2000/10/12 ゴキブリ

 ゴキブリは恐い。だって、ひげ?は長くて、ゆらゆら動いているし、静止しているかと思えば、次の瞬間、物凄いスピードでかさかさと音を立てて移動する。(不思議なことにいつも、人間側に移動する)

 不意をついて出現する。なにか置いてあるものをとってみたら、出現したとか、何気なく、かべをみたら、ひげをゆらしていたとかである。色もぴかぴかした脂っこいこげ茶だし、なにやらくさい。

 なにかでたたくと、必ず「つぶれる」。簡単にべちゃっとつぶれるし、なにやら体液もでる。大変気持ち悪い。

 こんな昆虫が、なんで、畳文化の人間の住居に跳梁跋扈しているのだろうか。なにがうれしくて、こんな生命の危険を感じる人間様の家に住んでるのか。大自然の中に住めばいいのに。今度、忠告してやろうと思う。家の中に、なぜクワガタなどがすまないのだろうか。うれしいのに。

 なにかの雑誌でみたら、人類滅亡後、地上をゴキブリが支配し、空をカラスが支配する、とあった。それだけ生命力が強いのだろう。ゴキブリは雑食性で、紙も木(柱など)も食べるのである。1匹みえたら、200匹いると思えともいう。(600匹という説もある)こんな話をきくと、あと199匹はどこにいるのか、と不安になってしまう。

 ゴキブリの卵は、かまきりの卵のように数10個のたまごが集まって、いつのパッケージになっている。こげ茶色の「ふくろ」である。ゴキブリの糞を、卵と間違えていた女の子がいた。

 クリープショーという映画がある。この映画で、ドラム缶一杯のゴキブリ、15センチくらいあるゴキブリが大挙登場する。ゴキブリ嫌いの人がみたら、失神する可能性があるので、見ないほうがいいです。

 私は小学生まで、「油虫」と呼んでいた。こっちのほうが、はるかに特徴を捉えている。絞ると油がとれそうなつやつや感である。

 大学時代に下宿している友人を訪問した。そこの流しにゴキブリホイホイがおいてあるが、そのゴキブリホイホイがもう、一匹もつかまえられないほど、いつも、いっぱいにつかまっているのだ。非常に気味悪い。「もういっぱいだから、買うかあ」といっていた。速めに買えー!

 今は、ホウ酸団子のほうが、ゴキブリ退治にポピュラーだ。ホウ酸団子をまくようになって、ゴキブリを見ることはなくなった。今年も一匹しかみなかった。(あとで述べる)本当に強力なゴキブリキラーが現れてくれたものだ。

 実はゴキブリホイホイの前には、プラスティック製の「閉じ込め方式」のわなが主流だった(私が小学生のころ)。これは、捕まえたゴキブリが、生きたまま観察できる。問題はどうやって殺すかだ。説明書を見ると、直射日光で死にます。とあるけど、我が家のは丈夫なのか、全然平気である。

 母が、自宅前にあった市電の停留所にもっていって、箱をあける。ゴキブリがわっと散る。母がそれを急いで踏み潰す。停留所にいた人がパニックになった。

 ゴキブリ用のスプレー式殺虫剤があるが、あれでゴキブリを退治できるとはどうしても思えないのだ。高速で移動するやつらに、的確にあびせかけるのは専門のトレーニングがいるのではないか?

 コックをやっていた友人がいた。彼は、平気でゴキブリを指でつかまえる。そして、ほら煙草をすわせてやるといって、無理やり奴らの口に煙草を押し付けたりした。で、最後は紙でぐるぐるに巻いて動けなくして、そのまま、火をつけて焼き殺していた。おそろしい性格の人だった。

 ゴキブリが飛ぶと、私は顔が真っ白になる。恐怖の二乗になる。必ず、私めがけて飛んでくる。やつらは、人間の恐怖を感じ取る器官をもっているようだ。でも、ゴキブリが鳴かない昆虫でよかった。あれで、鳴いたら大変だ。台所から、キーキーなど聞こえたら、恐ろしいではないか。しかし、ゴキブリと格闘した経験から言うと、やつらはワープをすることがあるようだ。一瞬で位置を移動するからだ。

 その頃、変わったことをやると、白いギターがもらえるTV番組があり、「ゴキブリを食う男」というのが出た。残念だが、その人はそれが原因で亡くなったそうだ。日本の家庭のゴキブリは食えないのである。

 少年マガジンに「君もゴキブリをかってみよう」という図解入りの記事が昔のっていたのをはっきりと覚えている。小学生で、その本の通りやろうとしたら、父に怒鳴られた。

 友達のお母さんは、台所で、ゴキブリがでると、近くのママレモンを取り、さっと振る。ゴキブリにそのママレモンが命中する。名人芸である。ゴキブリはなぜかほとんど即死。脚にある呼吸器官がつまってしまうそうだ。

 今のレストランとかラーメン屋はきれいになったのだなあ。昔は大衆食堂なんかでは、食べてる横をゴキブリが散歩していたものだ。

 さて、最後に、先ほど述べた、今年の夏、一匹だけ見たゴキブリについて。私はパジャマ姿で、イスに座って、ノートパソコンをうっていた。なにか、右脚のひざのあたりがむずむずする。かゆいので、パジャマの上から、ばりばりかきむしった。...と,ポトポトと何かが、パジャマの中から脚もとに落ちた。見て私は、顔から血の気がひいた。落ちてきたのは、ゴキブリの破片である。一匹のゴキブリがばらばらになって、そのパーツが落ちていたのだ。どうも、パジャマの中で、私の膝のあたりにいたのだろう。その上から、かきむしってしまったわけだ。ぎゃあああああと叫びながら、紙で取り、ほうきで掃き、雑巾であらって、服を全部脱いで、洗濯機にぶちこみ、風呂にはいって、全身をごしごしあらった。でも、そのゴキブリは、なんと、乾燥しきっていたのだ。どうやら、ホウ酸だんごで断末魔の抵抗だったようだ。人間にかみつこうとしたのかも知れない。

 今の若い女性は、ゴキブリのことを「ごき」と呼ぶらしい。

 ゴキブリよ。頼むから、私の視界に現れないでほしい。一時的に発狂しそうになって、殺すまで、きっと寝ませんから。いやだな、嫌いだなごき!