帰ってきた悪徳商法手口

1.消費者契約法

 今年新たに施行された悪徳商法関連の法律に、消費者契約法がある。ざっと目を通して気づいた点を述べてみたい。(法律の専門家ではないので、誤った解釈をしている可能性があるのでご了承いただきたい。正確には原文、消費者団体等の説明を必ずお読みいただきたい)

 まず概要をいうと、この法律は大きくいって2つの内容を持っている。対象は消費者と事業者の契約すべてである。

 ・事業者が契約勧誘時に一定の不適切な行為(重要事項についてウソをいう、確実に儲かるといった、重要事項について不利な情報を隠していた、帰れといったのに帰ってくれない、帰りたいといったのに帰らせてくれない)をした場合、消費者は契約を取り消すことができる。
 ・契約書の特定の条項(事業者側は損害賠償全部免除など)は無効となる。

 私が気が付いた点は以下のとおり。

1.この法律には行政罰、刑事罰はない。民事として、問題を解決するようになっている。警察は基本的には関係ないことになる。民事なので、業者の不当なことを主張するには、証拠を自分で可能な限り集めなければならない。契約書はもちろん大切に保管し、口頭説明については、書き記して事業者に確認させるなどが必要になると思われる。テープ、承認の立会いなども大きな契約の際には必要だろう。

2.事業者はきちんと説明しなさい、消費者もきちんと契約の内容を知るように努力しなさい、というのが前提となっている。事業者が契約に関して不利な情報を教えようとしたのに消費者がそれを拒んだ(「ああ、説明しなくていいよ、もういい」とか)、そして、きちんと説明がなかったじゃあないか、などという場合はまずい。契約の内容については、きちんと理解するように消費者も努力しなければならない。彼らの話しは聞きましょう。契約書は読みましょう。不明な点は質問し紙に書き記しましょう。

3.この法律はあくまで消費者と事業者の契約を対象にしているので、事業契約、労働契約については適用外のようである。ですから、内職商法などには適用されないと思われる。いっしょに事業やりましょうか、とか、すごく儲かる仕事です、なんて共同事業、仕事の世話を装ったものは適用外だろう。最近はこれで騙すパターンが多いので注意されたい。

4.この法律に基づく契約の取り消しは、だまされたと知ってから、6ケ月行わないとできなくなる。また5年たつできない。

 さて、この法律で、契約解除時の超高額キャンセル料狙い業者、「確実に儲かります」を繰りかえす業者、押し売り、絵画商法などが苦しくはなるだろう。でも、前提は、あくまでも、きちんと自分で証拠を保管し、意思を主張した場合であることだ。帰ってくれとも言えず、帰りたいともいえず、証拠も捨ててしまいました、なにもありませんでは、この法律といえども守ってはくれないと思われる。

2.「悪徳商法手口」シリーズの狙いについて

 「悪徳商法手口」シリーズもこんなに長く書きつづけるとは思っていなかった。ここでは、私が何をかんがえ、どこを狙ってこのシリーズを始めたのかを、書いておきたい。

 どうすれば悪徳商法にかからないですむのだろうか。かれらはプロである。契約に関する各種法律をはじめとし、人間がどういう欲望をもっており、どう誘えばつられるか、ひっかかった人間がどう反応し、どう逃げようとするかを知り尽くしているに違いないし、当然、その対策をたてているはずである。つまり、ひっかかったら、彼らの仕組んだシナリオにそって進行してしまう。そのわなから脱出するのは莫大な労力、時間が必要となるだろう。やはり、なによりも予防が大事だという結論に達した。つまりワナを見抜いて、事前に避けることが必要になる。

 もちろん、そういう業者をつぶせばいい、という考えもある。しかし、商習慣で日常のほとんどが進められているこの世界で、行政も、法律も積極的に迅速に予防的に、商行為を制限するような動きをしてくれるとは思いにくい。基本的には被害者が出て、人が死んで、社会問題になって、ようやく、なにか対策を講じようか、となるはずだ。つまり、これを待っていては庶民は、被害をさけることはできない。また、法律などいくらつくっても、彼らは必ずその穴をみつけ、新たな手口を考えてくるのである。消費者が自分たちで警戒、予防することが絶対に必要だ。

 では予防するためには、どうすればいいのか。注射すれば、悪徳商法にかからないワクチンでもあればいいのだが。

 やはり、いろんな消費者団体がやっておられるような、「手口紹介」であろうか。彼らの手口をかたっぱしから、書き記し、それを迅速にみんなで知ることで、ひっかからなくなる、ということである。これは明らかに効果があるだろう。しかし、それなら、私がHPで取り上げる必要もない。消費者団体のHPへのリンクを示して、さあ、みなさん、多くの手口をしってください、と書けば終わる。

 でも、手口を全部知れば、ひっかからないだろうか?私はそうは思わない。彼らは今までの手口がバレれば、次の手口をかんがえてくるからである。すると、その手口をしらない人間はまたひっかかってしまう。 このループを避けることを考えなければならないだろう、と思った。Aの手口にかかったので、その教訓を生かしてB、Cの手口を避けることができた、というような学習の仕方を我々はしなければならないだろう。つまり、私は具体的な手口を列挙するよりも、その手口に潜む、だましの思想、人間の欲望の特質、だまされない心構え、考え方を追求していってみよう、と思ったのである。これを読んでいる人たちともどもに考えることができれば、どんなに新しい手口であっても、避けることがしやすくなるのでは、と考えた次第である。

 だから「ああ、こういう手口があるんだ」ではなく、「なぜ、この手口でだまされたのが気づきにくかったのだろうか」「悪徳業者にはどういうメリットがあるのか」「そもそも本質的にどう考えていれば、ひっかからなかったのだろうか」「似たような手口をつくるとしたら、どういうものになるだろうか」「今の時勢、彼らは、どういう手口をやってくるだろうか」などと思いながら、みなさんも読んでいけると幸いである。それが狙いなのである。(偉そうに書いちゃったなあ^^;)

3.特産物

 旅行での楽しみはたくさんあるが、地域の特産物のお土産選びなどもそのひとつであろう。新鮮で安い特産物を旅先で選べるのは楽しいものだ。たとえば漁港近くの街であれば、新鮮な水産物を楽しむことができる。

 しかし、この特産物についても、実はこのシリーズに書きたくなるようなことがあるのである。やっているほうは、そんなに悪気はないのかも知れないが、結構ひどいことをやっている例がある。もちろん、旅先で旅行客相手に販売している業者のほとんどは、善良で信頼がおける業者である。でも、多くの業界と同じように、一部悪質な販売をしているところがあるのである。警戒しておきたい。

 なお、彼らが狙うものであるが、500円のお土産ものでは絶対にやらない。なぜなら、彼らの利益が少ないからである。かなり高価で人気のある商品に限られる。

 カニを一例に取り上げてみよう。カニの本場とかに旅行すれば、当然、カニを夕食で食べたり、土産ものとして購入していくことになるだろう。ここに一部悪質業者が存在する。手口としては以下の2種類がある。

1.カニには、高級な種類のものと、それに外見上非常に類似した安物(つまり別種)のものがある。(安物が一概にまずいとはいえないそうだが。)現地の人は、みんな、その2種のものを区別することができる。しかし、旅行客には、外見が非常に似ているのでほとんど区別できない。高級品と比較すると現地の価格は安物は何分の一である。そして、その何分の1のものを数倍の価格で購入していくことになる。高級品と信じて。現地の人は当然、そんな店にはいかないが、(または安物と知った上で安く買う)、旅行客は、そんなのはわからない。非常に似ていて、見分けるポイントはわずかなものなのだ。
 すなわち、特産物といっても、信頼のおける店などで買わないと、区別のできないわれわれには、似て非なるものをつかまされる可能性があるのである。「すごい安い店しってるんだよ」などといわれて言ってみると、そういう店の可能性もあるのだ。
 いかに特産の安い店といっても、「価格の相場」というものがあるであろう。他の店の相場よりも、明らかに安すぎ異常、などといったら、少しは警戒したほうがいいかもしれない。また、ガイドなどに、そういうネガティブな情報も聞いておいたほうがいい。彼らは公にはいえないがそういう要警戒事項についても詳しいのが普通である。

2.もって帰れない特産物もある。カニなどはつつんで、持ち帰る人は少ないだろう、郵送してもらうはずである。ここに警戒しなければならないポイントがある。つまり、悪い業者にかかると店の前に展示してあるものと、郵送されるものが同一とは限らないのだ。
 これを使って悪い商売を試みる輩もあらわれるのだ。店前には、新鮮ないいものをおいておく。じゃ、これかいます、送ってください、といって住所を書く。すると、送られてくるものは鮮度の落ちるもの、形の悪いもの、別の種類のもの、重量の足りないもの、などということになる。頭にきても、わざわざその苦情をいうために、現地に赴く人も非常に少ない。泣き寝入りになる。やはり、価格だけで判断せず信頼できると思う店から買うことが必須条件となると思う。

 再度いっておくが、ほとんどの業者は善良である、あくまでも、一部そういう悪質なところがあるということだ。悪質業者のおかげで、業界全体の評判が落ちてしまうため、なんとか、そういう業者を排除しようと、どこの業者団体も努力しているようである。

4.一通のはがき

 昨年末のことであるが、一通の葉書が我が家にやってきた。この葉書について書いてみる。

 葉書の文面をみると、ワープロ書きで「伊藤XX様名義の電話で当社のツーショットダイヤルをご利用いただいておりますが、まだ、28900円が未納となっております。早急にお支払いください。XX日までにお支払いいただけませんと、督促に訪問させていただき、追加の費用も頂戴いたします。うんぬん」

 おお、とうとう我が家にもやってきたか!と感激である。いわゆるツーショットダイヤル商法である。私も母も自宅にいるので、自分も使っていないし、いうまでもなく他人が入会申し込み番号登録、利用などできるはずがないのである。

 一応やるべきことをやっておこう、と思った。

1.まず、消費者センターの電話番号を調査し、内容を連絡。すると、担当の方は「それって、XXXXという会社名で、28900円でしょう?今朝同じ報告が何十件きているんです」といわれた。みんな対応が速いなあ。感心である。「使っていないのなら、払う必要はないです。葉書は一応保管しておいて、あとはほっといて大丈夫でしょう」

2.次に県警の「悪徳商法連絡窓口」に電話。内容を話すと、消費者センターとまったく同じ回答。同じ電話が相次いでいるとのこと。

3.最後に、料金振込先となっている銀行支店に電話。あなたの銀行の口座がこのような悪徳商法に使われていますよ、と連絡。「ありがとうございます。同様のお電話を何通もいただいておりますし、すでに警察にも相談しております」

 いやあ、みんな対応はやいんだなあ、と感心した。あのワープロ文面では、数打てば当たるで、何かで入手した住所に全部、送っているんだろう。全部文面、金額まで同じようである。

 まず、しかるべき場所に連絡することが大事であろう。3で銀行に連絡したが、これには理由がある。おそらく業者は何千、何万の葉書を送付しているであろうが、かなりの人数が恐怖から、お金を払ってしまうはずである。銀行に連絡すれば、銀行側も適切に対処し、口座取引の一時停止などの対策を講じるであろう。被害者を減らすことができるわけだ。犯人もお金を簡単には引き出せないだろう。 2で警察に通報したのは、全部同額というのは、「詐欺」に相当する可能性がきわめて高いと判断したからである。

 さて、その日の夕方になって、近所の友人から連絡。「実は、今日、変な葉書がきている。これは何だろう、使った覚えはないが...」私は「XXXXという会社からで、請求金額29800円でしょう?」とお答えしたら、なんで知ってるの?それは私の家にもきてるから、となって、2人で大笑いした。いやはや...

 さて、今日、ニュースを見ていたら、ツーショットダイヤルで逮捕!というのをやっていた。手口がまったく同じだし、葉書の文面自体が実に似ている。なにより請求金額まで同じだ。笑える。その会社は別の地方だったが。おそらく、会社名を変えては、地方もかえて、葉書を送りつづけていたのであろう。全国を順番にやっていこうとしたのかも知れない。ニュースだと、被害者3000人、被害総額8000万円だとのことである。これでは犯人は笑いがとまらないであろう。

 つまり、脅し文句の葉書を大量に送りつける、ただそれだけで、身に覚えがなくても、恐怖心でこれだけの人数がお金を振り込んでくるということである。葉書って、今、1枚50円である。10万枚送りつけて、500万円。そのうちの、1000人がはらってくれれば大もうけであろう。安易にいうがままに脅しに屈するのでなく。しかるべき部署にまずは相談をすればいいのである。

5.目的外使用

 1つの物には、複数の使い道がある。それらは、価値的にも、道徳的にもピンからきりまであるものだ。たとえば、刺身包丁。料理に使うために生まれてきたし、その目的のために販売されているのである。しかし、カッとなった人間に販売すればそれは一気に凶器に化けることになる。刺身を作るための道具、が、人を傷つけるための道具に変身する。

 日本で莫大な数の包丁が販売されているが、その販売が問題になったことはない。凶器にもなりえるが、99.99999....%の包丁は正しい目的に使用されているし、販売している業者のこれまた、限りなく100%に近い人たちは、料理に使ってもらうために販売をしている。しかも、世の中で刺身包丁が禁止されたら、みんな困るのである。包丁を買った人間が殺人をして、店で販売した人が罰せられるか?されないのである。あたりまえである。

 さて次のような場合を想定してほしい。2つの暴走族が集まりにらみ合っている。今にも乱闘がはじまりそうである。そのとき、1人の商人が間に割り込み、商売をはじめる。「料理に便利な刺身包丁いかがっすかあー」この場合、あなたは、この商人の行為を正しいとみなすか?この包丁で、殺し合いがはじまったとする。そして商人は「いやー、僕は、この少年たちに、料理をしてもらおうと思って包丁をうったんです。僕のせいじゃあないです。僕は料理につかってもらう目的で、この2つの若者集団に販売したのです。彼らが悪い目的に使っただけです。私は悪くありません」

 この商人も、店で販売している商人と同じなのかを考えてほしいのである。

 さて、サボテンが販売されている。そのサボテンの花をかじると、幻覚作用が発生するとする。でも園芸店で販売していれば、幻覚作用を目的で買っていく人間を防止するために、全部の販売を禁止する必要まではないであろう。

 ところが、このサボテンを出張販売する。たとえば、若者の集う街のど真ん中で、深夜、「あの」サボテンを観賞用として売ります、と販売するのである。これは、現在の法律ではまったく問題がない。あとは個人の価値観である。みなさんはどう思われるか。

 また、一定の幻覚作用のあるキノコなどを「観賞用」「標本用」として、未成年の若者がたむろする場所の盛り場のど真ん中でガンガン販売する。法律的にまったく問題ないのであるが、あとは個人の価値観で判断するべき問題である。渋谷のど真ん中に、そんなに園芸家や、標本が必要な学者や、生物学専攻の学生が歩いているとは私には確率的に思いにくいのだが。でも、全然法律的には問題がないのだ。

 人間の好奇心は、すばらしいものだが、悪い方向にも進んでいくものだ。このページをごらんになっている方だけでなく、思わず悪い目的に使うために好奇心で買ってしまう息子さん、娘さんを注意、監視しなければならないだろう。もし、客観的に見て、明らかに目的外の使い方のために売ろうとしているだろう業者があれば、お子さんが変な目的のために購入しないように、注意をしたいものである。悪い使い方で幻覚作用を受け、人を殺したりしないように....体、脳にも大変なダメージを与えるようだ。一時の火遊びといった生易しいものではないようだ。親は、このような商品の情報を仕入れ、子供ともよく話し合い、悪用目的購入をさせないように監視、注意しなければならないだろう。

 個人的には、他の悪い目的に使用できるような植物類は、行政も迅速に対応して、悪用目的に販売する業者を取り締まってほしいのであるが...時間がかかりそうである。

6.寄付

 「困っている人たちのために」募金は行われる。この集まったお金で、恵まれない人達、不正、戦争などに苦しむ人達が救われる。すばらしいことである。だが、「お金の集まるところに悪徳商法あり」である。人の善意の結晶として集まったお金を、救うべき人へと送ることなく、自分のふところに入れてしまう、とんでもなく輩が存在するのである。

 募金には、街頭募金(道で、募金お願いします、とやる)、メディアを介しての募金(番組、新聞などを通じて募金を呼びかける)、訪問募金(各家庭を訪問して募金を呼びかける)など多彩なやり方がある。あなたが、道で、家庭訪問で募金を依頼され、趣旨に賛成して、お金を渡したとしよう。渡した相手は、困っている人に間違いなくそのお金を渡すか?持ち逃げしないのか?本当にその団体の人間なのかをあなたは確認するだろうか。

 誰も確認などしていなだろう。その人たちが確かにその団体の人で、確実にお金を該当者に渡してくれると信じているだけである。「そんな馬鹿な、募金は許可をとっているんだろ?」と思われるだろう。ところが、募金には許可も不許可もないのである。そもそも、監視している部署がないのである。流用していれば、詐欺にはなるだろうが、募金活動自体を把握し、認可、監視などだれもしていないのである。言葉をかえると野放しということだ。

 だれも、監視していない、だれも確かめない。そういう性質のものに、我々はお金を払っているのである。相手の善意をただ信じて。今の世の中、善意をただ信じることができるようなものだろうか?キャッチセールス的な募金もある。例の花をバッと渡して買ってください、というやつだ。また、各家庭を訪問してくる場合もある。実は単なる商品販売の訪問販売だったなんて場合もある。

 かつては、道などで募金をしていれば、ほとんど信じていい、善意の通じる時代だったのだろう。そんな募金の善意のお金を、ふところに入れちまえ、なんて輩はいなかったのだろう。今でも、ほとんどの募金はきちんと対象者にとどいているのだろう。でも、現在は、善意の人に混じって、不正の輩が入りにやすい時代だと思われる。

 申し訳ないが、相手の確認のしようがない場合、私は絶対に募金には応じないようにしている。その団体の実績を確認し、その人たちが本当にその団体の人であるという確認がとれない限りは。募金といっても小額であろう、だから、目を瞑るというのは間違っている。1人1人が小額でも集まれば、悪い人間にとっては、おいしいネタになるのである。

 募金をメディアなどで募集する以外では、募金担当の方はぜひ、自分たちの団体名、実績をきちんと見せ、身分を証明して、道、訪問先などで行ってほしいと思う。そういう、せちがらい世の中になってしまったのである。であるから、募金には「相手の身分を証明してもらう」「実施団体の実績をみせてもらう」などをせめてしてもらってから、募金をするべきと考える。団体もきちんと実績を説明するなどの対策をたてて、安心して募金できるようにしてほしいものだ。

7.プログラム

 すっかりPCも一般の人に普及した。携帯電話や、冷蔵庫のように、珍しいものではなくなった。今日はPCの危険性について警告をしておきたい。

 インターネットで、ネットサーフィンをしている間に、ダイヤルQ2への接続にいつのまにか変更されてしまい、高額の料金請求をされる、という詐欺的パターンはすでにのべた。でも、家庭用PCをインターネットに接続した場合の危険は、これだけではない。いや、無限に悪徳商法の手口が生まれる可能性がある。インターネットを使った産業が我々の生活に密着すればするほど、ネット接続のPCが普及すればするほど被害は増大していくだろう。

 それはPCがプログラムで動作しているからである。プログラムの性質として

1.「プログラムはきわめて自由度が高く、ある意味で、やろうと思えばなんでもできる」
2.「プログラムの中身をのぞいて、不正モジュールを発見することはほとんど不可能である」

 ということがあるが、これが、PCがインタネットと接続されたときの危険につながっていくのである。

 1については、悪徳商法がわは、一度プログラムを被害者のPCに送り込んでしまえば、何でもできる、ということにつながる。
 2については一般の人は、悪徳商法につながる悪いプログラムか、問題ないプログラムか判断できない、ということだ。

 この2つの性質から、悪徳商法は量産されていくだろう。何でもできるプログラムを被害者のPCに送り込み、それがインターネットで悪徳商法がわのコンピュータとつながっている....しかも、そのプログラムが悪いものかどうかは見てもわからない....なんて奴等にとっておいしいシチュエーションなのだろうか。同様の問題は最近の携帯電話にもいえる。かつては電話をとるだけだったが、最近の機種は、WEBサーバがわのページを読み込んで実行するし、更に、JAVAのようなプログラムもロードできる。ページのボタンを押したら、110番通報してしまった、なんて事件も最近おきた。これなどは愉快犯であるが、金銭につながる悪事につながらないとはいえない。私が一例を考えてみた。ある通販サイトに消費者が携帯でアクセスする、商品代金支払いの画面で、XXX銀行に接続します、とか表示する。そして、あたかもXXX銀行のサイトにアクセスしたかのような画面を表示し、口座からの決済を利用できます、口座番号とパスワードをどうぞ、なんて画面を出すのである。こんな手口をいくらでも考えることができる。

 悪事につながる傾向はすでにはじまっている。悪徳商法ではないが、ネットワークゲームですでに次のような事例が報告されている。ディアブロというゲームがある。このゲームのプレイヤー情報は、サーバに入っているため、自由にいじれない。つまりデータの不正操作ができないわけだ。ところがあるHPで。「このプログラムをインストールすると、自由にアイテムを増やすことができます」とプログラムを提供しはじめた。みな、アイテムの不正コピーをしたいという欲望につられて、このプログラムをダウンロードして実行したのである。ところが、このプログラムには、内部にとんでもないプログラムが内蔵されていて、この開発者のコンピュータと通信を行い、開発者がわからの操作で、自由にインストールしたPCを遠隔操作できるようになっていたのだ。
 簡単にいうと、このプログラムをインストールしたPCについては、この開発者は自由に中をのぞくことができたし、データをいじくることができたのである。恐ろしくないだろうか?

 また、無料ツールにはスポンサーのバナーが表示されている場合があるだろう。ある有名ツールでは、スポンサーのグラフィックデータだけでなく、提供プログラムをモジュールとして組み込めるようになっていた。このモジュールが、インストールされたPCのユーザの情報を、自社サーバに送信するようになっていたのだ。
 この事実が発覚したのは、専門家が送信パケットを分析してわかったことであり、一般の人は知らなかったし、知ることは不可能だったのだ。このときには、そんなに重要な情報がおくられていなかったので、問題は拡大しなかったが。

 つまり、インターネットにつなげたPCは、やろうとおもえば、いつでも悪徳業者にとっておいしい環境になるということだ。ゲームソフトだけをインストールしたPCが内容を盗まれても問題が少ないだろうが、金融関係の取引をPCでやっている、重要な機密文書を格納している、などという場合には、簡単に犯罪につながる。

 パスワードをいつもどおり入力したら、以前インストールしたプログラムに隠されていた機能によって、それが悪い業者のサイトに送信されていた、なんて可能性もでてくるのだ。パスワードハックなどもおいしい仕事となるのだろう。PC内部の住所録を盗み出し、勧誘メール、DMの送付に使用するなんてこともあるだろう。

 インターネットに接続したPCを使って、生活を便利にする、という利点を生かしきるためには、全国民があらたな犯罪に巻き込まれる可能性があるのであり、その危険性を知ることが必須事項となる。今後とも、PCが生活にとってなくてはならないものになることは間違いないのだ。

 心構えとしては:

1.PCに得たいの知れないソフトウェアは絶対にインストールしない。XXXをするためのソフト、とうたってあっても、出所のはっきりしないもの、出所が怪しい企業・個人のものは、インストールしてはならない。得たいのしれない人間を家にまねくのと、何ら変わらない。

2.あやしい企業・個人のぺージから、ソフトウェアをダウンロードしないこと。ACTIVEXはロードしない。

3.常に家庭PCのセキュリティ対策の記事、報道に関心を持つ。最新の手口をいち早く入手する。

4.必要でもないのに、好奇心でいろんなソフトをダウンロード、インストールしない。それだけ、不正が組み込まれたソフトに出会う可能性が高くなる。どうしてもインストールしたければ、ネットにつながっていない、別のPCを1台用意する。

5.ルータなどの装置についても、セキュリティ上の必要最低事項は理解しておく。わからなければ、詳しい人に設定してもらう.わからなければ、いじらないことだ。(悪徳商法は、セキュリティを解除するような設定を要求するように工夫してくるだろうから)

6.一度、変なプログラムをインストール、実行してしまったら、再度、フォーマットからやり直す。

8.社名たくさん

 会社の住所、社員などは同一でありながら、社名をたくさん持っている会社がある。多くの業務内容をもっており、市場も異なる場合に、それぞれ、社名を設定し、登記をしている場合もある。これなどは業務内容ごとに、または市場ごとにブランド力を作っていこうとする方針なのだろう。合理的である。いわば、個人で趣味、仕事と2枚名刺を作るのと変わらない。

 しかし、消費者に対して、単一の商品、または類似の商品を扱っているのに複数の社名を持っている会社がある。別に複数のターゲットを持っているわけでもないのに。個人でいえば、名前を変えた(偽名)複数の名刺を持ち歩いているようなものである。こういう人間がなにやら、胡散くさいところは、すぐにわかるだろう。

 更に、社名を頻繁に変えているような会社もある。社名をかえるべき、タイミング、変化があって、社名を変更するのならわかるが、そうではなく、実に頻繁に社名を変更しているのである。

 これらはやっている業務は同じで、社屋も同じ、従業員も同じなどというパターンが多い。もちろん、いろんな理由があって、複数社名や、社名変更などが必要な場合もあるのだろう。でも、特に理由なく、というのはいかにも、怪しいではないか。

 なぜなら、社名というのは、その会社の「氏名」であり、識別子だ。ブランドである場合もある。普通の会社なら、顧客に提供するサービス、商品を覚えてもらって、リピート客にするための大切な大切なものである。自社の自信のある商品を販売し、「ああ、すばらしいなあ、この会社の商品をまた買おう、いや薦めよう」と思ってもらい、そのときに会社名で覚えてもらうわけだ。

 きちんとした会社は、社業を頑張りながら、社名のイメージをあげていく、信用をつけていく。だから、社名がけがれるのを恐れる。また、イメージがあがった社名をまもりぬこうとするものだ。このような場合に、頻繁に社名を変更するものだろうか?それに社名変更すれば、またお客さんに覚えてもらわなければならないし、変更に伴う費用も大変なのである。

 悪質な商品を扱い、粗悪なサービスを売りつけるような、悪質企業は社名を実にたくさん持っており、社名を頻繁に変更することが多い。この理由は実に簡単で、悪名が知れ渡ってカモがいなくなってしまうからである。「XXXは気をつけろ」と世間に知れたら、すかさす、社名変更して、もう一度同様の手口で(ちょこっと手口をかえて、「あそことは違います」などと平然という)、カモを獲得することができるのである。であるから合理的な理由なく頻繁に社名変更している企業には、注意をはらってもよさそうだ。ある被害が発生し、ある悪徳企業の名称が知れ渡り、そのあとで、別名の企業がやってきて、「うちはあそことは違います」などといってくるが、調べてみると、実は住所も、経営者も、社員も同じなんてのはよくあるので、注意されたい。

 悪徳企業にとってみれば、顔(社名)などは、指名手配(周知)されたらどんどん変えていくべきものでしかないのである。

9.アンケートの工夫

 キャッチセールスなどで、道端で、「アンケートおねがいします」なんて手口はかなり知れ渡ったようで、見ていても、若い女性などはサッと拒否していく。

 アンケートというのは、本来、こたえてもらいやすい。しかも、景品付きなどといえば、もう、たやすく話しのきっかけをつくれたものだ。だから、悪徳商法もカモを立ち止まらせるのに、便利に使ったわけである。しかし、上記のように、もう世間に周知されてきたといえる。現在では、路上でアンケートでとまってくれる人は大変少ない。歩合制キャッチセールスの社員もヒイヒイいってることだろう。

 彼らも、アンケートに答えてくれないと、困る。アンケートは、カモの住所氏名電話などのプライベート情報を簡単に獲得でき、人の話しを聞いてくれやすい人間を選べ、商談入るキッカケを作れるという非常に便利なものなのだ。なんとかして、こたえてもらいたい。彼らも知恵をしぼっているわけだ。

 そこで、自然にアンケートに答えてくれる場所をさがしたのだろう。今、疑問なく、アンケートを抵抗なく普通にこたえてくれる場所というと.... 一例としては各種の展示会がある。国際展示場、晴海などで行われる各種の展示会。もちろん、生活必需品から、ハイテクまで、多くの業種で、展示会は開催されている。展示会では、一定のテーマのもと、関連の企業が、自社の商品・サービスを展示・説明するコーナ(ブース)を出展する。

 その展示会はテーマを持っているので、そのテーマに興味のある人間がわざわざ集まってきているのである。だから、そのテーマの悪徳商法のカモをさがすのは簡単だ。着物での悪質なことをやっているのなら、着物の展示会に乗り出せばいい。展示会は多くの人でごったがえす。

 出展している会社には超一流、一流の企業が多いことは間違いない。でも、なかには、まだ、糾弾されていないだけで、悪質なことをやっている企業もあるのである。会場には、一流企業が多く出展しているので、絶対的善良・優良企業ばかりであるとは過信しないほうがいいと思う。だから、会場内ではやはり、道を歩いているような注意をはらいたいものだ。(ハイテク関連の展示会で、名刺を配りまくっていると、やたら、ヘッドハンターの会社から連絡がくるようになるのは、知っている方もおおいだろう。安易に配る情報も必ず正しく扱われているとは断定できないようだ。まあ、この程度なら問題はないのであるが)

 さて、こうして展示会を回っていると、やたらと、アンケートを求められるだろう。資料、景品をもらうために、アンケートをこたえたり、突っ立って見ていると、きれいな女性がペンとアンケート用紙をもってきたりもする。

 これらのほとんどは、正しく情報が利用される。また、世間常識からいって許容できる範囲で販売促進に使用されることだろう。でも、ここでも、悪質業者が、アンケートを要求してくる。会場内は騒がしいので、中には、どこの会社のものかわからないが、ともかく、アンケートにこたえてしまった、なんてのもあるだろう。また、展示会で出展している企業に悪いことをしてくる企業があるわけがないと信じているひともいるだろう。かくして、路上ではアンケートには警戒する人間が簡単にアンケートに応じる。

 アンケートといっても、ブースの感想は?とかならいいのだが、そうではない。ほとんどは、会社名、氏名、役職、電話番号までを書いている。ご親切に、商品への興味の度合いまで書いてしまう。奴らにとっては、おいしい情報である。

 さて、運悪くそういった悪質業者のアンケートにこたえるとどうなるか。まず電話がかかってきて、合ってくれ、話しをきいてくれ、である。なによりも、向こうはこちらの情報をたくさん抑えてしまっている。会社、役職、電話番号...こうなると、向こうがあきらめない限り、なかなか接触を絶つのは難しい。あなたが陥落するのは時間の問題となるだろう。契約させられる商品は粗悪でぼったくりのたぐいのものが多いだろう。

 いかなる状況、場所であっても、油断することなく、アンケート提出さきの相手をよく確認しよう、また、自分の情報を安易に露出してはならない。今の世の中、安心できるのは、自宅の中だけと思っていい。(そこにすら、電話、訪問してくるが)