自作パソコン組立て心得

 このシリーズは自作パソコンに関する随筆です。入門を目的にしたものではありません。また、内容の信憑性については一切保証しません。いいかげんなものです。

1.使う目的と重点スペック

 膨大な計算をさせるので、CPUもメモリも徹底的に速い、いいものを選ぶ、1.5GHzだ、というのは正しい判断である。データベース処理をさせるので、ハードディスクの回転数にはうるさい、いや、RAIDにしてやるというのがいい。また、3Dゲームを高速で遊びたいというので、ビデオカードには5万円かけるぞ、というのには拍手を贈りたい。

 どんどんCPUの速度があがり、価格も低下している。高速CPUを先んじて買う個人はだいたい3Dゲームのファン(エミュレータファンという説もある)である。3Dゲームのおかげで、インテルは繁盛しているということになる(ほんとか?)。 

 私の今、使っているソフトウェアには、高速CPUを必要とするものがない。また、VIDEOカードも同様である。(といっても333MHz、RivaTNT2Ultraであるが)

 ファイルアクセスが処理時間の大部分を占めるようなソフトウェアを購入して、遅いのでCPUを買いなおすというのは、これは目的と対処が一致していないと思う。大容量、最高速のハードディスクを買ってRAIDにしたほうがいい。

 また、ソフトの処理が遅いといって、CPU買いなおすのも検討してからにすることをお勧めする。パソコンをつかってて、遅い遅いと叫んでいる人は、64MBのメモリで頑張っておられることが多い。メモリのスワップで時間がかかっているだけだ。いや、CPUあげたら、速くなったといっても、実は全体を買い換えており、ディスク回りの改善がその原因であったという場合が多いと思われる。

 コンピュータをたとえていうと、仕事の速い人間と、遅い人間の共同作業である。作業全体を速くしたいときに、仕事の速い人間(cpu)の作業改善よりも、遅い人間の作業改善(ディスク)をしたほうが効率がいい。ディスクがガラガラ音をしている時間が非常にかかるのだったら、メモリ拡張と、ディスクの高速化を検討されたい。

 私も333MHZでまったく問題なく、パソコンを使っていた。最近、友人と3Dのグラフィックを使ったネットワークゲームで遊んでいるために、CPUのアップグレードをおこなった。実に快適に楽しめている。

2.グサッと行こう

 パソコンを組み立てる。自信満々、電源ON!動かない。青くなる。

 なぜだ、どうしてだ、と、うろたえる。この場合には、もう一度、すべての接続を確認したうえで、コネクタ、接続部を再度強く押し込むことをお勧めする。これには、CPUから、ケーブル、PCI、メモリなどすべての接続が含まれる。だいたい、接続不良がおおいものだ。ぎゅっと押し込んだらグサッと音がしたことが多い。

 一度、全部の接続を確認したけど、うごかないことがあった。原因はなんと、マザーボード上の電池が緩んでいたのだった。これも強く差し込んだら問題なく動作。

 はじめて、PCを組み立てるときにも、押し込むのが怖くて、中途半端な差込をしてしまい、接触不良というのが非常に多い。特に最近のCPU、メモリなどは非常ーーーーーーーにかたい。指にあとが残るくらい差込んでも、なんか入らない。でも、これだけ押したんだ、まあ、入っているんだろう、と判断してしまう。だいたいダメである。

 動かないので、勇気を出して、えいっと渾身の力で押し込む。こわれちゃうんじゃあないのか?と思えるほど。すると、もう入らないと思っていたコネクタが、「ぐさっ」という感覚よともに、もう一段おくまで入るのである。これで「あ、本当にきちんと接続できたんだ」という実感と確信がわくのである。

 一度、このグサッの感覚を身に付けると、PCの組立てで、すべての接続はぐさっとこなきゃあ、だめなんだ、と理解でき、実践できるようになる。一度は自作派が経験する感覚と悟りである。自作派に女性が少ないように思われる。あのグサッといくまで、メモリを押し込むには相当力がいるし、指も痛い。PC組立てには、指の力が相当いるようである。もう少しコネクタ類が力いらずで差込めるようになってほしいものだ。

3.マザー

 昔の基板は、精密装置というよりも、精密部品を取り付ける穴のあいた板、というものだった。かなりラフな取り扱いをしていたものだ。

 でも、今、パソコン組立てに使用するマザーボードなどは違う。何層にもなっており、パターン配線は精密を極め、チップの足の間を数本のパターンがとおりすぎている。また表面には、非常に小さな精密部品があらかじめ、取り付けられている。従来の、おおぶりなコンデンサや、抵抗器ではない。米粒ほどの大きさの集合抵抗や、ICが無数に直付けされている。

 いまや、マザーボードは、精密部品である、という意識をもたなければならない。見ていると、CPUなどは腫れ物にさわるように扱っているが、マザーはかなり乱暴に扱っている。注意してほしい。基板上の、小さな、こめつぶのような部品が一個取れれば、もう動作しないのだから。

 特に注意しなけらばならないのが、CPUのマザーボード装着の時である。CPUにはファンが取り付けられるが、これはCPUの表面に、隙間なく装着されなければならない、そうしないと、うまく熱がファンに逃げてくれない。ファンの接着面を鏡面仕上げしてあるものすらある。シリコングリスを塗るほか、強い力で密着させるようになっている。

 だから、ファンとマザーで、CPUをものすごい力で密着させサンドイッチにするようになっている。取り付けにも大変な力がいる。ファンの金具をぐーっと曲げて、マザーの金具にはめ込まなければならないのだ。おそらく、PC組立てで、もっとも力のいるシーンであろう。

 この際に、みなドライバーを使って金具をまげようとするようだ。指だとうまく、力がはいらないからだ。このときに、ドライバーがぐっと押し込んだ瞬間にはずれて、ガンとばかり、マザーに突き立ててしまうことがある。うまく、マザー上のなにもないところに落ちればいいけど、運悪く、ドライバーが、こめつぶ大の部品に当たって、つぶしてしまったり、細いパターンをきってしまったりする。

 ショップにこの手のトラブルが報告されているようである。最近のパーツが結構、頑丈、タフになっていて、故障しづらいが、このCPU取り付けでは、よく壊れるようである。CPU取り付けの時には、基板を傷つけないように、タオルなどを基板にあてがう、またはドライバーにつける、などの対策をたて、ドライバーが金具からはずれないように、細心の注意をする。このときだけは、友人に手伝ってもらって、2人がかりでやるのがいいだろう。