悪徳商法手口3

1.受講料金未納と一本の電話

 不景気で失業者が増えている。みな、手に職を付けて新しい職場を探そうと必死である。更に、国も後押しをして再教育を受けるように奨励金を出しているし、衛星中継とか、インターネット教育とか、教育産業も多くのやり方を考えている。まさに、大教育ブームである。

 みな、将来の自分の生活に不安を持ち初めているから自分の教育に無関心ではなくなった。「将来に備えて、あなたも、今のうちに、勉強して技術・技能を身に付けておきませんか?」といわれれば、誰でも、うーんと考えてしまうだろう。そういう時代なのだ。つまり、この切り口で話しかければ誰に対してでも、話のきっかけを作りやすいのである。悪徳商法も、カモの候補に話し掛けたときに、結構です、と一言で断られては困る、なんとかして、会話を続けたい。そのときには、相手も関心を持っている話題が一番いい。

 今、わたしは43歳である。この歳で、みんなが共通に関心を持っていることといえば、「健康」「将来を生き抜く専門性(つまり教育)」「老後の資金」「子供の教育」といったところだろうか。そして、これらは、まさに悪徳商法のねらい目にもなっているテーマばかりである。だから、このテーマで電話、訪問をすれば、誰でもすぐには断れないのである。警戒しよう。教育などは、格好の悪徳商法の分野である。詳しくは、過去取り上げているので、それを読んでいただきたい。 

 従来、教育を受ける、といえば、学校にいって、教室に入って、先生と向かい合い、お話しを聞くというものだった。でも、みな、仕事をしているため、忙しくて時間が取れない。そのため、通信教育が大ブームとあいなる。通信教育なら、仕事をもっていても誰でも受講できる(ような気がするだけだが)。悪徳商法がわもトントン拍子で契約にもっていきやすい。「んー、俺でも勉強できそうだなあ」と思うからである。通信教育でなら、だますほうも、逃げやすいし、被害者もあきらめてくれる可能性が高い。学校などをかまえて、悪徳商法をやるのは実に難しいだろう。

 かくして、悪徳商法がサラリーマン向け通信教育産業に大量に参入することになる。まじめな業者にとっては、大変な迷惑な話しである。わたし達は、通信教育を受ける際には、業者の選定に慎重になる必要がある。相手の顔がみえないのだから、当然である。周りの評判をきいたり、会社について調べたりして、判断する材料を集めよう。契約には細心の注意を払うべきだ。

 今、悪徳商法的教育にひっかかった人間に対して、追い討ちをかけるような商法がはやっているそうである。(報道によると)教育で騙された詐欺企業から連絡がなくなった。もう、なんとか、あの忌まわしい話しは、終わったのかなあ、と思っていると、電話がきて、「あなたの受講した教育はまだ、終わっていない。受講料金が未納になっているようだ。悪徳商法なので、至急、解約をしなければ。解約手続きをしてあげますので、手数料を支払ってください」とくるのである。実はこの手口は昔から多用されており、そんなに新しいものではない。

 でも、今回のは、自分達を、あたかも、悪徳商法に対する庶民の防衛軍、国民生活センターなどの機関のように名乗ってくるというところが変わっている。自分達の不倶戴天の敵の名前を騙るとは、ふざけた連中である。まるで、「警察ですが、ちょっとお聞きしたいことがあります。」といって、家に入りこんで、強盗するようなものである。国民生活センター、警察などの関連機関なのかな?と思ったら、手間を恐れずに必ず、こちらから、国民生活センターなどに電話をかけてみて、「このような連絡・訪問を受けたのですが、そちらの関連機関ですか?このような対応をしてくれているのですか?」と問い合わせることである。たった一本の電話が、被害を食い止めるのである。

 この「電話による相手の身分確認」の必要性は、今までも何度も強調してきた。消防署のように名乗ってきたら、消防署に電話をいれて確認すればすぐにわかるのである。絶対にお勧めする。実践すればあなたは、きっと命拾いする経験が増えるだろう。