資格受験心得

 ここでは、いま保有している資格を取得したときに気づいた点をかいていきます。これから取得を目指す方の参考になれば幸いです。

第一回 診断士

 一次の試験は、冷房のついていない某大学で実施される。問題とでなく、暑さとの戦いになる。ハンカチでなく厚手のタオル必須。2日間のぶっとおし8科目である。やはり基本参考書を何度も読み直すのがいい。

 更に、受験前1年間は経済、経営関係の最近のトピックを読む。日本経済新聞やダイアモンド、企業診断など。テレビの経済トピック番組は必ずみておくことである。
 問題は意外に、基本知識がそのままでるわけではない。ほとんどは、時事トピックを題材に出題される。だから、それらのトピックをよんでおく必要があるのだ。基本書とそれらを駆使してといていくのである。

 一次試験は大変だが、そんなに難しくはない。全科目平均点をとれるようにまんべんなく勉強すればOKだ。仕上げは過去問題集で。

 二次試験は死ぬ。特に「中小企業施策」が大変で気が狂いそうになった。何百もあり、関係部署が多く、似たものに見えてくる。まともな方法でやれば、合格は不可能と思う。この試験が最大の難関と考えていただいてよい。

 合格には、信頼できる受験対策機関の「やまはり」を絶対に手にいれなけばならない。
 それと、本をよんでいてもムりで、自分でこの科目だけはサブノートをつくること。また、「ノイローゼになるまでやる」ことである。

 他の科目は、専門的な記述式なので、「原則的なことを正直にかく」ことである。まあ、あたりまえのことを、たんたんとかけばいい。問題を読みながら線をひき、その反対をかけばいい。
 例:「...処理量が大変で...」とあれば「関係部署と調整ミーティングをし、必要な作業を優先度をつけ、再度調整する」とかかけばいいのだ。あたりまえのことをかくことが大切なのだ。

 さて、三次試験(実習)では、勤務先、家庭との調整がむずかしい。2週間も会社をやすむのはたいへんだ。上司の理解、業務の調整、まわりのやっかみ、などをなんとかしなけばならない。

 実習中の、先輩診断士は大変きびしい。いいかげんな態度、消極的態度はどなりつけられる。わたしのチームはみんなユンケルを購入して報告書をかいていた。

 この資格は、取得に時間がかかるし、お金もかかる。労力のわりに独占業務はない。

 自己啓発でとってみるか、と軽い気持ちで取得したほうがいい。そして、取った後でどう資格を使おうか、と診断士協会の仲間と考えていくという、パターンがいいと思う。

第二回 システム監査

 システム監査技術者試験にはいくつかの落とし穴が待っている。午前、午後の記述式は基本書と問題集でクリアできる。

 問題はやはり論述式だ。論述式で何年も苦しむことにある。今、コツを公開する。

1.完成論文を暗記する。

 問題パターンは限られている。そこで、代表的問題については実際にあらかじめ書いておく。書けたら、その論文を暗記する。なぜか?あの時間では、構成を考え、文を考え、あの枚数を書くのは実は不可能なのである。

 制限時間を、文字数でわってみてほしい。そして自分が何かの文章をただ写す速度を測定してほしい。ほとんど差がないはずだ。きちんと推敲すると、400字で1時間、いっぱんのひとはかかる。そんな時間はないのである。時間との戦いなのだ。であるから、私は断言する。その場で考えてかこう、などとは夢にも思うな!

2.システム監査そのものに、否定的なことは書くな。

 システムエンジニアなどシステム構築・運営などに携わった人間は、システム監査について勉強すればするほど、否定的な意見をもつはずだ。しかし、それを書いては絶対に合格できない。
 歯の浮くようなおべんちゃらは避けながら、最大限、システム監査の利点を考えて、それをかいていく

3.どんなことでも、あなたの実務体験は貴重なのだ。

 システム監査に関係したような仕事をしたことないから、かけないよーなどという。とんでもない勘違いである。むしろ逆で、関係ない仕事についていたほうが、いい論文がかける

 たとえば、あなたが先生だとしよう。私なら、「教育業務に携わっていたが、その中でXXXソフトウェアを使っていた。しかし、XXXXといった、問題がよくおきており、トラブルだらけで仕事にならない。ここにシステム監査の考えをもってくるならば、1.サポート体制は整っているか。2.XXX...といった点のチェック項目を監査マニュアルに設定してあれば、事前に被害をおさえることができたはずである。...」といった感じである。

4.要約は「前書き」ではない

 よく、400字の要約を勘違いし、本文のまえふりと思っている人がいる。全部不合格である。

 要約は、設問の一章ごとを1文にして、3、4文でかくのである。

5.短すぎはだーめ

 2500から4000文字といったら、3800字くらいにするのは、いかなる試験でも常識である。2500で合格というのは、「よほど」いい内容のものだけである。

6.鉛筆で原稿用紙に線をひけ

 構成を考え、だいたい設問ごとにこれくらいの文章量にしようと、配分を決定する。そうしたら、そのめやすを原稿用紙に線でひいて示すのだ。書き進めて、その線よりも前に終わらないように、留意する。文字数配分にも時間配分にも役立つ。

7.字を雑にかくな

 いくら時間がなくても、ざつな書き方をしてはだめで、へたな字でもいいから、「ある程度」丁寧にかくこと。

8.システム監査基準

 これをなめてはだめ。じっくりと読め。そして、論文に、1行でもいいから、これを引用するようにしよう。

 システム監査技術者は、通産省の試験で、この「システム監査基準」をもとにシステム監査を実施することを想定しているのだから、あたりまえだ!

 

 システム監査自体をやっている実務者なんて、日本にほとんどいない。だからこの試験は、システム監査的な見方と考えをしながら仕事をすることができそうな論理をもっているかをみているのだ。

第三回 無線技術士

 陸上1級無線技術士免許を取得すると、何ができるか。日本国にある、あらゆる無線設備の操作ができてしまう。郵政省の資格であり、陸上などというと、何か自衛隊の資格か、と思う人もいるらしい。
 試験内容は無線技術、無線法規がひたすら出題だされる。いずれも記述式である。技術の試験はもう、ほとんど数学か物理学か電磁気学かというかんじ。

 私はいずれも、全くわからなかった。
 試験問題をまず見て、わらってしまった。1行目の意味すらわからない。まさにターフルアナトミイに向かった杉田さんだ。

 ぶ厚い参考書をかった。まーったく、意味がわからない。なんといっても、ほぼ全ページ微積分の連続である。
 しかし、まず、読む前に眼をとおしてみようと思った。全部、よもうと努力せずともかく、全ての文字にめを通す。画集をみているのとおなじ。

 最終ページまでいってみたが、頭がただぼーとして、ぜんぜんわからなかったなあ、で終わり。
 もう一度よんでみよう。
 やはり、ぜんぜんわからない。ただ、数ページだけ、「なんか、こんなこと言おう、としてしるのかな?」と思った。

 3度目によんでみる。また同様のページがでてきた。
 4度目。奇跡がおき、意味がわかったページが発生。「こんなこといってるの?」もかなり増える。しかし、あいかわらず、頭がぼーっとする。

 そして30回目(くらい)、とうとう、全体像をつかんだ、という気がした。そして、もしかしたら合格できるのでは?と感じた。
 60回目(くらい)完全に私は無線技術、法規を完全にマスターしたぞ、と叫んだ。

 どんな難しい本でも、わかるまで読みつづける、という執念があれば合格できる。文科系のあなたも、執念ぶかく、わけのわからん本を読みつづければいつの日か必ず理解できる。

 申し訳ないですが、この資格に関しては、そのことしか書くことないです。(じゃ、はじめから書くな!)

第四回 CISA(公認情報システム監査人)

 CISAは米国イリノイ州に本部を持つ世界的、職業システム監査人組織「ISACA」が認定する資格である。Certified Information System Auditorの略である。
 本試験は、当初、英語で実施されていたが、関係者の尽力により日本語化が実現した。
 私は、日本語化してから、3年後に受験したが、このときにもアメリカ人の試験監督官がいた。(英語で諸注意をはなしてくれた。が、よくわからなかった)

 試験は、択一式である。問題数も多く、時間も長い。じっくりと実力を発揮できるわけだ。非常に設問は短いもので、どう問題点を解釈するかが難しい。とりようによっては、いくつでも答えが考えられる。

 合格し、職務経験を記入した申請書を送付すると、みごとなCISA認定証が贈られてくる。試験合格だけではだめで、経歴(情報システム関連)の年数なども必要である。

 認定後も、認定継続は大変である。毎年、継続教育が必要とされる。自分の自己啓発もできないやつは認定しない、ということだ。もっともな対応だと思う。

 日本の資格は、生涯有効というのが多い。対して、インタナショナル資格には資格更新がやっかいなものがおおい。最先端の技術を常に取り入れなくれはならない職業としては当然であろう。また、職務経歴が必要であるのも理解できる。米国では資格だけとる、というのはあまり考えられず、これこれの仕事をしたいので、資格をとるというのが普通だからである。

 試験対策であるが、まず、専門参考書を購入することだ。それもISACAが出している本を。この本を基礎にまず、しっかり勉強をすることである。参考問題集もきちんとついている。これが必須である。この本をよんでわからない点を、他の参考書で理解していくという作業がもっとも効率的だと思う。

 また、ISACAから過去問題集もでているのでこれをもとに総仕上げである。(知らない人も多い)

 問題には、前にも書いたように、問題文が短くならざるを得ないこともあり、どうとらえていいか、わからないことが多い。しかし、そのわずかの情報から、想定される、もっとも一般的な状況を想定する能力もためさえれているのである。だから、ああもとれる、この問題はよくない、などとネガティブにとらえるのではなく、そういう能力も養成するのだと意識してほしい。

 問題数が数百問という単位なので、実力のごまかし、やまかけは全く効果なし。先に述べた方法でひたすら、勉強することである。

 時間配分も、長丁場なので重要である。100問目で何分と、目安をたててといていく。いうまでもないことだが、時間切れで選択していない、という事態は絶対にさける。どれでもいいからチェックしておく。そうすれば、確率的に何問か、丸になるわけだ。

 いかにあいまいな設問から、問題の状況を想定でき、的確な解答ができるか、という問題ばかりなのである。問題の不備に文句をいうのでなく、世界中で挑戦しているのでそれをはげみに頑張ってほしいものだ。

第五回 資格の連鎖

 情報通信関係の資格をもっている人には、何十も資格を保有している人が多い。資格マニアといって、数集めるのに楽しみを見出している人もいる。でも、そうでなく、いつのまにか、そういう数になってしまったというのがほとんどではないか。
 それは、1つ資格をとると、少し勉強をすると、次の資格がとれるようになっている。じゃ、次もとっとかないと損のような気がするのである。で、次の資格をとると、また、次の資格が少しの勉強でとれるようになっている....
 それは勉強内容の重複にも原因はあるが、試験制度的にも次の資格をとりやすくできているからである。

 私の例をしめそう。

 まず、情報処理2種を取得。すると、やや高度な勉強をすることで1種もとれる。1種とれれば、ネットワークスペシャリストも取りやすい。論文執筆を学習すれば、特種もとれる。論文学習の結果、システム監査独自を勉強すればシステム監査も取りやすくなる。
 システム監査を勉強したので、その勢いで、CISA試験も取りやすくなっている。ここで第一種伝送交換主任技術者(電気通信主任技術者)を取る。ここでも、情報処理試験の学習が役立つ。これをとってしまうと、線路主任技術者も、一部試験免除で、取りやすくなる。
 主任技術者取ると、工事担任者(デジタル)も、科目免除などで取りやすい。デジタルをとると、アナログも科目免除が待っている。また、陸上無線技術士も科目免除多し。
 情報処理技術者と無線技術士をもっていると、職業訓練指導員試験も科目免除が多い。
 さて、このころに経営を勉強しはじめる。すると、これまでの情報関連知識が生きて、中小企業診断士にも手が届いてしまう。

 であるから、資格を1個と、10個で10倍の苦労があるわけでなく、せいぜい、2,3倍であろう。取らないと損なのだ。

 情報通信関連は、とにかく、科目免除は多いので、複数の資格を取得しようという人は科目免除について、研究しておき、取得順番を考え、効率よく取得していくといい。

第六回 日本と欧米の資格

 資格に関しては、自分での多くの資格を取得してきたし、資格認定の業務にも従事してきた。その中で、日本の資格と、米国の資格の相違を書いてみたい。

1.資格取得後

 日本では、取得すると、終身免状である場合が多い。欧米では、更新式のものが多く、資格維持のために、再教育などの一定の苦労を続ける必要がある。「資格は、能力の証明なのだから、定期的にチェックし、必要な再教育はあたりまえ」というのが欧米の主張である。欧米が正しいと思う。特に、ハイテク関連の資格では、日本も早くほとんどの資格を更新式にするべきである。(ただし、再認定の料金目当ての資格認定団体もある)

2.資格取得の動機

 日本ではある業界の仕事をしたい(今、していない)ので、資格をとって、その業界に入る、という発想が多い。欧米では、「もともと」業界で働いており、地位をあげたいために、資格を取得する、というイメージである。めしをくう、豊かになるためにどうしても必要な取得なのである。

 あと日本ではその資格に関係した業界で働こうという意志がないのに取得する人が多い。宅建などで、資格はもっているが、関係ない業務をしている人が多い。将来役立つかも知れない、とか、ハクつけに取る、かっこいい資格だから、という仕事とリンクしていない取得が多い。欧米では、そういう人もいるが率は少ない。欧米人は「仕事で必要ない資格をなんで取得するのか?」と合理的に考える。

3.試験方式

 日本では、簡単な資格は、○×式や択一式。難しいといわれている資格は、論文式である。欧米では、問題数を多くしての択一式が多い。採点基準に、主観が入るものは欧米人には受け入れにくいようだ、やはり、客観評価でないと納得できない。だから問題数を増やす。あなたが何点かも通知してくれる。

 欧米は、資格試験をコンピュータ化する動きが急である。日本では論文などで難しい。

4.認定団体

 欧米では、業界団体、またはリーダ企業が、資格を認定することも多い。そしてそれが立派に業界で、権威をもつ。日本で単一企業が認定しても、よほどのことがないと、権威はなく、その企業の自己満足になる。日本では、財団の認定する資格が多いことも特色になる。

 日本では監督官庁が、管轄の財団に資格認定をさせ、業界がそれをうやしく、お受けするというイメージである。

5.実力

 日本では、資格者が実力をもっている、と信じている人は少ない。かえって、資格をもっていない人のほうが、実力があったりする。欧米では、実務経験をもっていない段階で資格をとろうとする人が少ない。

 試験内容とも関係するが、現場で普及している製品を使えなければ意味がない、という発想から、試験問題が特定商品に依存しており、現場で実力を発揮しやすいようにできている。

 情報処理の資格者が、Win2000ネットワークを構築できると限らないが(できない可能性が高い)MCSEは、確実にネットワークを構築できる。

6.試験内容

 コンピュータ関係の資格では、日本ではコンピュータ一般論の中で試験項目を作成する。なぜなら、特定の企業、製品色を出すわけにはいかにからである。だから、CAPXなどの仮想コンピュータを作ってみたり、仮想の表計算ソフトをつくったりして、問題文を作る。

 欧米は今普及しているソフトをきちんと使いこなせるかをみる。ソフトありきで問題を作成する。

7.国際化

 いうまでもなく、国内資格は、日本でしか通用しない(というか世界ではみんな知らない)。不思議なことに、欧米資格は日本をはじめとして、世界中で通用する場合が多い。

8.受験料

 日本は安い。欧米は高い。

9.試験頻度

 日本では、年一回などという気の長いペースで実施している。早くて6ケ月。結果も遅くて、半年以上かかるものもある。

 欧米では、毎日、いつでも、とかもある。結果は迅速で、コンピュータを使った試験では、直後に結果判明する。

第7回 資格の価値

 資格を趣味でとっているとか、数を競っているとか、人生勉強だ、とかで挑戦しているのであれば、その資格の価値など真剣に考える必要はないのかも知れない。

 でも、こういう仕事をしたい、資格で注目され給料を高くしてリッチになりたい、会社にとってキーパースンになりたい、いい会社に就職したい、などの理由で挑戦するのであれば、その資格がどういう価値をもつことになるのかを真剣に検討しなければならないだろう。ガソリンスタンドに勤めるわけでもないのに、危険物取扱者をもってどうするのか。いつか、やくにたつかも知れないから、一応とっとこう、というのは、辞めたほうがいい。人生の労力、お金がもったいないと私は思う。

 よく、自分を売り込め、といわれる。会社にうりこめ、お得意さんにうりこめ、社会にうりこめ...だから、資格は売り物だということを知るべきだ。自己満足でなく、相手がお、それ買いたい!という資格でなければ意味がない。この辺を検討しておこう。

1.SEはなぜ資格をとれといわれるのか(この項、表現が過激ですが、事実なので)

 SEは、だいたい、ほかの会社に派遣され、仕事をすることが多い。そのときに、派遣元と派遣先企業で、この男(または女)をいくらで売買?するかを実は協議する。派遣元は、その人間(売り物である)に関するカタログつまり、経歴書を提示する。この人の価格は、その人の職務経験が重要である。何年、どういう仕事を、どういう職位で、どのくらいやってきたのか、である。いつまでもなく、大ベテランで、重要なシステム開発を責任者としてやってきていると、価格はアップする。

 さて、実は経験だけでは、どうも信憑性が弱いのだ。経歴なのだから、書こうと思えばどうにでもかける。もう一つ、何か実力の基準がほしい。それが、資格である。価値のある資格をもっていると、価格は大幅にアップするのだ。

 だから、資格をとれ、とれいうのは、「こいつを派遣するときに、高く売れる」からなのである。先の経歴書には、その人の1ケ月の値段が冷徹に書き込まれている。資格をとれば、その価格をあげられる。会社は利益を得られるので、その人に、給料アップとか資格手当てを還元してあげよう。まあ、社員の勉強にはなるとは思うが、別に資格とった人間の実力をその派遣元がかっているわけではない。派遣先が高くかうからである。だから、派遣先が知らないような資格は、だめなのだ。

 たとえば、銀行のシステムを開発するとする。銀行が最終的に、その社員の単価を見て、かねをはらう。銀行の担当者が、「XXXXって、こんな資格きいたことないけど、こんなのもあるんだ」ではダメ。だれでも、おお、この資格もっているのか、すごい!じゃ、1ケ月で200万円はらっても納得だ、とビビらなければダメなのだ。

 だから、取得しようとする資格が社会評価をうけているかを検討しよう。苦労して取得して、なにその資格?などといわれないように。取得が簡単であっても意味がない。

 悪徳商法で書きたかったのだが、悪徳企業で認定している資格(講習でとれるよ、とか、申請だけでOK)なんて資格は知名度0で、くさったリンゴみたいなものである。

2.年齢によって価値のある資格は違う

 45歳の人間を、企業が中途採用しようとする。おそらく部長格であろう。履歴書に情報処理2種を書いてもあまり注目されないだろう。なぜなら、45歳という年齢に合わないからだ。担当するであろう、職責に必要と思えない。

 25歳の中途採用をしようとするときに、履歴書に情報処理2種とかけば、これは大きい。なぜなら、基本教育が不要で、ある程度即戦力になるな、と判断されるからだ。

 つまり、その人の年齢、採用される職位などで、必要とされる資格は変わるのである。自分が取得しようとする資格が、職位、年齢にとって、価値のあるものかを検討してから挑戦しよう。

 50歳すぎたら、もう弁護士とかの超A級資格でないと、履歴書に書いても。企業もみてないよ、きっと。実績しかみてないはずです。つまり裏をかえすと、有効な年齢の間に資格を使おうということだ。

3.資格には流行がある

 公害問題が起きていた頃には、「公害防止管理者」、石油危機のときには「エネルギー管理者」、バブルのときには、「宅建」。株価のように、その資格の社会的価値はかわっていく。ゆとりの時代には、「余暇生活開発士」だ。

 これから、資格の価値があがりそうだと、みんなおもっているのが、高齢化の「社会保険労務士」「ファイナンシャルプランナー」「介護福祉士」...

 くれぐれも、昔が価値があったが、今はそんな資格に誰も注目していない資格で、今後も注目されることがなさそうな資格に挑戦したりしないように。一時的な流行に終わりそうなものもやめたほうがいいと思う。

 コンピュータ関係も、昔は、「情報処理試験」が大変注目されていたが、今は、各ベンダー系資格が注目されている。MCSEとか、OracleMasterなどである。こちらの方がシステム開発などでより即戦力になるからである。この場合、注意すべきなのが、そのベンダが市場をどのくらい押さえているかである。その製品がうれないと、自動的にそのベンダの資格の価値は減少していく。なぜなら、その製品を使って開発をしないからである。たとえば、今では、Oracle系の技術者は価値が高いが、もしOracleがSQLサーバに負けてしまえば、OracleMasterは価値がなくなっていくことになる。その逆になれば、資格の価値も逆転する。

 資格の価値を判断するのは、新聞や、業界紙を熟読しないと、だめということになる。

4.コストパフォーマンスを意識しろ

 確かに、ある資格の価値は高い。しかし、それを取得するための労力、お金も莫大、ということが多い。資格の価値と、労力を天秤にかけたほうがいいです。コストパフォーマンスを意識しましょう。取得するのに、30年かかった。でも、お客さんがなかなかとれないで儲からない、これでは悲劇ではないか。

 労力は少なくてすむが、資格者は優遇される。これはベストだ。バブル時期の宅建は非常にコストパフォーマンスがいい資格(おいしい資格)といわれた。(簡単だといってんじゃないよ)大変な収入を得ていた方が多い。行政書士も得意分野をしっかり持ち儲けまくっておられる方も多い。

 反対に労力は大変だが、取得してからのメリットが少ないという資格もある。

 その資格取得に必要な労力・年数を調べて、取得してからのメリット、儲けられる度合いも調べ、自分にとってのコストパフォーマンスも考慮してみよう。

5.市場原理

 市場の価格は、需要と供給で決定される。いくら、企業、社会から要求されていても、有資格者がものすごい数いては、市場原理で、その価値は下がってしまうのである。反対に、そんなに必要とはされていないが、ほとんどいない、という資格者は優遇される。企業ごとに1名いれば十分という資格なのに、3人いても意味がない。

 このあたりもよく研究すれば、大変おいしい生活ができるはずである。資格でも、資格者がたりないよ、というのも、資格者が多すぎるよ、というのもあるのである。

6.仕事と関係あるか

 そして、貴方のやりたい仕事、職務に必要なのか、である。コンピュータ会社に勤めていた課長で、エネルギー管理士、公害防止管理者をもっている人がいた。それなんのためになるの?意味ないじゃん。これが最も価値を決めるものだ。

 ちゃんと一致していれば、あなたは資格取得で間違いなく幸せになれる!

第8回 1級販売士

 販売士は、私から見ていい資格だと思う。その資格の企画、運営をしている人たちが本当に、資格のもつ意味をよくしっているし、しかも、工夫をしている。

 資格を取得するための、養成講座、通信教育講座を持っている。必須ではない。しかし、この教材が本当によくできているのだ。ほれぼれする出来であるし、通信添削もよくやってくれる。費用も安い。販売、マーケティング、商品知識に関する基本事項を系統だてて、全部勉強できる。販売士を取得しなくても、お勧めできるものだ。この講座を修了すると、3級などでは科目免除もうけられる。

 科目合格なので、あきらめずに努力できる。仕事の合間に、少しづつ進められる。3級、2級とステップアップできる。試験問題も、1級では科目数が多いけど、面接などもはいっている。(面接で不合格になる人はいます!)

 1級に合格すると、まさに資格者がほしいと思うものが授与される。(実費のものもあるが)まず、認定証。これが国内の資格にしては、大変立派なものである。そして、資格者証カード。 さらに1級販売士の金バッジも入手できる。希望すれば、「1級販売士のいる店」(だったか?)の、張り紙も入手できる。資格の陳腐化をふせぐために、更新研修(通信教育)も義務付けられている。1級販売士は、指定の講義を受講し、論文提出すると、認定講師となり、3級販売士などの養成講習を担当できる。氏名は全国の団体に配布される。優秀論文集なども配布される。

 これでもか、これでもか、となんとか資格の目的を達成し、社会に認知させよう、普及させよう、と本当に努力しているのがわかるのだ。運営組織のメンバーに敬意を表したい。

 この資格は、主婦などに強くお勧めする。スーパのパートなどに応募するときに、1級販売士などは、大きな武器となる。

 さて、この資格を狙う際のコツだが:

1.ともかく、通信教育を受講する。教材本体や、付属する問題集から近いものが出ると思っていいだろう。しっかりとこの教材に集中して、徹底的に精読することだ。逆にいうと、受けていないと無理でしょう。

2.科目合格だけど、気持ちは、「科目合格でいいや」なんて、絶対に思ってはならない。1年で全部合格するという決意で臨まなければならない。科目合格は、救済手段だと受験生側は思ったほうがいいと思う。はじめから、こんなのをアテにしてはだめ。

第9回 さあ試験日

 資格試験の受験日は、今までの勉強の苦労をすべて発揮するべき大切な日である。ここで失敗すれば全て水の泡。オリンピックの選手のような心構えでいかねばならない。細心の注意を払おう。以下に秘伝?を公開する。

1.耳栓

 試験最中、耳栓をすることをお勧めする。隣の受験生の気に障る音も聞こえないし(せき、鉛筆で机をたたく音など)、なにより、問題にものすごく集中できる。

2.昼ご飯

 食べにいってはダメ。歩けば、脚に血液がいく。午後の試験に影響する。お弁当(腹八分のもの)を買っていき、会場で軽く食べる。食べ終わったら、軽く寝る。会場で食べれば、簡単な最後の勉強をする時間も余裕もできる。

3.薬?

 ドーピングである。午後の試験はだいたい、眠くなる。うつらうつらしたら、もうだめである。であるから、私は、必ずカフェイン錠剤をかっていく。そして、昼の食事が終わったら、飲む。ユンケルを飲んでいる奴もいる。有効である。

4.前日

 前日は、ぐっすり寝る。前日に勉強をしているようでは、もう失敗。2、3枚のレジメを軽く目を通す程度にしておくことだ。前日に頑張れば、必ず試験日の午後にねてしまうぞ。

5.午前の試験

 昼には、午前の問題については一切考えない。もう終わったことなのだから、後悔すらしてはならない。

6.はやく試験会場につく

 30分前にはつくこと。心理的余裕。最後の見直しが可能となる。試験日に迷ったり、遅刻するんじゃない!

7.時計

 時計を絶対に忘れるな!(消しゴムもだけど)腕時計で、時間配分をしながら、効率的に問題をといていくのである。

8.試験問題

 まずざっと目を通す。時間配分を考える。簡単なものからやっていく。択一式、丸ばつ式では、はじめから、何かにチェックしておく。

9.心理

 前日あたりから、試験終了まで、試験問題に関すること以外は一切、考えない。いろんなことを考えてたら、合格できるはずがない。試験に集中しろ。

10.電車

 試験会場への移動中に、電車の中で、2、3枚にまとめたレジメに最後のパワーをかけよう。時間を無駄にするな。

11.友人

 友人といくな。いっても、別行動するべきである。話すだけでも、頭脳は別のことに動いてしまう。

第10回 参考書

 参考書、問題集はどのような資格でも、必要となるものだろう。資格を狙うときめ、その資格の参考書を購入しに、本屋にいったとき、みんな結構、軽い気持ちで参考書を選んで買っているようだ。

 参考書については、よくこういわれている。「何冊も参考書を買うな。浮気せず、一冊にしぼって勉強せよ。」何冊も買い込んで、どれも中途半端に使っていたのでは、勉強に一貫性がなくなるだろう。

 これは半分ただしく、半分誤っているのである。私は「何冊も参考書を買え!浮気をし、これぞ私のべスト参考書というものに出会うまで、いろんな参考書をやってみて、見つかったら、その1冊にしぼって勉強せよ」が正解だと思う。

 いろんな著者がいろんな参考書を書いている。中には、ひどいものもあるし、よいものもある。使ってみると、それがわかる。本屋でぱらぱらではわからない。しかも、本とその人の相性というのがあるのだ。ある人には勉強しやすいが、ある人には勉強しずらいということになる。つきあってみないとわからない。だから、男女関係のようなものなのかもしれない。だから、本をかってみて、相性わるかったら、別の本を選ぶべきなのだ。金がかかる?参考書などやすいものだ。学校なんかにいったら、いくらかかりますか?

 そうして、1冊、ああ、これは勉強しやすいな、と言う本が見つかったら、それを中心に徹底的に勉強をするのである。もう、浮気をしてはだめである。

 また、本を大事にする、という意味をしってほしい。よく、折り目もつけずにきれいに勉強している人がいるが、本当に勉強しているのだろうか?私は、参考書をきれいにしておこうとは思わない。折り目をつける、書き込む、線を引く。何度も読む。風呂で読む。トイレで読む。電車で読む。

 カバンにいれる、ベッドサイドにほっぽっておく、もうぼろぼろである。そして、更にこの本を「ばらす」。

 章ごとにばらして、2つに折ってポケットにいれやすくする。で、10分でも時間があったら、それを読む。また、特に重要なページなら、それだけをポケっトにいれたり、トイレの壁に貼る。私が資格を取得したときには、その参考書は、完全に崩壊する。

 ここまでやらなくてもいいけど、このくらい、本を使いこなしてあげることだ。決して、本を買うと勉強になるのではない。本を読んで使って勉強になるのである。参考書に心があったら、そこまで使って読んで、ぼろぼろになるのと、きれいにしたまま、勉強しないのとどちらがよろこぶだろうか。

第11回 勉強場所・時間・方法

 机の上に教科書、参考書をひろげ、読んで、サブノートを作っていく。女房、母親が頑張ってね、とお茶をもってくる...こういうものを受験勉強であると考えていては、到底合格できない。なぜだろうか?

 それは現代はみんな忙しいのである。そんな机に向かっていられる時間は少ない。だから、勉強できないことになる。現代では、机で勉強するのはほんのわずか、演習程度しかできまい。

1.勉強場所

 生活場所全部を勉強場所にする。トイレ、風呂、通勤電車、仕事での移動中、寝る前のわずかな時間、人を待つ時間などなど、ありとあらゆる時間を勉強時間として使用する。

 そのためには、前の項目で述べたように、参考書などをちぎったり、サブノートを作ったり、して、その準備をしておかなければならないのだ。最重要事項をまとめた紙をトイレにはる。理解しづらい参考書の箇所をちぎって、プラスティックケースにいれて、風呂で眺める。

2.時間

 さあ、勉強するぞ、1時間ではだめ。10分でも時間があれば、さっと本などを出して読む。いや、5分、いやいや1分でも、それをやるのである。バスを待つ、ほんの1分でも勉強する。

 反対に、日曜などで、勉強できる日で、勉強がノッてきたら、妥協せず、10時間でも勉強をつづけたほうが効率がいい。「もう1時間やったから、今日はおしまい」などは意味がない。

 多くの人が「忙しくて勉強する暇がない」という。完全な誤った考えである。私が最も資格を取得できた時期は、皮肉にも、最も労働時間が長く過酷な業務をしていた時期である。かえって、そういう時代が、精神的にも緊張し、時間を大切にして勉強できるものだ。はっきりいって、忙しいはいいわけである。その証拠に、暇になると勉強するかというと、絶対にしないものである。

3.方法

 演習をとく。本を読む。サブノートを作るというのが、代表的な勉強方法であろう。でも、これだけではだめ。ありとあらゆる方法を駆使する。

 最重要項目を朗読する、というのは有効な方法だ。読む以上の効果がある。できればその朗読をテープに録音する。そしてそれを電車の中できく。寝る前にきく。

 やはり重要点で複雑なものについては、友人とそのことを話す。話すうちに、頭の中が整理される。

 カンニングはしないが、すると想像してカンニングペーパーを作成してみる。重要点を無理やり整理できる。面白い方法だと思う。よくカンニングペーパーを完成させるとその紙は実は不要になる(あたまにはいるから)といわれる。

第12回 勉強以外

 資格を取得するためには、勉強以外にも大変なことが多い。いや、勉強以外のことの方がつらいことが多い。なんのことを言ってるのかわからない人も多いだろう。

1.お金

 資格取得のためには、金がかかる。私はおそらく、日本1金をかけずに、これだけの資格をとったと思っている。かかったものといえば、参考書、問題集の数冊のお金、受験料である。試験も一部を除いて、ほとんどは一発合格であった。ラッキーである。

 一般には、数回の受験をしなければなるまい。すると、受験料+交通費(付近に受験会場がなければ、宿泊費も)が複数回分必要となる。さらに、数年に渡り受験していると、参考書、問題集などが陳腐化し、新しい本を購入しなければならない羽目になる。これは累積するとかなりのお金になる。

 また学校や、通信教育なども受けなければならないだろう。この授業料はハンパじゃないのだ。何十万円であり、これを何回もうけたりすると、大変である。複数科目の税理士などになると、気の遠くなる授業料が必要だ。

 これは、次の家族の項と関係し、大変な点となる。資格をねらうのなら、ある程度の資金計画も必要だ。

2.家族

 お金について、独身貴族であればまだ、いい。自分でやりたくて、自分ではらっているのだから。

 ところが、結婚などしてればそうはいかない。まず、配偶者にその資格を取る理由をきちんと説明し、合格の可能性と、予定合格年、そしてそれが夫婦のためにどう役立つのかを説明しなければならない。配偶者にとってみれば、何度も落ちていて、100万円近い費用をかけていれば、笑ってはいられない。不合格を続ければ、問題にすぐなってしまう。とっても何の意味もなければ、いやみも言われる。

 だから、資格試験を受けるには、家族の理解、いやそのレベルではなく協力が必要なのだ。途中で資金をだしてもらえなければ、断念することになってしまう。ぜひ、家族を見方にして、頑張ってほしい。家族の不満を無視して挑戦しつづけていると、夫婦関係にひびのはいる可能性もある。

 また、お金だけでなく、時間も日曜日とかを勉強に使うのであり、いわば、本来、配偶者や子供とともに暮らす時間を犠牲にするわけだ。省みなければ、大変なことになってしまう。家族とのコミュニケーションを十分留意し勉強計画を作らなければならない。それに何度も落ち続けていると、家族に対して、次第に面目ない感じになってくる。子供にも成績のことをいいすらくなる。

 資格試験を受けるのは、独身時代が一番いい、ということになる。受講費用や、時間も自由になる。家族がいれば、家族にきちんと説明し協力を仰ぎ、早急に合格しなければならない。

3.上司

 中小企業診断士などは、2週間の研修が待っている。これはどうしても仕事を休まなければならない。2週間やすむのは大変だ。もっとも大変でなければ、これはいらない人ということになってしまうが。従って、上司の理解などがどうしても必要だ。上司にしてみれば、自分のために勝手に2週間休むのだ。許せないだろう。だから、上司に理解を得るために、いろんな手を使って努力することが絶対に必要なのだ。診断士にきくと、2週間の休みをどうとるかを本当に悩んだといっている人が多い。

 ある意味で、「そのくらいの職場調整、上司の理解を得る能力がないのであれば、診断士(コンサルタント)などとても無理」ということなのだろうか。

4.同僚

 企業内で資格をもっている人にきくと、誰でもいうのが「同僚のねたみ」である。コンピュータ会社で、システム監査や、システムアナリストの資格などをとれば必ず、重視してくれて、へたすれば、給料・職位に反映される。上司のうけもよくなる。すると、同僚は必ずかちんとくる。たかが、資格程度で、なんであいつはチヤホヤされるんだ。許せん。脚ひっぱってやれ。悪口いってやれ。面とむかっては、おめでとうなどといっているが、腹の中はまったく違う。

 これはどうしようもないことなのだ。非常につらくて、危ないが、まあ、資格取得できたときの税金のようなものだと思って、注意し、あきらめるしかない。資格取得者にぜひ言っておきたいことがある。「気をつけろ。同僚は君が思うよりはるかに、君のことを妬んでいる」

5.転職

 資格取得して、すぐに転職。かっこいいけど、気をつけよう。会社の上司などから、目をかけてもらっていて、資格取得にも、理解をくれて、無形の協力をしてくれた上司のことを全く考えずに、取得してすぐに、さ、転職、などとやると、上司はかちんとくる。上司がその気になれば、会社を辞めていく社員にはいくらでも、陰険ないやがらせをすることが可能である。転職は大賛成だが、やはり、人間関係を破壊することなく、転職を成功させようではないか。

 狙い通り資格取得し、給料の高い方に転職、というときには注意することだ。

第13回 秘伝:過去問題集

 一般の人の学習計画:

   1.まず、標準教科書と基本参考書を読む、理解する。
   2.次に、実力養成問題集
   3.最後に過去問題集をやってしめる。

 これは資格取得の効率から考えると、間違いである。

 ただしくは、
   1.過去問題集を5年分をともかく、全部といてみて、問題集の解説を読む。理解できなくてもかまわない。
   2.次に、標準教科書と基本参考書を読む。
   3.そして、過去問題集を徹底的に解く。理解できるまで何度もやる。問題と解答を記憶するくらい何度もやる。
   4.過去問題集を補足するように、実力養成問題集をとく。

 なのである。なぜこうなるのだろうか。

 その理由は、「その資格の知識範囲の全てが試験に平等にでるわけではないから」である。もし、ある法律に関する試験で、その法律全体がまんべんなく出題されるのであれば、最初の一般の学習方法でいい。でも、そんな資格試験はない。いつも、きわめて偏った出題傾向なのだ。ある箇所ばかりが毎年出題され、ある分野などは、出題されたことがない、なんてのもある。

 出題の傾向をみて、その後の学習全体の重み付けをしていくのだ。全体を平等に学習していては合格などできないのだ。これはどんな資格試験でもいえることである。最初に過去問題集をやっとけば、その後に、参考書を読んでも、この箇所はじっくり重要だから読む、とか、ざっと読むなどの工夫ができるのである。過去5年分をやれば、もう傾向はわかってしまう。

 またある資格などでは、「特定の問題群が順繰りに出題されている」という面もあるので、過去問題集にもっとも力をいれろ、といっているのだ。実は問題を作るのは、大変なのだ。毎年新規に問題を作りはするが、全部新規というのはいくらなんでも、大変すぎる、だから、一部のみ入れ替えて、何度も同じ問題を出さざるを得ないということだ。

 どんな資格試験でも合格した人であれば、上に書いたことには納得していただけるはずである。