2000/11/30 よい会社と悪い会社

 掲示板で「よい会社と悪い会社の特徴はなにか」との問題提起をしていただき、回答をかこうかと思ったら、考えれば考えるほど、深いテーマだと思ってきた。なぜなら、特徴以前に、よい会社とはなにか、悪い会社とはなにか、がぜんぜん私はわからないからだ。

 よい人ってみんながいうので、そう思っていたら、実は腹黒い人だったり、あいつ、悪いやつといわれていたら、肝心なときに本当によくしてくれたりした。人間でも判断に狂う。また、ある人には、いい人でも別の人にはとんでもないやつだったりする。企業でもそうだろう。

 社員に過酷で、社会的にも好ましからざるやり方をしているのに、実に業績は絶好調。株主からは「いい会社だ」と絶賛されている。反対にあの会社はどうしようもない、といわれているが、社内は意気揚揚と社員が働いている。消費者からは救世主といわれているが、実は仕入先企業をいじめぬく名人ぞろいなんて、よくあることだ、悪徳商法をやっている企業にしても、社員にしてみれば「本当にいい会社」なのだろう。

 企業は複数の人間集団と関係をもっている。株主、社員、取引先、顧客、付近住民、社会全体、業界全体。いくらでもある。これらと接しているので、これらの視点によって、善悪は決まってくるのだろう。

 結論から言うと、これらの人間集団全体に、「まんべんなく、バランスよく、良い企業」ということになると思う。顧客を重視しすぎて、社員に残酷で、仕入先もよく斬るような企業は広い視野でみたら、いい企業ではないだろう。今度は、顧客にも仕入先にも社員にもあまいけど、業績メタメタではどうしようもない。株主から見たら、悪い会社である。なんのために企業をやってるんだ、となる。悪徳商法は、社員・株主・経営者(同一の場合もある)に徹底的にいい会社であろうとし、顧客、社会には徹底的に悪い会社になっている。完璧といわれていても、付近住民には、とんでもない迷惑をかけてもしらんぷり、なんて企業も多い。どこかにとって、徹底的に「良い企業」であろうとすれば、どこかにとって悪い企業にならざるを得ないのだと思う。

 だから、私のよい会社と悪い会社の特徴についての結論:「どこからも、べたほめされず、どこからも、ひどく悪い会社といわれない。そこそこいい会社ですと、社員、株主、顧客、社会から何年もいわれている会社がよい会社である。 そして、ある人たちから100点企業と絶賛されすぎ、ある人たちから極悪の企業とののしられている企業が悪い企業である。」

 どうでしょう?