんどん落としていく。主婦が何人がだまされたところで次のステップにはいる。既に落とした1人の主婦に次のような話を持ちかける。「あなたも友達に紹介してくれれば、化粧品販売会社から、報奨金もらえるのよ。やってみない?」とやる。え、あなたもそういう商売をしていたの?と主婦は思わない。へえー、私も御小遣いかせぎしようかな、と乗り気になるらしい。

 最初のマルチ女には、この主婦が別の主婦を勧誘しただけで、マージンが入る。つまり孫ができたわけだ。孫がまた、誰かを勧誘すれば、更にバックマージンが入る。こうして、どんどんピラミッド的に人間関係が構築され、マルチ女にはきわめて高額な金が手に入る。完全にマルチ商法である。

 ここからが公園商法の真骨頂である。

 さて、公園主婦のかなりの数が既に勧誘されたとする。当然、勧誘に拒否する主婦もでてくる。すると、彼女はそのグループから、仲間はずれにされてしまうのだ。これは恐ろしい。金がからんだ仲間はずれだから、これは陰険である。

 やむをえずに、嫌われるのがイヤで、しょうがなく、マルチと知ってはいってしまうのだ。最終的にほとんどの主婦がマルチに入ってしまう。この公園という閉鎖環境の人間関係を食い物にするのが、公園マルチなのである。

 解決策としては、専門家(消費生活センター)などに相談して、団地内などで、セミナーをやってもらう、でこれに参加してもらって、冷静になってもらうというところが有効だそうである。

15.葬式商法

 葬式の際には、悲しみにひたっている間はなく、忙しく、多くの人も訪れごったがえす。このドサクサまぎれに、ハイエナも集まってくる。香典泥棒は一般的であるが、最近は悪徳商法も入ってくるようだ。

 父がなくなったとき、50社くらいの香典返しの業者が訪問・電話してきた。どこでかぎつけてくるのだろうか?なにか、人が死んだときに自動的に報告されるようなシステムができているのだろう。でも実に多くの業者があるようだ。また、インチキなのも多いだろう。

 香典返しの業者は、ぶ暑いカタログを持ってやってくる。そして、商品説明をして、「香典返しをする人のリストを見せてくれれば、印刷、配送まで全部やりますよ」という。面倒くさいので、お金とリストを渡して御願いする。葬式のごたごただと、忙しく面倒くさいので、つい、相手の会社の実体を確認しないで御願いしてしまう。これが狙いなのである。

 んで、いうまでもなく、商品など発送しないのである。単にお金を取るのが目的だったのだ。また、発覚しにくい。なぜなら、いちいち相手に届いたのかを確認などしないからである。ずるがしこい業者では、親しそうな数人にのみは発送して、発覚を防ぐ。

 わかって、その会社を確かめてもそんな住所に業者は存在していない。

 この商法の巧妙な点は:

 ・相手が「忙しく、つい頼ってしまい、丸投げしてしまう。」ような時期を選ぶ。

 ・葬式関係の業者に「つて」がある人は少ない。だから初めて会う人に頼まざるを得ない。

 ・香典返しを「届いてますか?」と確認しないのが普通。

 ・あくまでも、商品購入・発送手配という、仲介にすぎない。しかもカタログ販売で商品を選ばせる。訪問販売法の網にかかりにくい

 対策としては「知り合いの業者、知り合いから紹介された業者、非常に信頼できる会社を選ぶ」ということにつきる。

 葬式は大きなお金もうごくし、関係者も忙しく、遺族も動揺している。更に顔を知らない人間も多く訪れる。悪い人間にとっても大きなビジネスチャンスにうつるのだろう。

16.お年寄温泉旅行商法

 年寄りは悪徳商法にとっては実に「おいしい」人たちである。小金は持っている、昔育ちだから人を疑わない人がおおい、「優しく見える」人に弱い、物でなく人で買う、相談する人がいない、などいい点ばかりである。(お年よりは、自分たちが、悪い人間にとっては、子羊のように見えることを自覚するべきである。家族もおじいちゃん、おばあちゃんは狙われやすいと警戒が必要

 しかし問題点もある。それは「家族に相談されてしまう」ということである。

 んで、考えたのが、年寄りを隔離して、そこで異常な精神状態にして売りつけてしまう手である。年寄りを拉致すれば犯罪になってしまうが、そうならないのが旅行である。それも、老人の好きな「温泉」「老人会の友人と一緒に」である。

 老人会の役員に近づき、格安の温泉旅行を持ちかける。んで、バスを出して温泉につれていく。優しく声をかけ宴会も盛り上げる。「若いのにいい人たちだなあ」と単純に信じてしまう。酒がはいったところで、お決まりの高額商品を売りつける。商品は「羽毛布団」である。これも老人の弱いところをよく知りぬいた商品である。

 老人会の仲間が、1人でも買えば、群集心理で買ってしまうようである。価格は数10万円である。これならば、家族に「どうしようかねえ」と相談させることなく、契約させることができる。旅行の間に優しくされているので「いい人たち」と信じてしまうので売り込みも容易である。SF商法をより確実にした高等戦術である。

 「友達といく温泉旅行」というのは、お年よりにとって、大変大変うれしいイベントなのである。参加させるのは簡単。なぜなら、そういう企画をする業者がすくないからである。悪徳業者でなくても、この温泉旅行と組み合わせて、商品をかわせてしまう作戦をとっているのは実におおい!

 格安旅行のプランがでてきたら、家族が注意し、かえってきたら、様子をきく。そんな形式で何かを売りつけるのはどう考えても異常なので、何かをかわされたことが分かったら、迷うことなくクーリングオフの手続きに入ること。

17.無料商法

 無料、ただ、いい響きである。しかし、ここまで読んでいただいた皆さんには、既においしいものでは全くないものであることは、理解していただいたと思う。でも、ただには人間は弱い。私あたりは「初対面の無料ほど恐いものはない」である。

 訪問でも、電話でも同じだが、「今だけ、特別、無料で」XXしてあげます、とくる。あら得だわ、ラッキー!と飛びついてしまう。

 ただと聞いただけで飛びつくような「お人よし」はカモになってしまう。ただで、人のために、汗を流す人間はいないのである。自分の精神構造を確かめればすぐにわかる。ボランティアで人のために、訪問・電話してくる輩はいないのである。

 無料ときけば、簡単に訪問を許してしまう。そして家にいれてしまう。業者にとっては、家に入るのは大変だし、入ってしまえばこっちのものなのだ。それが「無料」というキーワードをちらつかせただけで、入れてしまうのでおいしい。

 (TVで、若い人はすぐに「ちょーだい!ちょーだい!」と手を出すが、見ていて不安になる。この人たちのが家庭をもったとき、業者のエサになってしまうのではないか?)

 さて、家にはいったところで、まず無料のサービスをやってあげる。屋根の無料診断でも、シロアリ点検でも、水道水点検でも、布団の掃除でも、なんだっていい。終わったら、手口は同じ。「あー、こりゃ大変だ。ほら、こんなにXXXになってる。これでは(病気・火事・自己・崩壊...)になりますよ!」と脅すわけである。それも、必ず専門家ぶって、機械を使って点検をしたあと、証拠?を見せていうわけである。

 もちろん、ちゃんと点検して、正常なら返ってくれる善良な業者もいるけれど(これなら、無料も素晴らしいのであります)も、わざと仕組んでおいて、悪い証拠を出す。(検査薬をわざとあらかじめ変えておく。よごれをいれておく。シロアリを持ち込むなど)

 狼狽したところに彼らがやる手も同じ。「そうだ、いま、いいものがあるんですよ。ほら、これなら、たちまち解決。いま特別セール中で、たったXXX円です」と不安を解決するものを出す。これも屋根の修理、シロアリ退治、浄水器、羽毛布団...なんでもいい。

 脅されて、狼狽して、不安になったところに、サッと解決する商品を提示するから、判断能力が失われ、すぐに購入してしまう。しかも、その場で取り付けたり、封をあけたり、使わせたりして解約しづらくさせてしまう。

 やはり、鉄則は「無料で訪問してくるのは変」という自覚。そして、よくわからぬ相手を家には決して入れない、ということだ。入れたら最後、購入しないかぎり、もう家から帰ろうとはしないはずだ。彼らはプロであるのだから勝ち目はないのだ。

18.男女差

 今日、興味深い調査結果が発表された。耳で聞いて文章を理解する脳の活動に、男女差があるというのである。男性は左脳だけが、そのとき活動しているのに対して、左右両方の脳が活動しているということである。

 悪徳商法では、とうの昔に、この理論を使っているようだ。左脳は、よく論理的に考える脳と言われる。右脳は、感性をつかさどるといわれる。だから、男性は、論理的に人の話を聞き、女性は、論理+感性で聞いていることになる。

 これを悪徳商法に適用すると:

 男性 : だましの論理をくみ上げておき、説得し納得させて騙す。
 女性 : 会って、見せて、話して騙す。

 という原則ができあがる。電話セールスで売りつける際に、ターゲットとなるのは、基本的に男性のようだ。だから、会社に直接、また休日の自宅の男性を狙って電話をかける。更に、論理的に相手が納得できるような、論理的セールストークのストーリを完成させておく。実際に相手がでれば、理詰めで、「XXXXで、XXXXです、ですから、この商品はお得なのです、ご理解いただけましたか?」とくるわけだ。

 女性に対しては、感性も騙さねばならない。論理的に納得しても、「うーん。でもねえ」といわれてしまう。だから、電話などではだませない。
 まず、身なりのきちんとし、柔らかな物腰で、やさしそうな口調、明るい笑顔で、直接、犠牲者に接する。「あ、いい感じのひと。信用できそう」というイメージをまずいだかせ、商品も説明と同時に、使ってみせるわけである。そして自分でも触ってみせ、体感させる。更に雰囲気的にかいたいようにさせる。

 男性を騙すときには、論理的ストーリ、詳細なでっち上げ資料、納得させる技術というわけだ。

 先ほどの研究成果の報道の際に、研究者がいっていたが、このように働く部位の差があるが、男女は助け合うことで、お互いの判断を助け正しい判断をして生きてきた、といっていた。

 これも、まさに、悪徳商法でも正しい。夫婦が悪徳商法に騙されなかった時には、必ず、夫婦で相談している。夫は妻に「いい話だろ」と話すと「なんとなく、変よ、それ?」と忠告。妻が夫に「これいいでしょう」夫が「そんな馬鹿な話はありえない。考えても変だと思わないのか?」と忠告して、あ、そういえば変だな、と、騙されていたことに気付いているのである。

 悪徳商法に騙されて被害を受けている夫婦は、夫婦で話し合っていない場合が多いようだ。夫婦の相談こそが、被害を少なくする方法であることは間違いない。会話のない夫婦は、悪徳商法のおいしい餌ということになる。

19.法律

 新種の悪徳商法を取り締まる法律はいつも後追いにならざるを得ない。やむをえない面もあると思う。商業行為を規制するような法律はどちらかというと、作りたくはない。被害がでるので、被害者を出さないようにと、やむをえず規制法律をつくることになる。

 しかし、新種の悪徳商法の規制については、いつも、遅い、遅れすぎる。なぜなのだろうか。だいたい、被害者が続出し、社会問題化し、最後に自殺者がではじまる。このままでいいのか!とTV、新聞が特集を組み始める、そのころようやく、政府が新法の検討に入った、という報道がでる。そして、国会で成立し新法の施行がはじまるころには、悪徳商法のメンバは、そのネタで稼ぎきっており、次のネタをもう探し出している。

 理由としては:

1.政治家・官僚は自分が困らないと動かない。悪徳商法は政治家・官僚は狙わない。だから、政治家の耳にこれでもか被害事例がはいらないと、彼らは動かない。

2.商行為を規制するような法律は、業界にしても、憲法面からしても、できたら作りたくない。

3.悪徳商法は、かかった被害者が恥と思っている。だから、人に話したがらない。だまって耐えている人がおおい。被害は周りの人に伝わりにくい。

 私は個人的には3の理由がもっとも、大きいと思う。このページの一番はじめに書いた様に、はなしたがらないのである。被害にあった、と声に出していっていただけるのは、勇気のある人か、黙っていられないほど被害が大きい人のいずれかである。

 もし、新種の悪徳商法ができても、被害者がかたっぱしから、声をあげて、被害にあったぞ、と叫べば、あっというまに手口が知れ渡り、誰も新たにひっかかるわけがない。
 例が悪くて失礼であるが、ゴキブリホイホイをみると思う。仲間がつかまっている。「おい!気をつけろ。俺みたいにひっかかるな!」と彼らが意思伝達できれば、次のゴキブリはつかまらない。彼らにはそれができないので、あのツールはいつまでも効果がある。

 消費者も、悪徳商法にかかったら、それを大声で叫ぶことだ、叫ぶというのは、別に街の真中で叫ばなくていい。消費者センターなどの立派な組織があるのだから、ここに連絡することが叫ぶことになるのである。ここの被害は、集計され、政治家の耳にはいるようになっている。

 よくニュースで「消費者センターにはXXX件の被害が報告されています。しかし、実際にはこの数倍の被害があると思われます」とやっている。われわれも、被害を迅速にもれなく報告することが新たな被害を生まないために必要なことなのだろう。件数が多く報告されれば、政治家の耳にはいるのである。そうすれば必要な規制が検討される。

 どちらにしても、法律はそうそう簡単に迅速には変わらない。

 我々も、インターネットなどで、情報発信者になることが必要なのかも知れない。実際に、yahooで「悪徳商法」で検索すると、実に多くのサイトが見るかる。どこも素晴らしい内容である。こういったまじめなサイトが増え、みながこういった情報に簡単にアクセスできれば、被害は劇的にへるだろうと思われる。

 更に、法律はその適用が重要で、現在ある法律をどのように運用していくかで、かなりのことが実際にはできるはずなのだ。「法律がないから、取り締まれない」というのは本当なのだろうか。痴漢などでは、女性の訴えだけでなんの証拠もなくても、現実に有罪確定することは別項目にかいたくらいである。司法・検察・警察がやるぞ!と本気でやれば取り締まれるかもしれない。少年犯罪についても、少年法改正しなくても、どう適用していくかでもっとうまくやれるのでは?。凶悪事犯の少年が、刑期なかばで社会にでてきてしまう、というのも、実は法律ではなく、適用が間違っているだけだ。判断して半分にしているだけだ。カルト宗教対策も同じである。

 話題がずれたが、悪徳商法についても、なんでもかんでも「法律がない。民事介入はしません」ではなく、もっと機動的に法律を適用して悪質なものを取り締まってほしいものである。

20.電話

 電話はセールスで便利な道具であるが、同時に悪徳商法にとっても便利な道具であろう。ターゲットのリストが手元にあれば、片っ端から電話をかけることができる。脈があるのかどうかを短時間で側判断できる。電話は、匿名性があり、本当の名前も、顔もわからない。また、なによりも、「こっちは、そっちを知っているが、そっちはこっちを知らない」ということだ。実に恐ろしいツールでもある。

 私は「匿名性のあるツールでの知らない相手からの電話には極端に警戒しておく」というのがいいと思っている。既に顔なじみ、知人であるなら、いいのであるが、匿名性のあるツールで会ったこと無い人からかかってきたというのは、いくら警戒してもいいと思う。

 私の家に電話がかかってきた場合、次のように判断している。

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 1.・知人で声も知っている。−> 即会話開始(当たりまえか)
   ・昔の知人らしいが声には覚えが無いー> はじめから、信用してはだめ。ほら、小学校のとき、同級だった佐藤だよ、から始めるサギもある。基本的に、知らない、はじめての人と同じ対応を取る。

 2.知らない、はじめての人 −> まず、「誰であるか」(どちら様ですか?)「目的・用事はなにか」(ご用件は?)を確認する。この2つを答えてくれない、なかなか答えようとしない、明確にしない、あいまいにする、といった人の場合には、可能な限り電話を早急に切ることに集中する。相手の会話に関係なく、「申し訳ありません。失礼させていただきます」と丁寧にかつ一方的に電話を切る。

 3.会話の中で疑問・矛盾が起きれば、即相手に問いただし確認する。例:友人の応募で貴方は、当選しました。−> その友人の名前を教えてください。ガチャ(きられた音)

 4.相手が誰であっても(NTT,警察といっていても)、絶対にはじめての相手に電話では、プライバシーに関することは話さずに拒否する。「アンケート」であっても、内容が少しでもプライバシーに踏み込んだら、電話での回答を拒否する。

 5.どんなことでも、意思表明は絶対に電話では行なわない。

 6.相手の話をきいてもいいが、あいづち、そうは思わない、いいね、などの自分の感情を出さない。(話術の術中にはまらないため)

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 このような判断・対応をしている。その結果として、相手に失礼になっても、それはかまわないと思っている。理由は、電話という匿名(相手の名前、身分を確認できない)のものを経由して、そのようなことを聞くこと自体がおかしいからである。本当に警察やNTTや銀行の人で、電話でそのようなこと(プライバシーに関すること)を聞いてくることはないはずだし、聞いてきたら、その社員は馬鹿である。

 警察官が捜査でプライバシーに関することを聞くのなら、訪問して警察手帳を見せて、聞いてくるはずである。この世の中、警戒してあたりまえなのである。

 世の中、電話のほかにも匿名ツールが増えており、インターネットもそうである。匿名ツールは、使う際にその特性を頭にいれておき、使うことである。たとえば、私はこのHPで中小企業診断士といっているが、みなさんはそれが本当かの確認をしていないはずである。それでも問題はない。なぜなら、HPをふうーんと読んでいる程度だからである。それが私と仕事をする段になれば、警戒するはずだ。確認するだろう。

 電話も同じで、匿名であることを頭にいれ、それに見合った話をするのであればいいのである。匿名では危険な会話になったら、その会話を中断するべきである。プライバシーを聞きたければ、電話でなく、他の確認できる方法をとればいいのである。

21.言いづらい商法

 これも勝手に命名した悪徳商法の分類。「世間にいいづらい、後ろめたいことに相手を引きずり込み、騙しても、被害を主張しづらいようにする商法」である。

 悪徳商法自体が、「騙す」ものであるから、だまされた、ということをはずかしく思うかも知れない。(そんなことはないのであるが)だから、全員が被害届を出すわけでないことは既に書いた。

 更に一歩ふみこんで、「世間にいいづらい」「うしろめたい」ことをさせて、騙すのである。だから、訴え自体が少ない

 例を示す。あなたは、結構自分でいい男だとうぬぼれている。そこで、街を歩いていると、張り紙が目にはいる。「ルックスのいい男性募集。女性の相手をして高収入」電話をしてみる。説明を聞くと、「浮気願望の既婚女性の秘密クラブである。あなたはホテルで一日金持ちの女性の相手をしてもらえれば、XX万円の報酬が手に入る。チップももらえるはずだ。」となる。お、これは自分に会ってるぞ。そこで、入会する。はじめての仕事がやってくる。しかし、うまくいかない。かんかんに怒って、女性はかえってしまう。怒鳴り込みに近い電話が来る。「彼女はお前を訴えるといってる」「店の信用が失われた」「優良顧客を失った、どうしてくれるんだ」とかなんとか、いって示談金と称して数百万ふんだくられる。

 この話などは、消費者センター、警察に言って、被害届を出すにはかなりの勇気が必要と思われる。訴える人は極端にすくないだろう。つつもたせ、風俗店のぼったくり、ハワイの偽マリファナ売り子、がなくならないのと同じ理由である。

 訴えるには、自分のことも話さなければならない。それが恥ずかしいから、泣き寝入りするというわけだ。

 実に恐ろしいやり方である。うしろめたい行動、商売には、このような危険が常に寄り添っていることを忘れずに。近づかない、手をださないのがベストである。このようなダークサイドに好奇心半分で片足をふみこんでくる人間をなんとか増やして、騙してやろうとしている悪徳商法の人間がいることを頭にいれておきたい。

22.天下一家の会

 今回は、TV番組を見ての感想を書きたい。あるTV番組で、ねずみ講のはじまり「天下一家の会」の創設者の伝記をやっていた。ほとんどは知っていることであったが、新たに知ったこと、気付いた点も多かった。

1.数学感覚の欠如

 数学が苦手、という人は多い。そのため、必ずこのねずみ講は破綻し、多くの人を不幸にするという簡単なメカニズムが、どうしても納得できなかったと思われる。1人が新たに2人を勧誘すればいいということなので、会員数は、2のN乗の、0からNまでの総和となる。(Nはねずみの世代数)

 ピラミッドの一番底辺の会員だけでも、2のN乗である。これはコンピュータの世界ではわかりやすい。16世代で、既に65536人である。32世代で43億近くなる。27世代で日本の人口を突破する。だから、あっという間に破綻する。

 創設者が最後まで、信じていた妄想が、「儲かった人が、また底辺に参加すれば、無限に続くのだ」である。しかし、ピラミッドを見れば理解できるが、上位の層は、1/2しかおらず、下につくらなければならない層は2倍である。結局、人員が足りるわけなく、だめである。上位の人間全員が下位につくという理想系であっても、払った全額がもどるだけのことで、天下一家の会の25%のピンハネ分これでも損害を永久にこうむることになる。

 数学が苦手な国民像によって、このシステムが信じられないことに、何十年も存在しえたということである。(なお数学的感覚のなさによって、宝くじが恐ろしく人気あるのであるが。)

2.宗教と財団

 この儲けるための、集金システムが、末期に宗教と財団になっていったというのは象徴的である。目的らしきものも「世界平和」というのがすごい。現実に儲からないので、会員が不満を持つにきまっている。それを理念をもってくることで、押さえつけるわけである。儲かってないけど、世界平和に貢献しているんだ、みんなのためなんだ、と思えば、怒りも収まるものである。

 それに、宗教とすることで、会員の活動も活発化する。税金も助かるわけだ。

 このシステムは現在、いろんな悪徳商法でも使われているようである。天下一家の会で、みごとにシステムが完成したということだろうか。

 創設者は、政治家にも立候補していたし、最初、組織を「経済研究所」うんぬんといっていた。政治になったり、経済研究だったり、宗教だったり、社会貢献になったり、いろんな名称を使うわけだ。

3.これぞ、人脈商法

 1人が、2人を勧誘すればいい、などのシステム設定は絶妙だ。2人くらいなら、誰か勧誘できる人間がいるからである。やはり、人間関係が破綻したようである。はじめてみようかな、と人に思わせる人数、額であった。

4.人をうらやむ心と、楽して稼ぐ

 勧誘に威力があったのが、現実に現金書留が届いた人間が近くに実際にいることだったようである。「ほら、こんなに儲かるのよ。本当なのよ」

 人の儲けが気になる、私も乗りたい、あの人(友達、近所の人)3000万円も儲かったのよ、私も儲けたいわ、私も私も...この、「人の幸福が許せない、うらやむ心」が人の冷静な判断力を狂わせるのだ。

 楽して稼ぐ...なにわ金融道で、登場人物が、こんな楽して稼いだときには、かならず、その報いがいつかくると思っていた、というセリフがある。名言である。

23.いい人 − 過剰警戒の戒め

 今までの人生で出会った人で、「ああ、あの人いい人だったなあ」「お世話になった。思いやりのある親切な人だった。」という人が何人もいた。

 大学時代にそういった人の自宅にお邪魔すると、同じものが目についた。「英会話カセット」である。これは、一時、やたら、売りまくられた商品で、金色の物凄く立派なケースにはいっているが、内容は、ひどいもので、延々、外人が原稿を朗読しているだけ、というものだ。ケース10個程度だったか。金色のゴージャスな感じのケースなので、部屋においてあるだけで目立つ。
 価格はすばらしく、20年くらい前でも、20万から30万したと思う。これをローンつけて売りつける。英会話の粗雑な商品を高価に売りつける商法が、大流行していたのである。
 いい人の自宅にお邪魔すると、いつも不思議に、この金色のケース群が目に付いた。「あ、やられたんだな」と思って話を振ると、いやあ、実は...と話してくれた。

 逆に「俺は人生慎重に生きている。絶対に悪徳商法にはひっかからん」「人をみたら泥棒と思え!」を貫いて、目を光らせて、人の出会いも、すべて警戒しすぎて避けていたら、つまらない人生になってしまう。人生いきていけないではないか。
 あたらな友人つくっても、「まてよ。こいつは詐欺師ではないか」恋人つくっても「こいつ結婚サギなんじゃないの?」いい商品にあっても、「いやいや、これはおかしな商品だ」親切にあっても「うさんくさいぞ、こいつ」と、はじめから、うたがいの目に光らせて、身を引いていては、人生の多くのチャンスを失ってしまうのだ。

 何をいいたいかというと、好奇心むき出して、お人よしでホイホイひっかかりまくり、悪徳商法の常連カモになるのは、絶対さけなければならないが、警戒過剰になって、肝心の人生のチャンスというものを全て失ってしまってはならないということである。

 「悪徳商法にひっかからないように注意しよう。でも、過剰警戒で、人生の出会いなどのチャンスを全て失うようなことは避けよう」
 これまで書いてきたこととも矛盾しているのだろうと思う。無茶いうな、どっちなんだ、といわれるかもしれない。でも、警戒と好奇心のバランスをとっていかなければならないのである。難しいですね。