新々受験資格心得

1.電気通信主任技術者

 通産大臣の資格で「電気主任技術者」「電気工事士」とあるが、郵政省でも同様に「電気通信主任技術者」「工事担任者」という資格が存在する。電気通信主任技術者という資格は存在せず、「第一種伝送交換主任技術者」「第二種伝送交換主任技術者」「線路主任技術者」の3つがあり、それらの総称である。

 さて。この資格のように、1種と2種の区別のある資格は多い。情報処理技術者試験しかり、無線技術士しかり。

 2種と1種で、難易度に大差のある資格の場合には、まず2種を受け、次に1種というのも理解できる。また、2種だけで十分という場合ももちろんあるだろう。2種は1腫とくらべて試験範囲が大幅に狭いという資格もあるだろう。

 でも、伝送交換主任技術者に関して言えば、私見だか、はじめから1種を受験して取得してしまったほうがいいように思う、(異論はあると思うけど)たとえ、2種で仕事上十分としても。

 理由は、なんといっても、そんなに範囲、難易度に大差がないように感じたからだ、だったら、どうせうけるなら、1種をうけてしまったほうがいいのではないか?いつ1種が必要になるかわからないではないか。通信事業者に勤務するのなら。この資格だけでなく、そんなに差がなさそうだ、と問題集や教科書を読んであなたが感じたら、1種から挑戦してしまうこともいいと思う。

 この資格の特徴と、対策を書いてみる。

1.過去問題以外から出題される率が結構高い

 まさにこの資格のカバーする技術範囲は、現代では最も進化の激しい分野といってもいいだろう。だから、毎年出題範囲は拡大していると捕らえてよい。通信技術の進歩にあわせ、出題側も頑張って、新しい技術分野の問題に挑戦していると思われる。

 だから、常に新しい通信技術の分野の知識を、学んでいかなければならない。過去問題だけの対策では、ちょっと苦しくなるときがあるかもしれない。ぜひ、新聞の通信技術に関する説明、専門誌の解説などに接したら、少なくともざっとくらいは目を通しておくべきだ。この資格は「枯れた」資格ではないのである。

 もっというと、問題作成担当は、新規の問題作成パワーを、新規登場の技術に振り分けなければならないわけであるいから、既存の技術分野については過去問題がそのまま出題、またはすこし手をくわえて出題されるという可能性があるわけだ。

2.線路については受験勉強が難しい

 線路を取得しようという技術者が少ないようである。受験対策本などにしても、受験生の多い資格のものに力を注ぐので、どうも線路については、対策本どころか、問題集もみつけるのが大変なのだ。

 それに線路の保守などの専門性の高い技術なので、素人では何がなんだか、わからない分野の問題も出題される。

 だからこそ、数少ない問題集を記憶するくらいにマスターすることが逆に重要となる。友人や先輩のもっている参考書、問題集を早く入手し徹底的にマスターしよう。それ以外の問題については、はっきりいって、運にまかせて、理解できる問題に出会うのを期待しましょう。何回か受ければ、理解しやすい問題ばかりの年にぶつかるでしょう。

3.記述式である。

 原稿用紙のようなものをわたされ、解答を記述していく形式なので、「徹底的にネバろう」。つまり、ピシッとした答えがわからなくても、できるだけ「関連のある」(ないものはかいちゃ逆にマイナス!)技術を思い出し、書いていくことだ。よほど、関連のない項目をかいたのでないかぎり、白紙と違って、すこしは点がつくのではないか?

 そして、ここで大切なのが、「途中まででもいいからかけ!」である。記述式はここがメリットなのだ。長々と計算して、その結果だけを用紙にかくわけではない。A,B、C、Dと4段階を経て、解答にたどりつく計算問題ならl、A、Bまででも、いや、Aまででも得点になる可能性がある。(かもしれない)

 上記の対策?はあくまでも、ぜんぜんわからない場合のことで、「白紙よりまし」ということである。ちゃんと解答できるものに関して、決して余計なことをかいてはならない。逆に要点だけピシッとかけばOKだ。

2.資格受験仲間・サークル

 資格を目指して勉強をする、誰でもつらく、早く乗り切りたい時期である。さて、1人孤独で受験生活をすごすか、それとも、同じ目標を持った仲間、友人と仲良く勉強をすすめていくか。どちらがいいのだろうか。みなさんはどう思うだろうか。

 合格した人に聞くと、実は2つのグループに分かれるのである、1つのグループは「仲間とか勉強のサークル?やめたほうがいいよ。1人でやったほうが勉強はすすむね。意味ないね」、もうひとつは「いやあ、グループで勉強したからこそ、俺は合格できたね。」である。

 私はいずれもある面で正しいと思う。私の考えは:

1.受験生活にとってマイナスの仲間・サークルとは

 勉強をさぼっていて、していない状況のときに、「ああ、あいつもあまり進んでいないんだなあ、あいつも勉強そのくらいしかしていないんだ、かれもサボッてるんだ、あいつもわからないんだ、ああよかった」、というマイナスの安心感を与えてくる仲間。つまり、勉強を一生懸命していない仲間、資格受験勉強には、ある程度のあせりは絶対に必要なのである。危機意識といってもいい
 会っても、喫茶店でだべってばかりで、勉強仲間のはずなのに、世間話ばかりで資格受験勉強の話は少ない。まるで、「サロン」である。ひどい場合は、飲み会の方が多い。勉強時間を減らす方向にうごかされる仲間。

2.この仲間と頑張ったからこそ合格できたという仲間・サークル

 集まる、あうたびに、お互いが触発を受け、いい意味でも、不安感・あせりを感じさせてくれる。また、お互い勉強しているからこそ、「ここがわからないんだ」というと、「おれもわからなかったけど、実はこういうことなんだ」「なるほど」と情報を交換できる。また、受験勉強に本当に役立つ情報を教えあえる。問題解法のまさにツボも教えあえる。「こんないい参考書をみつけたぞ」とかの話もでる。
 こうしたつきあいが長いと、受験生活での苦しさを本当にわかちあえるものだ。

 なにかの資格を目指しておられるあなたにいいたい。少なくとと、受験勉強をお互いにやっていこうという人間達があつまったのに、お互いに得られるところがなにもなく、(勉強を実際にしていないと勉強の話題はでないものだ。逆に勉強に意欲をかたむけているときには、受験勉強の話がほっといてもでる)ただ、定期的に集まって、勉強していない傷をなめあっているのであれば、その勉強仲間、サークルは意味がない。百害会って一利なし。時間の無駄である。とっとと脱退するべきだ。資格受験仲間・サークルは、お互いを触発し高めあうからこそ、存在意義があるのである。

 勉強を開始するからといって、とりあえず、こうした仲間・サークルにはいって、安心している人が多い。意味がない。こうした人は上記の1になり、受験生活が長引いてしまう。そうではなく。「ああ、この人はすごいなあ、よく勉強してるわ。おれなんか、会うとアセっちゃうよ」といった人が見つかったら、はじめて、勉強仲間になってくれと頭をさげて、お願いすればいいのである。あなたも勉強がんばらないと、おそらく、仲間にはなれないだろうが。こうした場合には、上記の2になる、

 診断士に合格した人が、あるサークルにはいって勉強をすすめていたそうだ、話では、お互い大変な緊張感があったという。お互いに情報を仕入れ、工夫し、それを惜しみなく交換しあう。そしてリーダ格の診断士の先生も、真剣勝負だっとという。非常に厳しかったそうだ。一般生活の友人にまで、そういった緊張感を持てといってるのではない。受験仲間としてはそう考えてほしいのだ。

3.オールオアナッシング

 誰でも「決意」をして、資格取得の準備を開始する。でも、その決意はそうそう行動には結びつかないものだ。「あの資格をとるぞ」と常に公言しているが、ちっとも勉強していない人がいる。(といっても、私もそうだが...) なぜ、なかなか人間は勉強を続けられないのだろうか。その理由の一つとして私は「オールオアナッシング」主義をあげたい。このような極端な行動パターンが資格勉強をさまたげているのである。

 どういうことかというと、その人のもっている「理想の勉強環境・選定条件」がそろわないと、勉強を開始しないということだ。この理想環境がそろわないと、まったく勉強を開始しない。これはまずいのだ。そうではなく、どんな状況でも、すこしでもその環境で頑張るのである。0か1かでなく、20%などの勉強を今日するのだ。この手の勉強をできない人のパターンをあげてみよう。

1、うるさい
 「こんなうるさい環境では勉強できない」−>違います。うるさいと確かに効率は落ちますが、勉強はできるのです。効率の問題と「できない」を結び付けてはだめです。あなたのいう、静かな環境など今の日本にはありません。こんな静けさを都会でもとめていては永久に開始できません。思考は効率がおちますが、記憶はぜんぜん問題ないです。

2.X月Y日からやる
 こういう人は絶対に勉強を開始しません。なぜなら、その日にした理由を聞いてみると、理由になってないからです。単に内心、今日開始するのは困る、ということなのです。ですから、その日になると、また開始日を伸ばします。

3.学校に申し込まなきゃ
 学校にいったほうがいいにきまってますが、いかなくても開始はできます。学校にいければいったほうがいいのです。今日、本で開始しない理由になっていないのです。実は今日勉強しないいいわけにしているのです。本人も気づいていないようですが。だいいち、申し込み書もとりにいきはしないのです。

4.机に向かえない、時間がない
 すでに書きましたが、5分でも勉強できます。いや、1分でも。言い古された言い方ですが、時間は自分でつくるものです。自然に机に向かう時間ができるのは、老後でしょう。

5.疲れているので明日
 疲れているほうが、記憶分野は頭に逆にはいります。疲れていないときは、どうせ、仕事するなり、遊びにいっちゃうんでしょう?

6.他にやることがある。
 あたりまえです。そのやらなければならないことを本当に24時間365日やってるんですか?

7.きょうはやる気がしない
 このひとのやる気は、1年で何日あるのでしょうか。おそらく「気の向いたとき」なのでしょう。これでは、どんな資格でも10年かかります。

8.今日は飲んじゃったから
 私はべろべろに酔った状態で電車の中でよく勉強しました。1時間で2ページしか進まなかったけど。

 「俺はやるときはやるんだ」「やるときには集中してやる」なんてのは絶対にいいわけです。100%環境がそろわなくても、30%なら、30%分の勉強をすればいいのです。そんなに完ぺき主義にならずに、もっと、ラフにだらだら?勉強をするべきです。だらだらやってるうちに、今日はさえてるぞ、とか、効率いいぞ、とか、やる気は湧き出ている、という状態がやってくるものです。

 静かな環境で、心をわずらわすことがなにもなく、勉強だけを爽快につづける。時間になると、「食事です」となる。こんな環境は、幻です。あなたは、大学受験や、高校受験のころと変わっていないことになります。これは子供の世界です.社会人は、忙しい仕事、悩み事、うるさくとても勉強どころでない家、つかれきった体と、ぼんやりした頭、これが日常の普通なのです。この中で勉強ができないのなら、到底資格勉強などできません。 

 (以上、私自身のことでした)

4.ザトペック

 「そうはいうけど、勉強はしんどいよ」というでしょう。その通りです。勉強はしんどいです。

 仕事から帰ってきて、疲れた体でどうやって勉強を続ければいいの?この答えが、ザトペックの言葉にある。ザトペックとは人間機関車と呼ばれたランナーであり、つらそうに首を傾けて走るので有名だった。

 「レースの最中、苦しい。もう倒れそうだ。我慢できない。やめよう。でも、そうだ、その次の電柱のところまで走ろう。そうしたら、倒れてもいい。そして電柱までくる。そうしたら、ああ、次の電柱までなら、いけそうだ。あそこまでいったらやめよう。こういいきかせて、ゴールまで走った」

 この言葉はまさに資格取得の勉強に応用できるのだ、まさに受験勉強はつらい長距離レースそのものだからである。資格受験におきかえると:

 「もう今日は勉強やめよう。つらいし、眠い。そうだ、1ページよんだら、寝てしまえ。そうして、1ページよみおえたら、あと1ページだけ読もう。...」これは問題をといているときもおなじである。あと、1ページ、あと、1問と自分を説得して励まして?すすめていくのである。

 これは私も精神コントロールに使ったが、大変、資格取得勉強にぴったりで効果がある。お試しいただきたい。

5.行政書士

 資格ごとに受験会場に集まる人たちの年齢層はことなるものだ。情報処理試験でいえば、2種は若い人が多かったし、監査は私のようなおじさんが多かった。あたりませだが。やはり、資格認定の趣旨にそった年齢層が集まるものだ。

 行政書士は、非常に業務範囲が広い。司法書士、弁理士などに割り当てられた独占業務でなければ、実に数多くの書類を作成代行できる。であるから、このように広い範囲の書類を責任を持って、作成代行するのであるから、社会経験が豊富で、知識も広く、きっちりとした方を想定していると思われる、

 でも、試験会場に行くと、若い人が実に多い。この人たちは本当に行政書士になろうと思っているのだろうか。もしも、就職のときに、履歴書に何か書きたいから、と思っておられるとしたら。うーんとおもってしまう。私はもちろん、履歴書に何か書きたいからという目的で受験されるのもいいと思っている。私が心配しているのはそうではなく、卒業前にぱっとうけてみて簡単に合格できるようなものではないですよ、ということだ。合格したいのであれば、相当、勉強を頑張らなければならないのだ。どっかのワープロ検定とはわけが違うのだ。

 社会人として何年もいきていると、否応なしに法律とか、経済とか、経営とかの知識が頭にはいってくる。いわゆる世間知、社会常識というやつである。行政書士試験を1年で合格した、などという人は、私の知っている範囲では、すでに複数の資格を取得している、または社会人10年以上などの方が多いように思える。つまり、もともと、広範な知識がすでに自然に身についており、その前提で受験勉強を開始し、頻出問題で対策を講じたということだ、そういう人にきくと、わりかし簡単に取得できたよ、という。

 これから社会人になろうという人や、はじめて資格を取得しようとする人で、この行政書士試験を受験する方は、この言葉を自分にあてはめてはならないのだ。これらを受験勉強ですべて学習していかなければならないのだから。行政書士試験は範囲が広いので、勉強範囲も広くなり非常に大変なはずだ、ということで、前に、社会人候補がうける試験には、私はふさわしくないのではないかなあ、と思ったのだ。

 でも、難しい試験を合格するのは、きわめて大きな意味を持つだろう。どうせ、狙うなら、決して受験ガイドや、すでに行政書士に合格した人のいう鵜呑みにせず、腰をすえて勉強をして受験してほしいものだ。その場合には、相当長めの期間を用意し、きちんとした受験シリーズ本を読むか、学校にいくほうがいいと思う。

6.社会人になる人へ

 前項とも関連する話題を書く。さあ、大学もそろそろ卒業。就職準備をして、就職試験をうけなきゃ、となる。すると、みなさんは、いきなり「資格」というものに関心を持つようになるのだ。なぜなら、履歴書には、「資格、特技」などがあり、なにもかくことがないことに気が付く。普通は運転免許程度だろう。「私の履歴書みて、人事の人はどうおもうだろう。なにもしてこなかったんじゃないか?と思わないだろうか」と心配だろう。そこで今回は、就職試験と資格について考察してみよう。

 企業はあなたがたの履歴書を見て、なにを判断しているのだろうか。結論からいうと、企業は若い人の現在の能力には実は何も期待していない。そんな馬鹿なとおもうかもしれないが本当である。みなさんが、社会人3年目になればよくわかるだろう。学生時代にやってきたといっても社会人からみればたいしたことはないのだ。何を期待しているのか。それは、やる気、明るさ、努力、常識である。もちろん、言葉を変えたり、重み付けをかえる場合があるが、大して変わりはない。実力、仕事は入社してから企業がしっかりと教育をしていくのだ。企業内教育と先輩達のきびしい実践によって。でもこの4項目だけは人間がもともともっているもので、訓練で育てるのが難しいのだ。もうひとつ、企業は、学生はそんなに立派なことをしてきていないことをよくしっている。なぜなら、自分たちが学生時代、遊びほうけてきたからである。

 私も入社試験の試験官を何度もやっているが「いかにもまじめっぽく振舞う」「ものすごいことをやってきたかのように、強調してはなす」「道徳(死語)の教科書のようなこという」のには、うんざりしている。みんなそうである。

 つまり入社試験の際には学生は以下のような態度で臨めばよいのだ。
1.どんなことでもいいから、一番学生時代に熱中したことを素直に話せばいい。ただし常識は必要。(パチンコ4年間いってきましたは問題外ってこと。これは熱中とはいわない。おぼれていただけである)
2.馬鹿丁寧をさけての、常識ある若者を演じる。
3.実体はすべて面接官には見透かされていることを知った上で話そう、 
4.明るく元気よく。

 あ、だいぶ本題からずれてしまった。でも、このような点から考えれば資格がどういう意味をもつかがわかるだろう。

1.資格をとったので実力を持っているなどという、ことは企業はみていない。コンピュータ企業で情報処理1種をもっていれば、驚くだろうが。それとて、まあ、入社教育がすこしらくだな程度のことだ。ましてや、得たいの知れない資格をいくらとっても、黙殺されるだろう。

2.でも資格欄になにかを書けるように、資格をとっておくべきである。それは必死に履歴書をうめようと頑張りましたということを伝えるためだ。そして、面接官のつっこむ「切り口」を用意しておくことになる。たとえばあなたが、「日商ワープロ1級」とかをかけたとしよう。すると、面接官は必ず「ほう。検定1級ですか。これは?」と話をふってくる。絶対につっこんでくるので、あなたは答えをあらかじめ用意しておける。 こんな感じだ、「ええ、御社のコンピュータ運用業務をぜひやりたいと思いましたが、プログラムを組むにせよ、メールをうつにせよ、書類を作成するにせよ、はやく打てたほうが能率があがるんじゃないかなと思って学生のうちに頑張って取得しました」とかなんとかいうのである。ここで重要なのは資格に内容ではなく、むしろ回答のほうだ、面接官がつっこんでくれる、注目してくれる、ということと、その答えの中で自分をアピールできるということなのだ。そしてこの答えの中で、先ほど述べた、やる気、明るさ、努力、常識を発揮するのである。

7.新しい中小企業診断士試験

 本年度で、通産大臣登録としての診断士試験は終了となった。来年度からは新しい制度で経済産業大臣の試験となる。診断士を目指しておられる人であればすでにご存知とは思うが、一応変更点を書いておく。(誤っている可能性もあり、省令等で必ず自分で確認されたい)

1、3つの部門別資格でなく、一本化された。

 中小企業診断士(XX部門)ではなく、中小企業診断士、それ一本だけとなる。資格をもって診断実務を経験すると、XX部門といった区別などもともとない状況ではあった。商業部門の人も、情報関連の診断などを行っている。その逆ももちろんある。現場の状況に試験自体が一致したということであろうか。(ちなみにわれわれ有資格者も一本化される)

2.一次試験の科目が変更された。

 注目すべき点としては、「経営法務」が導入された点であろうか。ある程度の中小企業をとりまく法律実務についても知っていなければならないわけだ、しかし、範囲は限定されている。対策は十分たてられるだろう。また、3つの資格が統合され、全員が、「経営情報システム」や「運営管理」といった今までの他部門の内容も学習しなければならなくなった。従来の他部門の問題集などの流用を行うこともできよう。そして「新規事業開発」「助言理論」などが追加された。これは診断士の新しい役割を考えれば当然であろう。より幅広い知識が合格に必要となったわけだ。助言理論などはさがせば参考書籍が見つかるのではないか

3.面接(口頭試問)がはいる

 二次試験には、面接が導入される。そして実際に応用能力、思考プロセスが試される。

4.一次試験合格者は「永久に1次免除」ではなくなった。次の年の一次試験のみ免除となる。

 これは厳しい。しかも、従来の制度での一次合格者も、新制度では1回だけ一次試験免除となる。永久免除ではなくなったという点が厳しい。

 はっきりいって、今まで受験勉強を続けてきて、今年中に合格できなかった人にとっては、相当に厳しい変更なのではないだろうか。面接(というか口頭試問)もはいったし、一次試験免除の年数も制限されて、難関試験になったといえよう。今までになかった試験分野も追加された。イメージとしては「一次試験8科目」「二次試験筆記」「二次試験面接」「実務または実務補修(つまりインターン)」となったわけだ、しかも、一次免除は翌年までである。このハードさは、どの資格よりも上といった気がする。

 しかし新制度では診断士は正式な法律に基づく国家認定の資格となったわけである。民間コンサルタントの実力認定を国家が行うのである。われわれ資格者も自覚をもって今後の活動に取り組んでいかなければならないだろう。資格更新の要件についても、理論面だけのものでなく実務面も必要となった。これから新制度で受験される人にとってきついかも知れないが、資格自体の役割はよく重要となり、役割も重大である。ぜひ、頑張って挑戦をしてほしい。

 受験生のみなさんにとっては、不安かも知れない。でも、まだ、どんな試験内容になるかは、みんなわかっていない。みんな過去問題集をもっていない状況なのである。そのことは、あなただけではなく、全受験生が共通の悩みであり、条件なのだ、同じ条件であるわけなのだから、逆にチャンスなのかもしれない。受験しないで様子を見るような人もあらわれるだろう。ぜひ心機一転、新制度で人よりも先んじて、スタートダッシュしてほしい。(試験までには、受験対策機関も必死になんらかの教材をだしてくると思いますよ)

8.アドミニストレータ

 最近、情報処理技術者試験も制度が変更された。情報処理技術者試験の資格の中に、「アドミニストレータ試験」というものがあり、初級、上級が設定されている。各試験区分の名前にあるように、各試験は、特定の役割を果たす職種を想定している。 アドミニストレータ試験ならば、アドミニストレータという職種が存在するわけだ。

 それらの職種には、「現在、実際に存在し、更に活躍が期待されている職種の情報処理技術者」を想定したものと「まだ、定着してないが、今度の情報処理のためには、必要となる職種の情報処理技術者」を想定したものの2種類があるようだ。システム監査技術者試験などは、まさに後者で、システム開発技術者試験などは前者に当たる。どのシステム開発にも、システム監査が実際に行われ、システム監査の専門家が活躍しているか?というと、そうではない。しかし、システム開発において、行われていくことが望ましいものである。そのため、システム監査制度の奨励の意味も含めて技術者認定が行われているのである。

 これらの資格には多分に「日本では定着していないが、米国ではすでに定着している」といったものが多い。米国では、とっくの昔にシステム監査自体が定着しており、その専門家が活躍している。これらの優れた点を日本に取り入れようとしているのである。さて、アドミニストレータ試験もしかりである。現状の日本にアドミニストレータという職種が定着しているか?していないのである。システム監査と同様、今度せひ、日本にも定着してほしいと経済産業省が考える職種なわけだ。

 しかし、試験を受けようとしている人たちも、「アドミニストレータ」とは何かを知らない場合が多い。「職場のコンピュータ知らないおじさん管理職に、使い方を教えてあげる人間でしょう?」なんて、とんでもない思い違いをしている方が多い。この文章の結論をいうと、

日本の企業には、アドミニストレータという職種は、まだ存在していない。必要とも十分認識されていない。だから取得して、さあ、私を活用してください!と受身で職場で胸をはってもだめなのである。ぜひ、合格者自身が自分たちの努力で実績をあげ、まわりの人間にアドミニストレータの役割の重要性、有効性を認識させていこう。先輩アドミニストレータとなる皆さんの努力にかかっている

 驚かれますか?本当のことです。現実です。驚かれたのなら、この文章を書いた意味がある。もし、所得後に受動的に仕事をまっていれば、おそらく、先に述べた「IT音痴のおじさんに、やさしく使い方を教える担当」などという職場内インストラクターで終わってしまうことなるとおもわれる。これで本人は満足している、というのならいいのかも知れないが、本来のアドミニストレータのメインの仕事ではない。もっと、別の意味を持った健全なシステム構築のために非常に重要な職種なのである。アドミニストレータ試験を目指される方はぜひ、知っておいてほしい。

 米国ではどういう仕事なのだろうか。その職種が生まれた背景に以下のシステム開発、活用上の問題があった。

 1.各部署のシステムへの要望が、システム部門のパワーをはるかに超えてしまい、おいつかない。システム部が忙殺される。なにもかもシステム部がやっていくのはもう限界である。
 2。PCなどが普及し、ある程度の部分は、各部署で自主的に処理できるようになった。だから、システム部もある程度は、各部署で自主的に構築・活用をしてほしい。
 3.しかし、各部署のパワーを使ってもらうにしても、完全にまかせたのでは、会社全体のシステムの整合性が取れない。めちゃくちゃになる可能性がある。好きかってにやれば、企業のシステムとしては危険きわまりないものになってしまう。
 4.システム部の開発にしても、なかなか、各部署の要望を完全に吸い取れない。システム部は各部署の業務を知らないし、各部署はシステムをはじめとすコンピュータの知識が少なく、何ができるのかわかっていなかったり、ちゃんと要望を伝えられないからである。
 5.うまく導入できても、今度は各部署に運用の教育をしなければならないが、これは非常に大変だし、日常的な疑問点への回答まで、とても、システム部だけではできない。ぜひ、職場の状況にあわせて、教育をしてほしい。

 上記の問題点を解消する目的でアドミニストレータの職種が生み出されていったのである。以下のような人間が想定される。

 1.各部署に所属している人間であること。(経理部なら経理部の人間)これが前提である。そして各部署の業務の本質を理解できていること。
 2.情報処理技術の知識を基本から、しっかりと正しく理解できていること。(オタクじゃだめ)
 3.システム部、所属する部署の橋渡しができること。システム部へは、彼らに理解できるようにきちんと、各部署の要望を伝える。そして、各部署へはシステム部の考えを説明する。したがって、両者に対してコミュニケーションを取れるスキルをもっていなければならない。

 業務内容は以下のようなものになるであろう。

 1.各部署の業務7、情報処理業務3程度の仕事量配分
 2.全社システムの構築、改善などの際には、各部署の要望を吸い上げ的確にシステム部に伝わるように努力する。
 3.上記システムの運用開始前、後の教育に関して、指導的役割を持つ
 4.部署内の日常的サポートを可能な範囲で担当する。
 5.部署内の情報処理に対する意識を高め、自主的にどうエンドユーザコンピューティングを進めていくかを検討する際の指導的役割を果たす。

 おわかりだろうか?従来のシステム部に100%依存したやり方から、ユーザ部門をまきこんで真に役立つシステムを構築していき、更にユーザ部門の真の自主解決能力を高め、啓蒙を行っていく...今後のシステムのさらなる有効性向上のためのキーとなる重要人物なのである。そのためにあくまでも、その部署の業務内容を実際に担当し、精通していなければならない。そうでなければ、システムの有効性を高めるような提案などができないのである。

 しかし、現場では、実は上記のような職種はすんなりとは受け入れられない。理由は、

1.先に述べた各部署の業務7はいいとして、情報処理業務3の部分をきちんと組織が評価してくれない、できない。「あいつ、仕事しないで、PCいじってあそんでるじゃないか」と誤解されたりする。

2.日本では、会社員の専門性が少ない。米国ではXXXXの専門家として採用、育成されるが、日本では定期異動があり、1人の人間がいろんな職場を転々として、専門家よりゼネラリストとして育成される。

 もし、アドミニストレータを取得し、職場に配属されたら、ぜひ、先に述べた役割を認識し、上記の日本での問題点を乗り越え、職場のメンバ、職場の上司。システム部に自分の役割を認識してもらい、ただしい評価を得るように、努力してほしいのである。アドミニストレータが日本に定着していくかどうかは、ひとえに、先発となる、アドミニストレータたちにかかっているのである。

9.合格体験記

 資格に挑戦しているときに、よく読むものに「すでに合格している人の体験記」がある。どういう苦労をしたか、どのくらい勉強したか、どうやって勉強したかなどなどである。これらは、自分の歩んでいる道を先行して歩いている人のものだから、大変ためになり、よいところを取り入れ、自分も合格しようと思う。

 もちろん有効なのであるが、ぜひ、注意してほしいことがある。素直にそのまま読んではならないと思う。以下に列挙する。

1.受験産業の出版物の体験記について

 たとえば、ある学校の資格試験の受験コースのパンフレットに載っている体験記を考えてみる。これは目的は、読んだ人が「あ、いいなあ。俺も挑戦してみよう」と思うようになることであることは明らかだ。だから、当然、ほどほど難しい試験、でも、合格できるよ、特にうちのコースを受ければ、というイメージをつけようとするものになっているのである。リスクについては書いてないので留意されたい。

 資格試験は、ものによっては、かなりの長期間の受験準備期間を必要とする。人生の長さからいっても無視できないものだ。合格可能性はその人にとって高いのか?もし、最後まで合格できなかったら、どうなるのか?といった受験生にとって、真剣に考察しなければならない点については、一切記述されない。商売でやっておられるのだから、あたりまえであるが。

 また、合格したあとの人生について、きわめてバラ色にかかれている。しかし、資格に合格し、開業、更に顧客をしっかりとつかむのは、容易なことではない。少なくとも開業されておられる方は、商売を安定させるのに、みな苦労されている。中には、結局、開業できずにそのままサラリーマンに戻ったなんてこともある。こういった点については書いてない。これも、受験生本人については、極めて重要な考察すべき点なのだ。

 受験生を増やして商売をしているのだから、やっぱり受験はやめようとする記述をするわけがないし、独立成功の人に書いてもらっている。そのあたりを考慮して読んでいきたい。最近は、証券会社のパンフレットにも、「これが値動きがあるので、損をすることもあります」と書くようになったが、このようなパンフレットは、まだ、受験産業にはないようだ。役に立つ情報は入っているが、鵜呑みはだめである。

2.思い出

 みなさん自身の体験でもあると思うが、なにか自分でやりとげたことで、その思い出を振り返ってほしい。いい思い出しか、思い浮かばないであろう。やりとげるためには、ものすごくイヤなこと、つらかったことがあったはずだ。そういったことが、記憶の奥にいってしまう。そうして、どちらかといえばいいことばかり思い浮かぶ。更に、ネガティブだったことも、なにやら美化されて、苦労も少なめになっている。

 つまり、人間は成功した事項については、苦労・イヤなことは少なめに思い出し、しかも美化する傾向があるのである。これを読む人はマイナスして読む必要がある。

 よく、自分が合格した資格については、「ああ、あの試験はそんなに難しくないよ。簡単。おれなんか、ちょこっと勉強しただけだよ」といい、合格できなかった資格については「あれは、難しいわ。とてもとても合格なんてむり。君もやめたほうがいいぞ」なんて言っている人がいるだろう。第2種情報処理試験のところで書いたけど、合格した資格は、簡単にかいてしまうのである。本人には悪気はない。

 おわかりだろうか?私は、受験を志される方は、受験体験記は読んだほうがいいと思う。でも、上記のこと踏まえて、きちんと自分で判断してほしいのだ。体験記をただ鵜呑みにされるのではなく。本当は、合格体験記と、不合格体験記、挑戦中体験記を3つ、組み合わせて読むのがベストなのだろう。でも、挑戦中体験記を書く人はまだいるけれども、不合格体験記はきわめて稀である。みな、書きたくないからである。でも、私は、受験生活にとって、一番役に立つのは、人の不合格体験記であると思う。日経BPの出版物では、よく、システム構築失敗事例とか、ビジネスで倒産した手記とかが掲載されているが、非常にためになる。もし、不合格体験記に幸運にもめぐりあえたら、熟読されることをお勧めする。

10.資格マニア

 資格マニアとは、資格が生活・業務・趣味上必要というのではなく、どんな資格でも取得したくなり、単に資格の数を競うにようになった人をいう。資格がどう生きるかは既に動機とはならなくなっており、何10個とれるかに頭が行っている。そして数を取得するために、多くの分野に挑戦する。やがて、その人にとって、合格証明書がコレクターズアイテムとなり、趣味へと昇華する。

 業務上必要であっても、どのような分野でもひとつの資格を取得すると、別の資格も取得しやすくなっており、意欲も効率もますので、多くの資格を取得しやすくなる、という点については既に書いた。だから、このようなパターンでも数多くの資格をもつことになる。

 ここで、業務上などで資格を挑戦する人たちは留意するべき点が出てくる。取得資格数が増えてくると、どうしても、従来の資格マニアといわれる人達といっしょに考えられてしまうのだ。もちろん、資格マニアは「資格取得自体を趣味にした人達」なのであり、それ自体には何ら問題はないし、素晴らしい趣味といってもいいだろう。

 でも、業務面で資格を有効に使っていこうとする人にとって、資格数が多いからと「こいつは資格マニアだ」と思われるのはきわめてまずいのだ。実務の世界で人に「資格マニア」と呼ばれるのは、あまり尊敬されているとは思わないほうがいい。であるから、「自分を資格マニア」と思わせないための工夫が絶対に必要である。資格マニアととらえられれば、もっている資格を7割引で評価される。

 以下の対策が必要だ。

1.一度に提示する資格は3つ程度に抑える。

 どんな場合でも、自分の持っている資格を一時に3つ以上、示さないほうがいい。就職の際の履歴書、顧客を訪問したときの名刺などに、持っている資格を10個も20個もかいてはならない。せっかく、素晴らしい資格をもっていても、評価されなくなる。それは、相手にとって、こいつはこんなに多くの資格を何のために取得したのか、何が専門なのか、と不明確になるからだ。不明になってくれば「資格マニアか?」と思われる。評価されないどころか、マイナスに評価される

 持っている資格を全部書いて、自分をアピールしたい気持ちはわかるが、それは間違っている。専門分野の資格を1つ書いたとしよう。相手は、おっ、と思うだろう。2個かけば、ほう、と思うだろう。イメージを+10点、+20点としておこう。でも、どんどん書いていけば、評価は逆転する。うわ、なんだこの沢山の資格は?なにやら、胡散臭い人だなあ。平気か?と思われる。−50点となる。マイナスになってしまう。

 私が顧客先で「経営コンサルタントの伊藤です」というとする。ここで名刺に電気通信主任技術者から、なんやらかんやら買いてはだめ。中小企業診断士だけでいいのだ。

2.相手が求めている人材の分野にぴったりの資格だけを提示する

 こんどは逆にキャリア関連の技術関連の分野の仕事に就職しようとしたとする。履歴書には、「電気通信主任技術者」「工事担任者」「無線技術士」などをさりげなく書いておくだろう。つまり、相手は技術者をさがしている、そのときに、行政書士試験を出してもしょうがない。自分の専門のイメージをわざわざ、こわしているようなものだ。

 ソフト会社の教育をまかされたとしよう。自己紹介文には「職業訓練指導員」「情報処理技術者」などを書くだろう。セキュリティ関連だったら、「システム監査」である。

 結論: 資格保有を相手に提示するときには、テーマが必要であり、それは自分の頭に明確になっており、相手に説明できなかればならない。そしてそのテーマはまさに相手があなたに求めている人物像にあっていなかればならないのだ。保有資格の提示は、相手に対する立派な自己のプレゼンテーションなのだ。持っている資格を全部示さなかったから、怒られるという状況は非常に少ないだろう。工夫しよう。