机の上理論

 私がいた会社の常務はいつも私に、「机を見れば、そいつの頭の中がわかる。つくえの上はまさに、今の頭の中の状態を示している」といったおられた。

 机の上が、整然と片付き、ひとつづつ仕事を片付けていっているような人は、仕事をしている頭もすっきりしている。着々と仕事をこなしている。(「仕事ができる」とはいってなかった)

 机に本、書類がつみあがっていると、もう頭の中にやるべきことが渦巻いており落ちついて仕事ができていない。

 机の上がめちゃくちゃの場合には、仕事もめちゃくちゃになっていて、ひどい場合は自分でなにをやっているかわからなくなっているという。

 私もこの常務の言葉はまさにそのとおりだと思う。時間がたてばたつほど、そのとおりだ、と納得する。この常務は、定期的に社内を回り、社員の机の見ていた。

 机の上がきれいなのだが、引出しを開けたら、その中にぐちゃぐちゃに書類などが詰めこんであった人がいた。これにその理論を当てはめると、「一見仕事をきちんとやっているように見えるが、実はできないようなことを全部隠しているだけ」となるのか?

 私は、整理しようと、片付けるがすぐに、ごちゃごちゃになってしまう。これなどは「仕事もはじめるときには、最初きちんとやっているが、そのうち、めちゃめちゃになってしまう。」ということだろうか。

 ちなみに、帰るときには、机の上にはなにもなく、引出しの中にも私物がなにもない、というのは、もう会社を辞めようとしている人である。きたない机の人が急に、つくえをきれいにしはじめたら、もう時間の問題である。会社への思いも、もう整理されてしまったということだ。

 システム手帳のごとく、書類処理を整然としている人は、仕事もシステム化されている。

 結構、管理職にとっては、机の上理論は、有効な業務管理の判断方法かもしれない。しかしPC、ワープロの普及で難しくなりつつある。こんどは、PCのディスクの整理状況を見れば、その社員の頭の中がわかるのだろう。